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獣人国編~御前試合の代表決め~
擬似サキュバス薬『漢度3000倍』
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~その頃獣人国では~
ざわざわ…がやがや…
ズン…ズン…
「な、なぁ、あれも海洋種だよな…?」
「で、でけぇ…」
「5メルはあるんじゃないか…?」
「何だよあの腕…まるで鉄塊じゃないか…」
ズン…ズン…
「甲殻…があるから″殻人″…で良いんだよな…?」
「つーかあれはそもそも甲殻なのか?幾ら何でも分厚過ぎるだろ…?」
「迫力が凄ぇ…」
「でも…」
大通りを歩く巨大な人型の海洋種を呆然と見上げる冒険者達。
獣人国に居る獣人は平均2~3メルと、人族に比べて全体的に体躯が大きい者が殆どだが、その獣人達ですら見上げる程大きな海洋種が通りをズシズシと音を立てて歩いていた。
だがその巨躯の人型の肩には
「うきゃー!まぶしー!」
「あったかーい!」
「やっほー!」ふりふり。
「ね、ね、ケンちゃんあっちのほういってみようよ!」
「分かったからそう慌てるな。落ちたら危ないだろ…?」
(((((((人魚の子供達を肩に乗せて凄くいい人そう。(一同))))))))
巨躯の人型の肩には子犬程の大きさの人魚の子供が数人乗って獣人国を来訪していた。
「あの海洋種の人、お偉いさんなのかな?
胸に宝玉みたいな装飾着けてるし…」
「お偉いさんが肩に子供乗せて来るか?」
「うーん…私ちょっと聞いてくるわ。」ダッ!
と、通りに居た冒険者の1人が巨躯の人型の事が気になり、駆け出した。
「あ、あのー!そこの海洋種さん?
今日まで来訪してきたどの海洋種さんとも特徴が似て非なるのだけれど、種族を教えて頂いても良いですか?」
その巨躯の人型は、全身を黒く分厚い甲殻で覆い(首周りはまるでフードを被っているかの様な見た目)、金属光沢のある鉄塊の様な巨腕は、筋骨隆々な獣人の胴体程の太さがある。
中でも異質なのが、背中に生えている突起状の物体だ。
当初は背鰭かと思われたが、時折モゾモゾと動いていることから、全く別の″何か″であろう。
「にんぎょ!」
「にんぎょだよ!」
「にんぎょー」
「にんぎょです!」
「あ、教えてくれてありがとーねー…」
「いやいや、この場合聞かれてるのは俺の方だからな?」
人型の肩に乗る子供の人魚達が元気良く答えてくれたが、本音を言えば「そうじゃない!」と言いたいが何と無くその場の空気が和んだ。
「俺…じゃなかった、私の種族はク…じゃなくて、″殻人″という事にしといてくれ。」
(((((″しといてくれ″…?(一同))))))
「今回の来訪は、ある人物に会いに来たのもそうだが、子供達の引率でやって来たのが主目的だ。
子供達はまだ外の環境に慣れていないから直ぐに対応出来る様に私が同行となったのだ。」
肩に乗る子供の人魚達を良く見れば、首の周りに水の塊を纏っており、どうやらそれを介して呼吸をしている様だ。
だが子供故、はしゃいだり急に動いたりした際に水の塊が上手く追随していない事がまま見られる為、気になり出したら気が気でない。
「な、なる程ね…
それである人物、って言うのは誰の事かしら?
知ってれば場所を教える事が出来るかも…」
「冒険者のノア…外では【鬼神】と言えば通じると言われたが…」
「あー【鬼神】ね。」
「【鬼神】か。」
「今滅びの森だっけ?」
「この国の近くにあるデカい森があるんだが、その南端で今現在特訓中らしい。」
「参考にならねぇ、っつって見物目的の冒険者達が続々と戻ってきてるしな。」
「滅びのモリ…か。情報提供感謝する。」のそり…
ノアの居場所を知った人型が再びのそりと動き出そうとした時、ある冒険者から質問が飛んできた。
「あ、もしかしてアンタ、式典の時に【鬼神】とやり合う御前試合の対戦相手か?」
「え?」
「言われてみれば確かに!」
「そうに違いねぇ!」
「ガタイ凄ぇし、如何にも強そうだしな!」
巨躯に加えて強固な甲殻を兼ね備えている為、どう見ても戦闘特化な見た目をしていたので、ノアとの御前試合の対戦者と思われた。
が
「期待させて悪いが、俺は対戦者ではない。
【鬼神】と戦うのは俺の親父の方だ。」
「「「「「「おおおおお!」」」」」」
(ふむ、滅びの森…か…後で顔出しに行くか…)
人型の言葉に沸き立つ周囲だが、人型はノアが居るであろう滅びの森方面に目を向けていた。
そんな中
「そうだよ、たたかうのはケンちゃんじゃないよ。」
「それにケンちゃん、まえにひとぞくのおにぃちゃんにボコボコにされてるんだよ。」
「あのときはイキってたからね。」
「「「イキってたイキってた。」」」
「あの時の俺は黒歴史みたいなモンだったからそうズバズバ言わないでくれ…」
(((((国が違っても子供の言葉って大体辛辣なんだな…(一同))))))
ステレオで聞こえてくる子供達からの辛辣な言葉に、ケンちゃんこと<人化>形態のクラーケンはガックリと肩を落とすのであった。
その頃滅びの森方面では、少々厄介な事が起こっていた。
「ちょ、ちょーっと待ってぇ!あの状態のノア君に近付くのは本にアカンてぇ!(ミダレ)」
(『うーむ…
サキュバスの嬢ちゃん協力の下、力を完全に抑え込む訓練をしようとしたが、それ以前の話だったか…』)
(うわぁ…あんなに体を震わせて…鬼神のオーラってよっぽどなんだな…)
滅びの森南端に到着したミダレ達だが、オーラを纏った状態のノアから10メル以上離れているにも関わらず、腰砕け状態になっていた。
体を震わせ、風のそよぎですら感じ取れる程全身が敏感になっており、目付きは既に艶かしいモノとなっていた。
ズズズ…
「ミダレさん!お試しで作ってみたクリームを肌に塗ってみて下さい!(ヴァンディット)」
「へぇ…?(ミダレ)」
ミダレの影から姿を現したヴァンディットは、ガラス容器に入ったクリームを持ち出してきた。
どうやら肌を保護する目的の物の様だ。
ミダレは既に手が震えて上手く塗れなさそうだった為、クロラとポーラ、ヴァンディットも手伝って塗り塗りしてあげた。
『ぼ、僕も手伝「ソーシャルディスタンス!(ヴァンディット)」
ズゥウウウン…『……』
いたたまれなくなったノアが手伝おうとするも、意味は分からないが「離れて!」と言う意思が伝わり、思いっ切り凹むノアであった。
~2分後~
「よし!どうですか!(ヴァンディット)」
「…あ、大丈夫そう…(ミダレ)」
「「「「おー。(一同)」」」」
全身くまなくクリームを塗りたくると、さっきとは打って変わって体の震えが収まった。
『…ヴァンディットさん、あれは?』
「状態異常緩和の塗り薬です。
丁度【錬金術】ギルドから作製依頼があったので良かったです。(ヴァンディット)」
(『…え?俺のオーラって状態異常扱いなん…?』)
何はともあれ調子が戻ったミダレが再びノアの下に歩き始めた。
のだが
トテテ…ピタッ。
「う。(ミダレ)」
「「「「ん?(一同)」」」」
「……んぃぃいいいっ…(ミダレ)」モジモジ…
「「「「あ…(察)」」」」
「……っはん!(ミダレ)」ガクッ!
ノアの手前6メルでミダレが膝から崩れ落ちた。
「ノア、度が過ぎるぞ。(レドリック)」
「獣(ケダモノ)。(アミスティア)」
「「ノア様これは幾ら何でも…(ルーシー姉妹)」」
「若いってのは悪い事じゃないんだけどね…(ジョー)」
「性獣。(ポーラ)」
『味方は…味方は居ないのか…』
(『ドンマイ。』)
と、両親を皮切りに皆悪ノリし出したが、これは正直困った。訓練以前の話である。
これは想定していなかった鬼神がどうしたものかと思案していると、再びヴァンディットから提案してきた。
「これは禁断の手を使わなければいけない様ですね…『ゴソゴソ…』(ヴァンディット)」
『ん?何か使うの?』
「某国から指名の依頼で製作した禁断の薬″擬似的に(反応が)サキュバスみたいになれる薬『漢度3000倍』″を使用してみましょう!(ヴァンディット)」
『何つう物を作ったり出したんだヴァンディットさんよ!?』
ざわざわ…がやがや…
ズン…ズン…
「な、なぁ、あれも海洋種だよな…?」
「で、でけぇ…」
「5メルはあるんじゃないか…?」
「何だよあの腕…まるで鉄塊じゃないか…」
ズン…ズン…
「甲殻…があるから″殻人″…で良いんだよな…?」
「つーかあれはそもそも甲殻なのか?幾ら何でも分厚過ぎるだろ…?」
「迫力が凄ぇ…」
「でも…」
大通りを歩く巨大な人型の海洋種を呆然と見上げる冒険者達。
獣人国に居る獣人は平均2~3メルと、人族に比べて全体的に体躯が大きい者が殆どだが、その獣人達ですら見上げる程大きな海洋種が通りをズシズシと音を立てて歩いていた。
だがその巨躯の人型の肩には
「うきゃー!まぶしー!」
「あったかーい!」
「やっほー!」ふりふり。
「ね、ね、ケンちゃんあっちのほういってみようよ!」
「分かったからそう慌てるな。落ちたら危ないだろ…?」
(((((((人魚の子供達を肩に乗せて凄くいい人そう。(一同))))))))
巨躯の人型の肩には子犬程の大きさの人魚の子供が数人乗って獣人国を来訪していた。
「あの海洋種の人、お偉いさんなのかな?
胸に宝玉みたいな装飾着けてるし…」
「お偉いさんが肩に子供乗せて来るか?」
「うーん…私ちょっと聞いてくるわ。」ダッ!
と、通りに居た冒険者の1人が巨躯の人型の事が気になり、駆け出した。
「あ、あのー!そこの海洋種さん?
今日まで来訪してきたどの海洋種さんとも特徴が似て非なるのだけれど、種族を教えて頂いても良いですか?」
その巨躯の人型は、全身を黒く分厚い甲殻で覆い(首周りはまるでフードを被っているかの様な見た目)、金属光沢のある鉄塊の様な巨腕は、筋骨隆々な獣人の胴体程の太さがある。
中でも異質なのが、背中に生えている突起状の物体だ。
当初は背鰭かと思われたが、時折モゾモゾと動いていることから、全く別の″何か″であろう。
「にんぎょ!」
「にんぎょだよ!」
「にんぎょー」
「にんぎょです!」
「あ、教えてくれてありがとーねー…」
「いやいや、この場合聞かれてるのは俺の方だからな?」
人型の肩に乗る子供の人魚達が元気良く答えてくれたが、本音を言えば「そうじゃない!」と言いたいが何と無くその場の空気が和んだ。
「俺…じゃなかった、私の種族はク…じゃなくて、″殻人″という事にしといてくれ。」
(((((″しといてくれ″…?(一同))))))
「今回の来訪は、ある人物に会いに来たのもそうだが、子供達の引率でやって来たのが主目的だ。
子供達はまだ外の環境に慣れていないから直ぐに対応出来る様に私が同行となったのだ。」
肩に乗る子供の人魚達を良く見れば、首の周りに水の塊を纏っており、どうやらそれを介して呼吸をしている様だ。
だが子供故、はしゃいだり急に動いたりした際に水の塊が上手く追随していない事がまま見られる為、気になり出したら気が気でない。
「な、なる程ね…
それである人物、って言うのは誰の事かしら?
知ってれば場所を教える事が出来るかも…」
「冒険者のノア…外では【鬼神】と言えば通じると言われたが…」
「あー【鬼神】ね。」
「【鬼神】か。」
「今滅びの森だっけ?」
「この国の近くにあるデカい森があるんだが、その南端で今現在特訓中らしい。」
「参考にならねぇ、っつって見物目的の冒険者達が続々と戻ってきてるしな。」
「滅びのモリ…か。情報提供感謝する。」のそり…
ノアの居場所を知った人型が再びのそりと動き出そうとした時、ある冒険者から質問が飛んできた。
「あ、もしかしてアンタ、式典の時に【鬼神】とやり合う御前試合の対戦相手か?」
「え?」
「言われてみれば確かに!」
「そうに違いねぇ!」
「ガタイ凄ぇし、如何にも強そうだしな!」
巨躯に加えて強固な甲殻を兼ね備えている為、どう見ても戦闘特化な見た目をしていたので、ノアとの御前試合の対戦者と思われた。
が
「期待させて悪いが、俺は対戦者ではない。
【鬼神】と戦うのは俺の親父の方だ。」
「「「「「「おおおおお!」」」」」」
(ふむ、滅びの森…か…後で顔出しに行くか…)
人型の言葉に沸き立つ周囲だが、人型はノアが居るであろう滅びの森方面に目を向けていた。
そんな中
「そうだよ、たたかうのはケンちゃんじゃないよ。」
「それにケンちゃん、まえにひとぞくのおにぃちゃんにボコボコにされてるんだよ。」
「あのときはイキってたからね。」
「「「イキってたイキってた。」」」
「あの時の俺は黒歴史みたいなモンだったからそうズバズバ言わないでくれ…」
(((((国が違っても子供の言葉って大体辛辣なんだな…(一同))))))
ステレオで聞こえてくる子供達からの辛辣な言葉に、ケンちゃんこと<人化>形態のクラーケンはガックリと肩を落とすのであった。
その頃滅びの森方面では、少々厄介な事が起こっていた。
「ちょ、ちょーっと待ってぇ!あの状態のノア君に近付くのは本にアカンてぇ!(ミダレ)」
(『うーむ…
サキュバスの嬢ちゃん協力の下、力を完全に抑え込む訓練をしようとしたが、それ以前の話だったか…』)
(うわぁ…あんなに体を震わせて…鬼神のオーラってよっぽどなんだな…)
滅びの森南端に到着したミダレ達だが、オーラを纏った状態のノアから10メル以上離れているにも関わらず、腰砕け状態になっていた。
体を震わせ、風のそよぎですら感じ取れる程全身が敏感になっており、目付きは既に艶かしいモノとなっていた。
ズズズ…
「ミダレさん!お試しで作ってみたクリームを肌に塗ってみて下さい!(ヴァンディット)」
「へぇ…?(ミダレ)」
ミダレの影から姿を現したヴァンディットは、ガラス容器に入ったクリームを持ち出してきた。
どうやら肌を保護する目的の物の様だ。
ミダレは既に手が震えて上手く塗れなさそうだった為、クロラとポーラ、ヴァンディットも手伝って塗り塗りしてあげた。
『ぼ、僕も手伝「ソーシャルディスタンス!(ヴァンディット)」
ズゥウウウン…『……』
いたたまれなくなったノアが手伝おうとするも、意味は分からないが「離れて!」と言う意思が伝わり、思いっ切り凹むノアであった。
~2分後~
「よし!どうですか!(ヴァンディット)」
「…あ、大丈夫そう…(ミダレ)」
「「「「おー。(一同)」」」」
全身くまなくクリームを塗りたくると、さっきとは打って変わって体の震えが収まった。
『…ヴァンディットさん、あれは?』
「状態異常緩和の塗り薬です。
丁度【錬金術】ギルドから作製依頼があったので良かったです。(ヴァンディット)」
(『…え?俺のオーラって状態異常扱いなん…?』)
何はともあれ調子が戻ったミダレが再びノアの下に歩き始めた。
のだが
トテテ…ピタッ。
「う。(ミダレ)」
「「「「ん?(一同)」」」」
「……んぃぃいいいっ…(ミダレ)」モジモジ…
「「「「あ…(察)」」」」
「……っはん!(ミダレ)」ガクッ!
ノアの手前6メルでミダレが膝から崩れ落ちた。
「ノア、度が過ぎるぞ。(レドリック)」
「獣(ケダモノ)。(アミスティア)」
「「ノア様これは幾ら何でも…(ルーシー姉妹)」」
「若いってのは悪い事じゃないんだけどね…(ジョー)」
「性獣。(ポーラ)」
『味方は…味方は居ないのか…』
(『ドンマイ。』)
と、両親を皮切りに皆悪ノリし出したが、これは正直困った。訓練以前の話である。
これは想定していなかった鬼神がどうしたものかと思案していると、再びヴァンディットから提案してきた。
「これは禁断の手を使わなければいけない様ですね…『ゴソゴソ…』(ヴァンディット)」
『ん?何か使うの?』
「某国から指名の依頼で製作した禁断の薬″擬似的に(反応が)サキュバスみたいになれる薬『漢度3000倍』″を使用してみましょう!(ヴァンディット)」
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