来る気がなかった俺の異世界冒険記 ~転生させた女神が承認欲求モンスターだった~

曇天

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第四十一話

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 俺たちは洞窟のまえにきた。

「ここが洞窟だ。 ただかなり強いモンスターがいる気を付けてくれ」

 ゾームはそういって柄のながいハンマーをにぎる。

「ゾーム、本当に新しい剣をつくってくれるのか?」

「ああレージ、でも何でそんなことをきく?」

「なかなか仕事をしてくれないとの噂でしたから」

 ティティがそうきいた。

「ははっ、確かに話を多く断っていたな。 俺は使い手をみるのさ。 ただ飾りとして持つやつにはつくっても意味がないからな」

「正直、俺たち剣の腕はないぞ」

「そりゃ、その剣をみたらわかる。 かなり痛んでいるからな。 変な切り方をしたんだろう。 そして剣を必要としている、そうだろう?」

 ゾームは俺の剣をみながらいう。

「そいつはかなり使い込まれている。 かなりの修羅場をくぐっているはず、俺は命をかけているもののために武具をうつ、技量じゃない。 だからお前たちにも作ってやるよ」

「本当か、助かる」

 俺たちは先へとモンスターを倒しながら進む。

「ふぅ、かなり手強いですね。 あの塔ほどではないですが」

「ウチが戦えたらあんなの楽勝やのに!」

「しっ、静かに、ここにヤバいやつがいるんだ」

 ゾームが緊張した面持ちでいった。

 奥の暗がりにうごめくものがいる。

 それは大きなトカゲのようだった。

「あれは......」

「ああ、バジリスクだ。 うかつに近づくと石に...... っておい!」

 俺たちは前に進んで、バジリスクを魔咆哮《マギカローア》で吹きとばした。

「お、おい! バシリスクをそんな簡単に倒すのか!」

「前に戦ったからな。 魔咆哮《マギカローア》なら近づかなくても倒せる」

「ですね」

「ティティ、お前は石になってたけどな」

(あとそれでぶん殴ったんだが)

「そや、あのときは大変やったけどな」

(お前は逃げたけどな)

「すごいな。 まさかこれほどとは」

「このレージさんは今回の武道大会優勝者です」

「えっ!? あれの優勝者か! 確かにルーキーの冒険者だって話だったが、お前とは」

 ゾームは驚いている。

「それで鉱物は見つかりそうなんか?」 

「あ、ああ、そこの壁がそうだ」

 壁には少し銀色にみえる鉱物が点在していた。

「これをもっていくのか」

「ああ、壁を壊すから、この鉱物をもってきた鞄にいれてくれ」

 そういうとハンマーで壁を叩いてくだいた。

 俺たちは落ちた鉱物をもってきた鞄につめる。


 ゾームの工房にかえる。 

「さて、仕事を始める。 出来上がるにはかなりかかるから、町に帰っていていいぞ」
 
「そうだな。 一度おりるか」

「いやや! ウチは動かれへんねやぞ!」

「それなら、これにでもはいっておけばいい」

 そういってゾームは短剣をもってきた。

「それなら魔力がある。 一時的に器とやらになれるだろう」

「ほんまか! よし」

 短剣がリヴァの姿になった。

「おお!! 戻った!」

「とはいえ、ながくはもたんだろう。 まあこれができるまでぐらいならもつはずだ」

「あんがと!! さあ、町へいくで腹減ったからな!」

「そうですね。 おりましょう」

 俺たちは山を降りて、近くの町にむかう。


「ぷふぁ! 生き返った!!」

 膨れた腹を叩きながらリヴァがいう。

「よく食うな」

「人の形やないと、飯食われへんからな」

「もぐっ! それでも食べ過ぎですよ。 もぐっ!」 

「倍食べてるお前がいうな!」

「もぐっ、それにしても、あたらしくつくってもらえてよかったですね。 もぐっ」

(リリオンもかなり食べるんだよな。 俺の周りはフードファイターしかいないのか。 どうなってんだ)

「それで、できあがるまでの間どうします?」

「そうだな。 あの塔にのぼれそうもないし、ここにもダンジョンがあるかしらべるか」

「そうですね」

 俺たちはこの町にある冒険者ギルドにむかった。

「あなたたちが、至高の女神と最強の精霊刀《ディーヴァブレイド》さまですか!」  

 受付の男性が驚いている。

「そうだけど、なにか依頼はあるかな」

「ええ、実はかなり厄介な案件がありまして......」

「どんな依頼なんですか?」

「新しいダンジョンが木こりによって見つかったんです。 そこからモンスターがわいているらしく、対処をと......  本来は国への要請となるのですが、今は他の場所の防衛上兵を動かせず、冒険者ギルドに調査依頼がきたというわけです」

「国からの依頼ですか...... でも今リヴァさんが本調子ではないのでかなり難しいのでは」

 リリオンが不安げにそういう。

「大丈夫や、この体でも戦える」

「少しでも新しいダンジョンでお宝を探した方がいいのでは」

 ティティがそういった。

「そうだな。 よし様子を見にいってみよう」

「ありがとうございます! 無理にモンスターを倒す必要はありません。 どのようなモンスターがいるか。 何匹ぐらいでてきているか。 それを調べてください。 決して無理はなさらないてくださいね」

 俺たちは依頼をうけ、ダンジョンがでたという西の森へとむかった。

 
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