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第二十二話
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おれたちはソールに聞いた北のベネルガ山へ向かっていた。
「はぁ、はぁ、さっきハイレルさんと手紙を送ってたけど、あれなに?」
「頼みたいことがあって、それより大丈夫か? メリム」
「ふぅ、トーマはいいよね。 浮いてるから」
メリムが息を切らせながら羨ましそうにそういう。
「こ、これはこれでつかれるんだよ。 ほら耳で動いてるから」
耳をパタパタさせた。
「ふふっ、それにしてもかなり強いモンスターだな」
レフィーネがいうとおり、ここに来るまでにかなりの数のモンスターを倒していた。
「ああ、あれなんじゃない。 大瀑布のところみたいな」
「魔力帯? かもしれないわ」
メリムがそういって答える。
「......それで、このあとどうする?」
レフィーネが思い詰めた顔できいてきた。
「鉱山のモンスターのこと?」
「いやあの子達のことだ」
「そうだな...... レフィーネはあまり乗り気じゃないのか?」
「......そうじゃない。 私も捨て子だったんだ。 それを師匠に拾われた。 その前はあの子達と同じさ」
「ならどうして、そのままにしておこうとするの?」
メリムがそう聞くと、レフィーネは目をふせた。
「なまじ期待して裏切られると、心がねじれていくんだ。 私もそうだった......」
「師匠に裏切られたのか?」
「いや、その前だ。 路上にいたとき、優しい夫人に声をかけられた。 そしてついていった。 それは奴隷商人だったんだ」
「ひどい......」
「私は隙をついて逃げて森にはいった。 そこで追っ手から助けてくれたのが師匠ジルクレアだった」
(ジルクレア...... その人に助けてもらったんだな。 それで師匠の剣を取り戻したいのか)
「だが、私は誰も信じられなくなっていた。 それで師匠にも反発して何度も逃げ出した。 何度も何度も...... だが師匠はそれこそ根気強く優しく諭してくれた。 だからわかる。 中途半端に助けられ裏切られると、途方もない傷を負うんだ」
(なるほど、自分の経験からか......)
「だから、面倒をみきれないなら、関わらない方が互いのためなんじゃないかと思ったんだ。 それは私がねじれしまったからかもしれない......」
そうレフィーネは下を向く。
「そうだな...... ただおれも考えていることがある。 まずは鉱山のモンスターを倒してからそれを伝えるよ」
「そえだな。 いまは目の前のことを集中するか」
気を取り直して、先へと進む。
(ここにいる強いモンスターを倒せるぐらいなら......)
中腹辺りの木々を抜けたところに大きな洞窟があった。
「ソールの話ではここのようだな」
レフィーネが遠目から慎重に確認する。
おれたちは中へと進んだ。
「でも、国の主要な産業だった山を閉山するって、かなりのことよね。 ソールも強いモンスターがいて、国も兵隊を出したけど諦めたって話だったけど......」
メリムがそういって周囲を見回している。
「ああ、国が諦めるなんてよほどだ。 あそこに......」
そこには散乱した白骨や剣や槍、盾などが落ちている。
「一応兵はだしたみたいね」
メリムが白骨に祈りを捧げている。
「トーマ、ヒールとミネラルって人と鍛練したのよね?」
「ああ、かなり強くなったとおもう。 でも心のなかだから、実際に戦ってみないと...... おれが魔力の世界に入ってるとき、二人はかなり鍛練してたよな」
「ええ、レフィーネと一緒に鍛練したわ。 新しい魔力の使い方も覚えたの」
「私もだ。 師匠たちがいなくなってから独学で鍛練してたから、メリムを相手に修正もできた」
(この二人もいるし、ヘルシャークとも倒せたし、なんとか戦えるか)
「何かいる......」
ギチギチ、ギチチ
奥から何かがすれるような音が聞こえる。
見ると洞窟の奥うずくまるそれは、岩のような大きな緑のアリだった。
ザシュッ
こちらに近づいてくるアリをおれは切りつける。 アリは首を切り落としてもまだ動いている。
「固いけど、アイアンクラブほどじゃない」
「キラーアント...... かなり強いけど、でもこれで国が諦めるかしら」
「いや、あれをみろ!」
奥からアリの大群がうごめいている。
「この数!! くるぞ!」
アリの大群が仲間を押し退けながら迫る。
「フォラール!!」
突風がアリたちを吹き飛ばした。
「メリム光りを!」
「ええ!」
メリムの剣から光が放たれアリたちははじけた。
光が奥を照らすと壁かとおもっていたのは、洞窟の壁一杯の大きさの巨大なアリだった。
「はぁ、はぁ、さっきハイレルさんと手紙を送ってたけど、あれなに?」
「頼みたいことがあって、それより大丈夫か? メリム」
「ふぅ、トーマはいいよね。 浮いてるから」
メリムが息を切らせながら羨ましそうにそういう。
「こ、これはこれでつかれるんだよ。 ほら耳で動いてるから」
耳をパタパタさせた。
「ふふっ、それにしてもかなり強いモンスターだな」
レフィーネがいうとおり、ここに来るまでにかなりの数のモンスターを倒していた。
「ああ、あれなんじゃない。 大瀑布のところみたいな」
「魔力帯? かもしれないわ」
メリムがそういって答える。
「......それで、このあとどうする?」
レフィーネが思い詰めた顔できいてきた。
「鉱山のモンスターのこと?」
「いやあの子達のことだ」
「そうだな...... レフィーネはあまり乗り気じゃないのか?」
「......そうじゃない。 私も捨て子だったんだ。 それを師匠に拾われた。 その前はあの子達と同じさ」
「ならどうして、そのままにしておこうとするの?」
メリムがそう聞くと、レフィーネは目をふせた。
「なまじ期待して裏切られると、心がねじれていくんだ。 私もそうだった......」
「師匠に裏切られたのか?」
「いや、その前だ。 路上にいたとき、優しい夫人に声をかけられた。 そしてついていった。 それは奴隷商人だったんだ」
「ひどい......」
「私は隙をついて逃げて森にはいった。 そこで追っ手から助けてくれたのが師匠ジルクレアだった」
(ジルクレア...... その人に助けてもらったんだな。 それで師匠の剣を取り戻したいのか)
「だが、私は誰も信じられなくなっていた。 それで師匠にも反発して何度も逃げ出した。 何度も何度も...... だが師匠はそれこそ根気強く優しく諭してくれた。 だからわかる。 中途半端に助けられ裏切られると、途方もない傷を負うんだ」
(なるほど、自分の経験からか......)
「だから、面倒をみきれないなら、関わらない方が互いのためなんじゃないかと思ったんだ。 それは私がねじれしまったからかもしれない......」
そうレフィーネは下を向く。
「そうだな...... ただおれも考えていることがある。 まずは鉱山のモンスターを倒してからそれを伝えるよ」
「そえだな。 いまは目の前のことを集中するか」
気を取り直して、先へと進む。
(ここにいる強いモンスターを倒せるぐらいなら......)
中腹辺りの木々を抜けたところに大きな洞窟があった。
「ソールの話ではここのようだな」
レフィーネが遠目から慎重に確認する。
おれたちは中へと進んだ。
「でも、国の主要な産業だった山を閉山するって、かなりのことよね。 ソールも強いモンスターがいて、国も兵隊を出したけど諦めたって話だったけど......」
メリムがそういって周囲を見回している。
「ああ、国が諦めるなんてよほどだ。 あそこに......」
そこには散乱した白骨や剣や槍、盾などが落ちている。
「一応兵はだしたみたいね」
メリムが白骨に祈りを捧げている。
「トーマ、ヒールとミネラルって人と鍛練したのよね?」
「ああ、かなり強くなったとおもう。 でも心のなかだから、実際に戦ってみないと...... おれが魔力の世界に入ってるとき、二人はかなり鍛練してたよな」
「ええ、レフィーネと一緒に鍛練したわ。 新しい魔力の使い方も覚えたの」
「私もだ。 師匠たちがいなくなってから独学で鍛練してたから、メリムを相手に修正もできた」
(この二人もいるし、ヘルシャークとも倒せたし、なんとか戦えるか)
「何かいる......」
ギチギチ、ギチチ
奥から何かがすれるような音が聞こえる。
見ると洞窟の奥うずくまるそれは、岩のような大きな緑のアリだった。
ザシュッ
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「キラーアント...... かなり強いけど、でもこれで国が諦めるかしら」
「いや、あれをみろ!」
奥からアリの大群がうごめいている。
「この数!! くるぞ!」
アリの大群が仲間を押し退けながら迫る。
「フォラール!!」
突風がアリたちを吹き飛ばした。
「メリム光りを!」
「ええ!」
メリムの剣から光が放たれアリたちははじけた。
光が奥を照らすと壁かとおもっていたのは、洞窟の壁一杯の大きさの巨大なアリだった。
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