ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

.

文字の大きさ
967 / 1,117
ヴァリエンテ領・大規模氾濫掃討戦編~街(前哨基地)建設~

大体村とオードゥスとの中間地点

しおりを挟む
~村を出て1時間程~ 


『『『タッタッタッタッタ…』』』

ハッハッハッ…(ブラッツ)

「いやー、嵐の様な村でしたな。(クリストフ)」

「ホントだよ…
僕がいうのもあれだけど、本当に子供は容赦無いよね…」



~容赦無かった子供達~


「ねぇ、ノア兄ちゃんにはもう抱かれたの?」

「み、未遂…(ミダレ)」

「意気地無ぇー。」

「ふぐぅ。」



「プロポーズみたいなモノはされましたか?」

「け、決定的なのは無いっちゃけど、不意打ちみたいなモノは毎日…(ミダレ)」

「「「「「フゥウウウウッ!」」」」」

「止めろーっ!止めてくれぇ! 」



『『『タッタッタッタッタ…』』』

「私の姿を見ても誰1人驚かぬとは、逞しい子達でしたしな。(クリストフ)」

「まぁ村には見た目殆ど熊のマドリックさんも居るし、週2回の戦闘訓練で心身共に鍛えられてるからちょっとした事じゃ動じないよ。」


先にヴァリエンテ領へと向かう様に促されたノアは、クリストフやブラッツと共にアルバラストへと向けて北上。

前日の様なペースだとブラッツが潰れてしまうので、ジョギング程度(常人にはダッシュ)のスピードで走っていた。

なので道中ノアとクリストフは談笑しながら。
ブラッツは


ハフッ、ハフッ。(口に咥えた棒をノアに差し出す。)

「よーし、『タタッ』そら!『バヒュッ!』
取ってこーい!」

ワゥッ!


ノアが投げた棒を取りに行ったりして遊んでいた。





「おや?あの集まりは何でしょう?
祭りか何かでしょうか。(クリストフ)」

「ん?
あぁ、そっかこの時期にやってたのか。
あれはこの辺で年2回催されているバザーだよ。」

「バザー?ほぅ。
それであの賑わいなのですな。(クリストフ)」


駆け足で道を進んでいると、道の真ん中に大きな人だかりがあった。
この辺の事を知らない者からすれば何かの騒ぎかと勘違いしそうだが、ノア曰くこの地域で夏と冬に行われる『バザー』なのだと言う。

普通に買い物するも良し、食を楽しむも良し、旅芸人や主催した村による催し物を楽しむも良しな一種のイベント事である。

往来のど真ん中でこんな事をされては、ここを通り掛かる冒険者や商人の通行の邪魔になるのでは、と思われるかもしれないが、田畑の収穫や、新人冒険者の旅立ちが終わり、一段落ついたこの時期と雪が降り積もる春前の人通りの少ない時季に行うのが毎年の恒例となっている。

とは言え、バザーを知っている者達や商人等で辺りはごった返しているので、そこは道を譲りながら通る様にしている。

王都等で行われるモノと比べれば流石に規模が小さいが、それでも周辺の村々の人達にとっては楽しみにしているイベント事である。




『『『ワイワイ、ガヤガヤ!』』』

ハッハッ…(肩車されるブラッツ)
「すいませーん、通りまーす。」
「通りますぞー。(クリストフ)」

(キノコ?)
((キノコだ…))
(新品種のエリンギかな…?)
(あの赤黒い…狼?何処の種だろ…)
((バター焼き何人分になるかな…))
(キノコ…)


ノア(inブラッツ)とクリストフはバザーで賑わう人だかりの中を進む。
この際影移動をした方が早いんじゃないかと、人だかりに入ってから気付くノアであった。




「あー!もしかしてアンタが急遽派遣されてきた【旅芸人】かい?」





「「え?」」





~見世物台の裏手~


「いやいやいやいや!私は大道芸なぞこれっぽっちもやった事ありませんぞ!?(クリストフ)」

「どう見てもその道のモンだろう?
まぁそのキグルミは出落ち感が強ぇけどな。」

「酷っ!(クリストフ)」


人だかりで【旅芸人】クランのリーダーに捕まり、何だかんだ言いくるめられて舞台裏まで連れてこられるクリストフとノア。


「まぁそう言わず、その格好でボケたり転んだりするだけでも盛り上がっから少しの間頼むよ。」

「しかしですな…(クリストフ)」


と渋るクリストフに


「クリストフなら大丈夫だよ。」

「うむむ…ノア殿に言われては…
分かりました。微力ながら尽力致しましょう…(クリストフ)」





『『ズンドコズンドコズンドコドコドコ♪』』

『『『ゴォオオオオオオッ!』』』(燃え盛る炎)

「よぉおおしっ!次1.5メル行きますぞぉっ!!(クリストフ)」

「「「「「「うおおおおおおおおおおおおおおおっ!」」」」」」

「凄ぇぞあのエリンギ!」
「燃え盛る棒を3本操りながら無茶な体勢でバーを潜りやがった!」
「次は行けるのか!
殆ど傘と同じ大きさだぞ??」
「何であの短い足であんな低く仰け反れるんだ!?」
「…にしてもあれ本当にキグルミか?
継ぎ目無いし本物のキノコみてぇだ…(本物のキノコです。)」


見世物台に上がったクリストフは、何処から用意したのかは不明だが、木の棒数本とバーを用意し、木の棒に着火した後器用に回してリンボーダンスを開始した。

確かに出落ち感が凄かったがクリストフの実力は本物で、適当に振り回すのでは無く、速度に強弱を付けて観客達の目を楽しませつつ、どうやったら潜れるのか全く理解出来ないまま設定された高さのバーをクリアしていく。

それによって現在観客達は全員熱を帯び、拍手喝采、絶賛の嵐となっていた。


「…本当にどうにかなりましたね…(ヴァンディット)」
「流石つかえるキノコ…逆に何出来ないんだろ…(ラインハード)」
「周りに居る人全員見てますよ…うわぁ、凄…(ミリア)」
「…何かクリストフさんって、何処に行っても困らないっちゃね…
ね、ノア君。…ノア君?(ミダレ)」

「ん?んー。」


クリストフリンボーダンスを離れた所で観覧する一行。
隣に居るノアに話を振るミダレだが、何故か懐かしむ様な目で物思いに耽つつ見世物台を眺めるノアの姿があった。


「ミダレさん、あの見世物台に見覚え無い?」

「え?あっち、ここに来るのは初めてっちゃよ?(ミダレ)」

「ほら、病弱だった僕が両親と一緒にバザー来てた夢があったでしょ?
その夢に出てきたバザーがここなのさ。」

「え!?あの″クロラちゃんと初めて会った時″の夢の!?(ミダレ)」

「「「何何?」」」

「厳密には会って無いよ。
幼かった頃のクロラさんが大食い大会に出てた所を僕が目撃しただけ。
当時は匂いを嗅ぐだけでも吐き気を催してたのに、何故かクロラさんが美味しそうに食事してる所を見たら不思議と食欲が湧いたのさ。」

「あら~良いお話じゃないですか~。
何か運命の様なモノを感じますね~。(ヴァンディット)」

「恩人でもあり運命の人だよ。」


昔見た思い出の光景を噛み締めるかの様にその後も見世物台の方を眺めるノア。

クリストフの出し物は30分程で終わり、その後【旅芸人】のクランリーダーが目を離した隙にその場を後にした。

蛇足だが、今回の件で冬のバザーのハードルが無茶苦茶上がったという。



すいません、下書きのままにしてました。
しおりを挟む
感想 1,253

あなたにおすすめの小説

隠して忘れていたギフト『ステータスカスタム』で能力を魔改造 〜自由自在にカスタマイズしたら有り得ないほど最強になった俺〜

桜井正宗
ファンタジー
 能力(スキル)を隠して、その事を忘れていた帝国出身の錬金術師スローンは、無能扱いで大手ギルド『クレセントムーン』を追放された。追放後、隠していた能力を思い出しスキルを習得すると『ステータスカスタム』が発現する。これは、自身や相手のステータスを魔改造【カスタム】できる最強の能力だった。  スローンは、偶然出会った『大聖女フィラ』と共にステータスをいじりまくって最強のステータスを手に入れる。その後、超高難易度のクエストを難なくクリア、無双しまくっていく。その噂が広がると元ギルドから戻って来いと頭を下げられるが、もう遅い。  真の仲間と共にスローンは、各地で暴れ回る。究極のスローライフを手に入れる為に。

『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる

仙道
ファンタジー
 気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。  この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。  俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。  オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。  腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。  俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。  こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。 12/23 HOT男性向け1位

【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』

ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。 全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。 「私と、パーティを組んでくれませんか?」 これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】 【第5回一二三書房Web小説大賞コミカライズ賞】 ~ポルカコミックスでの漫画化(コミカライズ)決定!~  ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。  学園で、教師をも上回るほどの実力を持っておきながらも、その実力を隠し、他の生徒と同様の、平均的な目立たない存在として振る舞うのだ。  何か実力を隠す特別な理由があるのか。  いや、彼はただ、「かっこよさそう」だから実力を隠す。  そんな中、隣の席の美少女セレナや、生徒会長のアリア、剣術教師であるレイヴンなどは、「西園寺オスカーは何かを隠している」というような疑念を抱き始めるのだった。  貴族出身の傲慢なクラスメイトに、彼と対峙することを選ぶ生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉、さらには魔王まで、西園寺オスカーの前に立ちはだかる。  オスカーはどうやって最強の力を手にしたのか。授業や試験ではどんなムーブをかますのか。彼の実力を知る者は現れるのか。    世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな! ※小説家になろう、カクヨム、pixivにも投稿中。

ブラック企業で心身ボロボロの社畜だった俺が少年の姿で異世界に転生!? ~鑑定スキルと無限収納を駆使して錬金術師として第二の人生を謳歌します~

楠富 つかさ
ファンタジー
 ブラック企業で働いていた小坂直人は、ある日、仕事中の過労で意識を失い、気がつくと異世界の森の中で少年の姿になっていた。しかも、【錬金術】という強力なスキルを持っており、物質を分解・合成・強化できる能力を手にしていた。  そんなナオが出会ったのは、森で冒険者として活動する巨乳の美少女・エルフィーナ(エル)。彼女は魔物討伐の依頼をこなしていたが、強敵との戦闘で深手を負ってしまう。 「やばい……これ、動けない……」  怪我人のエルを目の当たりにしたナオは、錬金術で作成していたポーションを与え彼女を助ける。 「す、すごい……ナオのおかげで助かった……!」  異世界で自由気ままに錬金術を駆使するナオと、彼に惚れた美少女冒険者エルとのスローライフ&冒険ファンタジーが今、始まる!

「餌代の無駄」と追放されたテイマー、家族(ペット)が装備に祝福を与えていた。辺境で美少女化する家族とスローライフ

天音ねる(旧:えんとっぷ)
ファンタジー
【祝:男性HOT18位】Sランクパーティ『紅蓮の剣』で、戦闘力のない「生産系テイマー」として雑用をこなす心優しい青年、レイン。 彼の育てる愛らしい魔物たちが、実はパーティの装備に【神の祝福】を与え、その強さの根源となっていることに誰も気づかず、仲間からは「餌代ばかりかかる寄生虫」と蔑まれていた。 「お前はもういらない」 ついに理不尽な追放宣告を受けるレイン。 だが、彼と魔物たちがパーティを去った瞬間、最強だったはずの勇者の聖剣はただの鉄クズに成り果てた。祝福を失った彼らは、格下のモンスターに惨敗を喫する。 ――彼らはまだ、自分たちが捨てたものが、どれほど偉大な宝だったのかを知らない。 一方、レインは愛する魔物たち(スライム、ゴブリン、コカトリス、マンドラゴラ)との穏やかな生活を求め、人里離れた辺境の地で新たな暮らしを始める。 生活のためにギルドへ持ち込んだ素材は、実は大陸の歴史を塗り替えるほどの「神話級」のアイテムばかりだった!? 彼の元にはエルフやドワーフが集い、静かな湖畔の廃屋は、いつしか世界が注目する「聖域」へと姿を変えていく。 そして、レインはまだ知らない。 夜な夜な、彼が寝静まった後、愛らしい魔物たちが【美少女】の姿となり、 「れーんは、きょーも優しかったの! だからぽるん、いーっぱいきらきらジェル、あげたんだよー!」 「わ、私、今日もちゃんと硬い石、置けました…! レイン様、これがあれば、きっともう危ない目に遭いませんよね…?」 と、彼を巡って秘密のお茶会を繰り広げていることを。 そして、彼が築く穏やかな理想郷が、やがて大国の巨大な陰謀に巻き込まれていく運命にあることを――。 理不尽に全てを奪われた心優しいテイマーが、健気な“家族”と共に、やがて世界を動かす主となる。 王道追放ざまぁ × 成り上がりスローライフ × 人外ハーモニー! HOT男性49位(2025年9月3日0時47分) →37位(2025年9月3日5時59分)→18位(2025年9月5日10時16分)

クラス転移して授かった外れスキルの『無能』が理由で召喚国から奈落ダンジョンへ追放されたが、実は無能は最強のチートスキルでした

コレゼン
ファンタジー
小日向 悠(コヒナタ ユウ)は、クラスメイトと一緒に異世界召喚に巻き込まれる。 クラスメイトの幾人かは勇者に剣聖、賢者に聖女というレアスキルを授かるが一方、ユウが授かったのはなんと外れスキルの無能だった。 召喚国の責任者の女性は、役立たずで戦力外のユウを奈落というダンジョンへゴミとして廃棄処分すると告げる。 理不尽に奈落へと追放したクラスメイトと召喚者たちに対して、ユウは復讐を誓う。 ユウは奈落で無能というスキルが実は『すべてを無にする』、最強のチートスキルだということを知り、奈落の規格外の魔物たちを無能によって倒し、規格外の強さを身につけていく。 これは、理不尽に追放された青年が最強のチートスキルを手に入れて、復讐を果たし、世界と己を救う物語である。

処理中です...