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帝国編
第85話 リディアの事情
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ロイ一行は手早くキングストン城を制圧すると、2時間程の休憩を取ってすぐに東へ向かった。
骸骨の魔族、所謂"リッチ・テイカー"は黒い剣士の予測通りにロイ達が来たことを語った。
頭の中でこれが何を意味するか1つ1つ総合的に判断した結果、ハルトがこの地に来ていると推測した。
それにより、ここから東にテスティードを全速で走らせて約3時間の距離にある"アルスの塔"に全兵力を集結させていると考えた。
東に向かう道中、テスティード車内に仕切りを作って1人1人順番に身体を洗っている。いくらキングストン城でもスタークが全員一気に風呂に入ることはできない。
それ故にロイ達は自分達を後回しにした。
「ほれ、次はユキノ、お前で最後だ」
「ありがとうございます。──覗かないで下さいよ?」
「覗かないからさっさと行ってこい」
「はーい!」
ロイが身体を拭き終わり、ユキノに交代した。
ロイが車内を見渡すと全員壁にもたれ掛かって眠っている。連戦と慣れない土地での激戦、たった2時間の休憩、みんな消耗し過ぎている。
かくいうロイも窓から外を見ているうちにすぐにコクリコクリと眠気に襲われ始めた。
「はぁ、ユキノもよく頑張ってるよな」
ユキノの方を見ると、明かりの影響で影のシルエットが仕切りに浮かび上がっていた。丸みを帯びつつもツンと先端が上を向く2つの胸部。
シルエットの中のユキノは色々と角度を変えつつ身体をタオルで拭き取っていく。
影越しでもぷるんぷるんと揺れてるのに気付いてロイは眠気が吹き飛んでしまう。
「バッ! 明かりをもうちょい弱くしろよ。マナブが起きたら鼻血が出て車内が汚れるだろ……」
ボソボソと愚痴りながら、チラリとマナブを見ると完全に寝ていてホッとする。
「──キャアッ!」
ユキノが唐突に叫んだのでロイは一瞬躊躇しつつ中へ入る。
「大丈夫か!?」
「──え、ちょ! どうしてくるんですか!?」
「いや、叫んだろ? 流石に見過ごせねえって!」
「あ、ご、ごめんなさい! ローブに紫のお肉が付いてたから驚いちゃったんです……」
ユキノの語る紫のお肉とは、それすなわち"アンデッドの肉片"である。一応食べてもお腹を壊すだけで、コレを放っておいたから復活すると言うこともなく、特段害はない代物だ。
ロイは溜め息と共に地面に座り込む。
「なんだよ、脅かすなよ……」
「あ、あのっ! ──そろそろ出てくれると助かるのですが」
そこで気付く、全裸のユキノと仕切りの中で向かい会ってることに。ちなみに全裸と言っても大事なところは当然タオルで隠してるし、そのタオルが透けてるなんてことはない。
「わ、悪かった! すぐに出るから──」
「あ、やっぱり待ってください!」
「へ? い、いや……何言ってんの?」
「その、私のあられもない姿を見たので、その罰として……背中、拭いてくれませんか?」
罰が必要と言うなら甘んじて受け入れるが、それは違うんじゃないか?
そう思いつつもロイは予備のタオルをお湯に浸けてユキノに近付く。
「じゃあ、行くぞ?」
「ど、どうぞよろしくお願いします!」
背中にタオルを付けてゆっくりと上下させる。その間、ユキノは途中だった前面を拭いてるのだが、脇を上げたときに大きなソレがチラチラ見えてしまって思わず喉がゴクリと鳴ってしまう。
と、その時──ユキノが動きを止めてロイに語り始めた。
「リディアさんの教育係さんから色々聞きましたよね。ロイさんはどう思いますか?」
キングストン城を制圧した時にリディアの教育係から色々聞かされる事になった。
リディアはガナルキンと使用人との間に出来た子供であり、お金だけ渡されて放逐された。
だけど母親と共に生きて夢だったギルド職員になることができた。
これから放置され続けると安心していたら、あの魔族とガナルキンが現れて、ダークマターを職員のコネで広く浸透させる手伝いを無理矢理させられた。
夢を汚されたリディアはガナルキンを殺してキングストン家を無茶苦茶にするべく、予め侵食していた下級貴族をアルスに集めている、使用人はそこまで語ってくれた。
残念ながらハルトは最近現れたらしく、あまり情報は集まらなかった。
「リディアは自暴自棄になっている。だからと言って他者の心を汚染させるダークマターを使うのは違うよな? 汚染された奴の子供はどう思う? 変わりゆく親を見て悲しむんじゃないのか? 俺は正義の味方ではない、だけど平穏は大好きだ。大切な平穏の為に────止めるしかないよな」
「そうですよね、止めないと確実に被害は増えますよね……」
「それにハルトがここに来たのなら好都合だ」
「本当にハルトでしょうか?」
「ダートも近くにいるんだ。こっちの情報もある程度伝わってるはず、だからハルトは俺達がリディアを止めに来ると踏んで拠点をアルスの塔に移したんだろうさ」
「何でアルスの塔なんですか?」
「十中八九、土属性の解放が狙いだろ。武器を加工する火力だけあっても肝心の鉱石が増えなければいつか底をつくからな。アルスの塔──俺達が着く前に解放されてないことを祈っとかないとな」
会話の途中、ユキノが唐突に身動ぎした。
「……んぅっ!……ろ、ロイさん。手がちょっと前に来すぎてます」
ロイは話しに夢中過ぎて指先がユキノの横乳に触れてるのに気付かなかった。
急いで手を引っ込める、浄化行為以外で触れると年頃のロイも流石にどぎまぎしてしまうのだ。
「あ、あのっ!」
「──なんだよ?」
「そっちを向いても良いですか? なんだか顔が火照って、そうしなきゃいけない気がしてきたんです……」
「ま、待て! タオル有りでも流石にそれは──」
「ごめんなさい……もう、無理そうです」
ユキノがこちらをゆっくり向く。タオルを巻いたまま四つん這いでジリジリ距離を詰め始める。
──深い谷間に思わず目を奪われる。が、すぐに理性を取り戻す。
「お、おい!」
「ロイさぁぁぁん!」
ユキノはロイの首に手を回しながら飛び込んだ。
…………。
「……くぅ……くぅ……zzz」
ユキノはロイに抱き付いたまま眠りに落ちてしまった。
「…………ソフィア、頼む」
仕切りの隙間から恨めしそうに覗き見る銀髪美少女にユキノを任せることにする。
「いつから気付いていたんですの?」
「ぶっちゃけ、その髪がチラチラ見えてた。隠れる気もそもそもなかったろ?」
「──そう。ユキノの事はわたくしに任せておきなさい。あなたは頑張り過ぎだから、少しでも休んだ方が良いですわよ」
「ああ、そうさせてもらう」
ロイは眠りに就き、ソフィアはユキノを着替えさせる。そして2時間後、目的地であるアルスの塔に辿り着いた。
骸骨の魔族、所謂"リッチ・テイカー"は黒い剣士の予測通りにロイ達が来たことを語った。
頭の中でこれが何を意味するか1つ1つ総合的に判断した結果、ハルトがこの地に来ていると推測した。
それにより、ここから東にテスティードを全速で走らせて約3時間の距離にある"アルスの塔"に全兵力を集結させていると考えた。
東に向かう道中、テスティード車内に仕切りを作って1人1人順番に身体を洗っている。いくらキングストン城でもスタークが全員一気に風呂に入ることはできない。
それ故にロイ達は自分達を後回しにした。
「ほれ、次はユキノ、お前で最後だ」
「ありがとうございます。──覗かないで下さいよ?」
「覗かないからさっさと行ってこい」
「はーい!」
ロイが身体を拭き終わり、ユキノに交代した。
ロイが車内を見渡すと全員壁にもたれ掛かって眠っている。連戦と慣れない土地での激戦、たった2時間の休憩、みんな消耗し過ぎている。
かくいうロイも窓から外を見ているうちにすぐにコクリコクリと眠気に襲われ始めた。
「はぁ、ユキノもよく頑張ってるよな」
ユキノの方を見ると、明かりの影響で影のシルエットが仕切りに浮かび上がっていた。丸みを帯びつつもツンと先端が上を向く2つの胸部。
シルエットの中のユキノは色々と角度を変えつつ身体をタオルで拭き取っていく。
影越しでもぷるんぷるんと揺れてるのに気付いてロイは眠気が吹き飛んでしまう。
「バッ! 明かりをもうちょい弱くしろよ。マナブが起きたら鼻血が出て車内が汚れるだろ……」
ボソボソと愚痴りながら、チラリとマナブを見ると完全に寝ていてホッとする。
「──キャアッ!」
ユキノが唐突に叫んだのでロイは一瞬躊躇しつつ中へ入る。
「大丈夫か!?」
「──え、ちょ! どうしてくるんですか!?」
「いや、叫んだろ? 流石に見過ごせねえって!」
「あ、ご、ごめんなさい! ローブに紫のお肉が付いてたから驚いちゃったんです……」
ユキノの語る紫のお肉とは、それすなわち"アンデッドの肉片"である。一応食べてもお腹を壊すだけで、コレを放っておいたから復活すると言うこともなく、特段害はない代物だ。
ロイは溜め息と共に地面に座り込む。
「なんだよ、脅かすなよ……」
「あ、あのっ! ──そろそろ出てくれると助かるのですが」
そこで気付く、全裸のユキノと仕切りの中で向かい会ってることに。ちなみに全裸と言っても大事なところは当然タオルで隠してるし、そのタオルが透けてるなんてことはない。
「わ、悪かった! すぐに出るから──」
「あ、やっぱり待ってください!」
「へ? い、いや……何言ってんの?」
「その、私のあられもない姿を見たので、その罰として……背中、拭いてくれませんか?」
罰が必要と言うなら甘んじて受け入れるが、それは違うんじゃないか?
そう思いつつもロイは予備のタオルをお湯に浸けてユキノに近付く。
「じゃあ、行くぞ?」
「ど、どうぞよろしくお願いします!」
背中にタオルを付けてゆっくりと上下させる。その間、ユキノは途中だった前面を拭いてるのだが、脇を上げたときに大きなソレがチラチラ見えてしまって思わず喉がゴクリと鳴ってしまう。
と、その時──ユキノが動きを止めてロイに語り始めた。
「リディアさんの教育係さんから色々聞きましたよね。ロイさんはどう思いますか?」
キングストン城を制圧した時にリディアの教育係から色々聞かされる事になった。
リディアはガナルキンと使用人との間に出来た子供であり、お金だけ渡されて放逐された。
だけど母親と共に生きて夢だったギルド職員になることができた。
これから放置され続けると安心していたら、あの魔族とガナルキンが現れて、ダークマターを職員のコネで広く浸透させる手伝いを無理矢理させられた。
夢を汚されたリディアはガナルキンを殺してキングストン家を無茶苦茶にするべく、予め侵食していた下級貴族をアルスに集めている、使用人はそこまで語ってくれた。
残念ながらハルトは最近現れたらしく、あまり情報は集まらなかった。
「リディアは自暴自棄になっている。だからと言って他者の心を汚染させるダークマターを使うのは違うよな? 汚染された奴の子供はどう思う? 変わりゆく親を見て悲しむんじゃないのか? 俺は正義の味方ではない、だけど平穏は大好きだ。大切な平穏の為に────止めるしかないよな」
「そうですよね、止めないと確実に被害は増えますよね……」
「それにハルトがここに来たのなら好都合だ」
「本当にハルトでしょうか?」
「ダートも近くにいるんだ。こっちの情報もある程度伝わってるはず、だからハルトは俺達がリディアを止めに来ると踏んで拠点をアルスの塔に移したんだろうさ」
「何でアルスの塔なんですか?」
「十中八九、土属性の解放が狙いだろ。武器を加工する火力だけあっても肝心の鉱石が増えなければいつか底をつくからな。アルスの塔──俺達が着く前に解放されてないことを祈っとかないとな」
会話の途中、ユキノが唐突に身動ぎした。
「……んぅっ!……ろ、ロイさん。手がちょっと前に来すぎてます」
ロイは話しに夢中過ぎて指先がユキノの横乳に触れてるのに気付かなかった。
急いで手を引っ込める、浄化行為以外で触れると年頃のロイも流石にどぎまぎしてしまうのだ。
「あ、あのっ!」
「──なんだよ?」
「そっちを向いても良いですか? なんだか顔が火照って、そうしなきゃいけない気がしてきたんです……」
「ま、待て! タオル有りでも流石にそれは──」
「ごめんなさい……もう、無理そうです」
ユキノがこちらをゆっくり向く。タオルを巻いたまま四つん這いでジリジリ距離を詰め始める。
──深い谷間に思わず目を奪われる。が、すぐに理性を取り戻す。
「お、おい!」
「ロイさぁぁぁん!」
ユキノはロイの首に手を回しながら飛び込んだ。
…………。
「……くぅ……くぅ……zzz」
ユキノはロイに抱き付いたまま眠りに落ちてしまった。
「…………ソフィア、頼む」
仕切りの隙間から恨めしそうに覗き見る銀髪美少女にユキノを任せることにする。
「いつから気付いていたんですの?」
「ぶっちゃけ、その髪がチラチラ見えてた。隠れる気もそもそもなかったろ?」
「──そう。ユキノの事はわたくしに任せておきなさい。あなたは頑張り過ぎだから、少しでも休んだ方が良いですわよ」
「ああ、そうさせてもらう」
ロイは眠りに就き、ソフィアはユキノを着替えさせる。そして2時間後、目的地であるアルスの塔に辿り着いた。
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