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第四十八話『赤き巨影を討て』──そして砕けぬ宝石は、次なる禍へ。
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「ここがバルツアのルザードの樹海か」
丘の上のおれの目の前に巨大な樹海がみえる。 セリエス、ルードリヒ、ミリアと一緒にバルツア国境近くにきていた。
「そうだ。 この大陸最大の樹海、確かにモンスターの数が多いな」
眼下でうごめくモンスターをみてルードリヒがいう。
「ここに遺跡、ダンジョンがあるんですか?」
「そうみたいですわ。 それであのなかをつっきるつもりですわ?」
「さすがに力を温存しておきたい。 ここは耳を増やして回避して遺跡までいく」
おれは耳を増やすと、モンスターの群れを回避しつつ遺跡へとめざした。
できるだけ戦わず、森をすすむ。
「それにしても多いな...... ミリアなにか感じるか」
「確かに異様な魔力をかんじるですわ......」
「やはりな」
「ディムリアさんのときと同じですか」
「ええ、ですがあの時より邪悪な感じがするですわ。 こっちですわ」
ミリアについていくと古びた遺跡があり、地下へと続いていた。
「あまり音が聞こえないな...... 外はモンスターがおおいのに」
しばらく歩いてその理由がわかった。 そこには多数のモンスター死骸と、倒れた人がいる。
「そうか、そういうことか...... どうだミリア、助かりそうか」
「......いいえ、もう事切れてるですわ」
「普通のモンスター狩りの服装をしているが、腕などの筋肉のつきかたから、剣を学んだ騎士や兵士で間違いないだろう」
ルードリヒは遺体をみていうとセリエスは目を伏せる。
「かわいそうに...... でも帝国の兵士が変装しているってことですか?」
「だろうな。 一応バルツアの領内だ。 さすがに正規兵の装備は身に付けはしないだろう」
「犠牲はいとわず探索をすすめている。 これははやくいった方がいいな」
ルードリヒがいい、おれたちは足早に先にすすんだ。
かなり下層までくる。 ここまでくるのに大勢の兵士とモンスターの屍が横たわっていた。
(かなり犠牲がでてるな)
近くから大きな音がする。
「なにか聞こえる...... 戦ってるのか」
「強い魔力をかんじるですわ!」
大きな部屋にちかづく。 その祭壇のような部屋で多くの兵士が戦っていた。
「あれは......」
そこにいたのは高い天井まで届く大きさの、赤い肌をもつ悪魔のような人型だった。
「ええ、あの黒いディムリアと同じ......」
セリエスがそうつぶやく。
「ああ、あれより大きいし赤いが間違いない」
「帝国兵とたたかっているな。 シュン、あれをみろ......」
ルードリヒにいわれみると、そこにはグアレナがいた。
「グアレナさま! 強すぎます! このままでは全滅する可能性が! 一度撤退して建て直しましょう!」
「いいえ、これは皇帝アディリムさまの勅命、このまま戦い倒すのです」
部下の進言を無視して戦いを命じていた。 兵士たちが赤い悪魔との戦いで疲弊していくのがみてとれた。
「どうするシュン? 我々にとってはこのまま放置するのが得策だが」
「シュンさん」
「このままだとあの人たちみんな死んでしまうですわ......」
「しかたない。 セリエスとルードリヒは赤いやつをたのむ」
「わかった!」
「はい!!」
二人が走っていく、おれは手足を増やして倒れていた兵士たちを赤い悪魔から遠ざけた。
「ミリア、回復を頼む」
「わかったですわ!」
「あなたたちは......」
グアレナが驚いたようにこちらをみた。
「今は休戦だ。 お前だって兵士たちを失いたくないだろう。 あいつの核はどこだ......」
「わかりました...... あのものの核は頭です」
(あたま...... 天井近くか、しかしすきがない......)
その時悪魔の顔ぶれ辺りで爆発が起こる。
「あれは!? いやまずは! セリエス! おれが足場をつくる! そこを飛んであたまを狙え!」
「はい!!」
セリエスのジャンプした真下におれは腕を配置していく、セリエスはそれを飛びながらその巨大な悪魔の頭を切りつけた。
「グアアア!!......」
固いものが砕ける音がすると、おれは落ちてくるセリエスを見えない腕で抱き止めた。
「大丈夫か......」
「ああ、助かった」
兵士たちの隊長らしい男がはといきついた。 ミリアたちは兵士を治療している。
「ふふっ、わざわざ倒してくださってありがとうございます」
振りかえると、宝石を手にもつグアレナがいう。
「その魔鉱宝石《オリハルコンジェム》は砕いたはず...... そういえば魔力も噴出していない」
「ほう魔鉱宝石《オリハルコンジェム》をご存じですか。 そうこれは復元して封印しましたから魔力はでませんよ」
「そりゃ魔鉱宝石《オリハルコンジェム》でキメラをつくれるぐらいだから、そのぐらいはできるんだろうな。 それで魔王の魔鉱宝石《オリハルコンジェム》を手に入れてどうするつもりだ」
「それをきいてどうするのです」
「おい、おい、お前たちの兵士はまだ戦えないんだぞ」
「人質だとでも、ふふふっ、そんなものは無駄です。 みなここで死ぬのですから」
グアレナは杖を掲げた。 その頭上に赤い炎が渦巻くと巨大な球体が現れる。
「仲間ごとかよ!」
おれは足を生やしてグアレナに近づく。
「遅い!!」
「できるか!!」
「当然じゃ! だれにいっておる!!」
突然姿を現したディムリアはグアレナから魔鉱宝石《オリハルコンジェム》を奪い取る。
「なに!? ぐはっ!!!」
驚いているグアレナをおれは殴り付けた。 グアレナは地面をころがる。
「くっ......」
グアレナはそのまま姿を消した。
「あいつも姿を消せるのか!!」
「大丈夫じゃ、さすがにもはやたたかえまい」
そう宝石をもちディムリアはほほえんだ。
丘の上のおれの目の前に巨大な樹海がみえる。 セリエス、ルードリヒ、ミリアと一緒にバルツア国境近くにきていた。
「そうだ。 この大陸最大の樹海、確かにモンスターの数が多いな」
眼下でうごめくモンスターをみてルードリヒがいう。
「ここに遺跡、ダンジョンがあるんですか?」
「そうみたいですわ。 それであのなかをつっきるつもりですわ?」
「さすがに力を温存しておきたい。 ここは耳を増やして回避して遺跡までいく」
おれは耳を増やすと、モンスターの群れを回避しつつ遺跡へとめざした。
できるだけ戦わず、森をすすむ。
「それにしても多いな...... ミリアなにか感じるか」
「確かに異様な魔力をかんじるですわ......」
「やはりな」
「ディムリアさんのときと同じですか」
「ええ、ですがあの時より邪悪な感じがするですわ。 こっちですわ」
ミリアについていくと古びた遺跡があり、地下へと続いていた。
「あまり音が聞こえないな...... 外はモンスターがおおいのに」
しばらく歩いてその理由がわかった。 そこには多数のモンスター死骸と、倒れた人がいる。
「そうか、そういうことか...... どうだミリア、助かりそうか」
「......いいえ、もう事切れてるですわ」
「普通のモンスター狩りの服装をしているが、腕などの筋肉のつきかたから、剣を学んだ騎士や兵士で間違いないだろう」
ルードリヒは遺体をみていうとセリエスは目を伏せる。
「かわいそうに...... でも帝国の兵士が変装しているってことですか?」
「だろうな。 一応バルツアの領内だ。 さすがに正規兵の装備は身に付けはしないだろう」
「犠牲はいとわず探索をすすめている。 これははやくいった方がいいな」
ルードリヒがいい、おれたちは足早に先にすすんだ。
かなり下層までくる。 ここまでくるのに大勢の兵士とモンスターの屍が横たわっていた。
(かなり犠牲がでてるな)
近くから大きな音がする。
「なにか聞こえる...... 戦ってるのか」
「強い魔力をかんじるですわ!」
大きな部屋にちかづく。 その祭壇のような部屋で多くの兵士が戦っていた。
「あれは......」
そこにいたのは高い天井まで届く大きさの、赤い肌をもつ悪魔のような人型だった。
「ええ、あの黒いディムリアと同じ......」
セリエスがそうつぶやく。
「ああ、あれより大きいし赤いが間違いない」
「帝国兵とたたかっているな。 シュン、あれをみろ......」
ルードリヒにいわれみると、そこにはグアレナがいた。
「グアレナさま! 強すぎます! このままでは全滅する可能性が! 一度撤退して建て直しましょう!」
「いいえ、これは皇帝アディリムさまの勅命、このまま戦い倒すのです」
部下の進言を無視して戦いを命じていた。 兵士たちが赤い悪魔との戦いで疲弊していくのがみてとれた。
「どうするシュン? 我々にとってはこのまま放置するのが得策だが」
「シュンさん」
「このままだとあの人たちみんな死んでしまうですわ......」
「しかたない。 セリエスとルードリヒは赤いやつをたのむ」
「わかった!」
「はい!!」
二人が走っていく、おれは手足を増やして倒れていた兵士たちを赤い悪魔から遠ざけた。
「ミリア、回復を頼む」
「わかったですわ!」
「あなたたちは......」
グアレナが驚いたようにこちらをみた。
「今は休戦だ。 お前だって兵士たちを失いたくないだろう。 あいつの核はどこだ......」
「わかりました...... あのものの核は頭です」
(あたま...... 天井近くか、しかしすきがない......)
その時悪魔の顔ぶれ辺りで爆発が起こる。
「あれは!? いやまずは! セリエス! おれが足場をつくる! そこを飛んであたまを狙え!」
「はい!!」
セリエスのジャンプした真下におれは腕を配置していく、セリエスはそれを飛びながらその巨大な悪魔の頭を切りつけた。
「グアアア!!......」
固いものが砕ける音がすると、おれは落ちてくるセリエスを見えない腕で抱き止めた。
「大丈夫か......」
「ああ、助かった」
兵士たちの隊長らしい男がはといきついた。 ミリアたちは兵士を治療している。
「ふふっ、わざわざ倒してくださってありがとうございます」
振りかえると、宝石を手にもつグアレナがいう。
「その魔鉱宝石《オリハルコンジェム》は砕いたはず...... そういえば魔力も噴出していない」
「ほう魔鉱宝石《オリハルコンジェム》をご存じですか。 そうこれは復元して封印しましたから魔力はでませんよ」
「そりゃ魔鉱宝石《オリハルコンジェム》でキメラをつくれるぐらいだから、そのぐらいはできるんだろうな。 それで魔王の魔鉱宝石《オリハルコンジェム》を手に入れてどうするつもりだ」
「それをきいてどうするのです」
「おい、おい、お前たちの兵士はまだ戦えないんだぞ」
「人質だとでも、ふふふっ、そんなものは無駄です。 みなここで死ぬのですから」
グアレナは杖を掲げた。 その頭上に赤い炎が渦巻くと巨大な球体が現れる。
「仲間ごとかよ!」
おれは足を生やしてグアレナに近づく。
「遅い!!」
「できるか!!」
「当然じゃ! だれにいっておる!!」
突然姿を現したディムリアはグアレナから魔鉱宝石《オリハルコンジェム》を奪い取る。
「なに!? ぐはっ!!!」
驚いているグアレナをおれは殴り付けた。 グアレナは地面をころがる。
「くっ......」
グアレナはそのまま姿を消した。
「あいつも姿を消せるのか!!」
「大丈夫じゃ、さすがにもはやたたかえまい」
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