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第十一話 神聖教会
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「それは何の真似ですかエクセントさん」
ゼーネスは不快そうにいう。
「この方たちに手をだすことは認めません」
「その者たちは異教徒、
しかもホムンクルスと魔法使いなのですよ」
「そのようなことは関係ありません。
二人は悪人ではありません。
傷つけることは許しません」
「これは救い、救済なのです。
汚れた魂を浄化し、神へと送る素晴らしいこと、
邪魔をされるならばあなたも、
主の御元へと還ることになりますが」
ゼーネスが光輝き、
その光からなにか金色のリング状のモノが複数でてくると、
それが重なり球状となった。
「ヒミコさん、あれなんすか!?」
「天使さ」
「天使!? そんなもんいるんすか!!」
「まあ、天使も悪魔も、
魔力で呼び出した霊的存在のことだけどね。
霊的存在は物理世界で存在できないから、
与えられた魔力を依代《よりしろ》に形をなすんだ」
ゼーネスが腕をふるとリングが分かれて、
回転しながらエクスさんを襲う。
エクスさんは十字架をふるいリングを弾き返す。
「オレが!」
「まちたまえタイガくん。
ここは彼女に任せよう」
ヒミコさんに止められる。
回転するリングは弾かれても、
またエクスさんに向かっていく。
「無駄! 無駄!!
マモンの攻撃より逃れる術はありませんよ!」
「メタトロン!」
そうエクスさんが十字架を投げ叫ぶと、
十字架は空中で制止しリングを弾きながら、
高速で移動し、ゼーネスのみぞおちを突いた。
「ごふぅ!!」
ゼーネスは床を転がると、
黒い神殿は消え去りオレの部屋に戻る。
(あの十字架、自在に動くのか......)
「ケガなどないですか?」
そうにこやかにエクスさんは、
こちらに振り向ききいてくる。
その瞬間オレはエクスさんを両腕で抱き抱えていた。
「えっ? えっ! えっ!」
エクスさんは驚いている。
「なっ、なんだと......」
ゼーネスが驚いて、意識を失った。
さっきエクスさんがこちらを向いた瞬間、
ゼーネスがナイフを投げた。
オレは遅延《ディレイ》を使って移動し、
エクスさんを抱いてかわしたのだ。
状況を察して、エクスさんはこちらを見る。
「......ありがとうございました」
「いえいえ」
「............」
エクスさんはうつむいている。
そしてゆっくり礼をいいながら降りた。
「え、えっと、それにしてもなんなんですか、
今の強力な魔法は?
やはりタイガさんは《永遠の魔女》の関係者なのですか?
それにゼーネスが魔女は亡くなったと、
それに聖遺物とは......」
「ええと......」
(とりあえず、ごまかすか)
「《永遠の魔女》かはわからないけど、
オレの知っている魔法使いは死んだよ。
オレはその人から魔法を教わって、
死んだ彼女はバラバラにされた。
その身体を供養のために探しているだけ、
聖遺物なんてもんは知らないよ」
「......なるほどそうですか、供養のために......
確かに聖遺骸なんて聞いたことおりませんものね。
でも、また真なる使徒《オルトアポストル》が、
襲ってくるかもしれません。
今から家の教会にきてくれませんか、
ゼーネスは引き取りにきてもらいますので」
そういってどこかに連絡し始める。
「どうします?
断りますかヒミコさん」
「真なる使徒《オルトアポストル》の情報がほしいからね。
行ってみようじゃないか」
「では私は用意をしますね」
ラクリマはそういって用意し始める。
こうしてオレたちはエクスさんの教会に行ため、
郊外へと電車で移動する。
「エクスさんすごい力をもってるね。
なにメガロドンって」
「いえ、タイガさんに比べたら全然です。
あとメタトロン、天使の名前です。
まあ私が勝手につけた名前ですが」
そういって首から下げた小さな十字架のネックレスを触った。
「この母から受け継いだこのネックレスを、
依代《よりしろ》に呼び出せるんです。
メタトロンは大きさや重さを自在にかえられる力を持つんです」
「それであんな動きをしたの」
「ええ、
あっ、ここで降ります」
電車から降りて歩くとそこには小さな木造の古い教会があった。
「ここです。 どうぞ」
エクスさんにうながされ入ると、
中はシンプルで質素な教会だった。
真正面に大きな木製の十字架があり、
その前に長身の眼鏡の男性が立っている。
「ようこそいらっしゃいました。
ここの牧師をしている、
東金 象山《とうかね しょうざん》です」
そういって眼鏡の男性はにこやかに話した。
「東金......」
「エクステントの父です」
「お父さま、私着替えてきます」
そういうと、エクスさんはドアを開けでていった。
「ふむ、着替え......
なぜ服が違うのだろうか」
「ああ、そうなんです。
家でお風呂......」
オレがそういった瞬間、
炎に包まれた日本刀が振り下ろされた。
「うわぁ!」
オレは何とかかわした。
「どういうことですか......
返答次第では神の元へとお導きいたしますが、
いかがか」
眼鏡で目は見えないが、恐ろしいほどの殺気を感じる。
「ち、ちがうんす!
方々を歩き回って汗かいたらしくて、
お風呂をすすめただけっす!」
「それは証明できることですかね......」
「はい、私とはいりました」
ラクリマが横からそういってくれた。
「はっはっはっ、そうですか、
いやー、つい娘のことになると熱くなってしまってね!
失敬、失敬!」
パアッと東金牧師は笑顔になり、
日本刀を小さくして胸ポケットにしまった。
(恐ろしいお父さんだな!)
「そうではないな、試したのだろう」
「ヒミコさん!?」
突然ヒミコさんにが話し出しオレは驚いた。
だが、東金牧師は驚きもせず椅子にゆっくり座る。
「やはり、死んではいませんでしたか。
《永遠の魔女》よ」
「無論だよ」
「知ってたんすか! 東金さん!?」
「ああ、前に戦ったことがあってね」
そういうと、東金さんは過去を語り始めた。
ゼーネスは不快そうにいう。
「この方たちに手をだすことは認めません」
「その者たちは異教徒、
しかもホムンクルスと魔法使いなのですよ」
「そのようなことは関係ありません。
二人は悪人ではありません。
傷つけることは許しません」
「これは救い、救済なのです。
汚れた魂を浄化し、神へと送る素晴らしいこと、
邪魔をされるならばあなたも、
主の御元へと還ることになりますが」
ゼーネスが光輝き、
その光からなにか金色のリング状のモノが複数でてくると、
それが重なり球状となった。
「ヒミコさん、あれなんすか!?」
「天使さ」
「天使!? そんなもんいるんすか!!」
「まあ、天使も悪魔も、
魔力で呼び出した霊的存在のことだけどね。
霊的存在は物理世界で存在できないから、
与えられた魔力を依代《よりしろ》に形をなすんだ」
ゼーネスが腕をふるとリングが分かれて、
回転しながらエクスさんを襲う。
エクスさんは十字架をふるいリングを弾き返す。
「オレが!」
「まちたまえタイガくん。
ここは彼女に任せよう」
ヒミコさんに止められる。
回転するリングは弾かれても、
またエクスさんに向かっていく。
「無駄! 無駄!!
マモンの攻撃より逃れる術はありませんよ!」
「メタトロン!」
そうエクスさんが十字架を投げ叫ぶと、
十字架は空中で制止しリングを弾きながら、
高速で移動し、ゼーネスのみぞおちを突いた。
「ごふぅ!!」
ゼーネスは床を転がると、
黒い神殿は消え去りオレの部屋に戻る。
(あの十字架、自在に動くのか......)
「ケガなどないですか?」
そうにこやかにエクスさんは、
こちらに振り向ききいてくる。
その瞬間オレはエクスさんを両腕で抱き抱えていた。
「えっ? えっ! えっ!」
エクスさんは驚いている。
「なっ、なんだと......」
ゼーネスが驚いて、意識を失った。
さっきエクスさんがこちらを向いた瞬間、
ゼーネスがナイフを投げた。
オレは遅延《ディレイ》を使って移動し、
エクスさんを抱いてかわしたのだ。
状況を察して、エクスさんはこちらを見る。
「......ありがとうございました」
「いえいえ」
「............」
エクスさんはうつむいている。
そしてゆっくり礼をいいながら降りた。
「え、えっと、それにしてもなんなんですか、
今の強力な魔法は?
やはりタイガさんは《永遠の魔女》の関係者なのですか?
それにゼーネスが魔女は亡くなったと、
それに聖遺物とは......」
「ええと......」
(とりあえず、ごまかすか)
「《永遠の魔女》かはわからないけど、
オレの知っている魔法使いは死んだよ。
オレはその人から魔法を教わって、
死んだ彼女はバラバラにされた。
その身体を供養のために探しているだけ、
聖遺物なんてもんは知らないよ」
「......なるほどそうですか、供養のために......
確かに聖遺骸なんて聞いたことおりませんものね。
でも、また真なる使徒《オルトアポストル》が、
襲ってくるかもしれません。
今から家の教会にきてくれませんか、
ゼーネスは引き取りにきてもらいますので」
そういってどこかに連絡し始める。
「どうします?
断りますかヒミコさん」
「真なる使徒《オルトアポストル》の情報がほしいからね。
行ってみようじゃないか」
「では私は用意をしますね」
ラクリマはそういって用意し始める。
こうしてオレたちはエクスさんの教会に行ため、
郊外へと電車で移動する。
「エクスさんすごい力をもってるね。
なにメガロドンって」
「いえ、タイガさんに比べたら全然です。
あとメタトロン、天使の名前です。
まあ私が勝手につけた名前ですが」
そういって首から下げた小さな十字架のネックレスを触った。
「この母から受け継いだこのネックレスを、
依代《よりしろ》に呼び出せるんです。
メタトロンは大きさや重さを自在にかえられる力を持つんです」
「それであんな動きをしたの」
「ええ、
あっ、ここで降ります」
電車から降りて歩くとそこには小さな木造の古い教会があった。
「ここです。 どうぞ」
エクスさんにうながされ入ると、
中はシンプルで質素な教会だった。
真正面に大きな木製の十字架があり、
その前に長身の眼鏡の男性が立っている。
「ようこそいらっしゃいました。
ここの牧師をしている、
東金 象山《とうかね しょうざん》です」
そういって眼鏡の男性はにこやかに話した。
「東金......」
「エクステントの父です」
「お父さま、私着替えてきます」
そういうと、エクスさんはドアを開けでていった。
「ふむ、着替え......
なぜ服が違うのだろうか」
「ああ、そうなんです。
家でお風呂......」
オレがそういった瞬間、
炎に包まれた日本刀が振り下ろされた。
「うわぁ!」
オレは何とかかわした。
「どういうことですか......
返答次第では神の元へとお導きいたしますが、
いかがか」
眼鏡で目は見えないが、恐ろしいほどの殺気を感じる。
「ち、ちがうんす!
方々を歩き回って汗かいたらしくて、
お風呂をすすめただけっす!」
「それは証明できることですかね......」
「はい、私とはいりました」
ラクリマが横からそういってくれた。
「はっはっはっ、そうですか、
いやー、つい娘のことになると熱くなってしまってね!
失敬、失敬!」
パアッと東金牧師は笑顔になり、
日本刀を小さくして胸ポケットにしまった。
(恐ろしいお父さんだな!)
「そうではないな、試したのだろう」
「ヒミコさん!?」
突然ヒミコさんにが話し出しオレは驚いた。
だが、東金牧師は驚きもせず椅子にゆっくり座る。
「やはり、死んではいませんでしたか。
《永遠の魔女》よ」
「無論だよ」
「知ってたんすか! 東金さん!?」
「ああ、前に戦ったことがあってね」
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