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第四十八話
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「ここですか」
おれたちはハーバランドの話を聞いて、共に元十剣将の住むという山の中、ひとつの小屋を見つけた。
「ああ、エルティッタの住む小屋だ。 十剣将を離れたあと隠遁生活をしてると、やっと見つけた」
「【澪冴】のエルティッタさま、私憧れてたの!」
メリムが頬を紅潮させて興奮気味にいった。
「私だ。 ハーバランドだ。 いるか」
そう小屋の扉をノックした。
「うあ......」
中からなにか声がする。
「入るぞ」
ハーバランドが中に入ると、すごい匂いがしてきた。
「く、くさい! 酒か」
「トーマ...... 鼻ない」
「そうだった! なんで匂いがわかったんだろう?」
「そんなことをいっている場合か!」
レフィーネに注意される。
その部屋には空き瓶がそこら中に転がっており、その中に女性が寝転んでいた。
「おい、エルティッタ」
「う、あ、頭いったーい。 ああ...... お酒もうない」
そう頭を抱えながら女性は、下着のような薄い露出の高い服をきている。
「ちょっと! トーマみないで!」
メリムに手で目隠しをされた。
「ああハーバランド...... なに、なんのよう?」
「何のようはないだろう。 バルステアを止めねばならん。 手伝ってくれ」
「バルステア...... ほうっておきなさいよ」
「このままだと、戦争になるかもしれん。 お前の力が必要だ。 力を貸してくれ」
「力ってバルステアと戦うっての...... やめなさいよ。 そんなひよっこたちを巻き込んで死ににいくつもり」
そういうとエルティッタは面倒そうに横になった。
「この子たちを巻き込むつもりはない。 ただお前に会いたいというから連れてきただけだ。 それにバルステアと正面から戦うつもりもない。 私とお前、そしてバルジャンの三人ならバルステアの悪事を調べられる」
「やーよ。 それがいったいどれだけ難しいとおもってんの。 あいつは証拠なんて残さないわ。 止められやしないんだから諦めなさいよ。 それにあたしの剣はないもの」
「そういえば、お前レサルカイズはどうした!?」
「へへ、酒代に変わっちゃった!」
そういって背を向けた。
「これはだめそうですわね」
ミリアナはあきれている。
「くっ、仕方ない...... バルジャンに会うしかない。 私はバルジャンを探す。 君たちはもう危険だからこの国からさりなさい」
そう言ってハーバランドは小屋をでていった。
「エルティッタさま!」
メリムが呼び掛けると、エルティッタはこちらを振り向いて一瞬とまる。
「あなたは...... なに、あなたたち」
「このままでは戦争になってしまいます! お力をお貸しください! 私たちも手伝いますので」
「......手伝う? あんたたちが、やめなさい。 子供のでるまくじゃない」
「だが、酔っぱらいよりは使えるはずだ」
そうレフィーネがいうと、ため息をついてエルティッタはゆっくりたちあがる。
「......なら、外にでなさい。 現実を教えてあげるわ」
「剣をとりなさい...... うぇ、私に勝てたならあんたたちのいうことを聞いてあげる」
そうフラフラ揺れながらエルティッタは近くのほうきをとった。
「......私がやるわ」
そういってメリムが鞘つきの剣を構えた。
「これは勝てそうだな」
「......あの人、強いよ......」
レフィーネにアゼリアがいう。
「行きます!!」
メリムが走り剣をふるう。
一瞬悪寒がはしる。
(なんだ今の圧力!? エルティッタさんか!)
その剣先をエルティッタさんはほうきの柄でとめ、メリムの剣を宙にはねあげる。
「なっ!? メリムの剣をほうきの柄で!!」
「剣の一点をほうきの一点でうけたのか!」
おれたちは驚いた。
「......実戦も経験してるようだけど、感情が高まりすぎてて剣の軌道が読みやすすぎるわね...... 正直な剣、あの人みたい...... うぇっぷ。 出直してきなさい」
そうフラフラしながらエルティッタは小屋に戻っていった。
「かなりの使い手だったよ。 まけても仕方ない。 一瞬底知れない恐ろしさを感じた。 それにあの人は戦うつもりもないみたいだし......」
おれは肩をおとしているメリムにいった。
「......あの人、エルティッタさまは母さんと同じ師匠の弟子だった。 母さんからすごい人だって聞いてたから......」
「それでこだわっていたのか」
「ふむ、しかしあの人を動かすのは無理のようだ。 どうする?」
レフィーネがそう聞いた。
(メリムの落ち込みかたが気になる)
「とりあえず、エルティッタさんの剣を取り戻してみるか」
「そうね。 戻せばなにか変わってくれるかもしれない!」
メリムがたちあがった。
「トーマ...... なんかいる」
アゼリアが袖を引っ張った。
「なにか? 周囲には木々しかないけどミリアナみてもらえる」
「わかりましたわ。 ......これは」
「どうした?」
「周囲に人が隠れていますわ...... みな剣を持っております。 神剣ですわ数は八人」
小声でミリアナがいった。
(監視されている。 エルティッタさんかおれたちか...... あの強さでも神剣使い八人は......)
「おれとミリアナが行ってくるから、三人はここにいてくれ......」
「わかったわ」
メリムに伝えて、おれたちは山を降りた。
おれたちはハーバランドの話を聞いて、共に元十剣将の住むという山の中、ひとつの小屋を見つけた。
「ああ、エルティッタの住む小屋だ。 十剣将を離れたあと隠遁生活をしてると、やっと見つけた」
「【澪冴】のエルティッタさま、私憧れてたの!」
メリムが頬を紅潮させて興奮気味にいった。
「私だ。 ハーバランドだ。 いるか」
そう小屋の扉をノックした。
「うあ......」
中からなにか声がする。
「入るぞ」
ハーバランドが中に入ると、すごい匂いがしてきた。
「く、くさい! 酒か」
「トーマ...... 鼻ない」
「そうだった! なんで匂いがわかったんだろう?」
「そんなことをいっている場合か!」
レフィーネに注意される。
その部屋には空き瓶がそこら中に転がっており、その中に女性が寝転んでいた。
「おい、エルティッタ」
「う、あ、頭いったーい。 ああ...... お酒もうない」
そう頭を抱えながら女性は、下着のような薄い露出の高い服をきている。
「ちょっと! トーマみないで!」
メリムに手で目隠しをされた。
「ああハーバランド...... なに、なんのよう?」
「何のようはないだろう。 バルステアを止めねばならん。 手伝ってくれ」
「バルステア...... ほうっておきなさいよ」
「このままだと、戦争になるかもしれん。 お前の力が必要だ。 力を貸してくれ」
「力ってバルステアと戦うっての...... やめなさいよ。 そんなひよっこたちを巻き込んで死ににいくつもり」
そういうとエルティッタは面倒そうに横になった。
「この子たちを巻き込むつもりはない。 ただお前に会いたいというから連れてきただけだ。 それにバルステアと正面から戦うつもりもない。 私とお前、そしてバルジャンの三人ならバルステアの悪事を調べられる」
「やーよ。 それがいったいどれだけ難しいとおもってんの。 あいつは証拠なんて残さないわ。 止められやしないんだから諦めなさいよ。 それにあたしの剣はないもの」
「そういえば、お前レサルカイズはどうした!?」
「へへ、酒代に変わっちゃった!」
そういって背を向けた。
「これはだめそうですわね」
ミリアナはあきれている。
「くっ、仕方ない...... バルジャンに会うしかない。 私はバルジャンを探す。 君たちはもう危険だからこの国からさりなさい」
そう言ってハーバランドは小屋をでていった。
「エルティッタさま!」
メリムが呼び掛けると、エルティッタはこちらを振り向いて一瞬とまる。
「あなたは...... なに、あなたたち」
「このままでは戦争になってしまいます! お力をお貸しください! 私たちも手伝いますので」
「......手伝う? あんたたちが、やめなさい。 子供のでるまくじゃない」
「だが、酔っぱらいよりは使えるはずだ」
そうレフィーネがいうと、ため息をついてエルティッタはゆっくりたちあがる。
「......なら、外にでなさい。 現実を教えてあげるわ」
「剣をとりなさい...... うぇ、私に勝てたならあんたたちのいうことを聞いてあげる」
そうフラフラ揺れながらエルティッタは近くのほうきをとった。
「......私がやるわ」
そういってメリムが鞘つきの剣を構えた。
「これは勝てそうだな」
「......あの人、強いよ......」
レフィーネにアゼリアがいう。
「行きます!!」
メリムが走り剣をふるう。
一瞬悪寒がはしる。
(なんだ今の圧力!? エルティッタさんか!)
その剣先をエルティッタさんはほうきの柄でとめ、メリムの剣を宙にはねあげる。
「なっ!? メリムの剣をほうきの柄で!!」
「剣の一点をほうきの一点でうけたのか!」
おれたちは驚いた。
「......実戦も経験してるようだけど、感情が高まりすぎてて剣の軌道が読みやすすぎるわね...... 正直な剣、あの人みたい...... うぇっぷ。 出直してきなさい」
そうフラフラしながらエルティッタは小屋に戻っていった。
「かなりの使い手だったよ。 まけても仕方ない。 一瞬底知れない恐ろしさを感じた。 それにあの人は戦うつもりもないみたいだし......」
おれは肩をおとしているメリムにいった。
「......あの人、エルティッタさまは母さんと同じ師匠の弟子だった。 母さんからすごい人だって聞いてたから......」
「それでこだわっていたのか」
「ふむ、しかしあの人を動かすのは無理のようだ。 どうする?」
レフィーネがそう聞いた。
(メリムの落ち込みかたが気になる)
「とりあえず、エルティッタさんの剣を取り戻してみるか」
「そうね。 戻せばなにか変わってくれるかもしれない!」
メリムがたちあがった。
「トーマ...... なんかいる」
アゼリアが袖を引っ張った。
「なにか? 周囲には木々しかないけどミリアナみてもらえる」
「わかりましたわ。 ......これは」
「どうした?」
「周囲に人が隠れていますわ...... みな剣を持っております。 神剣ですわ数は八人」
小声でミリアナがいった。
(監視されている。 エルティッタさんかおれたちか...... あの強さでも神剣使い八人は......)
「おれとミリアナが行ってくるから、三人はここにいてくれ......」
「わかったわ」
メリムに伝えて、おれたちは山を降りた。
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