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「お見苦しいところをお見せして申し訳ありませんでした。それに巻き込んでしまって本当に申し訳ありませんでした。」
こんなに恥ずかしい事は無い。
そんなことがあるまで私は彼の話も聞かずに逃げるようにあてもなく電車に乗り、追いつかれそうになると慌てて電車を降りた。
そしてあの騒ぎ。
彼に元カレのことを話した事は無い。
まともな恋愛もできない。
話もできない最低な女だ。
恐ろしく惨めでこんな女に三島さんはきっと愛想尽かす。
いや、もともとつかされる愛想なんてないのだけど。
呆れられても仕方ない。消えてしまいたかった。
出来る限りの声で私は彼にお礼を言い自分のアパートに向かおうとした。
すると彼は私の手を引き
「帰したくない。一人にできないよ。お願いだから俺の家に来て。」
と静かに言った。
私は黙って首を振った。
行けるわけがない。
彼の家にこんな姿で、こんな惨めなところを見られて行けるわけがない。
「本当に今日はありがとうございました。それにさっきは話も聞かずにごめんなさい。ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。」
深く一礼し立ち去ろうとする私の腕を彼はつかみ
「帰したくないんだ。俺の話もまだ聞いてほしい。それに帰って君が一人で泣くのなんて耐えられない。俺の家に来て一緒に食事をしよう。話を聞いてほしい。俺は君に疑われるような事は本当に何もしてないから。とりあえず、その恰好じゃ帰らせれないから。ね。」
私は、はだけてしまった胸元を抑えてうつむいた。
進む気力も戻る気力もなく『ね。』と覗き込む彼の優しさに流されて私は手を引かれるまま進む。
部屋に入るとすぐに三島さんはティーシャツを出してくれた。
私はバスルームを借りボタンが飛んで胸元がはだけてしまったブラウスを脱ぎ彼から借りたティーシャツをきてバスルームを出た。
彼は私をソファーに座らせると飲み物を出してくれた。
そして隣に座り、少し前に聞いた話を同じようにしてくれた。
同僚の結婚祝いを買いに行っていただけで本当に彼女とは何もない。
そんな気もないことを信じてほしいと。
私はその話を信じるかどうかではなく、今日の一連の全ての事が遠い昔のような今この場で起きているようなどこにも行けないような気持ちでいたたまれなくなりながら彼の話をただ聞いていた。
彼は私の手を握り
「信じてほしい。本当に何もないから。」
「分りました。ごめんなさい。話も聞かずに逃げ出すようなことをしてすみませんでした。」
「よかった。」
彼はそう言って微笑み、大きく息を吸った後
「ピザでいい?」
食欲などなかったが私はうなずいた。
努めて明るく聞く三島さんの気遣いが苦しい。
三島さんはピザを注文し、私は水滴を帯びたグラスを握ったままずっと下を向いていた。
さっき起こったことの説明を三島さんにしなくてはいけないだろう。
何も聞かずに三島さんは私を助けてくれた。
でも、どう見たって男女の修羅場だ。
それも恐ろしく低俗な。
こんなことに巻き込まれる女なんてどう思われるだろう。
男を見る目がまったくない女?
それとも横恋棒?男を見る目がない女と言うのは確かに正しいかもしれない。
ただ横恋棒をした覚えは無い。むしろされたほう。
そしていつでも私は選ばれない女。
それだけだ。
こんなに恥ずかしい事は無い。
そんなことがあるまで私は彼の話も聞かずに逃げるようにあてもなく電車に乗り、追いつかれそうになると慌てて電車を降りた。
そしてあの騒ぎ。
彼に元カレのことを話した事は無い。
まともな恋愛もできない。
話もできない最低な女だ。
恐ろしく惨めでこんな女に三島さんはきっと愛想尽かす。
いや、もともとつかされる愛想なんてないのだけど。
呆れられても仕方ない。消えてしまいたかった。
出来る限りの声で私は彼にお礼を言い自分のアパートに向かおうとした。
すると彼は私の手を引き
「帰したくない。一人にできないよ。お願いだから俺の家に来て。」
と静かに言った。
私は黙って首を振った。
行けるわけがない。
彼の家にこんな姿で、こんな惨めなところを見られて行けるわけがない。
「本当に今日はありがとうございました。それにさっきは話も聞かずにごめんなさい。ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。」
深く一礼し立ち去ろうとする私の腕を彼はつかみ
「帰したくないんだ。俺の話もまだ聞いてほしい。それに帰って君が一人で泣くのなんて耐えられない。俺の家に来て一緒に食事をしよう。話を聞いてほしい。俺は君に疑われるような事は本当に何もしてないから。とりあえず、その恰好じゃ帰らせれないから。ね。」
私は、はだけてしまった胸元を抑えてうつむいた。
進む気力も戻る気力もなく『ね。』と覗き込む彼の優しさに流されて私は手を引かれるまま進む。
部屋に入るとすぐに三島さんはティーシャツを出してくれた。
私はバスルームを借りボタンが飛んで胸元がはだけてしまったブラウスを脱ぎ彼から借りたティーシャツをきてバスルームを出た。
彼は私をソファーに座らせると飲み物を出してくれた。
そして隣に座り、少し前に聞いた話を同じようにしてくれた。
同僚の結婚祝いを買いに行っていただけで本当に彼女とは何もない。
そんな気もないことを信じてほしいと。
私はその話を信じるかどうかではなく、今日の一連の全ての事が遠い昔のような今この場で起きているようなどこにも行けないような気持ちでいたたまれなくなりながら彼の話をただ聞いていた。
彼は私の手を握り
「信じてほしい。本当に何もないから。」
「分りました。ごめんなさい。話も聞かずに逃げ出すようなことをしてすみませんでした。」
「よかった。」
彼はそう言って微笑み、大きく息を吸った後
「ピザでいい?」
食欲などなかったが私はうなずいた。
努めて明るく聞く三島さんの気遣いが苦しい。
三島さんはピザを注文し、私は水滴を帯びたグラスを握ったままずっと下を向いていた。
さっき起こったことの説明を三島さんにしなくてはいけないだろう。
何も聞かずに三島さんは私を助けてくれた。
でも、どう見たって男女の修羅場だ。
それも恐ろしく低俗な。
こんなことに巻き込まれる女なんてどう思われるだろう。
男を見る目がまったくない女?
それとも横恋棒?男を見る目がない女と言うのは確かに正しいかもしれない。
ただ横恋棒をした覚えは無い。むしろされたほう。
そしていつでも私は選ばれない女。
それだけだ。
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