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勇者と伝説の島
勇者の考察
しおりを挟む弘太は涙した。勇者という存在がこんなにも大きく変化し、本当に人を救っていることに、そして救われた人々も800年もの間この話を語り継いで、勇者を崇めていることに。
魔王は何も言わなかった。何か考え事をしているように感じた。
「これが勇者の伝説だよ。勇者自体が出てくるわけじゃなくて勇者の言葉を聞ける青年が勇者の言葉をもとに人々を救うっていう少し変わったストーリーで、僕は最初そこが気になって研究を始めたんだ。そして、確実にこれは実話なんだ。」
その言葉に、弘太もまた、勇者の伝説に確信を持ちうなずいた。今の自分と魔王の関係が、青年と勇者の関係にダブったからだ。
「僕が確信している理由として、主に子供たちなんだ。この子らは日常から魔法を使い、遊んでいる。しかも、その魔法も特別なものだ。体内を縦横無尽に駆け巡る魔力なんてこの島以外ではきいたこともないしね。そして、子供たちの体質的な部分だけど、魔力が異常に少ないんだ。」
「え!?そうなんですか!」
弘太は、今日の鬼ごっこを思い出し、驚いた。
「ここの子供たちは魔力の運用が異常にうまいんだ。それも誰かから習うんでもなく、自分で身に着けていくらしい。これこそが、勇者が残した遺産なのではないかと思ている。」
「実は僕、うまれつき魔力が少ないんです。それで試行錯誤して、体内の魔力を集中することで節約して戦ってきたんですが、ここの子供たちは普通にそれをしていたので不思議だったんです。だからこそ、ここの子供たちのすごさはよくわかります。」
弘太の話を聞いて、博士は感心していた。
「逆にこの島の子たちと同じような状況から同じような改善策を考え付くのは素晴らしいね。弘太君の魔法の話を聞かせてもらってもいいかい?」
その日は夜まで博士と勇者のことや、魔法のことを語った。
魔王は、話にはあまり興味がなかったような気がした。
博士に部屋に案内された弘太は部屋で一人になると魔王に話しかけた。
(ルシ様、どうかしたんですか?)
<あぁ、少し考え事をしていたのだ。>
余りに神妙な顔だったので、弘太はそれ以上聞くのをやめて、寝ることに決めた。
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