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獣人国編~御前試合の代表決め~
自由にすれば良いと思うよ。(投)
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~獣人国・南門~
「はい、次の方どうぞ。」
「はい、冒険者カード。
依頼達成で戻ってきた所よ。(アミスティア)」
「はいお疲れ様です。次の方どうぞ。」
『同じく依頼達成で戻ってきました。
同行者は吸血鬼のヴァンディット、眷属のブラッツ、機人のラインハード、ペットのニャーゴ、契約獣のグリードです。』
「大所帯ですね。
はい、どうぞお通り…って、あれ?
あなたは【鬼神】のノア…?」
『はい、そうですよ。どうしましたか?』
南門の門兵に冒険者カードを提示し、中に入ろうとしたのだが呼び止められるノア。
門兵は怪訝そうな表情で時折「あれ?あれ?」と呟いてノア自身と冒険者カードを交互に眺めていた。
「あ、いや、だってこう、【鬼神】のノアと言えばオーラや威圧感みたいなものが…あれれ?」
『そうですか…それは僕にとって好都合…「へ?」いえ、こっちの話です。』
門兵の反応に思わず口角が吊り上がる。
本当は笑みを浮かべたい気持ちをグッと堪えるノア。
気配やオーラは違えど、所持しているクリスタルブルーの冒険者カード、顔は当たり前だがしっかりノアなのだが、何故か【鑑定】まで行った上で漸く入国する事が出来たのであった。
『やった!気配で僕だと気付かれなかったぞ!これ地味だけど一番嬉しい!』
「おめでとうございますノア様。(良く分かっていないヴァンディット)」
「おめっと。(良く分かっていないラインハード)」
「ガッツポーズまでしちゃって、そんなに嬉しかったの?(アミスティア)」
門を抜け、入国するなりノアはガッツポーズをし出した。
アミスティアが理由を聞いてみると、力を制御する前までのノアは、普通に過ごしていても何かと獣人達に正体を見破られたりしていた。
どうやら中に居る鬼神のオーラが漏れ出ていた様で容易に気配等を察してしまうらしい。
酷い時になると、個室のトイレで用を足していた時に「あれ?もしかして2つ隣の個室に【鬼神】居ねぇ?」と言われた時は中に居る鬼神にどうにかしろ、と口論になり掛けた事すらあったと言う。
「そんなに身バレが嫌だったんならヴァンディットちゃんの影の中に居るか、土属性魔法持ってるんだから土遁してれば良かったんじゃない?(アミスティア)」
『ヤダよ、それじゃ潜伏生活みたいじゃん!
でもこれで漸く自由を謳歌出来るんだ、式典まで後3日だけどそれまではのんびりさせて貰うさ。』
「まぁ良いんじゃ無いかしら?(アミスティア)」
「「良いと思いますよ。」」
周りに居る他の冒険者同様普通に過ごしていれば身バレする心配が無くなったノアは、本当の意味での自由を謳歌する事になる
ピタッ。
『…自由に、って何すれば良いんだろう…』
(((職業病…)))
のかな…?
~海底10000メル地点・龍宮城から海底山脈2つ越えた場所にある巨大な亀裂~
珊瑚や海藻の冷光によって光に満ちた龍宮城とは打って変わり、光が一切無く漆黒と静寂の空間が広がる深い深い海の底。
その一部、亀裂の周辺だけは目映い光に満ちていた。
ゴォン…ゴガァッ…
亀裂の底の方から衝撃波と共に轟音が響く。
中を覗くと、亀裂の底には赤熱したマグマの流れが見え、岩盤の壁面の各所に杭の様なモノが幾本も突き出していた。
その杭と杭の間を高速で″何か″が移動し、″別の何か″に襲い掛かっている様だ。
ゥボァア″ア″ア″ア″ッ!ゴガンッ!
比較対象が居ない為、両者の大きさがよく分からないが、どちらも巨大な生物の様である。
咆哮を上げつつ自身が出現させた杭と杭の間を高速で移動し、″別の何か″に襲い掛かっている″何か″の正体は、体長200メルを越える『シーベッド・マウンテンゴリラ』と言う巨大なモンスターで、対面に居る″別の何か″は、体長50メル程の人型モンスターであった。
ゥボォオオオオッ!ドゥンッ!
ベェァア『ゴガンッ!』ァバァア″ッ!
掴まっていた杭から勢い良く身を乗り出した『シーベッド・マウンテンゴリラ』は人型の″別の何か″に襲い掛かるも、顔面に重い一撃を受け、咆哮を上げながら吹き飛ばされてしまった。
迎撃した″別の何か″は吹き飛ばした『シーベッド・マウンテンゴリラ』に見向きもせずに呟いた。
「ふむぅ、<人化>とは難儀なものよ!
通常時の1/100も出力が出せんとはっ!
…が、弱きモノとして見ていた者共と対等に殺り合う事が出来る故、永らく出せなかった本気で挑めるというのが中々に趣が合って良いモノだわい。」
<人化>に伴う自身の攻撃力低下に歯噛みしながらも、久しく出せなかった本気でのやり取りに心を震わせていた。
オゴァア″ア″ア″ア″ア″ッ!
「くっくっく…
大なる者に挑む小…我が息子と殺り合った人族の少年ノアも斯様な心持ちだったであろうな。」
自身の4倍の体長を誇り、顔面の左半分がぐしゃりと潰れ、怒髪天の相貌で吠え散らかす『シーベッド・マウンテンゴリラ』を前にした″別の何か″=エルダー・クラーケンは、自身の息子を前にしたノアの気持ちを夢想していた。
ちなみにノアは当時心震わせる事無く、複雑骨折や内臓破裂等により体を震わせていたのだが、″別の何か″は知る由も無い。
ガッ!ガシッ!ギュゥヴヴヴッ!
「ハッハッハッ!次で仕留めるとでも言わん程に力を籠めておるな?
我の『エルプシオン・ヴォルカニカ』を食らって顔面の崩壊で止まっておるという事は、それ以上の攻撃を与えにゃ殺せん様だ!
全開には程遠いが、食らうが良いぞ!」
ヴォン、ヴォンヴォンヴォンッ!
ドゥンッ!オヴァア″ア″ア″ア″ア″ア″ッ!
『シーベッド・マウンテンゴリラ』が巨大な両の手を合わせて力を籠める。
大方自重をフルに乗せた渾身の叩き付けを食らわせると思われるが、体長200メルを越す超巨体が繰り出せばその威力は計り知れない。
そんな『シーベッド・マウンテンゴリラ』に対するエルダー・クラーケン<人化>形態は、力を凝縮させる様な音を響かせながら、拳を強く握りだした。
直後、『シーベッド・マウンテンゴリラ』は咆哮を上げながら対面に居るエルダー・クラーケン<人化>形態に向かって大きく跳躍していった。
そこに
「『エルプシオン・カタストロフィカ』!」
と、エルダー・クラーケンが何やら技名の様なモノを叫びながら『シーベッド・マウンテンゴリラ』に向かって拳を振るう。
何の変哲も無いグーパンチである。
この場合、『エルプシオン・カタストロフィカ』とは技名等では無く、攻撃の『出力』を意味している。
先程『シーベッド・マウンテンゴリラ』に食らわせ、顔面の左半分が崩壊に止まった『エルプシオン・ヴォルカニカ』は、<人化>形態では無く本来のエルダー・クラーケンが地上で繰り出せば『火山噴火』に相当する威力を持つ。
これはエルダー・クラーケンが出せる最大出力の『上から3番目』に該当する。
そして今しがた繰り出した『エルプシオン・カタストロフィカ』は『上から2番目』、『破局噴火』に該当する。
幾ら<人化>形態となり、『出力』が1/100にまで落ちたとはいえ
『ゴォ『ガヂョッ『ドパパパパパァンッ!!!』』
振り下ろされた巨拳の塊にエルダー・クラーケンの拳が突き立ささると、『シーベッド・マウンテンゴリラ』の巨拳は粉砕。
衝撃波が拳を中心として伝播し、直径100メルの範囲の空間が一瞬歪む。
『バ『ドバァッ!』』
膨張、収縮、破壊が瞬間的に行われ、『シーベッド・マウンテンゴリラ』の首から腰の辺りまでが原型を止めぬままに砕け散った。
その結果周辺500メルの範囲内は、一時的に血の海に染まるのであった。
「はい、次の方どうぞ。」
「はい、冒険者カード。
依頼達成で戻ってきた所よ。(アミスティア)」
「はいお疲れ様です。次の方どうぞ。」
『同じく依頼達成で戻ってきました。
同行者は吸血鬼のヴァンディット、眷属のブラッツ、機人のラインハード、ペットのニャーゴ、契約獣のグリードです。』
「大所帯ですね。
はい、どうぞお通り…って、あれ?
あなたは【鬼神】のノア…?」
『はい、そうですよ。どうしましたか?』
南門の門兵に冒険者カードを提示し、中に入ろうとしたのだが呼び止められるノア。
門兵は怪訝そうな表情で時折「あれ?あれ?」と呟いてノア自身と冒険者カードを交互に眺めていた。
「あ、いや、だってこう、【鬼神】のノアと言えばオーラや威圧感みたいなものが…あれれ?」
『そうですか…それは僕にとって好都合…「へ?」いえ、こっちの話です。』
門兵の反応に思わず口角が吊り上がる。
本当は笑みを浮かべたい気持ちをグッと堪えるノア。
気配やオーラは違えど、所持しているクリスタルブルーの冒険者カード、顔は当たり前だがしっかりノアなのだが、何故か【鑑定】まで行った上で漸く入国する事が出来たのであった。
『やった!気配で僕だと気付かれなかったぞ!これ地味だけど一番嬉しい!』
「おめでとうございますノア様。(良く分かっていないヴァンディット)」
「おめっと。(良く分かっていないラインハード)」
「ガッツポーズまでしちゃって、そんなに嬉しかったの?(アミスティア)」
門を抜け、入国するなりノアはガッツポーズをし出した。
アミスティアが理由を聞いてみると、力を制御する前までのノアは、普通に過ごしていても何かと獣人達に正体を見破られたりしていた。
どうやら中に居る鬼神のオーラが漏れ出ていた様で容易に気配等を察してしまうらしい。
酷い時になると、個室のトイレで用を足していた時に「あれ?もしかして2つ隣の個室に【鬼神】居ねぇ?」と言われた時は中に居る鬼神にどうにかしろ、と口論になり掛けた事すらあったと言う。
「そんなに身バレが嫌だったんならヴァンディットちゃんの影の中に居るか、土属性魔法持ってるんだから土遁してれば良かったんじゃない?(アミスティア)」
『ヤダよ、それじゃ潜伏生活みたいじゃん!
でもこれで漸く自由を謳歌出来るんだ、式典まで後3日だけどそれまではのんびりさせて貰うさ。』
「まぁ良いんじゃ無いかしら?(アミスティア)」
「「良いと思いますよ。」」
周りに居る他の冒険者同様普通に過ごしていれば身バレする心配が無くなったノアは、本当の意味での自由を謳歌する事になる
ピタッ。
『…自由に、って何すれば良いんだろう…』
(((職業病…)))
のかな…?
~海底10000メル地点・龍宮城から海底山脈2つ越えた場所にある巨大な亀裂~
珊瑚や海藻の冷光によって光に満ちた龍宮城とは打って変わり、光が一切無く漆黒と静寂の空間が広がる深い深い海の底。
その一部、亀裂の周辺だけは目映い光に満ちていた。
ゴォン…ゴガァッ…
亀裂の底の方から衝撃波と共に轟音が響く。
中を覗くと、亀裂の底には赤熱したマグマの流れが見え、岩盤の壁面の各所に杭の様なモノが幾本も突き出していた。
その杭と杭の間を高速で″何か″が移動し、″別の何か″に襲い掛かっている様だ。
ゥボァア″ア″ア″ア″ッ!ゴガンッ!
比較対象が居ない為、両者の大きさがよく分からないが、どちらも巨大な生物の様である。
咆哮を上げつつ自身が出現させた杭と杭の間を高速で移動し、″別の何か″に襲い掛かっている″何か″の正体は、体長200メルを越える『シーベッド・マウンテンゴリラ』と言う巨大なモンスターで、対面に居る″別の何か″は、体長50メル程の人型モンスターであった。
ゥボォオオオオッ!ドゥンッ!
ベェァア『ゴガンッ!』ァバァア″ッ!
掴まっていた杭から勢い良く身を乗り出した『シーベッド・マウンテンゴリラ』は人型の″別の何か″に襲い掛かるも、顔面に重い一撃を受け、咆哮を上げながら吹き飛ばされてしまった。
迎撃した″別の何か″は吹き飛ばした『シーベッド・マウンテンゴリラ』に見向きもせずに呟いた。
「ふむぅ、<人化>とは難儀なものよ!
通常時の1/100も出力が出せんとはっ!
…が、弱きモノとして見ていた者共と対等に殺り合う事が出来る故、永らく出せなかった本気で挑めるというのが中々に趣が合って良いモノだわい。」
<人化>に伴う自身の攻撃力低下に歯噛みしながらも、久しく出せなかった本気でのやり取りに心を震わせていた。
オゴァア″ア″ア″ア″ア″ッ!
「くっくっく…
大なる者に挑む小…我が息子と殺り合った人族の少年ノアも斯様な心持ちだったであろうな。」
自身の4倍の体長を誇り、顔面の左半分がぐしゃりと潰れ、怒髪天の相貌で吠え散らかす『シーベッド・マウンテンゴリラ』を前にした″別の何か″=エルダー・クラーケンは、自身の息子を前にしたノアの気持ちを夢想していた。
ちなみにノアは当時心震わせる事無く、複雑骨折や内臓破裂等により体を震わせていたのだが、″別の何か″は知る由も無い。
ガッ!ガシッ!ギュゥヴヴヴッ!
「ハッハッハッ!次で仕留めるとでも言わん程に力を籠めておるな?
我の『エルプシオン・ヴォルカニカ』を食らって顔面の崩壊で止まっておるという事は、それ以上の攻撃を与えにゃ殺せん様だ!
全開には程遠いが、食らうが良いぞ!」
ヴォン、ヴォンヴォンヴォンッ!
ドゥンッ!オヴァア″ア″ア″ア″ア″ア″ッ!
『シーベッド・マウンテンゴリラ』が巨大な両の手を合わせて力を籠める。
大方自重をフルに乗せた渾身の叩き付けを食らわせると思われるが、体長200メルを越す超巨体が繰り出せばその威力は計り知れない。
そんな『シーベッド・マウンテンゴリラ』に対するエルダー・クラーケン<人化>形態は、力を凝縮させる様な音を響かせながら、拳を強く握りだした。
直後、『シーベッド・マウンテンゴリラ』は咆哮を上げながら対面に居るエルダー・クラーケン<人化>形態に向かって大きく跳躍していった。
そこに
「『エルプシオン・カタストロフィカ』!」
と、エルダー・クラーケンが何やら技名の様なモノを叫びながら『シーベッド・マウンテンゴリラ』に向かって拳を振るう。
何の変哲も無いグーパンチである。
この場合、『エルプシオン・カタストロフィカ』とは技名等では無く、攻撃の『出力』を意味している。
先程『シーベッド・マウンテンゴリラ』に食らわせ、顔面の左半分が崩壊に止まった『エルプシオン・ヴォルカニカ』は、<人化>形態では無く本来のエルダー・クラーケンが地上で繰り出せば『火山噴火』に相当する威力を持つ。
これはエルダー・クラーケンが出せる最大出力の『上から3番目』に該当する。
そして今しがた繰り出した『エルプシオン・カタストロフィカ』は『上から2番目』、『破局噴火』に該当する。
幾ら<人化>形態となり、『出力』が1/100にまで落ちたとはいえ
『ゴォ『ガヂョッ『ドパパパパパァンッ!!!』』
振り下ろされた巨拳の塊にエルダー・クラーケンの拳が突き立ささると、『シーベッド・マウンテンゴリラ』の巨拳は粉砕。
衝撃波が拳を中心として伝播し、直径100メルの範囲の空間が一瞬歪む。
『バ『ドバァッ!』』
膨張、収縮、破壊が瞬間的に行われ、『シーベッド・マウンテンゴリラ』の首から腰の辺りまでが原型を止めぬままに砕け散った。
その結果周辺500メルの範囲内は、一時的に血の海に染まるのであった。
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