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第1章 Ans.天空学園都市NOAH:日常編
→06_step!_DINNER.「28th.3日遅れのクリスマスパーティ(1)
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「さあ!貸切ですのでご自由にお食べ下さい、ですわ!」
NOAHでは農場が限りなく少なく、あったとしても新開発の農薬実験施設だ。その為、食糧はアメリカなどのEDENの各国の輸入に頼り切っているので食材自体が貴重なのだ。
しかしそれは全て、国連の陰謀なのでは無いかと疑ってしまう位に数々の上等な料理がブュッフェを彩っていた。
──そんな異常な光景に驚くシドは、今の内に喰えるだけ喰うという勢いで好物のハンバーガーをメインに、肉料理とティラミスをわんぱくに次々とプレートに乗せていく。
「ラト姉は何食べるの?!」
「うーん……私もー……うん!ハンバーガーかなぁ☆」
一方でラトのプレートはサラダがメインといった感じで、バランスよく見栄え良く盛られていた。
「あ、あ、会いたかったぜー!!!!和食ー!!!!」
本当に料理という料理が並べられている。そしてその中に、和食がある事に龍樹は感動した。
◇
「う、うふぁふぎる!」
「はぁ……ちょっと食事を与えただけで、この有様……、全く。そこは全然変わりませんのね」
シドに呆れるサラ先生はナイフとフォークをそれぞれ右手と左手に持ち、ステーキを口へと運ぶ。その姿はまるで中世の貴族令嬢の様な立ち振る舞いだった。
「ははは!ラトと似て、良い食いっぷりじゃないか!ボクも負けてられないなぁ!よーし!」
むしゃむしゃと勢い良く食べるシドに感化されて生徒会長もステーキを頬張り、シドに負けず劣らない食いっぷりを見せる。
「あー、何やってんだコイツら……」
「はぁ……元々はリュウジュを生徒会に迎える為のご馳走でしたのに……」
「……は!?聞いてねぇ!?」「何!?」
ボソッと、サラが呟いた一言に龍樹とフリーは食事の手をピタッと止めて、驚きの声を上げる。
「あら?……まさかタダで住めるとお思いでしたの?ププッ、そうだとしたら正に滑稽ですわ!」
「ちょっと待ってくれ師匠!ボクは喜んで迎えるが、なんの前触れも無くリュウジュを生徒会に迎えるのは、NOAHの学生達や他の委員会が許してくれるのか?!……ましてや、国連やクロミセンパイはなんと言うのか……、あぁ!考えるだけでも恐ろしい……!」
フリーは生徒会長故に、常に何かの書類やストレスに追われているが故に、これ以上の負荷と書類を避けようと、『リュウジュをタダで養えないか?!』と懇願する。
「そうだ!そうだ!ワタクシ、星丘龍樹も!フリー生徒会長パイセンの意見に賛成であります!ニート最高!」
「あらぁ?それでしたらどうぞご勝手にぃ? 家無し、一文無しという状況の貴方が、NOAHという成層圏に位置する、逃げ場の無いジャングルで孤独に死にたいと言うのならぁ。わたくしは引き止めませんわぁw」
サラ先生は『オーッホッホッ~!』とお嬢様キャラのお手本の様に高らかに笑いながら、龍樹に現実を突きつける。
「は?……成層圏……!? 嘘、だろ……俺のゼロから始める完璧異世界ニート最高生活が……」
龍樹はショックを受け、背骨を抜かれた様に脱力する。
(突然、転移して普段の日常を失った事には何もショックを受けないのに、これでショック受けるんだ……)
シドは苦笑いを浮かべ、龍樹の少し狂った価値観に心の中で少しばかりドン引きする。
「ま、わざわざこちらから言う手間も省けて好都合でしたわ。……そしてシド、次は貴方とベルについてですのよ」
口をいっぱいにさせ『うへ?ほく??』と不意をつかれ、サラ先生からロックオンされたシドは、精神的に撃ち殺された龍樹を横目に身構える。
「ではマナーは悪いですが、引き続き食事をしながら。貴方がJ.Jに襲撃された際に、何がありましたの?その時の事は覚えていらっしゃいますの?」
サラ先生の表情が先程よりも真剣な表情になった。
あの事件の後、J.JはNOAHやEDENで指名手配されたらしい。サラ先生のシドへのこの質問は、『風紀委員会顧問:サラ・テイラー』としての質問だろう。
シドはオレンジジュースを飲んでから答える。
「……それが、僕には能力があったらしいんだけど、それがどういう能力なのか全然覚えてなくて」
「え……嘘、シド……あの影みたいな能力の事、忘れちゃったの……!?」
ラトはショックを受けた。何故なら自分が弟を守れず事件に巻き込んだ結果、弟があれほどに待望していたPSYを消失させてしまったから。
「私のせいだ……」
「……覚えてる事をゆっくり話してくれないかしら?」
「う、うん。えーとJ.Jに襲われた事と……ベル、の事……あと気絶した時、悪夢を見た。でも記憶がだいぶ朧気で……えーと、深い海の中に浮かぶ様な、夢?」
いつかに見た夢、それは未だ鮮明にシドの脳にこびり付いていた。結局、あの夢は何だったのか?あの女性の声は誰なのか?
「……海の中に浮かぶ夢?……夢、ですって?!」
シドが話した途端に、突然サラ先生は珍しく驚いた。そして独り言の様に、呪言の様に何かを呟く。そんな様子に心配と疑問を持ったシドは聞く。
「どうかしたんですか?」
「……あ、あぁ、いやなんでもないですわ。ではシドと共に行動していたリュウジュは、シドに何か変わった様子はありましたかしら?」
龍樹は思い出そうとして、顔をしかめ俯きながら深く考え込む。
「あー、んー……俺も意識やばかったし、なんせシドとは昨日に出会ったばっかだから、確かな事は言えねえけど……なんか、シドって言うか……シドに似たナニカが身体を乗っ取ってた感じって言うか、……うん!雰囲気が違った!」
「雰囲気が違った……? そしてシドは所々明確に覚えている節がある……ということは乗っ取られていた説はかなり濃厚ですわね。ありがとうございましたの、リュウジュ」
そうして昨日の事件の事情聴取は、大した情報が得れずに終わる。それと同時に全員が食事を終えた様だった。
「──ちょっと待ってくれ!」
今まで黙っていたフリーが、今までの会話を聞いた上での疑問を持った様子で、この事情聴取が終わるのを阻止する様に遮る。
「ん?……おかしな点が一つ、無いか?」
「おかしな点?どうしたんですの?」
「──どうしてリュウジュの背中のキズは、治っているんだ?」
──盲点だった。
何故、誰も気づかなかったのか?あの場に居たシドも龍樹の背中のキズの事を思い出した様で、周りと同じく驚いた表情を浮かべていた。
それに対し当の本人、龍樹は──
「ああ!それは!狐のケモ耳獣人スク水メスガキロリっ子がキズを治してくれた!」
は、はい?
この場に居る全員が同じ反応を示す。
緊張感は一気にゼロに。
「……むふふ……リュウジュ君、それはえっちなヤツかい……?」
フリーはどこかの司令の様に、手を前に組み、真剣な表情で龍樹に質問する。シドは(あれ、生徒会長って……)と心の中で生徒会長の本質に気付き始めるが、何とか噂で聞いたかっこいい生徒会長をイメージし、現実逃避する。
「はい!えっちなヤツであります!生徒会長!」
………
……
…
「「むふふふふふ」」
(あ、ダメだった。現実逃避失敗した。当たってしまった。予想が。この人、リュウジュと同じで変態だ)
龍樹は何となくラノベ主人公の様な見た目からなんとなーくそういう要素があるのは、シドには分かっていた。が、まさか生徒会長もだったとは思ってはいなかったシドは少し、ほんの少ーーしだけ失望した。
「はぁ……全くバカ過ぎますわ。にしてもどういう事ですの?あのラプラスでも『観測』出来なかったなんて……イレギュラー過ぎますわ……」
「それは本当ですか?!師匠!」
「あれ?急に話に置いてかれた気がする」「そうみたいだな……」
突然、会話が高度になる。さっきまでの会話から数秒でここまで変わるものなのか。
「ああ、すみません、こっちの話ですわ。……あら?2人とも口をポカンと開けて、一体どうしたんですの?」
サラ先生は、口をポカンと開けている2人に対して、恐らく無自覚で煽る。
「あ、い~やぁ?こっちの話ぃ。だよね!リュウジュ!」「あ、ああ!こっちの話だ!」
「……なんなんですの?」「なんだ?気になるなぁ!」
先生とフリーは気づかない。シドに煽られた事を。
「で、リュウジュ。その時の事は覚えていますの?」
サラ先生は龍樹が背中を刺された時の事を聞く。
「それがなぁ、シドと同じであんま覚えてねぇんだ。わりぃ」
「また『記憶喪失』ですの!?だいたい記憶喪失はそう易々となるものでも無いし、だいたいのフィクションでは1人だけのお約束じゃないんですの!?」
次々と続出する記憶喪失者にサラ先生もこれにはお手上げの様だった。
「……もう扱い切れませんわ……あまりにも常軌を逸していて」
「あはは……そういえば、ベルの事って何ですか?」
サラ先生のシドへの質問、2個目。龍樹の件で途切れてしまった質問をシドは思い出した。
「……すみませんシド。その事は、やはりベルの事は忘れてくださるかしら……?」
サラ先生は、浮かない顔をして俯いた。それはシドに何か言えない事があるかの様な表情だった。
『どうかしたんですか?』と気になったシドは質問をするが、『なんでもないですわ』とサラ先生は何度も質問を受け流して、答えない。
「教えてください!!」
ついに焦らしに痺れを切らしたシドが叫ぶ。
「…………はぁ、しょうがない分かりましたわ。少しだけですわよ」
叫ぶシドの圧に押されたのか、サラ先生は渋い顔と大きなため息をしながら遂に口を開く。
心待ちにしていたシドは、目を輝かせて、これから何を言われても良い様に、衝撃に耐えるために備える。
「まず……『7人の科学者』という都市伝説はご存知?」
7人の科学者。それは約500年前にかつて世界に多大な貢献をしたとされる人類の希望、EDENやNOAHを創設したと言われる匿名の科学者達。
その科学者達が匿名な為に『フリーメイソン説』だとか、とある実験に成功して死んでも復活するという噂から『不老不死説』等の『7人の科学者』から派生した都市伝説が多々存在する、古くから語られるお馴染みの都市伝説だ。
「もちろん、知ってますけど……何で?」
「────それは……」
息を飲む。
「──ベルとわたくしがその『7人の科学者』だからですわ」
---
NOAHでは農場が限りなく少なく、あったとしても新開発の農薬実験施設だ。その為、食糧はアメリカなどのEDENの各国の輸入に頼り切っているので食材自体が貴重なのだ。
しかしそれは全て、国連の陰謀なのでは無いかと疑ってしまう位に数々の上等な料理がブュッフェを彩っていた。
──そんな異常な光景に驚くシドは、今の内に喰えるだけ喰うという勢いで好物のハンバーガーをメインに、肉料理とティラミスをわんぱくに次々とプレートに乗せていく。
「ラト姉は何食べるの?!」
「うーん……私もー……うん!ハンバーガーかなぁ☆」
一方でラトのプレートはサラダがメインといった感じで、バランスよく見栄え良く盛られていた。
「あ、あ、会いたかったぜー!!!!和食ー!!!!」
本当に料理という料理が並べられている。そしてその中に、和食がある事に龍樹は感動した。
◇
「う、うふぁふぎる!」
「はぁ……ちょっと食事を与えただけで、この有様……、全く。そこは全然変わりませんのね」
シドに呆れるサラ先生はナイフとフォークをそれぞれ右手と左手に持ち、ステーキを口へと運ぶ。その姿はまるで中世の貴族令嬢の様な立ち振る舞いだった。
「ははは!ラトと似て、良い食いっぷりじゃないか!ボクも負けてられないなぁ!よーし!」
むしゃむしゃと勢い良く食べるシドに感化されて生徒会長もステーキを頬張り、シドに負けず劣らない食いっぷりを見せる。
「あー、何やってんだコイツら……」
「はぁ……元々はリュウジュを生徒会に迎える為のご馳走でしたのに……」
「……は!?聞いてねぇ!?」「何!?」
ボソッと、サラが呟いた一言に龍樹とフリーは食事の手をピタッと止めて、驚きの声を上げる。
「あら?……まさかタダで住めるとお思いでしたの?ププッ、そうだとしたら正に滑稽ですわ!」
「ちょっと待ってくれ師匠!ボクは喜んで迎えるが、なんの前触れも無くリュウジュを生徒会に迎えるのは、NOAHの学生達や他の委員会が許してくれるのか?!……ましてや、国連やクロミセンパイはなんと言うのか……、あぁ!考えるだけでも恐ろしい……!」
フリーは生徒会長故に、常に何かの書類やストレスに追われているが故に、これ以上の負荷と書類を避けようと、『リュウジュをタダで養えないか?!』と懇願する。
「そうだ!そうだ!ワタクシ、星丘龍樹も!フリー生徒会長パイセンの意見に賛成であります!ニート最高!」
「あらぁ?それでしたらどうぞご勝手にぃ? 家無し、一文無しという状況の貴方が、NOAHという成層圏に位置する、逃げ場の無いジャングルで孤独に死にたいと言うのならぁ。わたくしは引き止めませんわぁw」
サラ先生は『オーッホッホッ~!』とお嬢様キャラのお手本の様に高らかに笑いながら、龍樹に現実を突きつける。
「は?……成層圏……!? 嘘、だろ……俺のゼロから始める完璧異世界ニート最高生活が……」
龍樹はショックを受け、背骨を抜かれた様に脱力する。
(突然、転移して普段の日常を失った事には何もショックを受けないのに、これでショック受けるんだ……)
シドは苦笑いを浮かべ、龍樹の少し狂った価値観に心の中で少しばかりドン引きする。
「ま、わざわざこちらから言う手間も省けて好都合でしたわ。……そしてシド、次は貴方とベルについてですのよ」
口をいっぱいにさせ『うへ?ほく??』と不意をつかれ、サラ先生からロックオンされたシドは、精神的に撃ち殺された龍樹を横目に身構える。
「ではマナーは悪いですが、引き続き食事をしながら。貴方がJ.Jに襲撃された際に、何がありましたの?その時の事は覚えていらっしゃいますの?」
サラ先生の表情が先程よりも真剣な表情になった。
あの事件の後、J.JはNOAHやEDENで指名手配されたらしい。サラ先生のシドへのこの質問は、『風紀委員会顧問:サラ・テイラー』としての質問だろう。
シドはオレンジジュースを飲んでから答える。
「……それが、僕には能力があったらしいんだけど、それがどういう能力なのか全然覚えてなくて」
「え……嘘、シド……あの影みたいな能力の事、忘れちゃったの……!?」
ラトはショックを受けた。何故なら自分が弟を守れず事件に巻き込んだ結果、弟があれほどに待望していたPSYを消失させてしまったから。
「私のせいだ……」
「……覚えてる事をゆっくり話してくれないかしら?」
「う、うん。えーとJ.Jに襲われた事と……ベル、の事……あと気絶した時、悪夢を見た。でも記憶がだいぶ朧気で……えーと、深い海の中に浮かぶ様な、夢?」
いつかに見た夢、それは未だ鮮明にシドの脳にこびり付いていた。結局、あの夢は何だったのか?あの女性の声は誰なのか?
「……海の中に浮かぶ夢?……夢、ですって?!」
シドが話した途端に、突然サラ先生は珍しく驚いた。そして独り言の様に、呪言の様に何かを呟く。そんな様子に心配と疑問を持ったシドは聞く。
「どうかしたんですか?」
「……あ、あぁ、いやなんでもないですわ。ではシドと共に行動していたリュウジュは、シドに何か変わった様子はありましたかしら?」
龍樹は思い出そうとして、顔をしかめ俯きながら深く考え込む。
「あー、んー……俺も意識やばかったし、なんせシドとは昨日に出会ったばっかだから、確かな事は言えねえけど……なんか、シドって言うか……シドに似たナニカが身体を乗っ取ってた感じって言うか、……うん!雰囲気が違った!」
「雰囲気が違った……? そしてシドは所々明確に覚えている節がある……ということは乗っ取られていた説はかなり濃厚ですわね。ありがとうございましたの、リュウジュ」
そうして昨日の事件の事情聴取は、大した情報が得れずに終わる。それと同時に全員が食事を終えた様だった。
「──ちょっと待ってくれ!」
今まで黙っていたフリーが、今までの会話を聞いた上での疑問を持った様子で、この事情聴取が終わるのを阻止する様に遮る。
「ん?……おかしな点が一つ、無いか?」
「おかしな点?どうしたんですの?」
「──どうしてリュウジュの背中のキズは、治っているんだ?」
──盲点だった。
何故、誰も気づかなかったのか?あの場に居たシドも龍樹の背中のキズの事を思い出した様で、周りと同じく驚いた表情を浮かべていた。
それに対し当の本人、龍樹は──
「ああ!それは!狐のケモ耳獣人スク水メスガキロリっ子がキズを治してくれた!」
は、はい?
この場に居る全員が同じ反応を示す。
緊張感は一気にゼロに。
「……むふふ……リュウジュ君、それはえっちなヤツかい……?」
フリーはどこかの司令の様に、手を前に組み、真剣な表情で龍樹に質問する。シドは(あれ、生徒会長って……)と心の中で生徒会長の本質に気付き始めるが、何とか噂で聞いたかっこいい生徒会長をイメージし、現実逃避する。
「はい!えっちなヤツであります!生徒会長!」
………
……
…
「「むふふふふふ」」
(あ、ダメだった。現実逃避失敗した。当たってしまった。予想が。この人、リュウジュと同じで変態だ)
龍樹は何となくラノベ主人公の様な見た目からなんとなーくそういう要素があるのは、シドには分かっていた。が、まさか生徒会長もだったとは思ってはいなかったシドは少し、ほんの少ーーしだけ失望した。
「はぁ……全くバカ過ぎますわ。にしてもどういう事ですの?あのラプラスでも『観測』出来なかったなんて……イレギュラー過ぎますわ……」
「それは本当ですか?!師匠!」
「あれ?急に話に置いてかれた気がする」「そうみたいだな……」
突然、会話が高度になる。さっきまでの会話から数秒でここまで変わるものなのか。
「ああ、すみません、こっちの話ですわ。……あら?2人とも口をポカンと開けて、一体どうしたんですの?」
サラ先生は、口をポカンと開けている2人に対して、恐らく無自覚で煽る。
「あ、い~やぁ?こっちの話ぃ。だよね!リュウジュ!」「あ、ああ!こっちの話だ!」
「……なんなんですの?」「なんだ?気になるなぁ!」
先生とフリーは気づかない。シドに煽られた事を。
「で、リュウジュ。その時の事は覚えていますの?」
サラ先生は龍樹が背中を刺された時の事を聞く。
「それがなぁ、シドと同じであんま覚えてねぇんだ。わりぃ」
「また『記憶喪失』ですの!?だいたい記憶喪失はそう易々となるものでも無いし、だいたいのフィクションでは1人だけのお約束じゃないんですの!?」
次々と続出する記憶喪失者にサラ先生もこれにはお手上げの様だった。
「……もう扱い切れませんわ……あまりにも常軌を逸していて」
「あはは……そういえば、ベルの事って何ですか?」
サラ先生のシドへの質問、2個目。龍樹の件で途切れてしまった質問をシドは思い出した。
「……すみませんシド。その事は、やはりベルの事は忘れてくださるかしら……?」
サラ先生は、浮かない顔をして俯いた。それはシドに何か言えない事があるかの様な表情だった。
『どうかしたんですか?』と気になったシドは質問をするが、『なんでもないですわ』とサラ先生は何度も質問を受け流して、答えない。
「教えてください!!」
ついに焦らしに痺れを切らしたシドが叫ぶ。
「…………はぁ、しょうがない分かりましたわ。少しだけですわよ」
叫ぶシドの圧に押されたのか、サラ先生は渋い顔と大きなため息をしながら遂に口を開く。
心待ちにしていたシドは、目を輝かせて、これから何を言われても良い様に、衝撃に耐えるために備える。
「まず……『7人の科学者』という都市伝説はご存知?」
7人の科学者。それは約500年前にかつて世界に多大な貢献をしたとされる人類の希望、EDENやNOAHを創設したと言われる匿名の科学者達。
その科学者達が匿名な為に『フリーメイソン説』だとか、とある実験に成功して死んでも復活するという噂から『不老不死説』等の『7人の科学者』から派生した都市伝説が多々存在する、古くから語られるお馴染みの都市伝説だ。
「もちろん、知ってますけど……何で?」
「────それは……」
息を飲む。
「──ベルとわたくしがその『7人の科学者』だからですわ」
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