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獣人国編~【勇者】アーク・ダンジョン『時の迷宮』~
特訓終了
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ヒュボッ!ガギンッ!ビュンッ!ガッ!
ババッ!「でぇえあっ!」ボヒュッ!
上段に振り上げた刀で左右二連撃の袈裟斬りを仕掛けるも、<四肢鋼皮>を発動したノアの拳で二連撃共に弾かれた【紅武士】アックスレイだが、直ぐに刀を構え直して突きを繰り出す。
も
グリンッ、ドンッ!「あうっ!?」
突きに合わせてノアも回転しアックスレイの背中に肘打ちを打ち込んで前方に転かす。
「光の牢獄(リザオ・ジ・ルーズ)!」
ビュオンッ…!
ド「お。」ドド「おわっ。」ドド「うぉ。」ドッ!
上空から光で象られた巨大な大剣が6本降り注ぎ、ノアの周囲を囲む様に次々と斜めに地面に突き刺さる。
『光の牢獄(リザオ・ジ・ルーズ)』…本来は対巨大モンスター用の【聖女】専用拘束スキルで、人間相手に使う様なモノではない。
巨大な大剣が突き刺さっている様にしか見えないが、剣自体で陣を描いているので地中にも判定あり。
熟練度を上げていけば耐久力は上がる。
「ヴォルフスティ!今の内に駒を増やして下さい、恐らくアレでもそう長くは持ちま『ズズンッ!』きゃあっ!?」
【聖女】ミミシラが【死陣操糸】ヴォルフスティに指示を出している間に、一帯を轟音と地揺れが襲う。
出所である、前方でノアを拘束している巨大剣の1本に、既にヒビが入っていた。
「ヴォルフスティ急いで!「了解!」<高潔(インテグリダージ)>!」
パキパキパキ…
ミミシラは、つい先程ノアとの特訓の成果として覚えたスキル<高潔>を発動。
するとミミシラの背後から後光の様なモノが差し、拘束中の巨大剣がドンドン再生していく。
<高潔(インテグリダージ)>…【聖女】専用スキルで、威光と共に威厳ある圧を放出する。
また、自身の攻撃やその他聖属性技を強化する事が可能。
ゴンッ!『ビキッ!』ゴゴンッ!ゴギンッ!『ビキキッ!』ゴンッ!
「ぐぅううっ…
再生が追い付かない…!」
「もう少し耐えてて!
<操演部隊>!私達を守って!」
ズズズズズズズッ…ガシャガシャ…
ヴォルフスティが新しいスキルを唱えつつ十指を操作すると、<魔力操糸>を練って作られた防具を纏ったゴーレムが地面より次々と出現。
ザザザザザッ!
総勢20体のゴーレム達がミミシラとヴォルフスティを守る様に立ち塞がる。
<操演部隊>…【死陣操糸】ヴォルフスティの新スキル。
周囲の環境に応じたゴーレムを出現させ、<魔力操糸>で操演し、手駒とする事が可能。
その直後
ゴガ『ボゴォッ!』ンッ!ガラガラガラッ…
「硬ぇ…割と本気でぶん殴ったのに中々壊れないでやんの…
お?…あぁ、ヴォルフスティさんの新しいスキルでしたっけ。」
「くっ、破られた!」
「あの人無茶苦茶だよ…
息1つ切らさないし、3人掛かりなのに勝てる気がしない…
皆!宜しくお願いね!」
ガシャガシャガシャガシャ!
ヴォルフスティが<操演部隊>に指示を出すと20体のゴーレムが一斉に接近を開始。
更にヴォルフスティが操演を行うと、左右に7体ずつ分かれ、3方向から接近する事に。
『『『ガシャガシャガシャガシャ!』』』
「うーん…拳でもどうにかなるだろうけど、これはあくまで精神力強化の特訓だから…
これで行こう。」
ジャキッ!
そう言うとノアは腰に差していた荒鬼神に手を掛け、2本とも抜いて迎撃体勢に入る。
「っ!?初めて剣を抜いた!」
「ミミシラ、念の為"盾"展開しといて。
何か凄く嫌な予感がするの…」
ヴォルフスティは獣人故か、何かしらの予感を感じ取りミミシラにそう提言した直後
バギャッ!
「「!?」」
バギャッ!バギギッ!ドゴッ!
「え!?何の音っ!?」
「ま、マズイよ<操演部隊>の反応が凄い勢いで減ってくよ…」
視界の先では、ノアに向かわせたゴーレム"だった物"が叩き潰され、砕け、飛び散り宙を舞っていた。
「「……。」」
自分達の身に新たに発現したスキルを駆使してもノアを足止めすら出来ない現実に、ミミシラとヴォルフスティの2人は、僅かの間呆然としてしまった。
「何を呆けてるのですか?」
「…はっ!」
「あ…」
破壊の嵐が吹き荒ぶ<操演部隊>の集団から、殺気混じりのノアの問い掛けが掛かり、瞬時に我に返る2人であったが、時既に遅し。
バガァアッ!ゴゥッ!
衝撃波により<操演部隊>全てが蹴散らされると、中から荒鬼神を2本手にしたノアが高速度で飛び出して来た。
「てぃっ!」ブォンッ!
「きゃぁっ!?」バッ!
「ひぃっ!?」バッ!
ノアがミミシラの頭上目掛けて荒鬼神をぶん投げると、2人は恐怖のあまり思わず身を屈めてしまった。
バシュッ!ザンッ!ジャキッ!ジャキィッ!
「っ…!?」
「ひっ…!?」
2人が目を開けると、各々の首元に荒鬼神が突き付けられていた。
スッ…
「…さて。
今日はもうこの辺にしておきましょうか。」
首元から荒鬼神が離れると、ノアはそう言ってその場から離れる。
「…は、はぁ。」
「…うん…」
2人は何が起こったのか分からず呆然としていると、2人の下にアックスレイが駆け寄ってきた。
「ちょ、2人共大丈夫!?」
「あ、アックスレー。」
「こんばんわー。」
「あああ、2人共ぉーっ!」
「うーん…やり過ぎたかな…」
2人がダメみたいなので、精神力強化の特訓は一先ず終了となった。
気力では付いて来れるだろうが、体力的に3人共へろっへろで、少し休憩をと思い、座り込んだらそのまま立てなくなってしまった。
まぁそれ以外にも終了せざるを得ない理由が発生してしまったと言うのもある。
朝方から開始して、現在昼近く。
流石に滅びの森周辺に人が溢れてきたので、遠目にギャラリーが出来てしまい、通行にも狩りにも影響が出かねなかったからだ。
「さて、『カポッ。』僕は自身の依頼(『ブレイカー』と魔蛸の素材採取依頼)を解消して来ますのでゆっくりしてて下さい。」
アイテムボックスから『ブレイカー』の仮面を取り出し、装着したノアは、背中の弓を手に取りながら滅びの森へと駆けて行く。
そんなノアの後ろ姿をミミシラ、アックスレイ、ヴォルフスティの3人は、疲れきった表情で眺めていた。
~大体2時間後~
「『ブレイカー』さんありがとー。」
「どう致しましてー。」
胸のペンダントに「母さん、私頑張るよ…」的な事を言っていた兄妹パーティを助けたノアは、ついでに仕留めた魔蛸をアイテムボックスに仕舞いつつ、3人が休憩している場所まで戻る事に。
すると、道中にある滅びの森を見渡せる盛り土の上に3人が三角座りの姿勢で待っていた。
表情を見るに、3人共何処と無く元気が無い様子なので気になったノアは聞いてみる事に。
「どうしましたか?」
「いえ…何と無くですが、無力感を感じていた所です…特訓のお陰で強くなった気でいましたがあなたに全く歯が立たず…」
「君に必死こいて食らい付いていたつもりだけど、君はピンピンしてるでしょ?」
「しかもその後休まずに4パーティ助けた上に魔蛸3体倒しちゃうんだもん…」
「「「自信失くしちゃうよね~…」」」
「あれま…」
精神力強化の目的で強敵にどう抗うかを重視した結果、3人はそれなりに強くなったが、それでもノアに勝てなかった事でかえって自信を失くしてしまった様だ。
「うーん…」
なのでノアは少しの間考えた後
「じゃあ今日の成果を見に行きましょうか。」
「「「え?」」」
ババッ!「でぇえあっ!」ボヒュッ!
上段に振り上げた刀で左右二連撃の袈裟斬りを仕掛けるも、<四肢鋼皮>を発動したノアの拳で二連撃共に弾かれた【紅武士】アックスレイだが、直ぐに刀を構え直して突きを繰り出す。
も
グリンッ、ドンッ!「あうっ!?」
突きに合わせてノアも回転しアックスレイの背中に肘打ちを打ち込んで前方に転かす。
「光の牢獄(リザオ・ジ・ルーズ)!」
ビュオンッ…!
ド「お。」ドド「おわっ。」ドド「うぉ。」ドッ!
上空から光で象られた巨大な大剣が6本降り注ぎ、ノアの周囲を囲む様に次々と斜めに地面に突き刺さる。
『光の牢獄(リザオ・ジ・ルーズ)』…本来は対巨大モンスター用の【聖女】専用拘束スキルで、人間相手に使う様なモノではない。
巨大な大剣が突き刺さっている様にしか見えないが、剣自体で陣を描いているので地中にも判定あり。
熟練度を上げていけば耐久力は上がる。
「ヴォルフスティ!今の内に駒を増やして下さい、恐らくアレでもそう長くは持ちま『ズズンッ!』きゃあっ!?」
【聖女】ミミシラが【死陣操糸】ヴォルフスティに指示を出している間に、一帯を轟音と地揺れが襲う。
出所である、前方でノアを拘束している巨大剣の1本に、既にヒビが入っていた。
「ヴォルフスティ急いで!「了解!」<高潔(インテグリダージ)>!」
パキパキパキ…
ミミシラは、つい先程ノアとの特訓の成果として覚えたスキル<高潔>を発動。
するとミミシラの背後から後光の様なモノが差し、拘束中の巨大剣がドンドン再生していく。
<高潔(インテグリダージ)>…【聖女】専用スキルで、威光と共に威厳ある圧を放出する。
また、自身の攻撃やその他聖属性技を強化する事が可能。
ゴンッ!『ビキッ!』ゴゴンッ!ゴギンッ!『ビキキッ!』ゴンッ!
「ぐぅううっ…
再生が追い付かない…!」
「もう少し耐えてて!
<操演部隊>!私達を守って!」
ズズズズズズズッ…ガシャガシャ…
ヴォルフスティが新しいスキルを唱えつつ十指を操作すると、<魔力操糸>を練って作られた防具を纏ったゴーレムが地面より次々と出現。
ザザザザザッ!
総勢20体のゴーレム達がミミシラとヴォルフスティを守る様に立ち塞がる。
<操演部隊>…【死陣操糸】ヴォルフスティの新スキル。
周囲の環境に応じたゴーレムを出現させ、<魔力操糸>で操演し、手駒とする事が可能。
その直後
ゴガ『ボゴォッ!』ンッ!ガラガラガラッ…
「硬ぇ…割と本気でぶん殴ったのに中々壊れないでやんの…
お?…あぁ、ヴォルフスティさんの新しいスキルでしたっけ。」
「くっ、破られた!」
「あの人無茶苦茶だよ…
息1つ切らさないし、3人掛かりなのに勝てる気がしない…
皆!宜しくお願いね!」
ガシャガシャガシャガシャ!
ヴォルフスティが<操演部隊>に指示を出すと20体のゴーレムが一斉に接近を開始。
更にヴォルフスティが操演を行うと、左右に7体ずつ分かれ、3方向から接近する事に。
『『『ガシャガシャガシャガシャ!』』』
「うーん…拳でもどうにかなるだろうけど、これはあくまで精神力強化の特訓だから…
これで行こう。」
ジャキッ!
そう言うとノアは腰に差していた荒鬼神に手を掛け、2本とも抜いて迎撃体勢に入る。
「っ!?初めて剣を抜いた!」
「ミミシラ、念の為"盾"展開しといて。
何か凄く嫌な予感がするの…」
ヴォルフスティは獣人故か、何かしらの予感を感じ取りミミシラにそう提言した直後
バギャッ!
「「!?」」
バギャッ!バギギッ!ドゴッ!
「え!?何の音っ!?」
「ま、マズイよ<操演部隊>の反応が凄い勢いで減ってくよ…」
視界の先では、ノアに向かわせたゴーレム"だった物"が叩き潰され、砕け、飛び散り宙を舞っていた。
「「……。」」
自分達の身に新たに発現したスキルを駆使してもノアを足止めすら出来ない現実に、ミミシラとヴォルフスティの2人は、僅かの間呆然としてしまった。
「何を呆けてるのですか?」
「…はっ!」
「あ…」
破壊の嵐が吹き荒ぶ<操演部隊>の集団から、殺気混じりのノアの問い掛けが掛かり、瞬時に我に返る2人であったが、時既に遅し。
バガァアッ!ゴゥッ!
衝撃波により<操演部隊>全てが蹴散らされると、中から荒鬼神を2本手にしたノアが高速度で飛び出して来た。
「てぃっ!」ブォンッ!
「きゃぁっ!?」バッ!
「ひぃっ!?」バッ!
ノアがミミシラの頭上目掛けて荒鬼神をぶん投げると、2人は恐怖のあまり思わず身を屈めてしまった。
バシュッ!ザンッ!ジャキッ!ジャキィッ!
「っ…!?」
「ひっ…!?」
2人が目を開けると、各々の首元に荒鬼神が突き付けられていた。
スッ…
「…さて。
今日はもうこの辺にしておきましょうか。」
首元から荒鬼神が離れると、ノアはそう言ってその場から離れる。
「…は、はぁ。」
「…うん…」
2人は何が起こったのか分からず呆然としていると、2人の下にアックスレイが駆け寄ってきた。
「ちょ、2人共大丈夫!?」
「あ、アックスレー。」
「こんばんわー。」
「あああ、2人共ぉーっ!」
「うーん…やり過ぎたかな…」
2人がダメみたいなので、精神力強化の特訓は一先ず終了となった。
気力では付いて来れるだろうが、体力的に3人共へろっへろで、少し休憩をと思い、座り込んだらそのまま立てなくなってしまった。
まぁそれ以外にも終了せざるを得ない理由が発生してしまったと言うのもある。
朝方から開始して、現在昼近く。
流石に滅びの森周辺に人が溢れてきたので、遠目にギャラリーが出来てしまい、通行にも狩りにも影響が出かねなかったからだ。
「さて、『カポッ。』僕は自身の依頼(『ブレイカー』と魔蛸の素材採取依頼)を解消して来ますのでゆっくりしてて下さい。」
アイテムボックスから『ブレイカー』の仮面を取り出し、装着したノアは、背中の弓を手に取りながら滅びの森へと駆けて行く。
そんなノアの後ろ姿をミミシラ、アックスレイ、ヴォルフスティの3人は、疲れきった表情で眺めていた。
~大体2時間後~
「『ブレイカー』さんありがとー。」
「どう致しましてー。」
胸のペンダントに「母さん、私頑張るよ…」的な事を言っていた兄妹パーティを助けたノアは、ついでに仕留めた魔蛸をアイテムボックスに仕舞いつつ、3人が休憩している場所まで戻る事に。
すると、道中にある滅びの森を見渡せる盛り土の上に3人が三角座りの姿勢で待っていた。
表情を見るに、3人共何処と無く元気が無い様子なので気になったノアは聞いてみる事に。
「どうしましたか?」
「いえ…何と無くですが、無力感を感じていた所です…特訓のお陰で強くなった気でいましたがあなたに全く歯が立たず…」
「君に必死こいて食らい付いていたつもりだけど、君はピンピンしてるでしょ?」
「しかもその後休まずに4パーティ助けた上に魔蛸3体倒しちゃうんだもん…」
「「「自信失くしちゃうよね~…」」」
「あれま…」
精神力強化の目的で強敵にどう抗うかを重視した結果、3人はそれなりに強くなったが、それでもノアに勝てなかった事でかえって自信を失くしてしまった様だ。
「うーん…」
なのでノアは少しの間考えた後
「じゃあ今日の成果を見に行きましょうか。」
「「「え?」」」
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(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
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