普通の勇者とハーレム勇者

リョウタ

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2章 クレイジースキル

マスターと…





「う……ん?」

気が付くと、最近見慣れてしまった天井を見上げていた。ここは俺の為に用意して貰った部屋で間違い無いだろう。
天井だけで分かるほどの馬鹿でかい部屋だ。
……どうやら、いつのまにか寝てしまっていたらしい。

恐らく、アリアンさんが俺に投げられた短剣を素手で掴み取った後、直ぐに脳内に鳴り響いていた音声が消えた。それで安心した俺はそのまま寝てしまったんだと思う。

……な、なんか必死だったからあの時は何も思わなかったけど、とんでもない人に一生返せない様な借りを作ってしまった気がするんだが……まぁとりあえず、今度会ったら礼は言っておかないとな。


それよりも、だ……今の状況を整理しないとな──


「……何で膝枕してんの?」

俺は天井の次に映し出されたアルマスを見てそう言った。後頭部には柔らかい感触もある。

どういった心境でこうして居るのかは判らないんだけど?そして俺の問いに対してアルマスこう答えた。


「サービスです」

「おれそう言われて金取られた事あるぜ?」

「じゃあ5万で」

「たけぇ……」

「………」

「………」


やり取りが全く続かない。
なんでそんな深刻な顔してるんだこのおバカロボットは……

アルマスは膝枕をしながら一定のリズムで俺の頭を撫でている。
すごい恥ずかしいんだけど、体はまだキツイし、あまりに心地良くて何も言わずにされるがままだ。

俺がそんな風にボーッとしながら無抵抗で居るとアルマスが声を掛けてきた。


「ごめんなさい……マスター……」

「お前寝てる間に何しやがった?」

「私だって素直に謝りたい時があるのですよ?」

「普段の自分を見てみな」


それでもアルマスはそれ以上は突っ込んで来ずに、謝罪の訳を語り始めた。


「貴方は死んでいました……あの短剣による投擲は、私では対処のしようがありませんでした」

俺は黙ってアルマスの話を聞く。態度がどうみても真剣だったから、彼女に合わせるように俺も真剣になる。

悲しそうな表情で話す彼女に気もするな、と。そう言いたかったが、話を最後まで聞くとしよう。


「アリアンさんはあの後、直ぐに敵の元へと向かい、1分足らずで討伐し戻ってまいりました」

「助けてくれただけじゃなくて倒したのか……やっぱり強いわあの人」

……………てか1分って言ったか!?どんだけすごいんだよあの人……いや、敵が弱かったとか無いよね?もしそうだったら俺ってザコに追い詰められた事になっちゃうけど?


「はい。ですのでマスターが生きているのはアリアンさんと……自らの幸運のおかげです」

私は居なくても大丈夫でしたよと、そう言っている様にも聴こえた。
実際にアリアンさんに出会うまでの道を選んだのは勘に任せた自分だし、敵を退けたのはアリアンさんだが。


「私には結局、主を救うことなんて出来ないのですよ」

「別に大丈夫だったから良いじゃん?」

「………」

アルマスに返事は無い。
だが、こいつは何か勘違いをしているようなので、俺は畳み掛ける様に言葉を続ける。


「それにぶっちゃけた話、アルマスは最後までずっと俺の為に警戒してくれてたし、励ましたりもしてくれただろう?──戦いなんて強い人達に任せておけばいいんだし、アルマスは出来る範囲で最高の手助けをしてくれたと思うよ?」
 
俺が真剣にそう言うと、アルマスも悲しげだった表情を真剣なものへと変え聞いてくれる。


「ていうか、あれだけ凄いスキル見せられた後に、そんな悲観的な事言われても説得力無いぞ?これからマジでアルマス頼みで行くつもりだから、頼むぜ?」

これからアルマスは俺を養って行かなければならない……この事は是非忘れないで頂きたい。


「それに考えても見ろよ?なんだかんだ俺たちって今日出会ったばっかりなんだぜ?そこまで気にする様な間柄でも無いだろう?」

そうだ、戦いが始まってからアルマスの態度が尋常じゃない気がする。
いや、アルマスとしては俺が死んだら消滅してしまうのだろうか?……そうなら必死になるのもわかるな。


「そうですね………貴方にとってはそうなのでしょうね」

「どういう事だ?」

「何でもありませんマスター……今は夜のパーティーに備えてゆっくりとお休みなさい」

そう言ってアルマスは、俺の体を自身の胸元まで引っ張り、抱き枕を抱く様な感じになった。
流石に抵抗したが、結構な力だったので早々に諦めた……なにこいつオカンっぽい感じになってんの?


「……目が覚めたらいつもと同じ調子で頼むぜ?」

いつもと同じと言っても、今日出会ったばっかりなんだよなアルマスとは。
なのに何故か長いこと言い合いをしてきた様な感じがする……まぁそう思うくらいに浅くて濃い会話をして来たからな。


「今のおま……アルマスと話をしていても、真面目過ぎてあんまり面白くないぜ?」

「……はい」


俺の言葉を聞いて、アルマスは嬉しそうな表情で返事を返してくれた。

他にも色々言いたい事はあったが睡魔に負けてしまった俺は、そのままアルマスの胸の中で深い眠りに就くのだった。


「ふふ……本当に変わらないですね」



完全に眠りに落ちてしまった孝志に、アルマスの呟きの言葉など当然聴こえて居なかった……


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