ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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獣人国編~御前試合の代表決め~

″ハッ!( ゚д゚)″じゃねぇだろ

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~屋台通りから一本脇には入った道~


「ふむ、確かに現在獣人国のみで出回っていると言う″青き岩塩″、何とも言えない美味なる物であった。
これは何処の貴族も欲しがる訳だ。(侵入者1)」

「魔力の濃さから見て、客に出す直前に砕いて提供しているハズだ。
故に元となる岩塩が何処かにある…っと、後ろから子供が来た。
一旦会話を断つぞ。(侵入者2)」


小声で話していた侵入者2人は、背後から感じた気配に、会話を中断してやり過ごす様子。


タタタタッ!

「ほらライリー、そんなに走ったら転ぶぞー。」

「(転倒防止補助機構が備わっているから)だいじょーぶ!(ラインハード)」

「そろそろ父さんに頼まれた仕事をやるから屋台に戻るよー。」

「お塩を作る仕事だよね。分かったお兄ちゃん。(ラインハード)」

「「!?(侵入者1、2)」」


ライリー(ラインハード)がそう言いつつ路地に駆けていき、お兄ちゃん(ノア)は追い掛ける形で路地に入る。


「へへ、探す手間が省けたぜ。(侵入者1)」

「だが店主が居るかも知れん。″麻痺針″を用意しておけ。(侵入者2)」

シャキン!「おう。(侵入者1)」


懐から細い針2本を取り出した侵入者の2人は路地に入った2人の後を追う。


「さてお目当ての物は何『ドズッ!』ごおっ!?(侵入者1)」ズシャッ!

「なっ!?(侵入者2)」


曲がり角に差し掛かると、侵入者の喉に鋭い手刀が叩き込まれる。
この一撃で侵入者は呼吸困難に陥り、地面に崩れる。


「チッ!何者だぁっ!(侵入者2)」ドスッ!


咄嗟に持っていた″麻痺針″を相手の首に突き刺す侵入者。

だが


「効くか!『プツッ…』」ドッ!

「あがっ!?ガガガガッ!?(侵入者2)」ドサッ。


平然としているノアが針を抜き、侵入者の首に突き刺し返すと、途端に侵入者の全身が震え、身動き1つ取れずに地面に倒れ伏した。


「お、おにーちゃん、大丈…あ、もう終わったのね…(ラインハード)」


ノアから妹役をお願いされたライリー(ラインハード)が振り返ると、既に2人の侵入者は気を失っていた。


「ふふ、もう大丈夫だよライリー。」ナデナデ…

「わ、わわ…あ、こういう扱いも良いものですね…(ラインハード)」


ラインハードの頭を撫でてあげると、少し気恥ずかしそうにしつつも、なすがままにされていた。

普段からあまり頼られる事が少なかった為か、ノアの力になれた事が少し嬉しいラインハードであった。


ズズズ…

「……。(ヴァンディット)」


それとは対称的に、ノアの姉役候補だったヴァンディットは、自身の手を見やる。
その手の形はチョキのまま固定されていた。

じゃんけんでラインハードに負けていなければ、今のやり取りを行っていたのはヴァンディットの方であった為、少しモヤモヤしている様あった。


ガチャ…

「…おや?そこの2人、倒れてるじゃないか!?
大丈夫なのか!?(屋台の店主)」

「何か酔って倒れちゃったみたい。
通りに居る兵士さんを呼んでくれませんか?」

「おぅ、待ってな。」


その後、酔い潰れて倒れている(と言う事にした)2人を兵士に引き渡すのであった。





ハッ!( ゚д゚)

(『″ハッ!( ゚д゚)″じゃねぇだろ、流石に言い逃れ出来ねぇぞ確信犯。
配役まで指示してんだ、休むつもり一切ねぇだろ。』)

「…ノア君関わる気満々だよね…?(ラインハード)」
「…ノア様休む気ありませんよね…?(ヴァンディット)」

(『ほら、言われてんぞ?』)

「ち、違う…何かこう、音や反応を感知すると体が勝手に(『主の言ってる事はギャンブル・薬物中毒患者と大して変わんねぇかんな。』)


もう職業病と言えるレベルで行動してしまうノア。仕方が無いので、しっかり者のお姉さん(役)のヴァンディットがノアの制御役を担う事になった。





カシャン!

「お?」

(あ、ノア様がまた行動を取ろうとしている…(ヴァンディット))

「ちょっと…『ガシッ!』「離れちゃダメよ、ノーア。
まーた1人でどっか行っちゃうでしょう?(ヴァンディット)」 

「えー、ちょっとだけだよ″お姉ちゃん″。
ね、お願い、″お姉ちゃん″。」

(うーん、いつも頼りになる殿方からお姉ちゃん扱いされるのはなかなか良いものですね…(ヴァンディット))

「も、も~仕方無いわね、ノアったら…
2分だけよ?(ヴァンディット)」

「わーい、ありがとう!」

(『結局こうなるのか…せめて2ラリーは持ってくれると思ったが…』)





ハッ!( ゚д゚)(ノア)
ハッ!( ゚д゚)(ヴァンディット)

(『もう良い、何も言わんよ…』)


結局制御出来なかったヴァンディットは、全てが終わった後にノアと共に我に返る。
流石の鬼神も諦めた様で、この後も侵入者を捕らえ続ける主に、何ら言う事は無かった。





~獣人国にある教会~

コォオオオオ…

「えー、出ましたわん。貴方の適正は【万能】ですわん。」

「ば、【万能】…ですか…?(悠)」

「ほぅ、【万能】か。中々良い適正になったもんじゃな。(バド)」
「【勇者】の劣化版、と言ったら聞こえは悪いが、どんな適正にもなれる優れモンの適正じゃて。(ルド)」
「上昇幅は【勇者】と比べて少ないが、全ての行動に補正が付く故、鍛え上げれば安泰な暮らしを手に入れる事も出来っど。(ロイ)」

「そ、そうなんだ…(悠)」

「じゃがな、ユウ。
何にでもなれるっちゅう事は、特段苦労せずともなりたい適正になれるっつう事でもある。(バド)」

「それなりに鍛えねば特化職に技量で劣る故、挫折する者も多い。
よって、日々精進する事を忘れずにの。(ルド)」

「それを怠った結果野盗に堕ちる者も毎年の様に居る。
ユウなら大丈夫じゃと思うが念の為にの。(ロイ)」

「は、はい!(悠)」


適正の儀を受けた悠は、この日より【万能】としてこの世界を生きる事となった。




「何にでもなれる【万能】ですが、最初は何やったら良いのでしょうか?(悠)」

「え?やりたいモノやったらええんじゃなかか?(バド)」

「お前さん、″あっち″では何やっとったんじゃ?(ルド)」

「いやー…学校から帰ったら映画ばっか見てたから…(悠)」

「お前さん、ここには1人で来たんじゃろ?
つー事は多少は武の心得があるんでねぇの?(ロイ)」

「いや、親方に多少護身術的に稽古付けて貰った位だし、なるべく大通りを通ってモンスターとの戦闘も最小限で来たので…(悠)」

「「「……。(ドワーフ3人組)」」」

「……。(悠)」

「…取り敢えず、坊に相談してみよう…
何ぞ助言をくれるやも知れんしの。(バド)」

「「だな。(ルド、ロイ)」」


何にでもなれるという事で、本人の得意な分野を中心に方向性を見出だそうとしたのだが、当の本人に得手が無さそうだったので、一先ず教会を出てノアの元に戻る事となった。
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