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混沌による侵食編
第187話 テスティードと墓参り
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バンズはテスティードのオーバーホールと改良の為に、聖都の工房に籠っている。
ここから先はロイ達に手伝える事はないと、キッパリ言い切られた。
それ故にやることのなくなったロイ達は、それぞれ休養を取っていた。
「ね、ねえ……」
控え目な力加減で身体を揺らされて意識が覚醒していく。目を開けると、今ではすっかり馴染んだグランツ王城の天井が見える。
視界の片隅では、サリナがこちらの顔を覗き込んで揺さぶっていた。
まだ眠い、赤の節に入ったとは言え……朝はまだまだ寒い。
「ねえってば、起きてよ」
「んぁ? なんだよ……俺まだ眠いんだよ……」
普段のサリナはツンツンしているけど、実は控え目であまり自己主張をしない性格をしている。これがソフィアだったら頬を引っ張られて毛布を剥がされていたはずだ。
再び惰眠を貪る為に枕に抱き付こうとするも、枕がどこかにいっている。仕方ないのでサリナの腰に抱き付いた。
「ちょ、ちょっとロイ! お腹でグリグリしない、で……くすぐったい! ん、んんっ!」
鋼の心を有しているとは言え、ロイも男。一線を越えない程度での触れ合いを望んでいた。
お腹に顔を擦り付けて、サリナの匂いを堪能する。鼻先が触れるのは程よい肉付きのお腹、その中には男にはない神秘の宮があり、いずれは子を宿す空間だ。
そう思うと、独占欲が沸き起こって、ついつい腕の力を強くしてしまう。
鼻先がヘソに当たる度にサリナは身を捩って声を我慢する。
「お願い、だから……聞いて、よ。……ん、んふぅ……あっ!」
サリナは寝間着ではなく、戦闘用の服に着替えている。だけど今の時代、ガチガチの鎧を着るのは重騎士とカイロくらいなものだ。
────故に脱がしやすい。
服の裾に手を掛けて一気に捲り上げると、大きな胸が下着と共に揺れた。
「あっ……ダメ、だって!」
「サリナ、良い形だ」
「えっ! ……そう、なの?」
嫌がっていたサリナは、途端に抵抗を止めた。
パーティの中では一番小さいらしいけど、正直みんな僅差だと俺は思う。形状や弾力、更には柔らかさまでもが違う。優劣なんて、つけられるわけないんだ。
下着に手を掛けようとしたその時────。
背後でガタッという音がした。
「あ、あなた達はっ! ~~~~ッ!!」
身体はすぐに戦闘体勢に移行して短剣を構えると、聖女フィリアが顔を真っ赤にして声にならない声を上げていた。
寝惚けていたのもある。サリナとの触れ合いで少し欲情したのもある。だけどこれは迂闊だ。
もしフィリアじゃなくて暗殺者だったら、かなりマズイ状況だった。
「えーっと、いつからいた?」
「いつからじゃありません! 最初からです! サリナさん、あなたは私とここに来たのだから知っているでしょう! なんで女の顔になってるんですかぁっ!」
フィリアはそう捲し立てたあと、息を切らしていた。
「まぁ落ち着けって。話があって来たんだろ?」
「ええ、そうですが……」
言い淀んだフィリアの視線はサリナの胸に向けられており、それに気づいたサリナは背を向けて衣服を整えた。
場所を食堂に移し、フィリアの話を聞くこととなった。
「パルコさんの遺体について、報告があります」
「保管してある、そう言っていたな」
「ええ、ロイ様には確かにそう言いました。ですが、遺体の腐敗が思った以上に早く、魔術による処置を行いましたが……あれ以上はアンデッド化の恐れがあり、フォルトゥナ教の高官が埋葬される墓地に埋葬しました……」
フィリアは申し訳なさそうに頭を下げた。
俺の目算ではテスティードの改良後にエデンへ向かっても間に合う計算だったが、フィリアの言い方には何かトラブルがあったようにも思える。
「……何かあったのか?」
「はい。パルコさんのご遺体を回収した際、皮膚の表面が僅かに黒ずんでいました。その黒ずみの影響で腐食防止やアンデッド化防止の魔術が利きにくく、現状維持が困難となりました」
「いや、無理だったのなら仕方ない。手間掛けさせたな」
「いえ。このくらい、パルコさんの功績に比べたら……」
「功績か、パルコがいなければ……今頃俺は────」
「そうですね。ロイ様のことを守りきった、これは彼の功績です。私も一緒にパルコさんのお参りをしようと思っております」
「確かパルコはフォルトゥナ教の信者だったな。フィリアに来てもらえたら喜ぶと思う」
ロイの言葉にフィリアは強く頷く。そしてパルコが埋葬された墓地に案内された。
王城にある大聖堂、その庭にある格式高い墓地があり、パルコはそこに埋葬されていた。
東にはレグゼリア王国が見えて、西には水の属性塔・エウロスを保有する水上国家アトモスが望める。
────暖かな風が墓地を吹き抜けた。
「景色いいよな」
「はい、ここから見える景色、特にアトモス海が綺麗ですよ。パルコさんもここなら安らかに眠れるかと……」
「ああ……そうだな」
ロイはパルコの墓石の前でしゃがんだ。そして思い出を静かに振り返る。レグゼリア王国からの亡命、そしてグランツ防衛戦に至るまで────御者として常にテスティードを操縦し、裏方として常に支えてくれた。
とても心強い仲間だ。いつまでも忘れることはないだろう。
「花を買ってきたんだけど……フォルトゥナ教って花ダメだっけ?」
サリナが花を手に持ってくる。ロイに代わりフィリアがその花を受け取った。
「サリナさん、あなた方の世界でも花を添えるのですね。フォルトゥナ教も同じですよ。ささ、一緒にお祈りしましょう」
フィリアはサリナから受け取った花を墓石に添えたあと、綺麗な声で歌い始めた。
墓石の周囲に光の粒子が現れて、その幻想的な光景に目を奪われる。
聖女自らの追悼歌に、パルコの魂が安らかな眠りにつけるよう、3人で祈った。
Tips
胸の大きさと特徴
ユキノ 1位・柔らかさと形状特化
ソフィア2位・全てにおいてバランス良く高水準
アンジュ3位・弾力性は随一
サリナ 4位・最初は硬く、触れる程に柔らかくなる変化系
※ 神剣が変化する過程において、ロイが実際に感じたデータを参照にしています。
ここから先はロイ達に手伝える事はないと、キッパリ言い切られた。
それ故にやることのなくなったロイ達は、それぞれ休養を取っていた。
「ね、ねえ……」
控え目な力加減で身体を揺らされて意識が覚醒していく。目を開けると、今ではすっかり馴染んだグランツ王城の天井が見える。
視界の片隅では、サリナがこちらの顔を覗き込んで揺さぶっていた。
まだ眠い、赤の節に入ったとは言え……朝はまだまだ寒い。
「ねえってば、起きてよ」
「んぁ? なんだよ……俺まだ眠いんだよ……」
普段のサリナはツンツンしているけど、実は控え目であまり自己主張をしない性格をしている。これがソフィアだったら頬を引っ張られて毛布を剥がされていたはずだ。
再び惰眠を貪る為に枕に抱き付こうとするも、枕がどこかにいっている。仕方ないのでサリナの腰に抱き付いた。
「ちょ、ちょっとロイ! お腹でグリグリしない、で……くすぐったい! ん、んんっ!」
鋼の心を有しているとは言え、ロイも男。一線を越えない程度での触れ合いを望んでいた。
お腹に顔を擦り付けて、サリナの匂いを堪能する。鼻先が触れるのは程よい肉付きのお腹、その中には男にはない神秘の宮があり、いずれは子を宿す空間だ。
そう思うと、独占欲が沸き起こって、ついつい腕の力を強くしてしまう。
鼻先がヘソに当たる度にサリナは身を捩って声を我慢する。
「お願い、だから……聞いて、よ。……ん、んふぅ……あっ!」
サリナは寝間着ではなく、戦闘用の服に着替えている。だけど今の時代、ガチガチの鎧を着るのは重騎士とカイロくらいなものだ。
────故に脱がしやすい。
服の裾に手を掛けて一気に捲り上げると、大きな胸が下着と共に揺れた。
「あっ……ダメ、だって!」
「サリナ、良い形だ」
「えっ! ……そう、なの?」
嫌がっていたサリナは、途端に抵抗を止めた。
パーティの中では一番小さいらしいけど、正直みんな僅差だと俺は思う。形状や弾力、更には柔らかさまでもが違う。優劣なんて、つけられるわけないんだ。
下着に手を掛けようとしたその時────。
背後でガタッという音がした。
「あ、あなた達はっ! ~~~~ッ!!」
身体はすぐに戦闘体勢に移行して短剣を構えると、聖女フィリアが顔を真っ赤にして声にならない声を上げていた。
寝惚けていたのもある。サリナとの触れ合いで少し欲情したのもある。だけどこれは迂闊だ。
もしフィリアじゃなくて暗殺者だったら、かなりマズイ状況だった。
「えーっと、いつからいた?」
「いつからじゃありません! 最初からです! サリナさん、あなたは私とここに来たのだから知っているでしょう! なんで女の顔になってるんですかぁっ!」
フィリアはそう捲し立てたあと、息を切らしていた。
「まぁ落ち着けって。話があって来たんだろ?」
「ええ、そうですが……」
言い淀んだフィリアの視線はサリナの胸に向けられており、それに気づいたサリナは背を向けて衣服を整えた。
場所を食堂に移し、フィリアの話を聞くこととなった。
「パルコさんの遺体について、報告があります」
「保管してある、そう言っていたな」
「ええ、ロイ様には確かにそう言いました。ですが、遺体の腐敗が思った以上に早く、魔術による処置を行いましたが……あれ以上はアンデッド化の恐れがあり、フォルトゥナ教の高官が埋葬される墓地に埋葬しました……」
フィリアは申し訳なさそうに頭を下げた。
俺の目算ではテスティードの改良後にエデンへ向かっても間に合う計算だったが、フィリアの言い方には何かトラブルがあったようにも思える。
「……何かあったのか?」
「はい。パルコさんのご遺体を回収した際、皮膚の表面が僅かに黒ずんでいました。その黒ずみの影響で腐食防止やアンデッド化防止の魔術が利きにくく、現状維持が困難となりました」
「いや、無理だったのなら仕方ない。手間掛けさせたな」
「いえ。このくらい、パルコさんの功績に比べたら……」
「功績か、パルコがいなければ……今頃俺は────」
「そうですね。ロイ様のことを守りきった、これは彼の功績です。私も一緒にパルコさんのお参りをしようと思っております」
「確かパルコはフォルトゥナ教の信者だったな。フィリアに来てもらえたら喜ぶと思う」
ロイの言葉にフィリアは強く頷く。そしてパルコが埋葬された墓地に案内された。
王城にある大聖堂、その庭にある格式高い墓地があり、パルコはそこに埋葬されていた。
東にはレグゼリア王国が見えて、西には水の属性塔・エウロスを保有する水上国家アトモスが望める。
────暖かな風が墓地を吹き抜けた。
「景色いいよな」
「はい、ここから見える景色、特にアトモス海が綺麗ですよ。パルコさんもここなら安らかに眠れるかと……」
「ああ……そうだな」
ロイはパルコの墓石の前でしゃがんだ。そして思い出を静かに振り返る。レグゼリア王国からの亡命、そしてグランツ防衛戦に至るまで────御者として常にテスティードを操縦し、裏方として常に支えてくれた。
とても心強い仲間だ。いつまでも忘れることはないだろう。
「花を買ってきたんだけど……フォルトゥナ教って花ダメだっけ?」
サリナが花を手に持ってくる。ロイに代わりフィリアがその花を受け取った。
「サリナさん、あなた方の世界でも花を添えるのですね。フォルトゥナ教も同じですよ。ささ、一緒にお祈りしましょう」
フィリアはサリナから受け取った花を墓石に添えたあと、綺麗な声で歌い始めた。
墓石の周囲に光の粒子が現れて、その幻想的な光景に目を奪われる。
聖女自らの追悼歌に、パルコの魂が安らかな眠りにつけるよう、3人で祈った。
Tips
胸の大きさと特徴
ユキノ 1位・柔らかさと形状特化
ソフィア2位・全てにおいてバランス良く高水準
アンジュ3位・弾力性は随一
サリナ 4位・最初は硬く、触れる程に柔らかくなる変化系
※ 神剣が変化する過程において、ロイが実際に感じたデータを参照にしています。
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