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第六十話
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「なんだ! 何事だ」
扉の方で騒がしい音がすると、アルバハルは大声でそういった。
「は、はい...... 王に会わせるようにと、バルクティスさまともうひとかたが......」
兵士がそう伝える。
「なに? バルクティスが」
王の前にバルクティスが現れる。 王のそばにはセファイラとベルデ将軍が控えている。
「お久しぶりにございますアルバハル王」
「バルクティス...... 貴様は追放した身、ここになにようだ」
「王よ。 この者は剣武祭でみました」
「貴様よくいえたものだな」
そうバルクティスはセファイラにいうと、にっこりと笑って返した。
「かなり強く、兵にも城下のものにも慕われております。 もう一度仕えさせてみればいかがか」
セファイラがそういう。
「ふむ、確かにな。 よし、貴様が我がもとに帰りたいというならば考えなくもない。 しかし無駄な説教はしないといえば考えてやろう」
「失礼ながら、もはや私はあなたに仕える気はありません」
「なんだと! そなたの家系は王家に連なる! それを貴様は裏切るというのか!」
ベルデ将軍は青筋をたてて叫んだ。
(バルクティスは王家の血筋だったのか)
「ええベルデ将軍、確かに我が家も王家の血を引いております。 我らが仕えたのは歴代の王が民の安寧を求める賢君であったため、暗君に仕える気はもうとうありません」
「あ、暗君だと!? 貴様!」
アルバハル王は怒りのあまり顔を真っ赤にした。
「ではなにようでこちらに参ったのです」
セファイラはバルクティスにそう聞いた。
「それは私を案内してくれたのですわ」
そうバルクティスの後ろからミリアナが現れた。
「ふげっ!! メギアナ!!」
驚きのあまり、王は椅子から転げそうになった。
「あなたは確か...... ミリアナ王女」
「よくご存じね。 セファイラどの」
「なぜ、私の名を......」
そうセファイラは怪訝そうに眉を動かした。
「な、なんだメギアナの娘か...... な、なんのようだ!」
「アルバハル王、メンダコへと攻めるのをやめてください」
「なに!? なぜリズベンダが関わってくる」
「我が方はメンダコと取引をしています」
「なんだと...... リズベンダが」
王は悩んでいるようだ。
「かまいますまいアルバハル王、正式に同盟を結んでいるわけではないでしょう。 気にすることはありません」
そうセファイラがいうと、王はにやついた。
「そうだな。 貴国とは関係のない話だ。 外交官でもないあなたがこんなところに入り込むとは無礼にも程がある。 ああそうか、所詮武にしか興味のない野蛮な国だったな。 そのことに免じて今回は目をつぶってやる!」
そう王はミリアナを嘲笑した。
「本当によろしいのですか?」
「何がだ。 バルクティス」
「そのセファイラはウォートレアの剣武祭で暴れまわり、八極剣の命導剣ヴァルヴァリウスを盗んだもの。 しかも復神教団という怪しい集団に属しているものですぞ」
「な、なんだと」
アルバハル王はセファイラをみた。 周囲の者たちがざわつくが、セファイラは口許に笑みをこぼしている。
「ウォートレアの話は聞いている...... ウォートレアに敵対されるとまずいな」
王は困惑している。
「まあ、では私はおいとましましょう。 それならばもはや戦争を止めるすべはありませんよね」
そういうとセファイラは部屋をでていった。
「ふ、ふふっ、これならばもはや何者に邪魔されることなく攻められよう! もうとめれれぬ! 今すぐ出陣だ! 攻めよ! 町を焼き払え!」
そうアルバハルが立ち上がる。
「させるか!」
「あっ......」
ベルスレイブが立ち上がった王を光の剣でさした。 王は椅子に崩れ落ちた。
「貴様! なのものだ!」
ベルデが剣を抜きベルスレイブに斬りかかる。 おれは姿を現してその剣を弾いた。
「き、貴様は! あの時の!」
おれたちを神剣士たちが囲んだ。
「【実体化】《リアライズ》!」
「ぐわっ!」
「なんだ!! 体が動かない!」
糸が実体化して剣士たちの動きを止めた。
「やめよ!」
バルクティスが声をあげる。
「しかし、王が!」
「アルバハム王は死んではいません! そのかたはベルスレイブさまです! 裁きをくだされました!」
ミリアナがそう叫ぶ。
「ベルスレイブ...... えっ? あの」
「裁戒の...... ありえん。 昔話の人物だぞ」
「しかしミリアナさまが嘘をつく理由がない」
「ならば......」
そう兵士や神剣士、貴族たちは困惑している。
「そうです。 このかたは三百年の時を経て眠りからさめられたのです。 ブレンダイムのハーバーランドさまに問えば答えてくれるでしょう」
「元剣将か......」
「いや、ごく最近政務に復活された。 バルステアが失脚したからな」
「ならば本物か...... だがなぜ王を」
そう貴族たちは話し合っている。
「知れたことよ! この者の罪をとうたのだ。 本当に罪なき者ならばこの剣で斬っても問題はない」
そういって光の剣でおれを斬った。
「ちょっ!」
「みよ!」
そう周囲に剣をかかげる。
「なれば、王に罪があったということか......」
「確かに...... 王の行動はあまりにも目にあまったな」
「ふむ、突然の戦争など、この国の状態を逸らすための見え透いた行動に過ぎぬ」
皆がそう口々にいうのを聞いて、バルクティスがいう。
「これは我らの罪でもあろう。 我が身かわいさで王に諫言《かんげん》できず、ただひたすら保身をはかり、民の苦しみを目て見ぬふりをした。 私もそうだ...... この国の現状を変えられないとあきらめ、逃げだした。 われらすべての罪だ!」
そうバルクティスが悲痛な声で語ると、周囲の者たちはおしだまり、耳なりのような音だけが部屋に響いた。
扉の方で騒がしい音がすると、アルバハルは大声でそういった。
「は、はい...... 王に会わせるようにと、バルクティスさまともうひとかたが......」
兵士がそう伝える。
「なに? バルクティスが」
王の前にバルクティスが現れる。 王のそばにはセファイラとベルデ将軍が控えている。
「お久しぶりにございますアルバハル王」
「バルクティス...... 貴様は追放した身、ここになにようだ」
「王よ。 この者は剣武祭でみました」
「貴様よくいえたものだな」
そうバルクティスはセファイラにいうと、にっこりと笑って返した。
「かなり強く、兵にも城下のものにも慕われております。 もう一度仕えさせてみればいかがか」
セファイラがそういう。
「ふむ、確かにな。 よし、貴様が我がもとに帰りたいというならば考えなくもない。 しかし無駄な説教はしないといえば考えてやろう」
「失礼ながら、もはや私はあなたに仕える気はありません」
「なんだと! そなたの家系は王家に連なる! それを貴様は裏切るというのか!」
ベルデ将軍は青筋をたてて叫んだ。
(バルクティスは王家の血筋だったのか)
「ええベルデ将軍、確かに我が家も王家の血を引いております。 我らが仕えたのは歴代の王が民の安寧を求める賢君であったため、暗君に仕える気はもうとうありません」
「あ、暗君だと!? 貴様!」
アルバハル王は怒りのあまり顔を真っ赤にした。
「ではなにようでこちらに参ったのです」
セファイラはバルクティスにそう聞いた。
「それは私を案内してくれたのですわ」
そうバルクティスの後ろからミリアナが現れた。
「ふげっ!! メギアナ!!」
驚きのあまり、王は椅子から転げそうになった。
「あなたは確か...... ミリアナ王女」
「よくご存じね。 セファイラどの」
「なぜ、私の名を......」
そうセファイラは怪訝そうに眉を動かした。
「な、なんだメギアナの娘か...... な、なんのようだ!」
「アルバハル王、メンダコへと攻めるのをやめてください」
「なに!? なぜリズベンダが関わってくる」
「我が方はメンダコと取引をしています」
「なんだと...... リズベンダが」
王は悩んでいるようだ。
「かまいますまいアルバハル王、正式に同盟を結んでいるわけではないでしょう。 気にすることはありません」
そうセファイラがいうと、王はにやついた。
「そうだな。 貴国とは関係のない話だ。 外交官でもないあなたがこんなところに入り込むとは無礼にも程がある。 ああそうか、所詮武にしか興味のない野蛮な国だったな。 そのことに免じて今回は目をつぶってやる!」
そう王はミリアナを嘲笑した。
「本当によろしいのですか?」
「何がだ。 バルクティス」
「そのセファイラはウォートレアの剣武祭で暴れまわり、八極剣の命導剣ヴァルヴァリウスを盗んだもの。 しかも復神教団という怪しい集団に属しているものですぞ」
「な、なんだと」
アルバハル王はセファイラをみた。 周囲の者たちがざわつくが、セファイラは口許に笑みをこぼしている。
「ウォートレアの話は聞いている...... ウォートレアに敵対されるとまずいな」
王は困惑している。
「まあ、では私はおいとましましょう。 それならばもはや戦争を止めるすべはありませんよね」
そういうとセファイラは部屋をでていった。
「ふ、ふふっ、これならばもはや何者に邪魔されることなく攻められよう! もうとめれれぬ! 今すぐ出陣だ! 攻めよ! 町を焼き払え!」
そうアルバハルが立ち上がる。
「させるか!」
「あっ......」
ベルスレイブが立ち上がった王を光の剣でさした。 王は椅子に崩れ落ちた。
「貴様! なのものだ!」
ベルデが剣を抜きベルスレイブに斬りかかる。 おれは姿を現してその剣を弾いた。
「き、貴様は! あの時の!」
おれたちを神剣士たちが囲んだ。
「【実体化】《リアライズ》!」
「ぐわっ!」
「なんだ!! 体が動かない!」
糸が実体化して剣士たちの動きを止めた。
「やめよ!」
バルクティスが声をあげる。
「しかし、王が!」
「アルバハム王は死んではいません! そのかたはベルスレイブさまです! 裁きをくだされました!」
ミリアナがそう叫ぶ。
「ベルスレイブ...... えっ? あの」
「裁戒の...... ありえん。 昔話の人物だぞ」
「しかしミリアナさまが嘘をつく理由がない」
「ならば......」
そう兵士や神剣士、貴族たちは困惑している。
「そうです。 このかたは三百年の時を経て眠りからさめられたのです。 ブレンダイムのハーバーランドさまに問えば答えてくれるでしょう」
「元剣将か......」
「いや、ごく最近政務に復活された。 バルステアが失脚したからな」
「ならば本物か...... だがなぜ王を」
そう貴族たちは話し合っている。
「知れたことよ! この者の罪をとうたのだ。 本当に罪なき者ならばこの剣で斬っても問題はない」
そういって光の剣でおれを斬った。
「ちょっ!」
「みよ!」
そう周囲に剣をかかげる。
「なれば、王に罪があったということか......」
「確かに...... 王の行動はあまりにも目にあまったな」
「ふむ、突然の戦争など、この国の状態を逸らすための見え透いた行動に過ぎぬ」
皆がそう口々にいうのを聞いて、バルクティスがいう。
「これは我らの罪でもあろう。 我が身かわいさで王に諫言《かんげん》できず、ただひたすら保身をはかり、民の苦しみを目て見ぬふりをした。 私もそうだ...... この国の現状を変えられないとあきらめ、逃げだした。 われらすべての罪だ!」
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