イセカイトレーダー ~取引《トレード》で異世界に建国する~

曇天

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第四十八話

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「やはり魔力が必要だな」
 
 グナトリアにもどって一ヶ月、魔力をあげる事を目的にアイテムを作り続けた。

「もうコウミはかなり魔力を手に入れたわよ。 多分私より遥かに多いはずなのに、まだあげるの?」

 アンナがあきれたようにいう。

「アンナのいうとおりだ。 町も十都市、人口も2万に達した。 アイテムも真召石もかなり倉庫にたまったし、もう必要ないんじゃないか?」

 シモンズは不思議そうにいった。

「いや、ヴァルヘッドが全軍をここに当てたら、このままでは負ける」

「まあ、そうでしょうが、なぜヴァルヘッドがここに執着すると思うのですか? 正直他の国の方が豊かですし、わざわざこの国だけを狙う必要がないのでは、魔王復活などしなくてもこのまま行けばヴァルヘッドはこの大陸を支配できるでしょう?」

 セーヌが疑問を口にする。

「普通ならな。 ここはたかだか2万程度の国は小国だし、国民100万のヴァルヘッドなら歯牙にもかけないだろう」

「普通じゃないと......」

 怪訝そうな顔でアンナが聞いてくる。

「ああ、本当の目的は支配じゃない。 魔王を復活させこの世界全てを変えるのが、やつらの、いやベインツの目的だからな。 俺たちが魔召石を作っていることがばれれば、とたんに兵をだしてくる」
  
「魔王か...... 確かに復活されては困るな」

 ハルブは髭をなでながらそういうと、リリンはうなづく。

「私たちも更に魔召石の精錬して、純度をあげましたしね。 しられたら確実に狙われます」

「しかし、あなたの魔力を増やすのはアイテム取引《トレード》ぐらいしかないのでは?」

 ハクレイがいうと、クリュエがなにか考えている。

「ん? クリュエなにかあるのか?」

「......そうですね。 本で読んだだけなので、確信はないですけど...... 最初の魔人は、北のイゼスガーナと呼ばれる凍れる大地で、魔力を得たとされています」

「最初の魔人て錬金術で作られたんだろ。魔力をもってたんじゃないのか?」

「もともと魔力が膨大な人物しか実験体にならないはずだ。 ましてや魔人となるぐらいなら、相当だろう」

 バルフが答える。

「私も両親の本で知ってる。 そこには魔力を集める何かがあるって、確か【氷心塔】っていうはず」

 ディラはそういうと、クリュエもうなづいた。

「最初の魔人、氷心塔か...... 行ってみるしかないか」

 半信半疑ながら、行ってみることにした。


「うーー や、や、やばいぃぃ......」

 前も見えない豪雪の中、俺とアンナ、マルキアは雪に足をとられながら進んでいた。

「少し休憩しましょう!」

 アンナにいわれ、俺は取引《トレード》で家を作り、中へと避難した。

「あー、さぶっ!」

 俺たちはすぐ火にあたり、凍えた体をあたためる。

「ここまでとはね...... さすがにヴァルヘッドも侵攻しないわけね」

「ああ、モンスターはあまりいないけど、作物も育たないからな。 よくこんなところに住むやつがいるな」

「こんなところにしか住むところがないんだろう。 私とターナもそうだったからな......」

 マルキアが、そう静かにたき火を見つめていった。

「ターナはどうだ?」

「クリュエの魔力があがり、リリンたちによって魔削石の純度もあがったから進行は遅くなっている。 それでも進行はしているから、まだわからないな......」

(やはり、手を打たないといけないな......)

「そうか、アンナ、この国の情報は?」

「イゼスガーナに国はないわ。 だから外に情報もあまり届かないわね」

「まあ交易しようにも、この雪では作物も育たないから、織物ぐらいだろうな。 鉱物資源はあるようだが、この雪深いところで採掘するのはコスト的に難しい」

 マルキアがそう答えた。

「うーん、なにもわからないに等しいな...... とりあえず近くの村か町を探して、氷心塔を探そう」

 外からもってきた雪で水を作ろうと、鍋にいれる。

「ここって魔力がつよいのか...... マジックメジャーメント。 なっ! この雪で50もある!」

「最初の魔人になった人物が魔力が強いのもわかるわね」

「それなら、ここでは取引《トレード》が山ほどできるな」

 アンナとマルキアがそういう。

「うむ、ここに拠点を作ってもよかったな」

 その日は、とりあえずそのまま眠った。
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