ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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獣人国編~御前試合の代表決め~

要は最初が肝心、という事。

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「コン…?
まぁいいか、新人冒険者の方が?
それはどう言った仕様なんです?」

「それはね…(ヤン)」


ヤンが言うには、現在ノア達がいる難易度″浜″のエリアには隠し要素があり、新人冒険者なら知らず知らずの内に獲得する事が出来、中級~上級冒険者等は気付かずに見落としてしまう要素なのだと言う。


「とりあえずノア君、海の中に足入れてみて?(ヤン)」

ザボッ…

「これで『ヴンッ!』良い…お、何か表示された。」


ノアが海に足を入れると、目の前に注意喚起の表示が出てきた。
書かれている内容としては


″これより先は魔導具シュノーケルが必要になります。
まだお持ちでない場合は取得してからの挑戦を推奨します。次の難易度″浅瀬″に挑戦しますか?″


と言う内容であった。


「ノア君だったらこの後どうしますか?(セレイア)」

「このまま挑戦しますね。」

「じゃあ同意して貰って暫く浅瀬を歩いてみて。(ヤン)」

「同意…っと。」ザボザボ…


表示内の同意項目を選択して浅瀬に足を踏み入れるノア。
海の中に足を踏み入れてはいるが、装備の中に海水が入ってくる事は無く、足取りも地上と変わらない感じであった為、ヤンに言われなければズンズンと海中に進んでいった事だろう。

とりあえずヤンに言われた通り浅瀬を歩いてみる事にした。





~5分後~

ザボ…ザボ…

「あ、あれ…?何か足が重いし動き辛いぞ…?
この程度じゃ疲れないハズなんだけど…」

「ぬふふ、今ノア君にはデバフである″鈍重″と″動作阻害″が掛かっているハズだよ?(ヤン)」

「え?『ヴンッ。』あ、本当だ。
いつの間に…」


ノアが自分のステータスを確認すると、足が重くなるバッドステータスの″鈍足″と動きが普通より鈍く感じる″動作阻害″が掛かっていた。

別にモンスターに襲われた訳でも無く、ただ浅瀬を歩いていただけなのに、である。


「中級~上級冒険者ってね、必要最低限の装備が整ったらガンガン攻略、ガンガン探索ってなりがちなの。
それを悪いとは言わないんだけど、もう少しじっくりコツコツと攻略していって欲しいんだ。(ヤン)」

「そこでヤンさんからの案で、難易度″浜″に居るモンスターを新人冒険者パーティだと少しだけ手強く感じ、中級~上級冒険者では歯応えが無い様に感じる仕様にしてみたんです。(セレイア)」

「え?それだと新人冒険者の方が探索が滞るのでは?」

「んっふっふ、そこで隠し要素の1つ、″″海生物の残滓″による装備の充実化″なのだよ。(ヤン)」

「「ほう?(ノアとラビッツ)」」


ヤンの説明によると、難易度″浜″のモンスターを新人冒険者パーティにとって少し手強くする事で、新人冒険者達は″浜″にある程度留まり、自身を強化する事だろう。

そして自然に″海生物の残滓″を一定量以上得る事になるだろう。
するとまた新たな魔導具が自動的に生成されるのである。

実は隠し要素として、魔導具はシュノーケル以外にも用意されており、″足ヒレ(フィン)″だったり″スーツ″だったり″ゴーグル″だったりと、海中に入る事で付与されるデバフを解消する装備が幾つもあるのだとか。


「魔導具をそれなりに揃えておかないと、時間経過と共にドンドンとデバフが付与されていく仕様にして貰ったのよ。(ヤン)」


ちなみに、魔導具シュノーケルのみを装備した者が海中に入る事で付与されるであろうデバフは以下の通りである。


″鈍足″、″動作阻害″、″視界不良″、″攻撃威力3割減″、″水濡れ″、″水属性攻撃倍化″、″敵視上昇″


これらデバフが付与されてしまえば攻略に支障が出てしまうのは間違いない。

片やじっくりと探索・攻略を進めている後続の新人冒険者達は自然と″海生物の残滓″を収集している為、上記のデバフの類いを軽微に抑えられるという訳だ。

ちなみに、魔導具シュノーケルに続いてその他追加魔導具を装備した場合に得られるバフは以下の通りである。


″俊足(移動速度2割上昇)″、″動作良好(水中移動速度2割上昇)″、″視界良好(視野範囲3割拡大)″、″攻撃威力3割増加″、″敵視低下″


これらのバフが付与される事になるので、もしかすると最初期のダンジョン攻略は、新人冒険者の方が先んじているかもしれない。


「なる程~。
という事はこれら隠し要素も記事にしない方が良いですね。(ラビッツ)」

「あ、でもそれで攻略に行き詰まられたら大変だから、そうなりそうだったら記事にして貰えると助かるよ。(ヤン)」


変に記事にしてしまうと、折角ヤンが提案したコンセプトが水の泡となってしまうが、それであまりにも攻略者が出なかった場合は情報公開に踏み切ると言う。





「それでは隠し要素を確認して貰った所で、いよいよ次のエリアである難易度″浅瀬″に入る事にしましょう。
今回は査察という事で管理者権限を使って(ヤン含めた)3人には魔導具一式と同等のバフをお掛けします。」

「「「はーい。(ノアとラビッツとヤン)」」」


ヤン含めた3人は管理者権限を持つセレイアの前に並んで待機。
少しするとセレイアの手が輝き、2人の頭上から光が降り注ぐ。


キラキラ…「わぁ綺麗ですね~。(ラビッツ)」

キラキラ…「おほほ~体が軽~い!(ヤン)」

「……。」

「「「あれ?(セレイア、ヤン、ラビッツ)」」」
 
「…いや、何と無く予想出来てたよ…」


セレイアから付与されるハズだった″バフ(支援魔法)″が掛からず困惑する3人に、ノアは自身の適正【ソロ】について追加で説明するのであった。





「てぃっ、てぃっ、てぃっ!
うーん…管理者権限を行使しているのに本当にバフ(支援魔法)が掛かりませんね…(セレイア)」

「相変わらず縛りのある適正だねぇ…(ヤン)」

「…『カシャッ。』(ラビッツ)」

「何故撮る… 」


やはりと言うべきか、何度バフを掛けてもノアに変化が無い為セレイアの表情に焦りの色が浮かぶ。

結果的にどうしようもなくなってしまったので、セレイアの下した判断は


「ノア君には地道に″海生物の残滓″を集めて貰う事になります…(セレイア)」

「ですよね~。」

「「ノ、ノア君がんば…(ヤン)」『カシャッ。』(ラビッツ)」

「だから何故撮る…」


ダンジョン『竜遇城』の手順通り、地道に″海生物の残滓″を集め、各種魔導具を揃えていく事になったノアであった。





~ダンジョンに行く前~


「少年、1つだけ言っておこう。(ポーラ)」

「ん?何だいポーラ。」

「君が行くのはあくまで″開放前″のダンジョンなのだからな?
いつぞやの『宝物庫』の時みたく、しれっと入って、しれっと隠しルート見付けて、しれっと攻略して来ない様にね?(ポーラ)」

「安心しなよポーラ。
今回はあくまでダンジョンの視察とラビッツさんの護衛目的で行くんだからそんな事しないって。」

「本当かしら?(ポーラ)」

「僕の事が信じられないかな?」ズイッ。

「…っ、んもぅ、そんな迫らないで…
し、信じるわよ!(ポーラ)」





~そして現在~


ザッ!ザシュッ!シュピィインッ!

(『な~んて柄にも無ぇ事ぬかしてたのになぁ?』)

(これは視察の為の必要な行動…これは視察の為の必要な行動…)


ダンジョンに来る前の言動を鬼神から茶化されつつ、次のエリア難易度″浅瀬″視察の為に必要な量の″海生物の残滓″を無心で集めるノアなのであった。
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