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どの世界でも嫁イビリはあるようで
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「こんな事すら出来ないなんで、本当にあの子はダメな嫁を貰ったわね!!」
バシャリ、色とりどりの花が活けられた花瓶が淡い一人の少女の頭に水を落とした
少女は下を向き何かを耐えるように震えていた
水をかぶせた女はふんっとその態度が気に入らないと鼻を鳴らし今度は花瓶をガシャンと鳴らし床に叩き付けた
「これ、片付けておきなさい
…あぁ、そうだ。あなた今年で結婚3年目だったかしら?
…ふふ、あの子が帰ってきたら離縁ね
大丈夫、優しい優しいお義姉様とお義母様が次の縁談決めておいてあげる
ちゃぁんと、掃除終わらせておきなさい」
そう言ってアハハハと甲高い声で笑い部屋を出たお義姉を見送った少女は少し止まり、深く深く息を吐いてその華奢な見た目に削ぐわない鋭く舌打ちを落としガシガシとシルバーブルーの髪を掻き回した
「何が優しいだ
どうせ、いわく付きの成金に売り飛ばそうなんてちょっとアンタらの性格考えれば直ぐにわかるわ…
あー、いや…それが目的か
ダメだ思い出したばっかで考えが纏まんない」
そもそもこう言うのって、幼少期とかに思い出したりするもんじゃないっけ?
少女は──エリスは、割れた花瓶の破片を拾いプツリと指先からアカを垂らす
エリスには前世の記憶がある
…と言っても、それは先程のイビリで思い出したのだが
いや、違うか。エリスが壊れた為に私が産まれたのか?
まぁ、それは後々考える事にしよう
前世の記憶と言っても世に出回る数々の小説のように化学チートや内政チート等を行える程私には学がない
平凡でいて、空っぽな女だった
流されるように生きて居たが、お見合いで夫と出会い変わった
──ものすごく、悪い意味で
まず、夫は代々典型的な長男教の家で、一人っ子
そして義母の嫁いびりがそれはそれは酷く、夫も庇ってくれることは無かった
だが子供が出来、一時は平穏が保たれたが生まれた子が娘だった事により現状は更に悪化
可愛い可愛い、娘に暴言を吐く義母
そして、外に女を作りあまつさえ子供も作った夫
限界だった女は探偵と弁護士を雇い、緑の紙と不倫相手の子供は夫と血の繋がらない証拠を叩きつけ、娘と家を出た
そこから親子二人三脚で生きてきたが、多分、私は死んだのだろう
娘はもう成人したし、遺産もあって程々に生きていけるはず…とあまり心配はしていない
お友達も皆しっかりした子ばかりだから何とかやってるでしょ
「いやウソムリ…めっちゃ心配…なんで私死んじゃったの…??
あの子ご飯ちゃんと食べてる…?ユキちゃん達に迷惑掛けてない…??カプ麺ばっか食べてないよね…??」
娘の偏食には昔から悩まされていた
そこまでじゃないけど気が付くと自分の好きな物ばかりな食生活を送っていたので私の死後、仲のいい子達が何とかしてくれているのを信じるしかない…
「あー、これ片付けなきゃ…魔の2歳児のが聞き分け良かったぞあの義姉め…」
割れた花瓶と零れた水をかき集め、苛立ちを抑えようとする
というかこんな感じの話どっかで聞いたような…前世の私と重ねてる…?いやそれとはちょっと違うような…
「あっ」
これ娘がやってた乙女ゲームのシークレットキャラルートだ
バシャリ、色とりどりの花が活けられた花瓶が淡い一人の少女の頭に水を落とした
少女は下を向き何かを耐えるように震えていた
水をかぶせた女はふんっとその態度が気に入らないと鼻を鳴らし今度は花瓶をガシャンと鳴らし床に叩き付けた
「これ、片付けておきなさい
…あぁ、そうだ。あなた今年で結婚3年目だったかしら?
…ふふ、あの子が帰ってきたら離縁ね
大丈夫、優しい優しいお義姉様とお義母様が次の縁談決めておいてあげる
ちゃぁんと、掃除終わらせておきなさい」
そう言ってアハハハと甲高い声で笑い部屋を出たお義姉を見送った少女は少し止まり、深く深く息を吐いてその華奢な見た目に削ぐわない鋭く舌打ちを落としガシガシとシルバーブルーの髪を掻き回した
「何が優しいだ
どうせ、いわく付きの成金に売り飛ばそうなんてちょっとアンタらの性格考えれば直ぐにわかるわ…
あー、いや…それが目的か
ダメだ思い出したばっかで考えが纏まんない」
そもそもこう言うのって、幼少期とかに思い出したりするもんじゃないっけ?
少女は──エリスは、割れた花瓶の破片を拾いプツリと指先からアカを垂らす
エリスには前世の記憶がある
…と言っても、それは先程のイビリで思い出したのだが
いや、違うか。エリスが壊れた為に私が産まれたのか?
まぁ、それは後々考える事にしよう
前世の記憶と言っても世に出回る数々の小説のように化学チートや内政チート等を行える程私には学がない
平凡でいて、空っぽな女だった
流されるように生きて居たが、お見合いで夫と出会い変わった
──ものすごく、悪い意味で
まず、夫は代々典型的な長男教の家で、一人っ子
そして義母の嫁いびりがそれはそれは酷く、夫も庇ってくれることは無かった
だが子供が出来、一時は平穏が保たれたが生まれた子が娘だった事により現状は更に悪化
可愛い可愛い、娘に暴言を吐く義母
そして、外に女を作りあまつさえ子供も作った夫
限界だった女は探偵と弁護士を雇い、緑の紙と不倫相手の子供は夫と血の繋がらない証拠を叩きつけ、娘と家を出た
そこから親子二人三脚で生きてきたが、多分、私は死んだのだろう
娘はもう成人したし、遺産もあって程々に生きていけるはず…とあまり心配はしていない
お友達も皆しっかりした子ばかりだから何とかやってるでしょ
「いやウソムリ…めっちゃ心配…なんで私死んじゃったの…??
あの子ご飯ちゃんと食べてる…?ユキちゃん達に迷惑掛けてない…??カプ麺ばっか食べてないよね…??」
娘の偏食には昔から悩まされていた
そこまでじゃないけど気が付くと自分の好きな物ばかりな食生活を送っていたので私の死後、仲のいい子達が何とかしてくれているのを信じるしかない…
「あー、これ片付けなきゃ…魔の2歳児のが聞き分け良かったぞあの義姉め…」
割れた花瓶と零れた水をかき集め、苛立ちを抑えようとする
というかこんな感じの話どっかで聞いたような…前世の私と重ねてる…?いやそれとはちょっと違うような…
「あっ」
これ娘がやってた乙女ゲームのシークレットキャラルートだ
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