オールバンク ~異世界で契約の力を得た俺は、世界をかえる選択を選ぶ~

曇天

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第四十話『秘宝の祭壇と裏切りの影』

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「これですか......」

「ここがゾルフレアの遺跡ね」

「すげぇ」  

「まさに宝の遺跡だな」

 俺たちはその壮麗な遺跡に目を奪われていた。 その遺跡はさまざまな細工で彩られ、その豪華さには目を見張るものがあった。

「ここはリサーラの王【ベネルス】が建てた宝物殿でもあるの」

「盗掘されないのか」

「ここのものは持ち出せないらしいわ。 古の図書館のような場所らしいの」

 ディルセアはそう言った。

「それなら、宝玉はどうなるのですか?」

「この、ダンジョンマスターを倒せば、手に入るのかディルセア」

「かもね。 ただやってみないとわからないわね」

「とりあえず行くしかないという事ですね」

 イオリシアが言う。

 俺たちはその内部へと入った。

 
 内部も豪華な装飾で彩られ、宝石や金銀などで飾られている。

「これ本当に取れないの?」

「やってみなさいよ」

 ディルセアに言われて、レンドが壁の宝石に手を触れた。 

 その瞬間、バチッ! という大きな音がする。

「いた!!」

 レンドは手をつかんで痛がっている。 イオリシアが慌てて回復魔法をかけた。

「ほらね。 この遺跡のものを持ち出そうとするとそうやって強い痛みが走るの」

「......な、なるほど、これじゃ、持ち出せないわけだ。 助かりましたイオリシアの姉さん」

「それだけじゃなさそうだ......」

「ガアアアッ!!」

 そう雄叫びをあげながら、奥から巨大なこん棒をもつ一つ目の巨人が現れた。

「【サイクロプス】!? 高位のモンスター! こんなものもいるの!」

 ディルセアが驚きの声をあげた。

「俺に任せろ!」

 走ったレンドが背中の剣を抜き放つと剣は輝き、その軌跡はサイクロプスの足を切り裂いた。

「グォォッ!!」

 サイクロプスはぐらつき地面に膝をついた。

「たぁ!!」

 レンドは光の剣でサイクロプスの頭を切り落とした。

 
「レンド、よくその剣を扱えてるじゃないか」

「まあ、なんとかっすね」 
 
 照れながらレンドが答えた。

「ふぅん、けっこうやるじゃない」

「レンドさんは前よりかなり強くなってますね」
 
「なんとか、カイトさんたちに追い付きたくて」

(レンドは明らかに強くなっている。 空きの時間をゼノフォスとの剣の稽古に費やしていたからな。 それにしてもゼノフォスでも扱いが難しいといっていた光の剣をあそこまで操れるとはな)

「ただ、気になるわね」

 ディルセアが言った。

「ああ」

 そこら中に鎧を着た者たちの遺体があった。 

「これはゼアルードの騎士ですね」

 イオリシアが鎧の騎士に祈りを捧げながら言う。

「なんで、ゼアルードの騎士が......」

 レンドがそう考え込む。

「宝玉を狙ってるのがゼアルードだったのかもしれないな......」

(だが時間がそれほどたってはいない、最近の遺体だ。 もう宝玉をとられたあとか)
 
 俺たちは先に進む。 すると奥に大きな部屋がある。 そこはクォーカの遺跡のような祭壇があった。 その上の台座には黄色い透明な宝玉がある。

「ありましたね!」

「まてレンド...... ディルセア前に」

「わかったわ」

 ──大地のうねりよ、そのものをとらえて、包み込め──

 床が盛り上がると、俺たちの前に石の壁ができた。 その瞬間、矢が無数に飛んできて、壁に当たった。
 
「どうやら、ばれてたみたいだな」

 その見知った顔の男が祭壇から複数の鎧の騎士たちと出てきた。 

「お前はブラム!」

 レンドが叫ぶと、ブラムは口元に笑みを浮かべる。

「あの時はよくもやってくれたな。 お陰で逃亡者になっちまったぞ」

「なんのようだ」  

「お前たちは、この宝玉目当てなんだろ?」

 そう台座の上の宝玉を指差した。

「......それを狙っている奴らがいるからな」

「それは貴様らだろう。 その力を持ってルードランドは我が国への侵攻を企んでいる」

 そう大柄な騎士が言った。

「ルードランドは関係はない」

「何をいう、そこに王女がいるではないか。 この騎士団長【グララヒム】がその目で見ている」

 そうグララヒムはイオリシアを指差した。

(知っていたのか......) 

「この国の秘宝を狙うなど、宣戦布告も同じ、これでルードランドへの侵攻の大義がたつ」

 そうグララヒムは巨大なランスを構えた。

(ルードランドへの侵攻が目的でここで待ち構えていたのか)

「行け!」

 グララヒムがそう言うと矢が放たれ、騎士たちが迫ってくる。

「やるぞ!!」

 ──大地のうねりよ、そのものをとらえて、包み込め──

「渦風《ストームウィンド》!!」

 ディルセアの魔法で床が盛り上がると、よけた騎士たちを風が吹き飛ばした。

「うわあああっ!!」

 ──その凍える、白き息吹よ、あらゆるものをここにとどめよ──

 イオリシアが唱えると、白い霧が冷気をたたえながら、周囲に吹き弓を引く騎士たちの手元を凍らせた。

「ぐあああっ!」

「くぅ、貴様ら抵抗するのか!」 

「ここはギルドの依頼を得てきた。 確認をすればいい」

「そんなものは不要だ!」

「殺せば...... か」

 グララヒムがランスをふるう。 俺はそれをかわした。

「【返響】《リフレイン》、【風の嘶き】《ウィンズ・クライ》」

 風がグララヒムを吹き飛ばした。

「ぐふっ!!」

 グララヒムは地面を転がる。

(返響《リフレイン》は一度体に受けたものを一時的にコピーする......)

「あーあ、やっぱ、こいつらじゃダメか」

 祭壇の上にブラムがいた。 台座のそこに宝玉はなかった

「ブラム!! 宝玉をどうした!!」

「じゃあ、あとお願い」 

 その手には転移の指輪がはめられていた。 

(宝玉を転移させたのか!)

 そしてそのまま姿を消した。
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