ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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天空大陸~終わりの始まり

"神"なんて居ない。…居てたまるか

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「【魔王】さん…神なんて居ませんよ…
…居るハズがない…(アーク)」

【ん?】

「だってそうでしょ…
俺はまだしも、【聖女】として信徒の様に振る舞ってきたのにも関わらず、この状況になっても姿の1つも見せない。
…元々神なんて居ないと考えるのが普通…(アーク)」

【お前達は何か勘違いしてないか?】

「「え?」」


【魔王】アクロスの発した言葉に反論を示すアーク。
神など居ない。極限状況下に堕ちた自分達に見向きもしない者達なぞ、そもそも居ないと考えるのが普通であろう。


【そもそも神と言う存在はお前達が思ってる程都合の良いモノではない。
いつも何処からか見守り、時に寄り添い、窮地に立たされた時に手助けしてくれるのは極一部の者のみ。
恩恵を得られる要素は多分にあるものの、一定以上の功績を獲得するのは並大抵ではない。】

(【…まぁ存在を話し、否定から入った時点で分かっていたが、この2人は神に会った事が無い様だ。】)


【魔王】アクロス自身"神"と言う存在に会った事は無いが、技術的に"観測"した事はある。
彼の世界の人間は"接触"からの"接収"を試みようとしたらしいが、その結果がどうなったかは知られていない。


【この世には"【適正】"と言う個人個人の人生そのものを決定付けるシステムがある。
それを決めているのは他ならぬ"神"だ。
これは"全ての生命体"に適応されるものであり、"この星"も例外では無い。】

「「…は…?」」


【言ってしまえば巨大な星の営みを、粒子レベルの我々で恙無く継続される様に"その他大勢"に【適正】を振り分けているに過ぎない。
神が最も重要視しているのはあくまで"星"なのだからな。】

「は…?(アーク)」
「ほ、星…?え…?(ミミシラ)」


アクロスとしては淡々と"事実のみ"話しているのだが、あまりにスケールの大きい話に2人は混乱の極みである。

が、特段難しい事は言っていないので意味は理解出来ている2人。


【その巨大な流れの中に居る、神と会う為の一定以上の功績も持たないその他大勢の中の2【適正】の事など、見向きもしないのは当然の事であろう?】

「その他大勢…(アーク)」
「…資格が無かったと…?(ミミシラ)」


適正上神に見られていたかも知れないが、見守られてはいなかったと悟った2人は思わず俯いてしまう。


【まぁそうだな。
本来なら【聖女】【勇者】の力を要す様な大戦があったにも関わらず、この世がそれなりに上手く回っているのは、他の【適正】が処理してくれたからだ。
先も言った"巨大な流れ"が滞りなく巡るのなら、神としてはそれ以上を求めん。
【聖女】【勇者】が危機的状況に陥ろうが、資格を持たん者らの面倒など見ないのは道理であろう?】

「ぅ…ぁ…(アーク)」
「ふ…ぅ…(ミミシラ)」


淡々と2人に対する"事実のみ"を告げられ、両者共に符合しているからか、何も反論出来ずにただ呻く。


(【…やはり弱いな。
高々俺の一意見を述べてこれだけ動揺するとは、この世界の【聖女】と【勇者】の程度が知れる。
これなら〈スキル〉を使うまでもなく"捨て駒"にするのは容易であろう。】)


アクロス自身、最後にモノを言うのは心、不屈の精神性であると考えている。

例え如何なる状況であろうと己の我を貫き通す不屈の精神を持っている事を求めている。


(【…そういう意味では"あの少年"こそが俺の最大の障壁となるだろう。】)


アクロスは話しながら過去に剣を交え、退かぬ背と心構えを垣間見た1人の少年の事を思っていた。





(【…さて、締めとするか。】)


極僅かな時間物思いにふけっていた所、思い出したかの様に項垂れている2人の下へ歩みを進める。


【勝手に人生の方針を決められ、指示も介入無いしに手探りでの旅路を強いられ、結果がコレだ。
人間の視点で言えば育児放棄かそれ以上。
それでもあの無能集団神々を信じ、助けを乞うか?
功績を積み上げ、表舞台に無理矢理引き摺り出してやろうとは思わないか?】


アクロスは歩を止める事無く諭す様に語り掛ける。


【守るべきハズだった人間に穢され汚され、共に肩を並べて歩むハズだった仲間が自死していった。耐えられなかったのだろう、その心情は計り知れん。
それでも姿を見せない奴等神々を心の支えにして最期まで生きるか?】


「「………。」」


【【適正】が変化したのはそれだけ大きな心の変化なのだろう。
お前達は奴等神々が決めた【適正】と言う道筋から脱却した。初めて神に抗ったのだ、その意味を理解してこれからを決めよ。】


「…神に…(アーク)」
「…これから…を…(ミミシラ)」


未だ項垂れる2人だが、アクロスの言葉を何度も反芻していた。





「…【魔王】さ…貴方が言っている事が正しいとしても今の俺達には何も出来ない…
【勇者】だった頃から【勇者】らしい事は何1つ……出来なかった。
今から成すべき事を考えたとて成せるかどうかは万が一所か億が一にも…(アーク)」


項垂れていたアークが、体勢そのままにポツリと呟く。
無力な自分を嘆き、無力である事を哀れんだ。


力が欲しいか?悪手だぞ?


「「!?」」


力が欲しいならくれてやる、理を捻じ曲げて高みに上り詰める方法なぞ幾らでもある。曲がりなりにも【魔王】である俺に救いを求めるのは愚行も愚行。


「…今この世界で信じれるのは貴方だけです…
…私達を救ってくれた…貴方…だけ…(ミミシラ)」

「【魔王】さん…いえ、【魔王】様、俺達に力を貸して下さい…
仲間の仇と、俺達の尊厳を間接的に踏み躙った仕返しがしたいです…(アーク)」


【良いだろう、先ずは"新たな仲間"を紹介してやろう。必ずや助けになる事だろう。】


決心が固まった目を向け【魔王】に助力を願うアークに、アクロスは"ある物"を授けるのだった。



短いですがこの辺で。
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