ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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取り敢えず南へ編

依頼を受けよう。

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~冒険者ギルド~

ギィイ…

「失礼しまー

「え!『サンダ・ライト』が出たのですか?(ギルド職員1)」

「えぇ、『リネックス(亜麻)』の羊が居る柵の中に″光る何かが数体飛んでる″のを見掛けました。(【洋裁】の見習い)」

「うーむ…″数体″ですか…
となれば中級冒険者宛に駆除依頼を出しましょう。(ギルド職員1)」



「すみません、今日毛刈りの手伝いをしてたのですが、『コトコト(綿)』の何頭かが″毒状態″になってました。
この辺には毒持ちのモンスターでも出るのですか…?(ムキムキの【拳士】)」

「恐らく″毒草タイプの『プラントラット』″がまた繁殖しているのかも知れません。
もう暗いので、回収は明日にでも…(ギルド職員2)」



「『リネックス(亜麻)』側牧草地の生育が少し遅い様です。『養魔水』を散布しに行こうと思うのですが…(【園芸】の女性)」

「もう暗いですし、『サンダ・ライト』が出たみたいですから2、3日空けた方が…(ギルド職員3)」

「ですよねぇ…(【園芸】の女性)」


冒険者ギルドに入ると、日が落ちているにも関わらず意外にも中は騒がしかった。

カウンターでは、各々相談事を持ち掛けて来ており、それらにギルド職員が対応していた。

相談事の全てに『羊』が関わっており、モンスター討伐や牧草地の維持管理の話が上がっていた。

だが外は既に暗いので明るくなった頃に行うとしよう、と言う事で話が落ち着きそうな感じであった。


「あら?見ない冒険者さんね。
さっきこの街に来た人かしら?(ギルド職員4)」

「そんな所です。
どういった依頼があるかなー、って興味本位で来た感じです。」

(『本当は眠らない為だけどな。』)


ギルド内を見回していると、カウンターに居る一人のギルド職員がノアの存在に気付き呼び掛けてきた。


「色々あるわよ。
モンスター討伐に採取・お使い、体力があれば羊の毛刈り等色々とね。
…でも見た所君1人だけど、そうなると依頼は限られてくるわよ?(ギルド職員4)」

「あ、お気に為さらず。
基本的にいつも僕1人でこなしているので。
ちなみに今話していた『サンダ・ライト』と言うのはモンスターで良いんですよね?」

「えぇ…そうだけど…
まさか依頼を受けるつもりですか?
中級冒険者さん宛に依頼要請を出そうと思っているモノよ?(ギルド職員4)」

「それならご心配無く、僕は中級冒険者なので。」

「「「「え!?」」」」


ギルド内に居る職員達はノアをパーティ募集中の新人冒険者か何かだと思っていた様で、職員はおろか、ギルド内に居た他の者達も驚いていた。


「え、ちょ、本当…?(ギルド職員2)」
「冒険者カード良いかしら…?(ギルド職員4)」

「はいどうぞ。」

「どれどれ…わ、本当に中級冒険者…
てか、クリスタルブルーの冒険者カード…?
…え?″【鬼神】″…?
″【鬼神】″って…あの!?(ギルド職員)」

「他に居なければそうですね。」


ギルド職員達はノアが中級冒険者である事は確認した様だが、それよりもノアが″【鬼神】″である事にもっと驚いていた。


「それでどうでしょう、依頼の方は受けれるでしょうか?」

「え?あ、はい…
何に致しましょう…?(ギルド職員4)」


ギルド職員達は滅多に見る事の無いクリスタルブルーの冒険者カードと、取得している多種多様なスキル欄をジッと眺めていたが、ノアに声を掛けられてハッとなっていた。


「今話しに上がっていた事全部で。」





~街の外・牧草地~


「えーっと、『サンダ・ライトの討伐』、『ポイズン・プラントラットの回収・毒草の除草』、『養魔水の散布』…と。
手前2つのモンスターは初めてだけど、まぁ何とかなるだろう。」


依頼用紙を手に内容の確認をするノア。
一応モンスターの説明は受けたのでその時に説明するとしよう。

ちなみにこの依頼には同行者がおり


「『ポイズン・プラントラット』は生け捕りで頼むぞ。場所によっては重宝されるモンスターだからね。(ムキムキの【拳士】バーナード)」

「えっと、私が『養魔水』を散布している間の護衛をお願いしますね?(【園芸】の女性シルファー)」

「はい、了解しました。」


1人は冒険者ギルドで相談をしていた筋骨隆々、皮鎧姿の中年男性【拳士】のバーナード。

『ポイズン・プラントラット』は生け捕りが基本らしく、アイテムボックスに入れる事が出来ず手が埋まってしまうので、謂わば荷物持ちである。

2人目は、『養魔水』という水が入ったポンプを背負った【園芸】の女性シルファーが同行者として参加していた。

読んで字の如く栄養が多分に含まれた『養魔水』には確りと適正量があるので、それを理解している者が散布しなければならないが、【園芸】は戦闘職では無いので護衛が必要となるのである。


「おっと、【鬼神】の少年よ。
あそこで発光して浮遊しているのが居るだろう?あれが『サンダ・ライト』という″雷属性の精霊の集まり″だ。
基本的には弓等の遠距離攻撃で…『ダッ!』
お、おい!ちょっと!?(【拳士】バーナード)」


牧草地のど真ん中、一行の視界の先に紫色に発光する浮遊体が居た。
大きさ的には50セメル位でモッコモコに体毛を纏わせた『リネックス(亜麻)』の羊の近くをただ漂っていた。

そんな『サンダ・ライト』についてたった今遠距離攻撃を推奨されたにも関わらず、ノアは駆け出して接近を図っていた。

すると


コォオオオ…

「!」

チリッ…(ノアの進行方向に細い紫電が走る。)

『『『パシュンッ!』』』(糸の様に細い落雷。)

ズザッ!「っと。」


浮遊体の中心部分が強く発光したかと思うと、ノア目掛けて落雷が発生。

だが予兆を確認したノアは、初見でそれを回避するのだった。


スラッ…(腰の荒鬼神ノ化身を抜く。)

『『パシュンッ!』』ヒュバッ!
『パシュンッ!』ジュン…
『『『パシュンッ!』』』ジュゥ…


次々落とされる細い落雷を、ノアは荒鬼神ノ化身を翳す事で全て吸収。
【荒鬼神ノ化身専用戦技:起点技】『大喰(オオグライ)』を持つ荒鬼神ノ化身だからこそ出来る芸当である。

そのままノアは、浮遊体『サンダ・ライト』に肉薄する程接近し、後は中心部分にある″核となる魔石″を壊すだけなのだが


『『『キィイイイイ…』』』

「?」

『『『バシィッ!』』』(『サンダ・ライト』を中心とした3メルの範囲に紫電が走る。)

「!『ズザッ!』っぶねぇ!」


ノアは『サンダ・ライト』が放った範囲攻撃を大股で後退する事で回避。


ビュォ『キンッ!』ンッ!(荒鬼神ノ化身を下段から上段に振り抜き、″核″を破壊。)

『『『シュパァッ!』』』

「ふぅ、取り敢えず一丁上がり、っと。」


後退した時の勢いを利用して『サンダ・ライト』の″核″を攻撃。
意外にもあっさりと破壊し、短く放電して霧散していった。
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