そのメンダコ、異世界にてたゆたう。

曇天

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第二十七話

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 その夜は斬り倒した木々を重ねて金属化させ、壁にしてねむる。

 次の日、朝早く起きる。 そのまま昨日切った木々の枝を伐採して形を整えた。

「あとはこの根っこね」

「ああ、シェイプの形魔力で形を変えれば掘り返せる。 おれは根を撤去するから、二人は揃えた木々を積み重ねて壁をつくっててくれ、後で金属にする」

「わかったわ」

「ああ」

 おれたちは分担して作業を進める。

 腕の形をクワのようにかえ、すべての根を掘り起こして地面を整地する。 レフィーネが木々を平面に切り裂いて、そこにメリムが木を乗せていった。

 昼までに根を掘り起こし、四面の鉄の壁ができた。

「かなりの広さを確保したな。 町の入り口と水源への道は木を切って門の穴をつくったし、これなら百軒程度は家がたてられる」

 満足したかのようにレフィーネがいう。

「でも地面はまだまだね。 でこぼこだもの。 建物を建てるには整地が必要ね」

「石や岩なんかは体をふるいにしてとった。 あとは【形魔力】【変躯】《シェイプボディー》、【球】《ボール》」

 おれは球体になり、でこぼこの地面を転がる。

「地面がなだらかになっていく!」

 メリムたちが驚いている声がする。

「め、目が回る......」


「おお! 地面きれいになった! これなら建物も建てられるな!」

 レフィーネがそう喜んでいる。

「ああ、後で地面に石畳でも敷設しよう。 まずは場所の確保完成、ここから森の入り口まで道をつくれれば、人を呼べる」

「ええ、でもやはり往復がモンスターに襲われる可能性があるわ」

 メリムが腕を組んでいる。

「ふむ、馬車ならモンスターにそうそう追い付かれはしないだろうけど、壁てもつくる?」

「さすがにここまで距離となると、かなりの労力が必要だな。 それに道を安易につくると攻められやすくもなる」

 レフィーネが壁をさわる。

「それもあるか...... モンスターが防壁の役割をしてくれるな。 とはいえ木ぐらいは伐採しないと交易ができないし」

「そうね。 とりあえず一度帰りましょう」

 おれたちは帰りながら、木々を伐採していく。


「すごいですね! この大森林に町をつくってしまうなんて!」

 ハイレルさんたちが壁を見上げながら感嘆する。

 ハイレルさんと商会のひとたちにきてもらっていた。

「これなら、職人や大工を呼んでも良さそうです!」

「お願いしたいんですが、お金の方がまで用意できてなくて......」

「それはこちらからお貸しします」

「さすがにそれは...... あのときのことならきにしなくても」

「確かに助けていただいた恩はおりますけど、そこは商売人、ここは資源も豊富で先々大きな利益があると確信してています。 ですので先行投資ということですよ」

 そうハイレルさんは笑顔でいう。

「ありがとうごさいます! では大工さんや職人さん、その人たちの食料と賃金をお願いします」

「わかりました! さっそく用意しましょう!」

 それから、大工や職人がきて、本格的に町づくりがはじめまる。

「ふぅ、モンスターはあまりいなかったわ」

「荷馬車の護衛ありがとうメリム」

「さて町をつくるのはいいが、ここでどうする? やはり木材の売却か」

 レフィーネはそう聞いてきた。

「そうだね。 それもひとつだ。 だけど本命は」

 大工さんに建ててもらった大きな倉庫に向かう。

「ここはなにもない倉庫だね?」

「ああ、ここから壁の外へ出られる」

「壁の外?」

 鉄の壁に大きな厚い扉があり、それを開けると壁の外に出た。

「ここで何かを探すのか?」

「いや、みてて」

 地面にあった大きめの岩に触れる。

「【鉱魔力】、【鉄化】《アイアン》!」

 目の前の岩が鉄へと変化していく。

「そうか鉱物にかえられるのね!」

「それを売るのか」 

「そう。 今は鋼鉄と鉄しか変えられないし、魔力もかなりつかうけど、これなら交易品としては有効だろ」

「そうね。 木材と鉄、鋼鉄を売ってこの町を潤しましょう」

 おれたちは町を【メンダコ】と名付けて交易を始めた。

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