ブラックバイトウィザード

曇天

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第十九話 魔法使い喰い《マジシャンズイーター》

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 マイルズ消失後、
 オレは黒い床から小さな青い球を見つける。
 
「ああ、それが僕の身体、肺だ。
 空間創作《エリア》の魔法を使えるが、
 大量に魔力を消費するから置いておこう。
 それより気にかかることがある......
 早く監獄まで帰ろう」

「気にかかる?」

 ボクたちは話をしながら黒い部屋からでる。
 
「大丈夫だった!
 タイガ」

「ああ、いひか......
 !?」

 オレは驚いた。
 走ってくるいひかがまとってた氷が割れたことではなく、
 凍っていた服が砕けまあるい胸があらわになったことだ。

「お、おっぱい......
 Cか、なかなかだ」

「えっ!
 キャアアア!!」

 いひかは胸を隠して座り込んだ。
 
「いひかさん......
 これはどういうことですか!
 タイガさん!」

 そこにエクスさんが駆けつけ、俺に巨大メタトロンが炸裂した。

「違う!!
 違うよ!
 俺じゃない!!」

 何とかエクスさんの誤解を解き、
 自分の上着をいひかに渡して監獄へと走る。
 ゾンビたちは森で倒れている。

「どうして監獄へ急いでかえるんですか?」

 エクスさんはそう聞く。

「マイルズは死者で自分を操作してた。
 その魔法をかけた奴がいる。
 マイルズが狙っていたのは、
 監獄にいるそいつなのかもしれない」

 オレはヒミコさんから聞いた話を二人にした。

「そんな!?
 じゃあまだ監獄内にいるのね。
 ......逃げたように見せかけて受刑者にまぎれているのか」

「ゾンビがいなくなれば、
 きっと監獄内から出てきますね」
 
 いひかとエクスさんはそういってうなづいた。

 匣魔監獄《ごうまかんごく》につくと、
 周りのゾンビたちは全て倒れて動かない。
 そして正門の大きな扉は開かれていた。
 中にはいると、そこに局員たちが倒れている。

「どうした!!」

「すみません......
 副隊長......」

「誰にやられた!!」

「凛音さんが急に魔法を......」

「凛音さんが魔法!?
 どういうことだ!!?
 それでどこに行ったの!」

「ラクリマさんを連れ去って外に......」

「ラクリマを!?」

「凛音さんがマイルズに魔法をかけたのか!
 でも魔法を使えないって!」

「私の魔法探知でも、何の魔力も感じなかったわ!」

「いひか今は!」

「一人海岸にいるわ」

「一人、それはラクリマか!!
 じゃあ魔力を隠せるのか」

 オレが走る。

「ふたりはこの人たちを!!」

 エクスさんといひかには留まってもらった。
 
 森の中をはしる。

「まずいすねヒミコさん。
 きっとラクリマは人質にされてますよ」

「だろうね......
 少し手を打つか......」

 オレたちが海岸にの方に向かうと、一人こちらを見ている。
 それは、凛音さんだった。
 
「凛音さん......
 あなただったんすか。
 マイルズに魔法をかけたのは」

「ええ、あの人ひどいと思わない。
 私が魔法をかけてあげたのに殺そうとしたのよ。
 あなたたちが来なかったら、
 私もいずれ殺されてたわ」

「でも、あんたもマイルズの持ってるものを、
 狙ってたんじゃないのか」

 オレがそういうと凛音さんはいや、
 凛音はニヤリと笑った。

「ラクリマは......」

「あそこよ」

 そう指差すと海岸の岩場に眠ったように、
 うなだれたラクリマが見える。
 
「手をださないようにお願いできるかしら、
 でないと彼女は死んでもらうことになるけど」

「くっ!
 ......わかった......」

「あなたも永遠の魔女の身体を待っているんでしょう。
 最初あったときから気づいてたわ。
 あの婆さんとぶつけて、全部もらうつもりだったの」

「手に入れてなにするつもりなんすか」

「単純にほしいのよ。
 私は魔法使いの身体を集めるのが趣味なの。
 あの婆さんもほしかったけど死体じゃあね。
 さあ、君の持ってる永遠の魔女の身体、
 渡してもらえるかしら」

(どうやら収集家《コレクター》はこの人か)

 オレは左腕を前に出した。

「まさか抵抗するつもり、この子殺すわよ」

「どうせ身体を渡してもオレごと殺すだろ」

 凛音は口を大きく歪ませて笑った。

「当然よ!
 あなたの身体も欲しいんだもの!」
 
 覚悟を決め魔法を使った。
 
「ぐぅ!!!」

 オレの左腕が地面に落ちる。

「なに!? 
 自分の腕を切った!?
 まさか!?
 あの子がいない!!」

 オレの足元に黒い影ができると、
 そこからラクリマと動く左腕が出てきた。
 オレは左腕を拾うと自分の腕にくっつける。 

「うまくいったねタイガくん」

「ええヒミコさん、めちゃくちゃ痛かったすけど」

「......それはマイルズの空間創作、
 そう左腕の魔女を分離してたのね。
 腹立たしいわ......」

 オレはすぐ遅延《ディレイ》を使う。
 だが凛音が右腕をだす。
 
「あれ!!
 遅くできない!
 まさか魔法抵抗!」

「いや、あれは違う......」

「そうよ。
 私の左腕は永遠の魔女のもの。
 そして右腕の魔法、吸収《ドレイン》はどんな魔法も吸収するの。
 すごいでしょう」

 そういうながら右腕にほおずりしている。

「なるほどそれで魔力感知も効かないというわけか......」

「ええ、さあ魔法の効かない私と、
 どう戦うのかしらね」

 そういって呪文を唱える。

「かわせタイガくん」

 ヒミコさんにいわれて横に飛ぶと、
 音がしたあと後の大岩が切れた。
 
「さあ、諦めて死になさい!」

 呪文を唱えると、
 オレの身体が重くなり砂にめり込んでいく。
 
「ぐあっ!」
 
「上に遅延《ディレイ》を」

 遅延《ディレイ》を使い一瞬軽くなったすきに逃げたす。
 ラクリマを背負い岩影に隠れる。

「あれ重力っすか。
 なんか色々使ってくるな」

「ああ、彼は、
 いや真鶴 結愛《まなづる ゆいあ》は、
 自分が殺した魔法使いの身体を奪い取って、
 自分の身体と入れ換えるからね。
 色々な魔法を使えるのさ」

「そんな、いや彼!?
 男だったんすか」

「そこなんだね。
 ああ、顔が変わってるからわからなかったよ。
 まあ身体も女性だけれど」

「それでオレが興味持てなかったのか......
 なるほどね。
 うんうん、おかしいと思った」

「感心してる場合じゃないよ。
 僕の吸収《ドレイン》を何とかしないと、
 魔法が効かない」

「何か弱点ないっすか、
 なんでも無尽蔵に吸えるわけじゃないでしょう」

「うむ、効果時間、効果範囲はある。
 使用すると左腕を中心に1メートルというところかな。
 効果時間は一分程度、ただ吸いとった魔力を使える」

「チートかよ。
 オレもかなり疲れてて、
 一分以上は使えないすね」

「う、う......」

 その時ラクリマが気づいた。

「大丈夫かラクリマ」

「はいマスター、捕まったようですね......
 すみません」

「俺だって女だと思ってたから構わないよ。
 無事でよかった」

 そう話していると複数の斬撃がきてるのか岩を削る。

「うわっ!
 ラクリマこっちに!」

 オレたちは斬撃から逃げ岩場に隠れる。

「このまま逃げるかい?」

「逃げきれるとは......
 戦おうにも、
 オレが使えんの遅延《ディレイ》魔法だけすからね。
 しかも、もうあんま使えない」

「ふむあと二発ってとこだろうね。
 私も分離と空間魔法で使えないな」

「この状況教えてもらえますか」

 危機を察してかラクリマが聞く。

「私に考えがあります。
 マスター従っていただけますか」

 そうラクリマがいった。
 無表情だが、その左右の色の違う瞳に、
 強い意志をオレはみた。
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