魔女の理想郷で〜それは誰かを待ち続ける少女の話〜

無月

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2章 約束と忘れた思い出

33.苛立ちと頼み

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タージル達が案内された部屋はソファーとテーブルと、数点の絵画しかないシンプルな場所だった

「で?いまどういう状況なんです?」
「王族…王自身が倒れた訳ではなさそうですね?」
「な、何故そこまで…!!」
「祖国で経験しましたので?」
「え~フレールくんの国闇が深ぁい…」

ブジーア国闇深すぎじゃない…??なんてタージルは心の中で呟きながらも顔を青ざめさせた執事をさらに追求する

「それで~?誰が倒れたんです?
私達もね、さっさと濡れ衣をはらしてこの国を出たいんですよ」
「え?」
「…ん??」
「この国に移住するって話は…」
「は??なにそれ?私の里帰りでこの国に立ち寄っただけなんだけれど…おかしいなぁ、そんな話一切したこともする気もないんだけれど」

どうやら何がどうなったのか、意味のわからない状況になっているようだ…まぁ、これも後での謁見で王に聞けばいい。はぁ、とため息をつくとフレールが代わりに話を進めてくれた

「まぁ、それは今どうでもいいのです。
さっさと話してくれません?」
「…王弟殿下です。」
「へぇ…王族からのって初めてだっけ?」
「…えぇ、ですので混乱が…」
「…ひとつ聞きたいんだけど、この国の王様ってワインあんまり好きじゃない?」
「え?えぇ…ワインと言うよりお酒を好まない方なので…
ワインを好むのは王弟殿下だけです。」
「あ~なるほどね」

それを聞いたタージルは頭を抱えながらも「いいのか悪いのか…」と呟いた

「はぁ…面倒事が過ぎる…」
「どうします…?今なり無理矢理抜け出せそうですけど…」
「のちのちの商売に影響が出そうだからそれは無し」

コソコソと話していると執事が「あの…」とと不安げに声を掛けた

「ですので…本日はお引き取りを…」
「ん~まぁ、今日出来ることはもう無いし…」
「根本的な原因は、言わなくてもいいんです?」
「言っても、ねぇ…?治療法も母上に聞いてみないと分からないし」
「は、原因が、分かるんですか?!」

小声で会話していたが、聞こえていたのだろう、ガタリと音を立て執事はテーブルに体を乗り上げるよう立ち上がった

「…えぇ、そうですよ
今回の謁見もそれを訴えるため、でもこんな被害が出てしまっている以上、原因判明だけじゃ解放されないでしょ?」
「全く…僕らは本当に無関係なのに」

舌打ちをしそうなほど珍しく機嫌の悪そうなフレールをまぁまぁと窘めているとそれを聞いて黙っていた執事が突然顔を上げ、頭を下げた

「お願いします。
どうか、今原因だけでも教えて頂けませんでしょうか!」
「…へぇ、なんで?」
「…王弟殿下は、私の恩人なのです…
もし、その原因とやらが、我が国で解決出来るものなのであれば…!!」

ぎゅぅっと力強く拳を握る執事にタージルとフレールは顔を見合せはぁ、と深くため息を吐いた
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