ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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取り敢えず南へ編

健全なサービスを心掛けています。

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~ミダレが施術師としてここに居る経緯~


2日前、冒険者ギルドマスターのガネメから商人見習い(メルカドール)のミリアを経由して『新保養施設で湯女として。』という依頼がミダレに届く。



元々ミダレはノアと出会う前は、(健全な)サービス業で他者から精気を摂取するつもりであった。



サキュバスと言う種族は他者から精気を定期的に摂取しなければ生きていけない為、ギルドに登録していれば、優先的に(健全な)サービス関連の依頼が回ってくる。



今回で言えば新設される『マッサージ地獄』という保養所で″湯女″兼施術師として、働いて欲しいとの事だった。



施術の心得が無かったミダレだが、『マッサージ地獄』をその日利用するのが″1人だけ″という情報と、本職の施術師が事前にレクチャーしてくれるとの事だったので受ける事に。



そしたら利用客がたまたまノアであった。





「えっ!?ちょっ…えっ!?」

「落ち着いてぇなノア君。
ちゃーんと本職の人から教えて貰った後にイスクリードと睡眠学習したから手順はバッチリっちゃ。(ミダレ)」

《主人、契約者様が動揺しているのはそこじゃないと思うよ。》


石の台上で慌てふためくノア。

蒸し風呂の様な浴室内に姿を見せたミダレは上下薄手の白のシャツと短パン姿で、手には垢擦り用の布を持っていた。

健康的な小麦色の肌が白のシャツと短パンで際立ち、ただそこに居るだけで汗が吹き出す室温の為ミダレ自身も発汗し、妙にツヤっぽく見えていた。

スポンジ担当(?)のイスクリードは何故か大きなタライを持ってふよふよと飛び、ノアの元までやって来ていた。


「はぁーい、ノア君今からスリスリ(垢擦り)するからうつ伏せのままでジッとしててね。(ミダレ)」

「あ、う、うん…」

(『ほら、意識し過ぎだぞ主。
嬢ちゃんは施術師として来てるんだから言われた通りにしようぜ。』)


水着を着用しているとは言え、お互いに肌の露出が多いのでどうも意識してしまうノア。
施術師として来てるのだからと鬼神から窘められていた。





モコモコモコモコ…(イスクリードがタライの中で大量の泡を製作中。)

ズリ…ズリ…(垢擦り中。)

(へー、あの大量の泡で最後体を洗いながらマッサージするのか…考えただけで気持ち良さそう…
…垢擦りって初めて体験したけど、ミダレの力加減が丁度良いからか全然痛くない…あー気持ちいい…)


流石本職の施術師から手解きを受け、睡眠学習で幾度か練習しただけあって肌に痛み等は無く、垢擦りは継続していく。

ただ1つ指摘があるとすれば


ズリズリ…(垢擦り。)

「んっ、ふっ、ぅん…
…逞しいっちゃね(背中が)…意外と…太い、っし(腕がね)…
っ、ぁん…(ミダレ)」

(何でいやらしく聞こえるんだ…!)

(『主、何か話題振って思考を切り替えろ。』)


垢擦りは力を入れて行うものなので、女性であるミダレにとっては重労働である。
どうしても力が入ってしまうのだが、吐息や感想がどうも艶かしく聞こえてしまうのだった。

思考を切り替える為にもノアはミダレに話を振ってみる事にした。


「ミダレさん上手だね、凄く気持ちいいよ。
力加減も丁度良くて、眠っちゃいそうだよ(寝ないけど)。」

「そうっちゃろ?
気持ちよぉなって貰う為にいーっぱい練習したんよ。皆(本職の施術師:全員おばちゃん)あっちのスリスリ(垢擦り)気持ちいいって言ってくれたっちゃ。(ミダレ)」

(くっ…)

(『考えすぎだぞ、主。』)


意識しない様にしても、どうしてもそれっぽく聞こえてしまう。
鬼神の言う通りノアは意識し過ぎな気もするが、施術中のミダレはと言うと


ズリズリ…(垢擦り)

(わー…防具で分からなかったけど結構筋肉質…
腕も筋肉と古傷でゴツゴツ…この腕で抱き締められてたっちゃね…
あ、いけんいけん、施術に来たっちゃき、集中せんと…
あぁ…ノア君の体に触れてるとドキドキしてくるっちゃ…)


結構意識していた。

お互いに悶々としたまま時は流れていたが、ここで漸く


モコモコ…(泡の山。)

《泡出来たよー。》

「あ、ありがとうっちゃ。(ミダレ)」


タライ一杯に泡の山を作り、自身も山の一部となったイスクリードがやって来た。


バフッ。(両手一杯に泡の山。)

ワシャワシャワシャ…ギュッギュッ!(泡を背中に乗せ、全身に塗りたくりつつ時折マッサージ。)

「うー…気持ちいい…
まるで大型犬にでもなった気分だよ…」

ワシャワシャワシャ…(ノアと背中合わせになった泡まみれのイスクリードで洗体する。)

《いやー、まさかボクのこの体をスポンジ代わりに使うとは思わなかったよ…》


イスクリードは、パッと見子供サイズの毛玉である為、泡まみれとなった今、巨大なスポンジと化していた。

だが痛みは無く、寧ろ気持ちいい。
端から見れば泡まみれの大型犬で大型犬を洗っている様な光景であった。


『『『バシャアッ!』』』(タライ一杯のお湯で濯ぎ。)

「うわっぷ!?」
《うわー。》どんぶらこ。

全身泡まみれのノアとスポンジ担当のイスクリードに、大量のお湯が掛け一気に洗い流す。
ノアは水流の勢いに驚き、イスクリードは泡と一緒に流されていった。


「あはは、ごめんちゃね。
さ、ノア君次は仰向けになってちゃ。
前をスリスリ(垢擦り)するから。(ミダレ)」

ポタポタ…

「はぁい…
よっと…それじゃあお願いするよ。」


大量のお湯でびしょびしょになったノアは苦笑いしつつ仰向けになる。

ここまで終始和気あいあいとした雰囲気の2人であったが、本番はここからであった。


「うっ…」


背後のミダレの方を向いたノアが思わず呻く。

高い湿度に満たされた浴室内でノアの為に一生懸命力仕事をしていた為、ミダレは全身汗だくとなり髪は乱れて顔に艶かしく張り付き、薄手の白のシャツは汗で透け、その下の健康的な小麦色の肌が見え隠れしている。

そしてその時に気が付いたのだが、何とミダレは下着を身に付けていなかったのである。

だが胸の辺りは、俗に言う″湯煙エフェクト″というモノで隠れており一安心(お年頃故ちょっぴり残念)であった。

先程記した様に、ミダレも少し意識していた為か、ノアを見詰める瞳が普段以上に艶やかなモノとなり、その双眸で見詰められたノアは思わず心臓が跳ねてしまった。


「は、はわわ…」


片やミダレも心中穏やかではなく、先程背中や腕を見て大体分かってはいたものの、改めて対面した時に浮き彫りとなったノアの肉体美は想像以上で、ただ痩せているだけで浮かび上がったモノでは無く、しっかり鍛え込んだ上で浮かび上がった腹筋と、胸筋。

力強さを感じさせる太腿とふくらはぎの主張がミダレの瞳に飛び込む。

また、起き上がり途中であった為、現在は片膝を立てて崩れたあぐらをかいた姿勢であり、割れて引き締まった腹筋と血管が浮かんだ腕が見事に強調されていた。

ノアの中に鬼神が居ようと居まいと、この鍛え込まれた肉体を見せられたミダレはノアの虜になっていた。

と、お互いに色んな感情が頭を駆け巡りながらも、この話は次回へと続く。


《ねぇ2人共ボクの事忘れてなーい?》どんぶらこ。
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