ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

.

文字の大きさ
775 / 1,117
獣人国編~国交式典・解放・擬似的大氾濫~

元女王の嗜み

しおりを挟む
ズバッ!『ガァッ!』ザシュッ!『ギッ!』シュパパッ!『『ギャァアッ!』』

(ひ、ひぇえ…私こんなスパスパモンスターを斬り伏せた事なんて無いのに…
剣も異様に軽く感じるし、全く疲れない…
ノア君一体私達に何を施したってのよぉ…
…でもお陰で最低3人1組で対処すべき暗闇人をたった1人で討伐出来てる…今の騎士団、いや私に敵は無い!(ハナ))


表面上は冷静さを装いつつも、自身の膂力の変化と全能感に似た高揚感で妙なテンションとなる騎士団団長のハナ。


ギッ、ギィイイイッ!ダッ!

「ハナ!暗闇人が退いてくよ!(サクラ)」


″影″による″盲目状態″が緩和され、ノアの【鬼哭崇崇】によるステータス加算によって苦も無く蹂躙されていく状況に、暗闇人は次々に退いていく。

普通であれば捨て置く所なのだが、身に宿った全能感により、冷静な判断が出来なくなっていたハナは選択を誤る事になる。


「追撃だ!1匹たりとも逃さず殲滅せよ!(ハナ)」

「「「「「「「「「おぅ!」」」」」」」」」


ここで誰かが声を上げて止めに入れれば良かったのだが、ハナ以外も暗闇人相手に容易に立ち回れる様になった為全員が全員気が緩んでいた。


『『『ザッザッザッ!』』』


ハナは騎士団員の先頭に立ち、暗闇人を追う。
そうして手近な位置に居る暗闇人を背後から斬り掛かろうとした時だった。


『『『『『『『『ガギッ!』』』』』』』』

『ズァッ!』「「えっ!?」」」
『ズァッ!』「「なっ!?」」
『ズァッ!』「「「は?」」」
『ズァッ!』「えっ!?(ハナ)」


突如幾人かの足首に謎の感触が伝わる。
まるで何者かに足首を掴まれたかの様な…と思い下を見ると、やはりと言うべきか足下の影の中から筋張った手が延び、数人の騎士の足首を掴んでいた。

と同時に影の中から10数体もの暗闇人が飛び出して襲い掛かってきた。

そう、暗闇人が退いた様に見せて罠に嵌めたのである。


「防ぎ『『グシャッ!』』っあぁああっ!?…(ハナ)」


せめて防御を、周囲に指示を飛ばそうとしたハナだが、掴まれた足首がまるで枯木を折るかの様にへし曲がり、悲鳴へと変わってしまった。


『『ガァアアアッ!』』

「くっ…ふぅっ…(ハナ)」


ハナを貪り食うつもりで奇声を上げながら襲い掛かる2体の暗闇人。

万全な状態のハナであれば2体でも対処出来たであろうが、バランスを崩して倒れようとしている今のハナでは到底無理だろう。

このまま何も出来ず、後は蹂躙されるのみ…とはならなかった。


タァン…


遠くの方から何やら乾いた音が聞こえてくる。
その直後に


『『『ドパァンッ!』』』

「なっ!?(ハナ)」

タァン…ガァ!?ガ『ズバァンッ!』

「えっ!?何!?何!?何が起こってるの!?(ハナ)」


遠方から乾いた音がしたと思った直後、ハナに飛び掛かって来ていた暗闇人3体の頭部が弾け飛んだ。

訳が分からない内に仲間が同時に3体も死亡した為、動きを止めていた別の暗闇人の頭部も弾け飛んだ。

更にその直後


どっすどっすどっす…

(    ゜゜)〔っす。〕『ゴキッ!』ッガァッ!

ー(    ゜゜)ー〔ま。〕

「え!?何っ!?何っ!?(ハナ)」


身長2メル程の岩肌の人型が駆けてきて暗闇人を殴り殺す。
続けて土まみれの人型がハナの下にやって来ると、腕を広げ、まるで守るかの様に立ち塞がった。


(    ゜゜)〔っす。〕ゴガッ!
(    ゜゜)〔っす。〕ドゴッ!ゴガガッ!

のっしのっし…

ー(    ゜゜)ー〔まー。〕


その後も岩肌の人型が次々にやって来ては暗闇人を殴る蹴るしてドンドンと倒していき、他の騎士団員の下にも土まみれの人型がやって来て腕を広げて守っていた。


ザッザッザ…

「高い勉強代になったのぅ、主らよ。(ルド)」

「あっ!ルドさん!
えっ!?もしかしてこの人達って…(ハナ)」

「あぁ、これらは儂が産み出したゴーレムじゃ。
そこでモンスターをボコスカ殴っとるのが″ストーンゴーレム″で、主らを守っとるのが″マッドゴーレム″じゃよ。(ルド)」


肩に斧を担ぎ、両脇にゴーレムを連れたドワーフのルドが騎士団の下にやって来た。



(    ゜゜)〔っす。〕←ストーンゴーレム

ー(    ゜゜)ー〔まー。〕←マッドゴーレム



「身に余る力を授かって注意力が散漫になった様じゃな。
これを次に生かす事じゃな。(ルド)」

「うっ…(ハナ)」


足首をへし折られたハナはルドの言葉を受けて項垂れていた。


「…あ、そうだ。
さっきは助けて下さってありがとうございます。お陰で被害が少なく済みました…(サクラ)」

「ん?さっきの攻撃は儂じゃ無ぁぞ。(ルド)」

「え…?では誰『タァン…』が…(サクラ)」

ォガァ『ドパァンッ!』ア…ドチャッ!


ルドに感謝を述べていた騎士団員のサクラの背後に居た暗闇人の首から胸の辺りまでがゴッソリと削れ飛んだ。

先程の攻撃も、今の攻撃もルドが行ったモノでは無かったのである。





~ルドと騎士団員達の居る場所から200メル以上離れた地点・バックラッシュルーム・クランプの森~


ガシャコッ。チャリンッ!

「いやはや…この距離からあのモンスターの頭や胸を撃ち抜くとは…以前何か嗜んでいたのですか?(クリストフ)」

『ダガァンッ!』

「生前、田畑を荒らす害鳥駆除をお願いされる事がよくありましたので、それで鍛えたものです。
飛ぶ鳥相手に偏差撃ち出来る程、当時の機兵はまだ性能がよくありませんでしたから。(ラインハード)」

ガシャコッ。チャリンッ!

「飛ぶ鳥に比べれば、獲物を前にしたモンスターなんて造作もありませんよ。(ラインハード)」

『ダガァンッ!』


バックラッシュルーム・クランプにあるキノコを台座とし、その上に魔装鉄甲をガトリング砲形態から砲身の長い形状に変化させ、魔力を高密度に充填させて撃ち放つラインハード。

1発毎に肘の辺りにあるレバーを引き、魔力を充填させていた魔石を排出する必要がある為、かなりの隙が出来てしまうのだ。





~数分前~



ラインハードさん、ちょっとお願いがあります。僕の固有スキルで大幅に戦闘力が上昇しているハズなので、皆を見守っててくれませんか?
やり方は任せます。』

「ん?戦闘力が上がってるのに見守るのですか?(ラインハード)」

『人って、身に余る力を得ると調子に乗ったり、気が大きくなって判断が鈍ったりしますから。』

「物語で最終形態になったボスがペラペラとどうでも良い事を喋り出すアレだね。(ラインハード)」

『うーん、まぁそうかも。』





ガシャコッ。チャリンッ!

「何でもノア君、攻撃力が大幅に増大する固有スキルを初めて得た時に、両親に挑んだら一方的に蹂躙されて分からせられちゃったんですって。(ラインハード)」

「なる程。
ノア殿が力だけでなく、技術もずば抜けているのはそう言う過去の経験あっての事なのかも知れませんな。(クリストフ)」


ノアからの指示を受け、この場で狙撃をしていたラインハード。

ちなみにつかえるキノコのクリストフは、バックラッシュルーム・クランプの森前で腕を組んで待機しているのだが、″あるモノ″を待っていた。


ツンツン。

「おや、もう″産まれ″ましたか。
やはりノア殿の影響で″生産力″が上昇しているお陰でしょうか。(クリストフ)」

「では前に出られるのですね?(ラインハード)」

「勿論です。
数的にはまだ小隊程度(30~80人位)ですが、これからどんどん生産されるのでかなりの戦力となるでしょう。
この地で栽培されし者共よ!私と共に前線へと向かい、迫り来るモンスター共を蹴散らしてくれようぞ!(クリストフ)」

(    ゜゜)/(    ゜゜)/(    ゜゜)/(    ゜゜)/

「「「「きゅー!(″キノコ小隊一同″)」」」」


クリストフは、先程からバックラッシュルーム・クランプにて『キノコパーティ』を生産し続けていた。

そして『小隊』程度まで増えた事で、前線へと出る事になる。
しおりを挟む
感想 1,253

あなたにおすすめの小説

【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』

ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。 全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。 「私と、パーティを組んでくれませんか?」 これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!

自由でいたい無気力男のダンジョン生活

無職無能の自由人
ファンタジー
無気力なおっさんが適当に過ごして楽をする話です。 すごく暇な時にどうぞ。

無能扱いされ、パーティーを追放されたおっさん、実はチートスキル持ちでした。戻ってきてくれ、と言ってももう遅い。田舎でゆったりスローライフ。

さら
ファンタジー
かつて勇者パーティーに所属していたジル。 だが「無能」と嘲られ、役立たずと追放されてしまう。 行くあてもなく田舎の村へ流れ着いた彼は、鍬を振るい畑を耕し、のんびり暮らすつもりだった。 ――だが、誰も知らなかった。 ジルには“世界を覆すほどのチートスキル”が隠されていたのだ。 襲いかかる魔物を一撃で粉砕し、村を脅かす街の圧力をはねのけ、いつしか彼は「英雄」と呼ばれる存在に。 「戻ってきてくれ」と泣きつく元仲間? もう遅い。 俺はこの村で、仲間と共に、気ままにスローライフを楽しむ――そう決めたんだ。 無能扱いされたおっさんが、実は最強チートで世界を揺るがす!? のんびり田舎暮らし×無双ファンタジー、ここに開幕!

ブラック企業で心身ボロボロの社畜だった俺が少年の姿で異世界に転生!? ~鑑定スキルと無限収納を駆使して錬金術師として第二の人生を謳歌します~

楠富 つかさ
ファンタジー
 ブラック企業で働いていた小坂直人は、ある日、仕事中の過労で意識を失い、気がつくと異世界の森の中で少年の姿になっていた。しかも、【錬金術】という強力なスキルを持っており、物質を分解・合成・強化できる能力を手にしていた。  そんなナオが出会ったのは、森で冒険者として活動する巨乳の美少女・エルフィーナ(エル)。彼女は魔物討伐の依頼をこなしていたが、強敵との戦闘で深手を負ってしまう。 「やばい……これ、動けない……」  怪我人のエルを目の当たりにしたナオは、錬金術で作成していたポーションを与え彼女を助ける。 「す、すごい……ナオのおかげで助かった……!」  異世界で自由気ままに錬金術を駆使するナオと、彼に惚れた美少女冒険者エルとのスローライフ&冒険ファンタジーが今、始まる!

ダンジョントランスポーター ~ 現代に現れたダンジョンに潜ったらレベル999の天使に憑依されて運び屋になってしまった

海道一人
ファンタジー
二十年前、地球の各地に突然異世界とつながるダンジョンが出現した。 ダンジョンから持って出られるのは無機物のみだったが、それらは地球上には存在しない人類の科学や技術を数世代進ませるほどのものばかりだった。 そして現在、一獲千金を求めた探索者が世界中でダンジョンに潜るようになっていて、彼らは自らを冒険者と呼称していた。 主人公、天城 翔琉《あまぎ かける》はよんどころない事情からお金を稼ぐためにダンジョンに潜ることを決意する。 ダンジョン探索を続ける中で翔琉は羽の生えた不思議な生き物に出会い、憑依されてしまう。 それはダンジョンの最深部九九九層からやってきたという天使で、憑依された事で翔は新たなジョブ《運び屋》を手に入れる。 ダンジョンで最強の力を持つ天使に憑依された翔琉は様々な事件に巻き込まれていくのだった。

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

スキルで最強神を召喚して、無双してしまうんだが〜パーティーを追放された勇者は、召喚した神達と共に無双する。神達が強すぎて困ってます〜

東雲ハヤブサ
ファンタジー
勇者に選ばれたライ・サーベルズは、他にも選ばれた五人の勇者とパーティーを組んでいた。 ところが、勇者達の実略は凄まじく、ライでは到底敵う相手ではなかった。 「おい雑魚、これを持っていけ」 ライがそう言われるのは日常茶飯事であり、荷物持ちや雑用などをさせられる始末だ。 ある日、洞窟に六人でいると、ライがきっかけで他の勇者の怒りを買ってしまう。  怒りが頂点に達した他の勇者は、胸ぐらを掴まれた後壁に投げつけた。 いつものことだと、流して終わりにしようと思っていた。  だがなんと、邪魔なライを始末してしまおうと話が進んでしまい、次々に攻撃を仕掛けられることとなった。 ハーシュはライを守ろうとするが、他の勇者に気絶させられてしまう。 勇者達は、ただ痛ぶるように攻撃を加えていき、瀕死の状態で洞窟に置いていってしまった。 自分の弱さを呪い、本当に死を覚悟した瞬間、視界に突如文字が現れてスキル《神族召喚》と書かれていた。 今頃そんなスキル手を入れてどうするんだと、心の中でつぶやくライ。 だが、死ぬ記念に使ってやろうじゃないかと考え、スキルを発動した。 その時だった。 目の前が眩く光り出し、気付けば一人の女が立っていた。 その女は、瀕死状態のライを最も簡単に回復させ、ライの命を救って。 ライはそのあと、その女が神達を統一する三大神の一人であることを知った。 そして、このスキルを発動すれば神を自由に召喚出来るらしく、他の三大神も召喚するがうまく進むわけもなく......。 これは、雑魚と呼ばれ続けた勇者が、強き勇者へとなる物語である。 ※小説家になろうにて掲載中

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

処理中です...