託されたソウルキャリア

のぞ

文字の大きさ
上 下
2 / 11

しおりを挟む
「んっ、、、」

少年が目を覚ますと知らない天井が広がっていた。

「あら!目が覚めたのね!心配してたのよ!孤太郎さんが親戚の子供を預かって欲しいっていきなり行って来たものだから!しかも全然目を覚まさないし、、、」

おしゃべりな女性がこちらを見ながらずっと喋っていた。少年は寝過ぎたせいか気だるさを感じながら女性の方を見た。

「ここはどこ?おねぇさんは誰?」

少年の問いに女性はそう言えばという表情で慌てながらこちらを見た。

「ここは、孤児院って言って、1人になってしまった子供たちを集めてみんなで生活しようって場所よ!そして私はみんなのお母さんになる真夏って言うの!よろしくね!きみはお名前なんて言うのかな?」

真夏は笑顔で少年に問いかけた。

「ぼくの名前は龍丸といいます。どうやったらぼくはおじいちゃんのところに帰れますか?」

龍丸の言葉に真夏は思わず龍丸を抱きしめた。

「大丈夫よ!りゅうちゃんには私たちがついてるから!」


一瞬、ギョッとした龍丸だったが真夏から伝わる温もりに身を任せた。

(なんて心地いいんだろう。)


「ここにいるみんな家族だから!寂しかったり、辛かったりしたらみんなで悲しむんだよ!」

真夏はそういいながらしっかりと龍丸の目を見た。

「そういえば、孤太郎さんから手紙を預かってるんだった!文字は読める?」

龍丸は頷いた。

「手紙ここに置いておくわね!それじゃぁ、ご飯食ってくるから!」

そう言うと、真夏はバタバタと部屋を出て行った。

「あっ!」

(ありがとうっていい損ねた。)

龍丸は少し後悔しながら、孤太郎からであると言う手紙に目を向けた。

(あの、変な人の手紙か、、、、)

龍丸は少し読みたくないと思いながらも手紙を開いた。


じいさんの孫へ!

お前は多分言うことを聞かないと思ったから眠らせて、孤児院に連行した!多分真夏から話は聞いたかもしれないがお前にはそこで新しい家族と生活してもらう!
じいさんの元に戻りたいかもしれないが、お前が一人前になるまでそれはできない。これはおれとじいさんの約束だ。ただ、絶対にお前がまた会う時まで、じいさんの亡骸は守っといてやるから安心しろ。
成長して一人前になった姿でじいさんに会いに行ってやれ!今はそのための修行だ!
   
追伸    この手紙は12歳になるまで絶対に捨てるな。

孤太郎


孤太郎からの手紙を読んで、龍丸は少しだけ孤太郎のことが好きになった。
そして、必ずおじいちゃんの元へ戻ってみせると決意を固めたのであった。


しおりを挟む

処理中です...