来る気がなかった俺の異世界冒険記 ~転生させた女神が承認欲求モンスターだった~

曇天

文字の大きさ
39 / 60

第三十九話

しおりを挟む
「くっ! 強い! というか固いな!」

「ええ! 外骨格や皮膚が鉱物のようです! 私の拳や蹴りでは吹き飛ばすことはできても砕くことができません!」 

「確かにこの強さでは、魔力感知ができてもそこまでいくのが難しいですね。 魔法も効きがわるいです」

「どうやらここのモンスターは魔力耐性もあるみたいだな。 厄介だ」 

「なにを弱音はいとんねん! ウチの勇姿をみさらせ!」

 リヴァが次々固いモンスターを切り裂いていく。

「すごいな! リヴァ!」

「当然や! ウチは名匠がうった名刀やぞ! こんなもんトーフみたいなもんや! どりゃ! どりゃ! どりゃ!」

「リヴァについていこう!」

 俺たちはリヴァについては塔をのぼる。

「ここが10階か。 ここまでアイテムはなし、空の宝箱はあった。 おそらく先にはいったものにとられたかな。 ティティこの階はどうだ?」

「かなりの数の魔力反応があります。 とても大きいのが二つ。 そこそこの大きさのものが点在しています」

「床に誇りが堆積してますし、この階層には長らく人がはいってないようですね」

 リリオンは石床をさわりいった。

「よし、アイテムを拾っていこう」 

 俺たちはそこから多くのアイテムや宝石を拾った。

「すごいな! かなり集まったぞ!」

「ええ! 素人目に見てもかなりの財宝です!」

「リヴァさんのおかげで私たちは楽に来れました!」

「わははははっ! リリオン、こんなの簡単やで! 任せとき!」

 リヴァはどんどん進んでいく。

「まあ、今はリヴァに頼ろう」

「いままでより強い魔力がふたつありますね。 おそらく動かない一つはアイテム、もうひとつは動いているのでモンスターかと」

「強いモンスターか...... 対策がほしいな」

「ははははっ、そんなモンスター、ウチがぶったぎったる!」

「ですが、あんな固いモンスターをきって、本当に大丈夫ですか?」

「なに言うとんのやリリオン! こんなもん切ったうちにはいらへんわ!」

「この奥です。 二つの魔力を感じます!」

 通路の奥に部屋がある。 俺たちはそっとなかをうかがうと、何か大きな部屋の真ん中でもぞもぞうごいている大きなものがいた。 その後ろに宝箱がある。

「なんだ、あのモンスター」

「宝物を守っているのでは? 魔法使いなどが自らの宝を守らせるのはよくあることです」

「ウチが一気に倒したる!」

「おい!!」

 リヴァが走りだし、その大きなものをおもいっきり殴った。

 ガキィィィンッ!!

 金属音が部屋に響く。 そこには銀色に輝く大きなヤドカリがいた。

「あれは!?」

「ジェムハーミットクラブ。 魔力のある宝石を殻にもつモンスターです! とても固く、並みの剣では傷ひとつつけられません!」

「おもろい! ウチがためしたるわ!!」

 何度となくリヴァがヤドカリをその腕でうちつける。

「ギィィイ!!!」

「効いてる! 俺たちもいくぞ!」

「はい!!」 

 リヴァとヤドカリの攻防の隙をつき、俺たちはヤドカリへと攻撃を加える。

「固い! 俺たちだと殻に傷がつく程度だな!」

「リヴァに攻撃をしてもらって、我々は援護に回りましょう!」

「囮になります!」

「任せとき! ウチがこいつを倒す!!」

 俺たちは連携してヤドカリの注意をひき、そのすきにリヴァがヤドカリへと攻撃をつづけた。

「これでとどめや!」

「ギィィ......」

 リヴァがその殻を切り裂き、ヤドカリはついに動かなくなった。

「ふぅ...... なんとかなった」

「それにしても、このモンスターを切り裂くとは......」

「すごいです! リヴァさん!!」

「ふふん! ウチにきれんもんはない!」 

 リヴァは得意気にいった。

「確かに今回のリヴァはすごかったな。 さて宝箱をみるか。 これは......」

 宝箱の中には宝石や金貨がやまのようにはいっていた。

「おおお!!」

「お宝ですね!!」

「すごい!!」

「ほら、リヴァみてみろ...... どうした?」

「あああああ......」 

「どうした!?」

「なんか体がおかしいなって思ったら...... ヒビはいってるぅぅ!」

 リヴァの腕にビビがはいっている。

「刀に戻ってみてください!」

 ティティにいわれて刀に変化する。

「えええ!? リヴァさんが剣に!!」

「そうか、まあそれはあとで...... これは」

 刀の刃に大きなヒビがはいっていた。

「完全にヒビがはいってるな」 

「あまりにも固いものを切ったから、ヒビがはいったんですね」

「そんな!! あんなもんウチやったら簡単に切れるはず!」

「まあ、いくら切れる刀とはいえ、お前自身は達人でもないからな。 変な切り方をして刃に負荷がかかっていたんだろう」

「そ、そんな...... あれ?」

 その瞬間、もっていた刀がまっぷたつに折れた。

「折れた!!!」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

魔道具頼みの異世界でモブ転生したのだがチート魔法がハンパない!~できればスローライフを楽しみたいんだけど周りがほっといてくれません!~

トモモト ヨシユキ
ファンタジー
10才の誕生日に女神に与えられた本。 それは、最強の魔道具だった。 魔道具頼みの異世界で『魔法』を武器に成り上がっていく! すべては、憧れのスローライフのために! エブリスタにも掲載しています。

外れスキルは、レベル1!~異世界転生したのに、外れスキルでした!

武蔵野純平
ファンタジー
異世界転生したユウトは、十三歳になり成人の儀式を受け神様からスキルを授かった。 しかし、授かったスキルは『レベル1』という聞いたこともないスキルだった。 『ハズレスキルだ!』 同世代の仲間からバカにされるが、ユウトが冒険者として活動を始めると『レベル1』はとんでもないチートスキルだった。ユウトは仲間と一緒にダンジョンを探索し成り上がっていく。 そんなユウトたちに一人の少女た頼み事をする。『お父さんを助けて!』

【完結】発明家アレンの異世界工房 ~元・商品開発部員の知識で村おこし始めました~

シマセイ
ファンタジー
過労死した元商品開発部員の田中浩介は、女神の計らいで異世界の少年アレンに転生。 前世の知識と物作りの才能を活かし、村の道具を次々と改良。 その発明は村の生活を豊かにし、アレンは周囲の信頼と期待を集め始める。

俺得リターン!異世界から地球に戻っても魔法使えるし?アイテムボックスあるし?地球が大変な事になっても俺得なんですが!

くまの香
ファンタジー
鹿野香(かのかおる)男49歳未婚の派遣が、ある日突然仕事中に異世界へ飛ばされた。(←前作) 異世界でようやく平和な日常を掴んだが、今度は地球へ戻る事に。隕石落下で大混乱中の地球でも相変わらず呑気に頑張るおじさんの日常。「大丈夫、俺、ラッキーだから」

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

【本編完結】転生したら第6皇子冷遇されながらも力をつける

そう
ファンタジー
転生したら帝国の第6皇子だったけど周りの人たちに冷遇されながらも生きて行く話です

異世界転生雑学無双譚 〜転生したのにスキルとか貰えなかったのですが〜

芍薬甘草湯
ファンタジー
エドガーはマルディア王国王都の五爵家の三男坊。幼い頃から神童天才と評されていたが七歳で前世の知識に目覚め、図書館に引き篭もる事に。 そして時は流れて十二歳になったエドガー。祝福の儀にてスキルを得られなかったエドガーは流刑者の村へ追放となるのだった。 【カクヨムにも投稿してます】

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

処理中です...