そのメンダコ、異世界にてたゆたう。

曇天

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第十六話

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 森のなかかなり強いモンスターが現れたが、レフィーネとメリムが難なくほうむる。

(二人とも強いな...... おれも戦いたいが、セファイラと戦うために魔力を残しておきたい。 あれからミネラルに声をかけているが、反応がないから力は借りられない」

「これは......」

 そこらにモンスターの遺体がある。

「あいつらね」

 メリムがいうと、レフィーネがうなづく。

(やつらが三人いるなら、レフィーネが加わっても何とかミネラルの力を借りないととても戦える気がしない......)

「ここが大瀑布だ」

 巨大な滝が見える。 落ちてくるが滝の流れが天から降りる柱のようにみえた。

「ここに洞窟が?」

「滝の裏にある。 私もここで修行したことがあるんだ」

 そういうとレフィーネは滝の端から中へむかった。

 滝の裏側は道になっており中央にほっかりとあいた洞窟がみえた。

「ここまではほとんどの人は近づかない。 モンスターが強すぎてな。 私も一人ならここには来れなかった。 今回は二人がいたから来れたが」

「まあ、確かにあのモンスターたちは普通の人には倒せないかも」

「そうね。 かなり魔力も消費したわ」

(おれも少しつかれている。 肉体の駆動にも魔力は消費しているらしいな)

 常にだし続けていると、魔力不足で戦うときに足りなくなるからとメリムには言われていた。

(でも、魔力ってどうやってとめるかわからん。 メリムは自然にできるようになったといっていたが......)

 おれたちが洞窟内を進むと、先を進んでいたレフィーネがとまる。

「あそこだ......」

 角から除くと、奥に三人のシルエットがみえた。

「ぬけない......」

 巨漢の男が剣をぬこうとしている。

「全くどういう基準なんだろうね」

 黒いローブに身を包んだ高い声から女性と思われるものがそういう。

「まあ、アデム、グリーティン、ぬけなければまた台座ごともっていきましょう」

 そう聞き覚えのある声がきこえる。

「セファイラ、あんたの影で移動できないの」

「これは魔力をかなり消費しますからね。 他のところにも行きたいのでここでは使いたくないのです」

(あれはセファイラだ。 でかいのがアデム、女がグリーティンか)

「貴様たち! その奪った神剣を返してもらうぞ!」

 そうレフィーネがまえにでる。

「モンスター...... またあいましたね」

 こちらをみてセファイラがそういった。

「あれがお前がいったやつか...... セファイラ」

「ということは神剣をもってるってことね」

「ええ、三本もね」

 セファイラが二人にそういった。

「レフィーネ、あの三人はまともじゃない」

「確かにな。 ここからでも異様な圧力を感じる」

「でもいいの? レフィーネにみられちゃうけど」

 メリムにが小声でいう。  

「......もう仕方ない。 出し惜しみで勝てる相手じゃない」

 おれは覚悟を決めてメリムにいうと、メリムはうなづく。
 
「行くぞ......」

 巨漢の男は背にのせた台座をおろし、両刃の斧のような剣をもつと近づく。

「岩牙剣アストゲイル!!」

 地面をきると巨大な牙のような岩が地面よりつきでてむかってくる。

「あれも神剣か!」

 レフィーネがその岩を華麗にかわし近づいて切りつける。

「ならあんたはあたしね!」

 グリーティンという緑の髪の女は剣先が二股、剣身が蛇行するような剣をふるい迫ってきた。

 それをメリムが受け弾いた。

「ぐっ! 馬鹿力ね!」

「こいつは私が、トーマはあいつを!」

 おれはセファイラに迫る。

「この前みたいにはいきませんよ。 シュウザイン」

 剣を高速でふるう。 おれは四本の腕でもつ二本の剣でその剣を防ぐ。 何度も高速で切りつけ重い剣を振り下ろしてくる。

「ぐっ!」

(重い! こんなのを軽々振り回せるわけがない。 重さを変えられるのか! でも四本の腕でもつ剣とおれの筋力なら)

 剣を受けてる間にもう一本の剣で胴をなぐ。

 ビュッ!!

「当たりませんよ!」

 かわす方向を足でなぐる。 そのとき、セファイラは片腕で腰の探短剣を抜きおれの腕を切りつける。

「いっ......」

 セファイラが後ろにとんだ。

(痛いけど傷は浅い...... なんとか、手数の多さで戦えるな)

「くっ、やっかいな...... 今回は金属化はしないようですね。 それともだすタイミングをはかっているですか? ずいぶん余裕ですね」

(そうおもってもらってた方がいい)

「あの石化はどうやってとめる!」

「石化...... ああセメンドリアの王妃の。 あれは神剣の力ですから、解けはしませんよ」

 そういうとおれの方を指差した。

「これは!?」

 切られた腕が石のようになっている。

「ふふ、これは【石疫剣】リジェイド。 石化を与える神剣」

「お前がこれで王妃を!」

「ええ、それにあなたもね。 すこしづつ石になっていく恐怖を味わいなさい」

 そういうと口元を歪ませた。

 ザシュッ!

 青い血がとぶ。 おれは自分の傷口を切った。

「なっ! 自分の腕を!」

「これでもう石化しない......」

 おれは驚いているセファイラにすぐに近づき剣と腕で殴り付ける。

「ぐっ! ぐふっ!」

 ズシャッ!! 

 後ろにとんだセファイラが地面を滑った。

「よし! 二人は!」

 メリムとレフィーネの二人とも傷をおっていた。

「アンダーグ」

 レフィーネの戦っていたアザムを引き寄せなぐりつける。

「ぐはっ!」

 アザムは体をよろめかせ後ろにあとずさる。


「こいつはおれがやるからレフィーネはメリムに加勢を!」

「そ、その姿、い、いや、わかった!」

 レフィーネはメリムの方にはしる。

「貴様...... モンスター風情が! アストゲイル!!」

 地面から無数の岩が突き出てきた。 おれは貫かれる。

「やったか!」
 
 おれは収縮して岩の衝撃を弱めると、解放してアデムにぶつかった。

「やられるか!」

「ぐほぉっ!!」  

 アデムは吹き飛び、岩を砕くと、壁にあたりそのままずり落ち動かなくなる。

「やった...... メリムたちは!!」

 見るとメリムたちはなんとか傷をおいながらも、グリーティンを倒していた。
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