ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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ヴァリエンテ領・大規模氾濫掃討戦編~街(前哨基地)建設~

西に行きたいが、問題が…

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「え?僕達がイグレージャ・オシデンタルに侵攻?いやいやしませんよ。
この間【魔王】からの報復があったばかりですから、おいそれと近寄ろうとは思いませんよ。」

「そ、そうであったか…いやはや、私の早とちりだった様だな。
おい!門を開けるんだ!(アルバ)」


街に到着したノア達を前に、領主のアルバは恐る恐る来訪の意図を問う。

アルバは、てっきりノア達が現在【魔王】の占領下にある旧イグレージャ・オシデンタルへと侵攻するものだと思っていた様で、予想が外れた事で面を食らっていた。

そもそも【勇者】軍による盛大なやらかしによって壊滅的な報復を受けたイグレージャ・オシデンタルの現況が連日報じられているので、マトモな思考の者は旧イグレージャ・オシデンタルにすら近寄ろうとはしないだろう。

だが一部の冒険者や旧イグレージャ・オシデンタルの現状を探ろうとする【記者】、【勇者】軍から溢れた野盗の残党等が跋扈している為、近隣諸国や王都から人が派遣され、旧イグレージャ・オシデンタルを中心に8つもの関所を設けて占領中の【魔王】軍と共に24時間体制で監視が続けられていると言う。





~アルバラスト内~


「…む…これは…(クリストフ)」

「まぁ大体察せると思うが【勇者】軍の被害にあった村々から逃げてきた避難民だ。
最近は少なくなったが、3日前までは酷いものだった。
足をボロボロにし、着の身着のままで駆け込んでくる者達が殆どであった。(アルバ)」

「薬等の物資は足りてるのですか?」

「この街には屋台外が犇めいているので食糧に関しては問題無い。
怪我なんかは回復魔法でどうとでもなるが、状態異常以外(毒・麻痺等)の感染症…病気に対する薬品は正直足りてはいない。
一応【商人】に掛け合って注文しているが、最低でも4日掛かる見込みだ。(アルバ)」


街の中は人でごった返していた。
これだけ聞けば良い意味で捉えられるだろうが、状況的には悪い意味である。

ボロボロになった衣服を纏い、疲れきった表情で項垂れる者、子供を抱き抱え恐怖でガタガタと震える者、自力では動けずに兵士に肩を借りる者等で西側エリアの半分は犇めいていた。

治療を終えた者達は宿に移動させていると言うが、それでも足りない状況であった。

そこから少し離れた位置には王都から派遣された隊員らしき黒装束の集団が居り、装備を整えて今正に発とうとしている所であった。


「もし余剰分の薬品があるのであれば頂きたい。勿論正規の価格で買い取ろう。(アルバ)」

「分かりました。
ヴァンディットさん、兵士さんから不足している薬品を聞き、手持ちにあれば補充を。
ミリアちゃんはヴァンディットさんと兵士さんの間に入って売買の方を。
クリストフは兵士に掛け合って治療を頼む。
ミダレさんとイスクリードは恐慌状態の人の症状を緩和させてあげて。」

『『『ズズズ…』』』(足元の影からヴァンディット、ミダレ、ミリアが登場。)

「承りました。(ヴァンディット)」
「はい。(ミリア)」
《りょーかーい。》
「分かった。(ミダレ)」

「畏まり。(クリストフ)」


アルバから現況を聞いたノアは、影の中で待機していた者達に声を掛け、それぞれの得意分野にて対応して貰う。


「私は私なりに手伝える事無いか聞いてみるよ。この体だとそこそこ力があるからね。(ラインハード )」

「はい、お願いします。」

「いやはや、見ない顔も居たが相変わらずノア殿の仲間は多様な方々ばかりだ。
平時戦時問わず頼りになる。(アルバ)」

「ははは、いつも助かってます。」


方々に散っていく一行の後ろ姿を見つつ、アルバはノアに今回の来訪の理由について聞くのだった。





「そうですか、ヴァリエンテ領に御用事でしたか。
…なる程、獣人国でルルイエ殿が話していた氾濫の件、時季が早まって要請を掛けてきたと言う訳ですな。(アルバ)」

「そう言う事です。
ちなみにアルバさんさんの知りうる限りで良いのでヴァリエンテ領に関する情報を教えて頂いても良いですか?」

「えぇ、その程度でしたら。(アルバ)」



ヴァリエンテ領…大陸の中心部からやや西に位置し、標高数千メルの山々の麓までを領地としている。

だが、麓一帯は資源も豊富で容易に街若しくは前哨基地の1つ位は興す事も可能だが、山々から降りてくる強力なモンスターや、魔素の流入によって魔力溜まりが出来、定期的に氾濫が発生する為殆ど未開拓状態である。

言ってしまえば僻地に位置している為、好き好んでその地に向かおうと志願する者は殆ど皆無で、領主であるルルイエが兵や王都からの応援による奮闘でどうにかなっていた。

ルルイエ自身、自身の代でどうにか麓一帯の大地に手を加えたいモノだが、年齢的に厳しいモノがあり、息子のカルルに任せるかどうかが最近の専らの悩みの種である。



「先日こちらにも志願兵の募集が掛かっていたが、イグレージャ・オシデンタルでの【魔王】の報復の余波で、元々志願していた者達も辞退していった。
何ともタイミングの悪い…(アルバ)」

「【魔王】の占領下にある土地が近くにあると分かったらそれはそうなりますよね…
うーむ…となると″手″は限られてくるな…」

「ん?
″手″と言うのは、氾濫発生の際に緩衝若しくは防衛線としての機能を持たせる″街″・″前哨基地″についての事かな?(アルバ)」

「あ、はい。
ウチの両親がその辺の事について詳しいだろうから相談しに行ったのですけど、取り敢えず先にヴァリエンテ領に向かいつつ僕の方でも何か″手″を考えとけ、って言われてたんですよ。」

「まぁ確かにノア殿の御両親なら確かにその手の分野は得意だろうな…
して、その″手″というのは?(アルバ)」

「えっと…」





~数分後~

「そ、それは確かに効果的だろうが、幾らなんでも難しいのでは無かろうか…?
第一ヴァリエンテ領に元々居る者達は納得しないだろう…(アルバ)」

「いやいや、あくまで『最悪』の手段ですよ!
本当に志願兵が集まらずに、継続的な支援が受けられそうに無かった場合の手段ですからね!」


ノアなりに考えた″手″をアルバに説明したのだが、アルバは凄く難しそうな表情で首を捻っていた。

ノアの″手″には速効性があり、志願兵を募って訓練を施したりする謂わば″手間″を大幅に省けるモノではあるが、自領や周辺地域からは良い印象を与えないだろうとの評価が降った。

この評価に対してノアは、他に手が無く、どうしようも無い所まで追い詰められた時に降す案であると弁明したが、その他の案よりか幾分現実的なモノであった。


「まぁ両親からも却下されると思いますからこの案が実現する事は無いでしょう。
…それで話は変わりますけど、僕達は今言った様にヴァリエンテ領に向かおうと思ってるのですが、通行の方は大丈夫でしょうか?」

「それに関しては大丈夫だ。
…だが問題が無い訳ではない。寧ろ問題山積みで真っ直ぐ西に向かえない状況になっている。(アルバ)」

「あぁ【魔王】の件ですね。
勿論そこは迂回して…」

「いや、【魔王】の件もそうなのだが、その地に向かうまでの道中でも問題が多々発生しているのだ。(アルバ)」

「…その問題と言うのは…?」

「【勇者】軍が行った蛮行の被害者達が道々で死した事により、広範囲で″ゾンビ、悪霊の類″の目撃情報が増加しているのだ。(アルバ)」
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