ティーンズの恋愛漫才。

ハリー

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恋愛と漫才とティーンズ。その4

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*** はじめに、ライトノベル風の状況説明をしておきましょう ***

(僕は仮に佐藤、とでもしておきますか。そう田舎でもないけど、確実に地方の町に住む高校2年の男子。毎日、約30分かけて自転車で通学してる。

部活は中学時代は陸上部に入ってたけど、高校は無し。まあ、実力が違うというか。だから、今は帰宅部、フリーランス。

うちの高校、男女共学なんだけど女子の割合は4割くらいかな。今は入学したての1学年の4月なんだけど、このクラスは大正解だと思った。

というのも、一緒のクラスに清楚でおとなしそうな女子がいたんだ。

柴崎加奈子さん、って名前。

できれば『カナちゃん』て言える関係になりたいな。『かなちゃん』だと何かね、、

結構美人だし、偶然席が隣だったんで、話しかけてみると静かな会話の中にも品があり、知性とユーモアが感じられる。

たわいのない会話も楽しいし。これって気が合ってるのかな。気のせい?

どうやら彼氏もまだいないみたいだし。4月のいまならまだ言い寄るやつもいないだろう。

これは神様が僕にくれた、入学早々だけど、高校生活最高のチャンスかもしれない!

そう思った僕は、彼女がいつも一人で帰ってるようなんで、今日の下校時、彼女が下駄箱場から
出た所で思い切って声を掛けてみたんだ。でも話し始めたら、何やら彼女ったらクラスにいる時と
まるで様子が違うんだ。どういう事?

とんちんかんというか、へんてこというか、口説いた訳じゃ無いけれど、それでもやっと一緒に帰れることになったよ。

『駅まで一緒に帰ろう。』ていうから、たぶん柴崎さんは電車通学なんだろうな。一緒に帰るのはいいけれど、今は下校時間。駅までの道には自分の学校やら、他校の連中やらいっぱいいるんだよなぁ。この状況、勇気を出せ、俺!でも柴崎さんは平気なの?

周りを全然気にしない柴崎さんに比べ、僕ははらはら、どきどき。そんな状況でも、おかしな会話は続いてて、、)


(*:ボケが好きそうな柴崎さんの言葉)


*「ではなにか、他にご興味のある事は?」

「できれば柴崎さんの事を、、、」

*「お客様、個人情報に当たる情報は開示できませんが、、、」

「そこまではいいですよ!好きな事とか、食べ物とか、趣味とか、、、」

*「好きな事?まあ、この通りお笑いは大好きよ。」

「でも、クラスの中じゃ、全然、そんな雰囲気無いよね。」

*「当たり前でしょ!どこの高校に、入学したとたんにクラスでお笑いを始める女子がいるの?いたら会ってみたいわ。」

「いや、柴崎さんなら十分、有りかと、、、」

*「猫の額、スズメの涙、蟻のほくろほども有りません!無し無しの無しです!」

「そうなんだ。でも今は、めっちゃ、はじけてるよね。」

*「まあ、話し相手が佐藤君だしね。まさか佐藤君、明日、クラスで『柴崎さんたらさぁ、学校の外だと全然違うんだよー。クラスにいる時はまるっきり猫かぶっててさ。キャットウーマンだよ、キャットウーマン!』とか言わないでしょうね?」

「言わないよー。それに『キャットウーマン』のくだりまで思いつかないよ。だいたい、『キャットウーマン』の使い方、おかしくない?」

*「『キャットウーマン』は物の例えよ。」

「例えになってないと思うけど、、、」

*「とにかく、クラスで私のことを『お笑い好きのアホ女』みたな事言ったら承知しないからね!」

「言わないよ!何も言いません!」

*「そう。なら、いいけど。もし、そんな噂でも流れたら『佐藤君が私の事を校舎裏に呼び出して、いろんな事をしようとしたー!』って、クラスの女の子達に泣いて訴えるからね!」

「やめて、そんな事!絶対、やめて!2年早々、退学手続きしなくちゃいけなくなるよ!僕も、僕の両親も泣くわ!」        

*「冗談よ、半分はね。でも、クラスでは佐藤君からは私のお笑い好きの事、何も言わないように! いいわね!」

「おー、こわ! 分かりましたー。」

*「それなら宜しい。学校中の生徒が下駄箱場からのやり取りを見てるんだからね。『あの二人、何やってんだろー?』って、きっとみんな
思ったわよ。」

「それなんだよ、それ!学校中は大げさだけどさ。遠めで見たら、どう見たって言い争いだったよね。どうしよー?」

*「うーん、そうねぇ。ここは私の趣味を兼ねて、『佐藤君が私をお笑いの相方に誘ってきたー。』って事にするかー。」

「えー、僕、そんな事、全然思ってないけど、、、」

*「『私の趣味を兼ねて、』って言ったでしょ。本当は逆なんだけど、そういう事にしておく!」

「ちょっと、何言ってるんだか分かんないんですけど、、、」

*「いい、あなたは今日から私のお笑いの相方よ!相方!」

「そうなの?相方?それで、いいのかな?」

*「いいわよ、私が決めたんだから!それでいいのだ!」
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