ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

.

文字の大きさ
767 / 1,117
獣人国編~国交式典・解放・擬似的大氾濫~

後続が到達

しおりを挟む
グォオオォオオンッ!ズァアッ!

『うわっ!デケェ!』

ボヒュッ!ドゴォオオオッ!


石声鸚哥(セキセイインコ)を突破したノアの前には、通常個体の2倍以上もある体躯のダックス憤怒『ギガンティック・ダックス憤怒』が立ち塞がり、岩石の様に巨大な前脚を振り上げて地面に叩きつけた。


ゴチチチチチッ!

『チッ!まるで弾丸だな!』


地面が捲り上がる程の威力で叩き付けられた前脚を中心として土や石の礫が発射。
それをノアは荒鬼神ノ化身を盾として防いだ。


ダガガッ!グォンッ!

ズザザッ!グァアンッ!

(『追加がやって来たぞ!手数を少なく、一撃に重きを置いて手早く捌け!』)

『合点!』


類は友を呼ぶと言うが、この時ばかりは堪ったものではない。
同種のギガンティック・ダックス憤怒が追加で2頭やって来た。

その後方からは砂埃で姿は見えないが、轟音と地響きによって多数のモンスターが接近して来ている事が感じられた。

つまり1体1体に時間を割けないのである。


グォオオォッ!ブンッ!

(『<躱身(カワシミ)>!』)

スッ…『ゾリッ!』

ゥバァアアアアアッ!!?


そんなノアにギガンティック・ダックス憤怒は、再び前脚を振り上げて踏み潰そうとして来た為、当たる寸前ギリギリに<躱身>を発動。

攻撃力を上乗せした斬撃を放つと、頑強な皮膚と高密度な筋肉を突破し、金属の様な硬質の音を響かせながらも両断する事に成功した。


ゥガゥッ!『『ガギッ!』ぬぐっ!』


片前脚を失ったギガンティック・ダックス憤怒がバランスを崩す中、別個体がノアの側面から食らい付いて来た。

あまりにも素早い食らい付きであったが、右腕と左足でつっかえ棒の様にする事で巨大な口を閉ざす事を防いだ。


『くそっ!デカい図体の割にすばしっこい犬だな!『貪欲(グリーディ)』!撃て!』

キュルルルッ!バシュッ!


先程召喚した『貪欲(グリーディ)』は1度の召喚で最大5発までガラス玉サイズのプラズマレーザーを放つ事が出来る。

先程石声鸚哥(セキセイインコ)に4発のプラズマレーザーを放ち、後1回分の余力を残し、ノアの肩に掴まって待機していた。

そこでノアはギガンティック・ダックス憤怒の口内から″脳″を指差し、そこにプラズマレーザーを放つ様に指示を出した。


『ジュ『ジュンッ!』』

グォッ…ォォン…ズズンッ!


プラズマレーザーが一瞬で数層を突破した音が響いた直後、ギガンティック・ダックス憤怒は弱々しく呻き、その巨体がゆっくりと崩れ落ちたのであった。


ゴロッ…

『危…『グォゥッ!『ガヂィンッ!』っぶねぇっ!』

ゴォオオオッ!ギギギギ…


倒れ伏したギガンティック・ダックス憤怒の口内から転がり出たノアに、間髪入れずに別個体が食らい付いてきた。

またもや手足をつっかえ棒にして呑み込まれない様にするが、恐ろしい程の口咬力で噛み砕こうとしてくる。




ビュオンッ!

『!』ババッ!

『『『ゴシャッ!』』』ッブァアッ!?


ノアの後方から大木の様な物体が迫る反応があったので、瞬間的に力を籠めて無理矢理口を抉じ開け、その場から離脱。

直後に漆黒の龍鱗を纏ったグリードの尻尾がギガンティック・ダックス憤怒の顔面に叩き込まれて上顎が粉砕。
数本の牙を砕いていた。


ガギッ!グワォッ!ガァアアッ!


克ち上げられたギガンティック・ダックス憤怒の首を物凄い早さで掴むグリード。
顔面を潰されながらも反撃を仕掛けようとするが


ガァア『グジュッ!』アッ…

ズズンッ…


手そのものが口の役割を果たすグリードによって首を咬み千切られたギガンティック・ダックス憤怒は、一瞬で絶命し地面に崩れ落ちたのだった。


《大丈夫ですか主様?》

『力やスピードはどうって事無いけどやっぱりサイズ差はどうしようも無いな…
グリード、殲滅力重視であの強化版ダックス憤怒位のサイズはお願いしたいんだが良いかな?』

《勿論ですわ。》ビョルルンッ!


ノアからの指示を受けたグリードは直ぐ様行動を開始。その姿を見送りつつ後方の女性陣の方に目をやった。


『さて、あちらの方は…』





~ラインハード・ヴァンディット側~


ガァアアッ!ゴァアアッ!

『ダンッ!』『ゴガガンッ!』『ガガガガゴンッ!』『ガガンッ!』

ギャウッ!ゥガァアッ!ガァアアッ!


魔装鉄甲を装備したラインハードの下に迫る中型サイズのモンスター『エグリゴリラ』。

分厚い筋肉を搭載し、俊敏な機動力を駆使して迫るが、的確に顎や側頭部等の急所に魔力弾が次々に命中していく。


ガギンッ!ガァアアッ!ギギッ!ガギギッ!

『ガションッ!』『ゴンッ!』ギッ!『ゴンッ!』ガァッ!『ゴチュッ!』ゥガァアッ!


鉄甲に食らい付いて来たエグリゴリラに対し、手首を捻る事で弾種を貫通魔力弾へと変更。
2発目までは貫通に至らず、3発目で頑強な頭蓋を突破、大きく上体がぐらついた。

そこに


ガァゥウッ!『ガブッ!』ゴァアアッ…

グゥ…『ギギギ…』ガァ『ゴギンッ!』


ヴァンディットの『魅惑の魔眼』で魅了されたダックス憤怒が食らい付いて来て捻りを加える。

僅かに抵抗するが、貫通魔力弾で致命傷を負ったエグリゴリラにはそれを回避する術は無く、一気に首をへし折られていた。


「ハーちゃん(ラインハードの愛称)腕大丈夫?(ヴァンディット)」

「チッチッチ、この程度じゃ傷1つ付かないよヴァンちゃん(ヴァンディットの愛称)。
それよりもダックス憤怒との連携上手くいってるね。(ラインハード)」


即席でパーティを編成し、初戦闘終えた2人は、軽口を叩ける分には平然としていた。

それは前線でノアとグリードが大暴れしてヘイトを稼いでいるからであり、乱戦となった場合はこの余裕がいつまで続くかは分からない。

何せ討伐数よりも向かってくるモンスターの数の方が圧倒的だからである。




『『『パシュンッ!』』』

「え?(ラインハード)」
「え?(ヴァンディット)」

ドカカカッ!『『『ギュルルルッ!』』』

ギャァウッ!グォッ!アギャッ!

「ちょっとちょっと!
2人まで戦線に出て来てるの!?(エスメラルダ)」

「ほだらばちゃーんと周りを見とらんと襲われてしまうど。(バド)」

「「み、皆さん!」」


2人の間を3本の矢が通過。
すると新たにやって来た『プレッシャーパンダ』とエグリゴリラ2頭に突き立つと、急速に蔓が延びてがんじ絡めになってしまった。

これは【薬学弓士(ネイチャー)】のエスメラルダが放った物で、拘束技の1つであった。
しおりを挟む
感想 1,253

あなたにおすすめの小説

【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』

ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。 全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。 「私と、パーティを組んでくれませんか?」 これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!

自由でいたい無気力男のダンジョン生活

無職無能の自由人
ファンタジー
無気力なおっさんが適当に過ごして楽をする話です。 すごく暇な時にどうぞ。

無能扱いされ、パーティーを追放されたおっさん、実はチートスキル持ちでした。戻ってきてくれ、と言ってももう遅い。田舎でゆったりスローライフ。

さら
ファンタジー
かつて勇者パーティーに所属していたジル。 だが「無能」と嘲られ、役立たずと追放されてしまう。 行くあてもなく田舎の村へ流れ着いた彼は、鍬を振るい畑を耕し、のんびり暮らすつもりだった。 ――だが、誰も知らなかった。 ジルには“世界を覆すほどのチートスキル”が隠されていたのだ。 襲いかかる魔物を一撃で粉砕し、村を脅かす街の圧力をはねのけ、いつしか彼は「英雄」と呼ばれる存在に。 「戻ってきてくれ」と泣きつく元仲間? もう遅い。 俺はこの村で、仲間と共に、気ままにスローライフを楽しむ――そう決めたんだ。 無能扱いされたおっさんが、実は最強チートで世界を揺るがす!? のんびり田舎暮らし×無双ファンタジー、ここに開幕!

ブラック企業で心身ボロボロの社畜だった俺が少年の姿で異世界に転生!? ~鑑定スキルと無限収納を駆使して錬金術師として第二の人生を謳歌します~

楠富 つかさ
ファンタジー
 ブラック企業で働いていた小坂直人は、ある日、仕事中の過労で意識を失い、気がつくと異世界の森の中で少年の姿になっていた。しかも、【錬金術】という強力なスキルを持っており、物質を分解・合成・強化できる能力を手にしていた。  そんなナオが出会ったのは、森で冒険者として活動する巨乳の美少女・エルフィーナ(エル)。彼女は魔物討伐の依頼をこなしていたが、強敵との戦闘で深手を負ってしまう。 「やばい……これ、動けない……」  怪我人のエルを目の当たりにしたナオは、錬金術で作成していたポーションを与え彼女を助ける。 「す、すごい……ナオのおかげで助かった……!」  異世界で自由気ままに錬金術を駆使するナオと、彼に惚れた美少女冒険者エルとのスローライフ&冒険ファンタジーが今、始まる!

ダンジョントランスポーター ~ 現代に現れたダンジョンに潜ったらレベル999の天使に憑依されて運び屋になってしまった

海道一人
ファンタジー
二十年前、地球の各地に突然異世界とつながるダンジョンが出現した。 ダンジョンから持って出られるのは無機物のみだったが、それらは地球上には存在しない人類の科学や技術を数世代進ませるほどのものばかりだった。 そして現在、一獲千金を求めた探索者が世界中でダンジョンに潜るようになっていて、彼らは自らを冒険者と呼称していた。 主人公、天城 翔琉《あまぎ かける》はよんどころない事情からお金を稼ぐためにダンジョンに潜ることを決意する。 ダンジョン探索を続ける中で翔琉は羽の生えた不思議な生き物に出会い、憑依されてしまう。 それはダンジョンの最深部九九九層からやってきたという天使で、憑依された事で翔は新たなジョブ《運び屋》を手に入れる。 ダンジョンで最強の力を持つ天使に憑依された翔琉は様々な事件に巻き込まれていくのだった。

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

スキルで最強神を召喚して、無双してしまうんだが〜パーティーを追放された勇者は、召喚した神達と共に無双する。神達が強すぎて困ってます〜

東雲ハヤブサ
ファンタジー
勇者に選ばれたライ・サーベルズは、他にも選ばれた五人の勇者とパーティーを組んでいた。 ところが、勇者達の実略は凄まじく、ライでは到底敵う相手ではなかった。 「おい雑魚、これを持っていけ」 ライがそう言われるのは日常茶飯事であり、荷物持ちや雑用などをさせられる始末だ。 ある日、洞窟に六人でいると、ライがきっかけで他の勇者の怒りを買ってしまう。  怒りが頂点に達した他の勇者は、胸ぐらを掴まれた後壁に投げつけた。 いつものことだと、流して終わりにしようと思っていた。  だがなんと、邪魔なライを始末してしまおうと話が進んでしまい、次々に攻撃を仕掛けられることとなった。 ハーシュはライを守ろうとするが、他の勇者に気絶させられてしまう。 勇者達は、ただ痛ぶるように攻撃を加えていき、瀕死の状態で洞窟に置いていってしまった。 自分の弱さを呪い、本当に死を覚悟した瞬間、視界に突如文字が現れてスキル《神族召喚》と書かれていた。 今頃そんなスキル手を入れてどうするんだと、心の中でつぶやくライ。 だが、死ぬ記念に使ってやろうじゃないかと考え、スキルを発動した。 その時だった。 目の前が眩く光り出し、気付けば一人の女が立っていた。 その女は、瀕死状態のライを最も簡単に回復させ、ライの命を救って。 ライはそのあと、その女が神達を統一する三大神の一人であることを知った。 そして、このスキルを発動すれば神を自由に召喚出来るらしく、他の三大神も召喚するがうまく進むわけもなく......。 これは、雑魚と呼ばれ続けた勇者が、強き勇者へとなる物語である。 ※小説家になろうにて掲載中

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

処理中です...