魔女の理想郷で〜それは誰かを待ち続ける少女の話〜

無月

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2章 約束と忘れた思い出

26.白猫と魔法と

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「戻りました。
ちゃぁんとお使いしてきましたよって…あれ…?タージルさん?」

サンドウィッチ片手に部屋に戻って来たフレールはタージルが部屋に居ないことに気が付きはぁ、と深いため息を付いた

「全く、あの人は…今度はどこに行ったんですか…」

テーブルにサンドウィッチを置き頭をかかえていると足元で何かが動いていることに気が付き慌てて下を見る

「なになに?!ん…?え??」
「にゃぁ」

テーブルの下から毛並みのいい白猫がひょっこりと顔を出しこちらを見つめていた


◇◆◇◆◇◆
「たっだいま~!
お、フレール、おつかれ~
どうだった?って、ん??」
「ちょ、タージルさんどこほっつき歩いていたんですか!
と言うか、それよりこの子!!どこからか入って来ちゃったみたいなんですが?!」
「みゃぁ」
「あぁ!やっぱり!
お久しぶりです姉上。」
「なぁん」
「は?」

「母上のお使いですか?」と普通に白猫に話しかけているタージルにフレールは開いた口が塞がらない
白猫も白猫で人間の言葉が分かっているかのように鳴き声で返事を返すのでフレールはハハハ、と乾いた笑いを上げた。

「姉上って、猫じゃないんですか…?」
「ん?猫だよ。
母上の使い魔でね、私が幼い頃、よく面倒を見てくれていた個体の1匹でね。
勝手に私が姉上と呼んで慕っているだけなんだよ」
「あ、はぁ、そうなんですか……」

わしゃわしゃと白猫を撫でているタージルを横目に、頼まれていたワインを吸わせたハンカチを手渡した

「これ、ちゃんとやって来ましたよ」
「あぁ、ありがとう。
どう?バレなかったでしょ?」
「…もしかして、何か細工しました?」
「したした。ちょっとだけ認識しづらくする魔法てちょちょいっと…ね?」

ニヤニヤと笑うタージルにフレールは頭を抱えたが助かったのは確か…いやでもこんな格好する原因もタージルなわけで…

「ってあ!そうだ、早く僕の服返してください!!
いつまでもメイド服は嫌なんですが!」
「あ~…ごめんごめん、忘れてた。
あんまりにも違和感がなくて…これ私が認識阻害の魔法掛けなくとも平気だったんじゃない…?」
「僕は!!男です!!!
とりあえず服戻してください!」
「そんなに怒んなくてもよくない?
はいはい、戻しますよ~っと」

軽く返事を返したタージルはトントンとテーブルを指先で叩くと魔法を使ったのかフレールの服はメイド服を着ている前の物に変わっていた。

「相変わらず、魔法と言う物は不思議ですね」
「そりゃそうだ。不思議だからこそ魔法と呼ばれるんだからね」

そう言いながらタージルは先程受け取ったハンカチを触りながら、足元で寝転んでいた白猫に目を向けた

「ところで姉上、なんの用事でこちらに?」
「にゃーん」

その問いにネコは人間のようにニンマリと笑った
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