ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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獣人国編~国交式典・解放・擬似的大氾濫~

一先ず無事成功。

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「きゃあっ!(狐の踊り子)」

「っ!?(ヴァモス)」


またしてもトラブルが発生。

踊り子達は事前に、街の各所に足場となる建物や設置物等を位置を把握していたのだが、とある露店商が店に少し被るからと移動していた事が原因で発生したものだ。

足場があると思っていたらそこに無く、真っ逆さまに地面に落下している所であった。

1番近くに居たヴァモスだが、それでも30メルは離れており、とても間に合うモノではなかった。




ザリッ…  クイックイッ。

「!(狐の踊り子)」ギュルッ!

「そぅ『ぎゅむっ!』ら、行ってこい!『ゴゥッ!』(???)」


落下地点にとある2人組の冒険者が待機しており、1人は手を組んで待ちの姿勢を取り、もう1人は狐の踊り子に手招きしていた。

意図を察した狐の踊り子は空中で前宙し、手を組んで待機している1人の冒険者の手元に足を突き出す。

するとタイミング良く力を籠めて狐の踊り子を再び上空へと克ち上げたのだった。


ペコペコ…(狐の踊り子)

ヒラヒラ~(とある2人組)


狐の踊り子はチームの元へ戻りながらも2人組に頭を下げ、その2人組は手を振って見送っていた。


スタッ!

「あ、あの!ありがとうございますゴフゥさん、ゴファンさん!(ヴァモス)」

「「はは、気にしなさんな。」」


ヴァモスは狐の踊り子を助けた2人…冒険者パーティ『超犀野人(スーパーサイ○ジン)』のゴフゥとゴファンへお礼を言いに来た。

この2人は、海洋種との御前試合を行う為の獣人国代表を決める戦い(元々はベレーザの婿決め)で準決勝でヴァモスを破り、決勝でノアにボコられた犀獣人の2人である。

そんな2人が運良くこの辺りを歩いてくれててホッと胸を撫で下ろしていると


「どっかの″世話焼き″が言ってたんだ。
″一丸となってやり遂げるとは思うが、何が起こるか分からない。
もし困った事になったら影ながら手助けしてやってくれ″ってな。(ゴフゥ)」

「他にも拳を交えた者達に声掛けしてお願いしてたぜ?
さ、まだまだ途中だろ?君も戻ると良い。(ゴファン)」

「は、はい!お礼は後程必ず!(ヴァモス)」

ズダッ!


ノアが踊り子達に声掛けした際、″『この国の人達はおおらかでノリが良い、多少のフォローもしてくれるさ!』″と言っていたが、これはノアが以前素手喧嘩で闘った獣人に協力して貰う様に声を掛けた所、全員から二つ返事で了承してくれた事で発した言葉であった。


スタタタタッ!バヂッ!


感謝も手短に裏方としての仕事に戻るヴァモスは、人通りのほぼ無い路地裏を通りつつ、指にヴァンディットから借りた魔力が蓄えられた指輪を填めながら氷衣纏雷状態へと移行。

つまりいよいよ大詰めと言う訳だ。





『『『スタッ!』』』
『『スタタッ!』』
『『『ザッ!』』』
『『『『ズダダダダッ!』』』』


長い布、レース生地等を幾重にも重ね、街の中心部には大きな蕾が完成。
後は踊り子全員が引っ張り上げつつ宙へと開花させるのみである。

踊り子達が各建物の上に降り立った頃には、今までの行動で静電気が溜まりに溜まった状態である。

そこに

バヂヂヂヂヂヂヂヂヂヂヂヂヂヂヂヂヂヂヂヂヂヂヂヂヂヂヂヂヂヂヂヂヂィッ!


氷衣纏雷状態のヴァモスが踊り子達の間を超高速で通り抜け、溜まっていた静電気を一挙に引き受けつつ踊り子達へ帯電防止の氷を付与させた。


ヂヂッ…!フラッ…

『…準備完了…!行けます!』

『『『『『『『『コクッ。』』』』』』』』

『『『『『『『『ズダッ!』』』』』』』』


指輪を装着しているとは言え、100人の踊り子達へ付与魔法を掛けた事で一気に魔力が抜けてフラつくヴァモス。

彼から完了の合図が出た瞬間、踊り子達は一斉に駆け出し、最後の連携へと挑みに行った。


ヒュヒュンッ!

『『『『シュルル…』』』』

シュタンッ!

『『『シュルリ…』』』

ヒュトトッ!

『『『『『シュルシュル…』』』』』


100人の踊り子達が巨大な蕾へと接近、すれ違いざまに色とりどりのレースや生地を掴んだ踊り子達が、蕾の外側の花弁を広げつつ、徐々に大輪の花を空中に咲かせていく。


「「「「「「「おおおおおおおおおおおおおおっ…」」」」」」」


徐々に大輪の花が咲き誇り出すと、観衆が俄に沸き立ってきた。


『『『『『ストッ!』』』』』

『『『『『スタタタッ!ダンッ!』』』』』

『『『『『シュルルルッ!』』』』』

フワァッ…!


最後の仕上げとして、5方向に降り立った踊り子達が大輪の軸となる部分に向かって駆け出し、空中に咲く大輪の花に添えられている葉を引っ張り上げ、花を最大限まで咲かせるのであった。


「「「「「「「「「「ワァアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!」」」」」」」」」」


銀世界竜宮王之遣の背に乗るリヴァイアへ向けた大輪の花は、雲の切れ間から射し込まれた陽光を浴びて見事に咲き誇り、陣から出現した人魚達はその光景を、笑みを浮かべて目に焼き付けていた。




『『『『『『ブゥンッ!』』』』』』

「「「「「「「おおおおっ!?」」」」」」」

『『『『オォオオオオ…!』』』』


大輪の花が咲き誇った直後、空中に存在している水を触媒とした陣が巨大化、更なる存在の出現が始まった。

空を優雅に泳ぐ翼長100メル近い巨大なマンタ。
光の帯を噴出させる巨大なクジラ。
常に発光し続け自由自在に泳ぐタコ。
縦横無尽に空を泳ぐ亀の編隊。

他にも色とりどりな魚の群れ、幻想的な光を漂わせるクラゲの群体等が、まるで踊り子達が贈った大輪の花に喜んでいる様であった。



実はこれらはストーリー仕立てとなっていて

曇天=深海
日差し=外の世界との邂逅
多種多様な海洋生物の出現=繁栄

を意味していた。



長い間海洋種は深く暗い海の底で繁栄していたが、思いがけない出会い(ノアとの邂逅)により外の世界と関係を持つ事に。

獣人国から友好の贈り物(大輪の花)を受け取った海洋種は共に繁栄していこう、との意思表示として多種多様な海洋生物の出現を以て示したのであった。





空はいつの間にか雲1つ無い晴れやかな空へと変化しており、獣人国と海洋種双方を温かく照らしていた。


″『獣人国ヴァーリアスフェアレスの方々、この様な温かなお心遣い、誠に感謝致します。
この花を未来永劫まで枯らす事の無い様努めて参りたいと思います。』″

「「「「「「「「「「ワァアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!」」」」」」」」」」


リヴァイアからの感謝の言葉に更に沸き立つ観衆であった。





~とある建物の屋上~


『…うん、上手くいった様で良かった良かった。』


ノアは他よりも一際高い建物の上で様子を見守っていた。
少し危ない場面はあったものの、″ノリが良い街の人達″の協力もあって無事成功して胸を撫で下ろしていた。


″ううう、良がっだ…本当に良がっだのぅリヴァぢゃん…『ズビビッ!』(海神(ワダツミ))″

″ワダっちゃん男泣きが過ぎるよ、気持ちは分かるけど。(暦)″

″そのままにしといてあげよう暦。
ずーっと気に掛けてたみたいだし、感無量なのさ。(地母神ドーラ)″

『『『オロオロ…オロオロ…』』』

(『何か増えてる…』)
(『…まぁ、神に付随した者達なのは間違いないな。』)


ノアの後ろでは、目映い光で輪郭位しか見えない人物3人と、御付きの者達だろう羽を生やした騎士鎧姿の存在がオロオロしつつ控えていた。
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