やり直しの大魔王の弟子

曇天

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第十三話 召喚

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「しまったバレた!」

 オレたちがにげようとすると、ローブを着たやつらは呪文を唱える。
 
 ガン!

「いてえ!
 なんだこれ!?
 見えない壁がある」   

「これ魔法結界だわ!
 ある場所を囲む魔法の壁よ!」
  
「でてくるといい。
 でてこなければその場所を炎で焼き尽くすことになる」

 そう低い声で声をかけてきた。

「仕方ないな......
 二人とも魔力を前に集中してかためよ」

「わたしできないんだけど!」

「ならば我の後ろに隠れておれ」

 メルアとオレはベルの後ろにかくれた。

「シンジお主は隠れるな」

「そうよ! あんたは前に行きなさいよ!」

 メルアがほほをげしげし蹴ってくる。

「えーー! 守ってよおー」

「それではこの窮地を脱することはできんぞ」

 そういわれてしぶしぶオレはベルと並んだ。
 木の影からでると、十人のローブを着た男たちが並んでいる。

「ヤバい魔力をもってんだけど......」

 隠していた魔力を出している。
 オレよりはるかに高い魔力だった。

「こいつらオレより魔力高いんだけど......」

「心配は要らぬ。
 お主にはグランドレインがあるではないか。
 やつら魔術士には効果が高い」

「お前たちが冒険者か......
 そこそこの魔力を持つアホずら、魔力のほとんどない魔族、妖精か......
 妖精だけだな」

「誰がアホずらだ!」

「いーやー!
 わたし狙われてるー!
 かわいいからだー!」

「いや違うだろ!
 魔力が高いからだろ!」

「いや、あの小僧の持ってるもの魔法剣か......
 使えるかもしれん」

 ローブを男たちのリーダーと見られるやつがそういった。

「魔力を狙っているのか、何のためにだ」

 ベルの問いに答えずリーダーの男は顎をしゃくる。
 ローブの男たちは杖をかざし呪文を唱える。

「シンジ魔力を折り重ね前に集中させろ」

 ベルにいわれオレは魔力を集め何重かに重ねた。

「やれ!」

「アイスジャベリン!」 

 リーダーの命令で男たちは氷の槍を打ち出してきた、
 オレはそれを重ねた魔力の層で防ぐ。

「なに!? 防いだだと!」

 驚く男たちにオレは切りかかる。
 三人ほど斬る。 
 軽症をおった三人は呪文を唱えようとするが、魔力が足りず不発におわる。
 その三人を魔法弾で仕留めた。

「わたしがいくらかわいいからって捕まったりしないから! 
 ウィンドストーム!」

 メルアが風の魔法で三人を吹き飛ばし、ベルが五人を剣でうち倒した。

「な、なんだと!?  こいつら何者だ!」

「私たちは、かの有名なメルアとおちゃらけ下僕たちよ!」

「誰がおちゃらけ下僕たちだ!」

「くっ!
 こうなれば仕方ない!
 まだ魔力は足りないが......」

 リーダーの男は懐から何か宝石を出して呪文を唱える。
 倒れたローブの男たちから黒い霧のようなものが宝石に吸い込まれていく。

「なんだ! あの黒い霧!?」

「あの宝石高く売れそう!」

「あれは魔力を吸っておるのだ。
 何をするつもりだ。
 まさか......」

「魔力を食らい生まれ変わるがよい!」

 宝石はローブの男の手を離れ宙に浮くと、黒い霧をまとい人型へと変化していく。

「これデジャブ!」

「なにいってんのバカシンジ!!
 ベルの時に見たじゃない!」

「ああ、これは魔族の復活だな」


 現れたのは三メートルはあろうかという背に翼の生えた。赤い肌で三本角の化物だった。

「おお! 魔王よ!!
 素晴らしい! 
 まず、この愚かな子どもたちをそのお力で消し去ってください!」

「よかろう......」

 その赤い魔族はニヤリと笑うと、ローブの男を片手で掴む。

「な、何を魔王!
 わてしはあなたをよみがえらせたのですぞ!」

 じたばたする男を魔族は冷たい目で見る。

「それを私が頼んだか」

 そういうとローブの男から黒い霧がわきあがり、魔族の口に入っていった。
 ローブの男はカラッカラッに渇きミイラのようになった。

「ふう、久しぶりの現世よ。
 あの勇者とか言う人間を見つけねばな。
 貴様らは知っているか?」

 こっそりと逃げようとしたオレたち魔族は声をかけた。

「バ、バレた」

「ど、どうすんの、わたしでもわかる魔力がけた違いよ!」 

「おい、ベルお前も魔王なんだろ!
 友達じゃないのか」

「知らぬな。
 魔王といっても多く勝手に名乗っておったからな。
 貴様名前をなんと言う」

「貴様魔族か、消え去りそうな魔力だな。
 我が配下としてもいらぬな。
 殺す前にさっさと答えよ。
 勇者はどこだ?」

「貴様の名はときいておる?」

「おい! 挑発すんなベル!」 

 ギロリと魔族はにらむ。

「我か、我は魔王ディビトラム。
 魔族ならば、その名を知っていよう」

「知らぬ」

 ベルはきっぱりいいきる。
 オレは思った。


「コレ死んだ」
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