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第二話
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一通り町の住民に話を聞いて、人気のない裏道の公衆電話にぼくはいた。
「そう。 明らかにおかしい。 この町には動物の姿がない。 普通一匹ぐらい犬猫がいてもおかしくないのに......」
『まあな。 だがそれだけじゃな。 お前が診療所にいるあいだに調べたら、やはり動物の死骸か消えてるという話だ」
「......そうか、どうも町の人はそのことを隠してるみたいだ。 やはりユグナ先生が気にかかる」
『そうだな。 取りあえず会うのは明日にしよう』
空を見ると日がおちてきていた。
受話器をおこうとしたとき、そばでミーシャが毛を逆立てる。
「あれは......」
奥から犬の群れが現れた。
「犬...... いたのか。 いやこの香り......」
その犬たちはどこかおかしい。 目が白く濁り動きもぎこちない。
「まずい!」
危険を感じ、その場を離れようとすると、周りの建物や壁の上にたくさんの猫がいる。 その目も白濁していた。
「くっ! 囲まれてる」
「ガァルルルル!」
犬猫たちは統率されているようにじりじりとぼくに近づいてくる。
(やはり、これは......)
犬猫たちが一斉に動いた。
「しかたない!」
腰からリボルバー銃を抜いてうった。
それを犬猫たちはかわす。
「彷徨える魂よ、我が声に答えよ!」
放った弾丸はツバメの姿となり、旋回して後ろから犬猫たちを貫く。
「ギャウゥ!!」
「ギニャアアア!」
ぼくの放ったツバメがあたり、何か固いものが砕ける音がすると、犬猫たちは倒れ動かなくなった。
すると、うしろにいた犬猫たちは潮が引くように去っていった。
「......やはり」
倒れている犬猫は死んでいた。 だがその体は硬直している。
(腐敗こそしてないが硬直している。 元々死んでいたものだな...... やはり【ディシースト】か。 それに......)
「戦争が終わっても、この呪いはまだ終わらないのか......」
ミーシャがなく声をききながら暗くなる空をみていた。
「あなたがネクロマンシーを使ったんですね」
ぼくはユグナ先生にそういった。 あれから診療所に向かい、誰もいない病棟へと来た。 暗い病棟にユグナ先生がいた。
「なんのことですか......」
「ネクロマンシー 死霊術。 あれは死んた生物《ディシースト》を甦らせ使役する古代秘術。 先の大戦で帝国、共和国、両軍が使ったものです。 ご存知でしょう」
「そんなものしりませんよ」
ユグナ先生はそういいながら目が泳いでいる。
「......いいえ、知っているはずです。 ぼくを襲ったあの犬猫たちから、これが落ちた」
ぼくはあの場で拾った星幽石《せいゆうせき》をみせた。
「これはディシーストの魂が込められた核のようなもの。 これを壊せばディシーストは死ぬ」
「......それを私が使ったという証拠でもあるんですか」
「犬たちから、ここでかいだ花の香りがしていました。 あの花は強い香りをはなつ、あれは死体の匂いを隠すためでしょう」
「なぜ私がそんなことを......」
「あなたの奥さんは亡くなっているんでしょう。 それを甦らせるつもりなら、あなたがこのようなことをしてもおかしくはない」
「妻が死んでいる...... なにをバカな。 あなただって妻の姿をみたでしょう」
そう強い口調でいいながらユグナは、こちらの目をみない。
「......ネクロマンシーは死者を甦らせるものじゃないんです」
「なんだと......」
明らかに動揺した。
「厳密にはネクロマンシーは肉体から剥離した魂を別の体を移す術、完全に死んだものは魂がない。 だからあなたの奥さんは甦っていない」
「そんな! ちがう! あれはハミラだ!」
そうユグナは隠すこともなく取り乱していった。
「いいえ、動いていてもあれは剥離した魂を繋ぎ合わせただけの紛い物。 自我もないただの人形だ」
「ちがう!! ちがう!! そういったんだ! あれは妻だと! 完全に戻すには人の魂が必要だと! だから!」
「誰です。 そんなことをいったのは」
「そんなことはどうでもいい! あんたは嘘をついている! 軍医だからと私を騙そうとしているんだ!」
「いいえ、ぼくはネクロマンサー部隊の所属です」
「なっ!!!」
「ええ、ですから知っている。 人間を甦らせるなど不可能です......」
「嘘だ! 嘘だろう! そういってくれリジェクト!」
後ろを見るとそこにがリジェクトがいて薄く笑っていた。
(まさか...... この子)
「そうよ...... ハミラはここにいるわ」
リジェクトの隣には、さっきの包帯の人がいた。
「ほらみろ!」
「たぶんね......」
そうリジェクトが不気味に口角をあげると、包帯の人物の体がもりあがり包帯を破る。 それは人を切り貼りしたような異形の姿だった。
「ハ、ハミラじゃない......」
「そんな! 本当に人間をよみがえらせたのか! それは禁忌だぞ!」
「ふふっ、そうね」
そうやってリジェクトはぼくに微笑む。
「な、なんだそれは...... ハミラはどうした!!」
「彼女はこの中にいると思うわ」
「なっ!? そんな動物やこの町の人間の魂を使えば、ハミラは元に戻るんじゃないのか!」
「そうねぇ、もしかしたら髪の毛のほんの一部分ぐらい記憶が残ってるかもね」
そういってリジェクトは嘲《あざけ》るように笑った。
「な、なんだと...... だましたのか」
ユグナは愕然《がくぜん》としている。
「お前は本当の娘じゃないのか。 ネクロマンシーを使ったのはお前か、何者だ」
「そんなこと気にしている暇はないんじゃなくて」
そう冷たく笑うと、巨大になった異形のディシーストがこちらに迫る。
「彷徨う魂よ! 我が声にこたえよ!」
そういい銃をぬき放った。 足を撃ち抜くがその動きは止まらない。
「【鉄蜘蛛弾】《アイアンスパイダー》!」
異形の足から複数の黒い糸が床に放たれ、異形をその場にとどめた。
「鉄の糸...... 弾丸からクモを作り出したのね。 ネクロマンサー部隊出身って言うのは嘘じゃないみたいね。 でも」
「フオオオオ!!!」
異形は無理やり床を剥がし、クモを踏み潰し迫ってくる。
(止まらない!! クモの星幽石を壊させた!)
「彷徨える魂よ、我が声にこたえよ!」
そういって銃を放った。
「無駄よ。 そんなもの......」
「【矛蜻蛉】《ハルバードドラゴンフライ》」
弾丸がトンボの姿になると、その翼が異形の片足を切り裂き、その巨体を倒した。
「......驚いた何種類も使えるのね。 普通のネクロマンサーなら一種が限界なのに、さすが軍のネクロマンサー。 でも......」
リジェクトが腕をあげると、いつの間にかいた猫たちが異形の足にくっつき、その足に取り込まれた。
「再生するのか!?」
「さあ、あのネクロマンサーを殺して!」
異形は立ち上がるとぼくに向かってはしり、その丸太のような腕を振り下ろした。 床を砕く音が響く。
「死んだわ! 死んだ! さあ、この町の人間も皆殺しにしましょう! あははははははっ」
異形がなぎ倒される。 ぼくの前には巨大な木製の大型のサルがいた。 その肩にはミーシャがのっている。
「なんだ、まだ死んだなかったのね...... せっかく作ったオモチャだったのに」
ディシーストと化した犬猫が周りを囲む。
「この数をそんな鈍重なサルでふせげるかしら!」
犬猫の全てが一斉に襲ってきた。
「そう。 明らかにおかしい。 この町には動物の姿がない。 普通一匹ぐらい犬猫がいてもおかしくないのに......」
『まあな。 だがそれだけじゃな。 お前が診療所にいるあいだに調べたら、やはり動物の死骸か消えてるという話だ」
「......そうか、どうも町の人はそのことを隠してるみたいだ。 やはりユグナ先生が気にかかる」
『そうだな。 取りあえず会うのは明日にしよう』
空を見ると日がおちてきていた。
受話器をおこうとしたとき、そばでミーシャが毛を逆立てる。
「あれは......」
奥から犬の群れが現れた。
「犬...... いたのか。 いやこの香り......」
その犬たちはどこかおかしい。 目が白く濁り動きもぎこちない。
「まずい!」
危険を感じ、その場を離れようとすると、周りの建物や壁の上にたくさんの猫がいる。 その目も白濁していた。
「くっ! 囲まれてる」
「ガァルルルル!」
犬猫たちは統率されているようにじりじりとぼくに近づいてくる。
(やはり、これは......)
犬猫たちが一斉に動いた。
「しかたない!」
腰からリボルバー銃を抜いてうった。
それを犬猫たちはかわす。
「彷徨える魂よ、我が声に答えよ!」
放った弾丸はツバメの姿となり、旋回して後ろから犬猫たちを貫く。
「ギャウゥ!!」
「ギニャアアア!」
ぼくの放ったツバメがあたり、何か固いものが砕ける音がすると、犬猫たちは倒れ動かなくなった。
すると、うしろにいた犬猫たちは潮が引くように去っていった。
「......やはり」
倒れている犬猫は死んでいた。 だがその体は硬直している。
(腐敗こそしてないが硬直している。 元々死んでいたものだな...... やはり【ディシースト】か。 それに......)
「戦争が終わっても、この呪いはまだ終わらないのか......」
ミーシャがなく声をききながら暗くなる空をみていた。
「あなたがネクロマンシーを使ったんですね」
ぼくはユグナ先生にそういった。 あれから診療所に向かい、誰もいない病棟へと来た。 暗い病棟にユグナ先生がいた。
「なんのことですか......」
「ネクロマンシー 死霊術。 あれは死んた生物《ディシースト》を甦らせ使役する古代秘術。 先の大戦で帝国、共和国、両軍が使ったものです。 ご存知でしょう」
「そんなものしりませんよ」
ユグナ先生はそういいながら目が泳いでいる。
「......いいえ、知っているはずです。 ぼくを襲ったあの犬猫たちから、これが落ちた」
ぼくはあの場で拾った星幽石《せいゆうせき》をみせた。
「これはディシーストの魂が込められた核のようなもの。 これを壊せばディシーストは死ぬ」
「......それを私が使ったという証拠でもあるんですか」
「犬たちから、ここでかいだ花の香りがしていました。 あの花は強い香りをはなつ、あれは死体の匂いを隠すためでしょう」
「なぜ私がそんなことを......」
「あなたの奥さんは亡くなっているんでしょう。 それを甦らせるつもりなら、あなたがこのようなことをしてもおかしくはない」
「妻が死んでいる...... なにをバカな。 あなただって妻の姿をみたでしょう」
そう強い口調でいいながらユグナは、こちらの目をみない。
「......ネクロマンシーは死者を甦らせるものじゃないんです」
「なんだと......」
明らかに動揺した。
「厳密にはネクロマンシーは肉体から剥離した魂を別の体を移す術、完全に死んだものは魂がない。 だからあなたの奥さんは甦っていない」
「そんな! ちがう! あれはハミラだ!」
そうユグナは隠すこともなく取り乱していった。
「いいえ、動いていてもあれは剥離した魂を繋ぎ合わせただけの紛い物。 自我もないただの人形だ」
「ちがう!! ちがう!! そういったんだ! あれは妻だと! 完全に戻すには人の魂が必要だと! だから!」
「誰です。 そんなことをいったのは」
「そんなことはどうでもいい! あんたは嘘をついている! 軍医だからと私を騙そうとしているんだ!」
「いいえ、ぼくはネクロマンサー部隊の所属です」
「なっ!!!」
「ええ、ですから知っている。 人間を甦らせるなど不可能です......」
「嘘だ! 嘘だろう! そういってくれリジェクト!」
後ろを見るとそこにがリジェクトがいて薄く笑っていた。
(まさか...... この子)
「そうよ...... ハミラはここにいるわ」
リジェクトの隣には、さっきの包帯の人がいた。
「ほらみろ!」
「たぶんね......」
そうリジェクトが不気味に口角をあげると、包帯の人物の体がもりあがり包帯を破る。 それは人を切り貼りしたような異形の姿だった。
「ハ、ハミラじゃない......」
「そんな! 本当に人間をよみがえらせたのか! それは禁忌だぞ!」
「ふふっ、そうね」
そうやってリジェクトはぼくに微笑む。
「な、なんだそれは...... ハミラはどうした!!」
「彼女はこの中にいると思うわ」
「なっ!? そんな動物やこの町の人間の魂を使えば、ハミラは元に戻るんじゃないのか!」
「そうねぇ、もしかしたら髪の毛のほんの一部分ぐらい記憶が残ってるかもね」
そういってリジェクトは嘲《あざけ》るように笑った。
「な、なんだと...... だましたのか」
ユグナは愕然《がくぜん》としている。
「お前は本当の娘じゃないのか。 ネクロマンシーを使ったのはお前か、何者だ」
「そんなこと気にしている暇はないんじゃなくて」
そう冷たく笑うと、巨大になった異形のディシーストがこちらに迫る。
「彷徨う魂よ! 我が声にこたえよ!」
そういい銃をぬき放った。 足を撃ち抜くがその動きは止まらない。
「【鉄蜘蛛弾】《アイアンスパイダー》!」
異形の足から複数の黒い糸が床に放たれ、異形をその場にとどめた。
「鉄の糸...... 弾丸からクモを作り出したのね。 ネクロマンサー部隊出身って言うのは嘘じゃないみたいね。 でも」
「フオオオオ!!!」
異形は無理やり床を剥がし、クモを踏み潰し迫ってくる。
(止まらない!! クモの星幽石を壊させた!)
「彷徨える魂よ、我が声にこたえよ!」
そういって銃を放った。
「無駄よ。 そんなもの......」
「【矛蜻蛉】《ハルバードドラゴンフライ》」
弾丸がトンボの姿になると、その翼が異形の片足を切り裂き、その巨体を倒した。
「......驚いた何種類も使えるのね。 普通のネクロマンサーなら一種が限界なのに、さすが軍のネクロマンサー。 でも......」
リジェクトが腕をあげると、いつの間にかいた猫たちが異形の足にくっつき、その足に取り込まれた。
「再生するのか!?」
「さあ、あのネクロマンサーを殺して!」
異形は立ち上がるとぼくに向かってはしり、その丸太のような腕を振り下ろした。 床を砕く音が響く。
「死んだわ! 死んだ! さあ、この町の人間も皆殺しにしましょう! あははははははっ」
異形がなぎ倒される。 ぼくの前には巨大な木製の大型のサルがいた。 その肩にはミーシャがのっている。
「なんだ、まだ死んだなかったのね...... せっかく作ったオモチャだったのに」
ディシーストと化した犬猫が周りを囲む。
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