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丸投げ女 前編
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「稀さん、突然お邪魔してすみません」
「あら?作者さん、どうしたのですか?」
「ひとつお願いがありまして。今回聖菜さんの母、美里さんの過去の話になるはずだったのですが、実は執筆が思うように進まず遅れてしまってまして。。
予定を変更して今回は稀さんに繋いで欲しいのですがお願い出来ますでしょうか」
「あらあら、それはお困りでしょう。わかりましたわ。予定外ではありますけど、他ならぬ作者様のお頼みとあらばご協力しますわ」
「ありがとうございます。このお礼は必ずしますので!それでは稀さんよろしくお願いします」
「はい。おまかせあれ。では簡単ではありますが、まずは自己紹介から。えっ?もう知っていますって?そうですのね。でもここは復讐。。いえ復習だと思ってお聞きくださいませ」
私の名前は神宮寺稀(しんぐうじまれ)。
職業は「恨み晴らし屋」ですの。
私は自分の持つ力を恨み晴らし屋という仕事をする事でお客様のご無念を晴らすお手伝いをさせて頂いております。
今日はどんなお客様がお見えになるのかしら?
「あなたのお恨み、この神宮寺稀が晴らして差し上げますわ」
⭐︎⭐︎⭐︎
「この仕事、あんたがやってよね」
「なぜ私が?美沙希さんが責任者じゃないんですか?」
「責任者は結果たけ回収すればいいの。仕事をやるのはあんたたち下の人間」
加納美沙希は三十五歳になるいわゆる会社内のお局であった。
入社して始めの半年ほどは真面目に仕事をしていたが、当時の部長に気に入られて異例の出世をして僅か一年で課長に昇進。
そこからいわゆる「丸投げ子」と陰口を叩かれる仕事丸投げ責任転嫁を繰り返すようになっていった。
日和いずみは美沙希の下について三年になるが、部内のほとんどを彼女が切り盛りしていた。
しかし、上の評価はすべて美沙希がやった事になっている。
いずみはその度にため息をつき、何度も会社を辞めようとも考えたがらお得意先の担当者からは信頼が厚く、「日和さんがいなくなったらこの仕事どうにもならなくなるよ」と言われていたので、忍耐を重ねて何とか続けてきた。
そんなある日いずみは部長に突然呼び出された。
「どういう事ですか?私が何をしたと」
「だから、今日届くはずの営業用新商品の見本が届いてないんだよ。ちゃんと発注したんだろうな?」
いずみは部長にそう言われて二日前の出来事を思い出した。
美沙希が業者とのやり取りをメールでやっていたところまでは確かに確認している。
だが、そのあとおかしな事を言っていたのをいずみは見過ごしていたのだ。
「○×商事の課長さん、納期が二日ずれるって言ってたから今週はのんびり出来るわね」
〔納期が延びたんだ。でも確か営業たちが見本を顧客に配るのは明後日のはず。さらに二日延びたのかしら?〕
いずみのこの見過ごしが重大なミスを起こす事となってしまった。
それも自分がやった事にされてしまう「責任転嫁」に。
「確か美沙希さん、納期が二日延びたとか言ってましたけど」
「そんな事あるわけないだろ。展示会は今日なんだぞ。肝心の見本品がなくてどう営業するんだ?」
「私にそう言われても。。美沙希さんが担当してたので」
「加納は君に一任しているって言ってたぞ」
「えっ?」
いずみはそれを聞いて驚いた。
寝耳に水である。
「それ、私の責任なんですか?」
「加納はたとえ日和がやった事でも上司である私に責任がありますと頭を下げて来ているのに、君は関係ないというのか?」
「関係ありませんから。そうとしか言いようがありません」
「もういい。私が何とかするから君は帰りたまえ。しばらく自宅謹慎を申しつける」
「そんな。。私本当に知らない。。」
「今はそれより営業に見本品を渡すのが先だ。君の話など聞いている暇はない」
やられた!
いずみはそう思ったが、もう事態は美沙希の思い通りに動かされていた。
美沙希はおそらく朝一でこのミスに気がつき、私が出勤する前に部長に自分の都合のいいように報告し、いかにも私がやったかのように責任転換したんだ。
でも業者は?業者は誰とやり取りしてたかわかっているでしょう。
いずみがそう思っていたところに同僚の原彩子がやって来た。
「いすみ、加納のせいで大変だったね。実はね、私もあいつが納期が二日延びたとか言っているのを聞いていて怪しいと思ったんだ。それで業者に電話で確認したら加納のやつ、発注数量を一桁間違えていたのよ」
「一桁?五千部を五万部で発注したって事?」
「そう。だから業者はその数量では二日延びますって返事だったの。それを聞いて私が発注数を本来の五千部に修正して再依頼かけておいたから、商品はもう営業たちの手元に届いている頃だと思うよ」
「彩子、ありがとう。助かったわ」
彩子の言う通り、品物は無事に営業の元に届いていた。
彩子のおかげでいずみは自宅謹慎を免れたが、この後さらに問題が起きた。
彩子がやったこの手柄を美沙希が横取りしたのだ。
「私が日和の発注ミスに気がついてすぐに修正したので何とか納品出来ました」
美沙希にそう報告されれば部長はいちいち業者に電話して事実確認などしないであろう。
とにかく無事納品されればいいのだから。
この言葉にいずみは辛抱の糸が切れた。
「あいつ許せない。。それ相当の報いを受けさせてやる」
その日の夜、いすみは美沙希に復讐をするためにインターネットのサイトを検索していて神宮寺稀の館というホームページを見つけた。
「神宮寺稀の館。。」
綺麗なパープルと白で彩られたホームページにアラビアン衣装の稀の姿は嫌でも見る人の目を惹きつける。
「凄い評価が高い。成功率はほぼ百パーセントって完璧じゃない。こんなの本当に信じられるの?」
半信半疑であったが、他を当たってみるとさらに怪しいところばかりで、一番まともそうなのが稀の館だった。
「仕方ない。依頼が依頼だからね。ものは試しで行ってみるかな」
「神宮寺稀の館へようこそ」
店に入るなり笑顔と明るい声で対応する稀にいずみは少し安心した。
女性で自分と歳も近いし、優しそうで何より美人だし。
いずみは初対面で稀が気に入り、恨みを晴らす相手について話し始めた。
「まあ、いわゆる社内のお局様ってところの人なのですね。仕事の丸投げが日常的になってしまうと、それが自分の特権のような錯覚に陥るものなのですよ」
「そうなんです。もう当然のように私に仕事を投げてきます。でも今回は私だけでなく他の人がやった手柄までも横取りしたのが許せないんです。どうか加納美沙希にそれ相当の報いを与えて下さい」
「具体的にはどうしたいのですか?」
「これまで加納のやった事が社内外で暴露されて社会的信頼を失墜して会社に居られなくして欲しいです」
いずみの依頼に稀はにこやかな表情でいつもの決め台詞を口にする。
「ご依頼承りました。あなたのお恨み。この神宮寺稀が晴らして差し上げますわ」
「あら?作者さん、どうしたのですか?」
「ひとつお願いがありまして。今回聖菜さんの母、美里さんの過去の話になるはずだったのですが、実は執筆が思うように進まず遅れてしまってまして。。
予定を変更して今回は稀さんに繋いで欲しいのですがお願い出来ますでしょうか」
「あらあら、それはお困りでしょう。わかりましたわ。予定外ではありますけど、他ならぬ作者様のお頼みとあらばご協力しますわ」
「ありがとうございます。このお礼は必ずしますので!それでは稀さんよろしくお願いします」
「はい。おまかせあれ。では簡単ではありますが、まずは自己紹介から。えっ?もう知っていますって?そうですのね。でもここは復讐。。いえ復習だと思ってお聞きくださいませ」
私の名前は神宮寺稀(しんぐうじまれ)。
職業は「恨み晴らし屋」ですの。
私は自分の持つ力を恨み晴らし屋という仕事をする事でお客様のご無念を晴らすお手伝いをさせて頂いております。
今日はどんなお客様がお見えになるのかしら?
「あなたのお恨み、この神宮寺稀が晴らして差し上げますわ」
⭐︎⭐︎⭐︎
「この仕事、あんたがやってよね」
「なぜ私が?美沙希さんが責任者じゃないんですか?」
「責任者は結果たけ回収すればいいの。仕事をやるのはあんたたち下の人間」
加納美沙希は三十五歳になるいわゆる会社内のお局であった。
入社して始めの半年ほどは真面目に仕事をしていたが、当時の部長に気に入られて異例の出世をして僅か一年で課長に昇進。
そこからいわゆる「丸投げ子」と陰口を叩かれる仕事丸投げ責任転嫁を繰り返すようになっていった。
日和いずみは美沙希の下について三年になるが、部内のほとんどを彼女が切り盛りしていた。
しかし、上の評価はすべて美沙希がやった事になっている。
いずみはその度にため息をつき、何度も会社を辞めようとも考えたがらお得意先の担当者からは信頼が厚く、「日和さんがいなくなったらこの仕事どうにもならなくなるよ」と言われていたので、忍耐を重ねて何とか続けてきた。
そんなある日いずみは部長に突然呼び出された。
「どういう事ですか?私が何をしたと」
「だから、今日届くはずの営業用新商品の見本が届いてないんだよ。ちゃんと発注したんだろうな?」
いずみは部長にそう言われて二日前の出来事を思い出した。
美沙希が業者とのやり取りをメールでやっていたところまでは確かに確認している。
だが、そのあとおかしな事を言っていたのをいずみは見過ごしていたのだ。
「○×商事の課長さん、納期が二日ずれるって言ってたから今週はのんびり出来るわね」
〔納期が延びたんだ。でも確か営業たちが見本を顧客に配るのは明後日のはず。さらに二日延びたのかしら?〕
いずみのこの見過ごしが重大なミスを起こす事となってしまった。
それも自分がやった事にされてしまう「責任転嫁」に。
「確か美沙希さん、納期が二日延びたとか言ってましたけど」
「そんな事あるわけないだろ。展示会は今日なんだぞ。肝心の見本品がなくてどう営業するんだ?」
「私にそう言われても。。美沙希さんが担当してたので」
「加納は君に一任しているって言ってたぞ」
「えっ?」
いずみはそれを聞いて驚いた。
寝耳に水である。
「それ、私の責任なんですか?」
「加納はたとえ日和がやった事でも上司である私に責任がありますと頭を下げて来ているのに、君は関係ないというのか?」
「関係ありませんから。そうとしか言いようがありません」
「もういい。私が何とかするから君は帰りたまえ。しばらく自宅謹慎を申しつける」
「そんな。。私本当に知らない。。」
「今はそれより営業に見本品を渡すのが先だ。君の話など聞いている暇はない」
やられた!
いずみはそう思ったが、もう事態は美沙希の思い通りに動かされていた。
美沙希はおそらく朝一でこのミスに気がつき、私が出勤する前に部長に自分の都合のいいように報告し、いかにも私がやったかのように責任転換したんだ。
でも業者は?業者は誰とやり取りしてたかわかっているでしょう。
いずみがそう思っていたところに同僚の原彩子がやって来た。
「いすみ、加納のせいで大変だったね。実はね、私もあいつが納期が二日延びたとか言っているのを聞いていて怪しいと思ったんだ。それで業者に電話で確認したら加納のやつ、発注数量を一桁間違えていたのよ」
「一桁?五千部を五万部で発注したって事?」
「そう。だから業者はその数量では二日延びますって返事だったの。それを聞いて私が発注数を本来の五千部に修正して再依頼かけておいたから、商品はもう営業たちの手元に届いている頃だと思うよ」
「彩子、ありがとう。助かったわ」
彩子の言う通り、品物は無事に営業の元に届いていた。
彩子のおかげでいずみは自宅謹慎を免れたが、この後さらに問題が起きた。
彩子がやったこの手柄を美沙希が横取りしたのだ。
「私が日和の発注ミスに気がついてすぐに修正したので何とか納品出来ました」
美沙希にそう報告されれば部長はいちいち業者に電話して事実確認などしないであろう。
とにかく無事納品されればいいのだから。
この言葉にいずみは辛抱の糸が切れた。
「あいつ許せない。。それ相当の報いを受けさせてやる」
その日の夜、いすみは美沙希に復讐をするためにインターネットのサイトを検索していて神宮寺稀の館というホームページを見つけた。
「神宮寺稀の館。。」
綺麗なパープルと白で彩られたホームページにアラビアン衣装の稀の姿は嫌でも見る人の目を惹きつける。
「凄い評価が高い。成功率はほぼ百パーセントって完璧じゃない。こんなの本当に信じられるの?」
半信半疑であったが、他を当たってみるとさらに怪しいところばかりで、一番まともそうなのが稀の館だった。
「仕方ない。依頼が依頼だからね。ものは試しで行ってみるかな」
「神宮寺稀の館へようこそ」
店に入るなり笑顔と明るい声で対応する稀にいずみは少し安心した。
女性で自分と歳も近いし、優しそうで何より美人だし。
いずみは初対面で稀が気に入り、恨みを晴らす相手について話し始めた。
「まあ、いわゆる社内のお局様ってところの人なのですね。仕事の丸投げが日常的になってしまうと、それが自分の特権のような錯覚に陥るものなのですよ」
「そうなんです。もう当然のように私に仕事を投げてきます。でも今回は私だけでなく他の人がやった手柄までも横取りしたのが許せないんです。どうか加納美沙希にそれ相当の報いを与えて下さい」
「具体的にはどうしたいのですか?」
「これまで加納のやった事が社内外で暴露されて社会的信頼を失墜して会社に居られなくして欲しいです」
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