ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

.

文字の大きさ
981 / 1,117
ヴァリエンテ領・大規模氾濫掃討戦編~街(前哨基地)建設~

対峙

しおりを挟む
~数分前・旧イグレージャ・オシデンタルの1キロメル手前~


『『『ザッ、ザッ、ザッ…』』』

「わ、わ~…ここから先、ずーっと地面が波打ってるんですね…(ミリア)」

「【魔王】の攻撃で瞬間的に強烈な衝撃が走ったからでしょう。
あそこの池をご覧なさい、その影響で干からびておりますぞ。(クリストフ)」

「ほらミリアちゃん、ここからは危ないから影の中に戻りましょうね。」

「はーい。(ミリア)」


ライリ等王都の者達と共にイグレージャ・オシデンタルを目指す一行は、目的地まであと僅かという所まで来ていた。

だがイグレージャ・オシデンタルを中心として数百メルに渡り地面が波打ち、歪み、陥没し、地割れを起こしていた為、通るのに時間が掛かっていた。

その状況に驚いたミリアは、呆然とした表情でこの光景を眺めていた。


「…一体どんな攻撃をしたらこんな事になるのでしょう…
謎の攻撃による衝撃波と激震は観測出来たのですが、この破壊の正体までは判明してないのですよね…(ライリ)」

「″アレ″ですよな…(クリストフ)」

「まぁ″アレ″だねぇ…」


1度【魔王】とやり合ったクリストフとノアは、攻撃の正体におおよそ見当が付いていた。

とは言え、また″アレ″を放たれて回避が出来るかと言われたら無理な話であろう。
何せ超広域殲滅攻撃なのだから。





『『『ゴォン…』』』ズズンッ…

「何か音が聞こえるなぁ…」

「巣が間近ですし、増築中の音でしょうな…(クリストフ)」

「いや…監視を続ける中でこの様な音と揺れはありませんでしたよ…?(ライリ)」

「ふむ?」

スラッ『バシュッ!バッ、ボッ!』(荒鬼神ノ化身を抜いて上空に転移。)


旧イグレージャ・オシデンタルの方向から音と揺れを感知した一行。
ライリの話では今までそういった経験は無いとの事なので確認の為に高高度から遠くを観察してみる事に。


ヒュォオ…

(遠くから見る分には【魔王】からの忠告には触れないだろう…
<千里眼>発動、方向的には確かあっちから…
お、ベルドラッドさんだ。)


【魔王】からの忠告に注意しつつ旧イグレージャ・オシデンタルの状況を確認するノアは、遠方にベルドラッドの姿を見付ける。

ベルドラッドは最初期に出会った王都の者で、出会い方そのものは決して良いものでは無かったものの、結果的には良好な関係を築けていると思っている。

そんなベルドラッドを見付けたノアは少し顔が綻んだのだが、直後に嫌な光景を目の当たりにする事になった。





『バシュッ!』(転移。)

「どうでしたかノアど

「その話は後だ!
ラインハード、飛行形態になって僕が指定する所まで飛ばしてくれ!」

『ズルッ』「は、ひゃい!(ラインハード)」


転移して地上に戻ってきたノアは、クリストフからの言葉を遮りつつ影の中に居るラインハードに指示を出してきた。

影の中に居たラインハードは思わず声が上擦る程驚いたが、直ぐに魔装鉄甲を手にして出てきてくれた。


『『ガショガショガションッ!』』(魔装鉄甲装着中。)

「えっとノア君『衝撃力』の残量が飛行1回分しか無いけど…(ラインハード)」

「構わない!取り敢えず大急ぎで現場に向かえればそれで良い!」

「ね、ねぇ?そんなに慌てて一体どうしたの…?(ライリ)」

「こっちも良く分かっていないけど、瓦礫の山の中で″何か″にベルドラッドさんが刺されているのが見えた!
クリストフ!君も大急ぎで来てくれ!
ヴァンディット、ポーション類を直ぐに取り出せる様に準備しててくれ!」

「「「な、何っ!?」」」

「畏まり!(クリストフ)」
ズズ…「畏まりましたわ!(ヴァンディット)」

「行けるよノア君!(ラインハード)」

「よし行くぞ!」

『バシュッ!『バッ!ボッ!』』(転移。)

ヒィイイ…バシュゥウッ!(ラインハード飛翔。)


驚く一行を置き、ノアとラインハードは一足先に旧イグレージャ・オシデンタルへと向けて発ったのであった。





~そして現在~


タ、ポタタ…(へし折られた腕から出血。)

「来るなクリストフ!その人の事を頼んだぞ!
それと(影の)中に居る皆!絶対に出てくるなよ!」

「畏まり!(クリストフ)」


『『『ズズズ…』』』トプン…(『黒い液体』同士が一体化。)


(『何だあの『黒い液体』は?
強化状態の主の腕をいとも容易くへし折りやがった…
…大丈夫か主?』)

(大丈夫じゃないけど大丈夫。
『黒い液体』っていうと悪霊を想像させるけど全くの別物だ。
触れたら即大ダメージ…まるで母さんみたいなヤツだな…)

(『冗談を言う余裕はある様だな。』)


Wの字に折れた左腕を垂らしたノアは表情を変える事無く『黒い液体』を見据える。


「そこのお爺さん、その『黒い液体』から離れて下さい!危ないですよ!」

「ほぅ、腕をグシャグシャに潰されたにも関わらず強いものじゃな。
″息子の心血として利用″したい位じゃ。(ゲッシュバルド)」

「…″息子″?
″それ″の事を言っているのか…?」

「″それ″…?
儂の息子を″それ″呼ばわりにするか貴様!
殺せ″アーク″!殺して自身の血肉にするが良いぞ!(ゲッシュバルド)」


『『『バシュッ!』』』(『黒い液体』から幾本もの『黒い刃』が出現。)


ギギィンッ!『ギンッ!』ギィンッ!(『黒い刃』をいなす。)

「はぁっ!?″アーク″!?
″それ″が!?『『キュキュン!』』何を言って『『『ヒュドドドッ!』』』うぉっ!?」


飛んできた『黒い刃』を全ていなしたのだが、『黒い刃』は再び向きを変えてノアの直上から降り注ぐ。

ノアはその場から転がって全てを回避。


『『『シュパッ!』』』(地面に『黒い刃』が幾本も高速で走り、蜘蛛の巣状に張り巡らされる。)

『『『ボゴンッ!』』』(地面から『黒い刃』で形作られた牢獄がせり出し、ノアを包み込む様に迫る。)

「シッ!」ボッボボッ!(荒鬼神ノ化身による連撃。)

ギギンッ!ギャリィンッ!ギンッ!(『黒い牢獄』に荒鬼神ノ化身が阻まれる。)

「堅っ!?」


「カッカッカ、″息子″を舐めるで無いぞ、小僧。
″鉄をも切断する様に造った″からなぁ。(ゲッシュバルド)」


ノアの荒鬼神ノ化身が通用しないのを見て高笑いを上げるゲッシュバルド。

だが


ゴリンッ!ゴリッ!ゴリィンッ!(『黒い牢獄』を削り斬る。)

「…あ?(ゲッシュバルド)」

「″鉄程度″で助かったよ。
それより硬かったらどうしようかと思った。」


『黒い牢獄』を斬り崩したノアがホッとした様子で出て来るのだった。
しおりを挟む
感想 1,253

あなたにおすすめの小説

隠して忘れていたギフト『ステータスカスタム』で能力を魔改造 〜自由自在にカスタマイズしたら有り得ないほど最強になった俺〜

桜井正宗
ファンタジー
 能力(スキル)を隠して、その事を忘れていた帝国出身の錬金術師スローンは、無能扱いで大手ギルド『クレセントムーン』を追放された。追放後、隠していた能力を思い出しスキルを習得すると『ステータスカスタム』が発現する。これは、自身や相手のステータスを魔改造【カスタム】できる最強の能力だった。  スローンは、偶然出会った『大聖女フィラ』と共にステータスをいじりまくって最強のステータスを手に入れる。その後、超高難易度のクエストを難なくクリア、無双しまくっていく。その噂が広がると元ギルドから戻って来いと頭を下げられるが、もう遅い。  真の仲間と共にスローンは、各地で暴れ回る。究極のスローライフを手に入れる為に。

『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる

仙道
ファンタジー
 気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。  この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。  俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。  オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。  腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。  俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。  こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。 12/23 HOT男性向け1位

【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』

ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。 全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。 「私と、パーティを組んでくれませんか?」 これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】 【第5回一二三書房Web小説大賞コミカライズ賞】 ~ポルカコミックスでの漫画化(コミカライズ)決定!~  ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。  学園で、教師をも上回るほどの実力を持っておきながらも、その実力を隠し、他の生徒と同様の、平均的な目立たない存在として振る舞うのだ。  何か実力を隠す特別な理由があるのか。  いや、彼はただ、「かっこよさそう」だから実力を隠す。  そんな中、隣の席の美少女セレナや、生徒会長のアリア、剣術教師であるレイヴンなどは、「西園寺オスカーは何かを隠している」というような疑念を抱き始めるのだった。  貴族出身の傲慢なクラスメイトに、彼と対峙することを選ぶ生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉、さらには魔王まで、西園寺オスカーの前に立ちはだかる。  オスカーはどうやって最強の力を手にしたのか。授業や試験ではどんなムーブをかますのか。彼の実力を知る者は現れるのか。    世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな! ※小説家になろう、カクヨム、pixivにも投稿中。

ブラック企業で心身ボロボロの社畜だった俺が少年の姿で異世界に転生!? ~鑑定スキルと無限収納を駆使して錬金術師として第二の人生を謳歌します~

楠富 つかさ
ファンタジー
 ブラック企業で働いていた小坂直人は、ある日、仕事中の過労で意識を失い、気がつくと異世界の森の中で少年の姿になっていた。しかも、【錬金術】という強力なスキルを持っており、物質を分解・合成・強化できる能力を手にしていた。  そんなナオが出会ったのは、森で冒険者として活動する巨乳の美少女・エルフィーナ(エル)。彼女は魔物討伐の依頼をこなしていたが、強敵との戦闘で深手を負ってしまう。 「やばい……これ、動けない……」  怪我人のエルを目の当たりにしたナオは、錬金術で作成していたポーションを与え彼女を助ける。 「す、すごい……ナオのおかげで助かった……!」  異世界で自由気ままに錬金術を駆使するナオと、彼に惚れた美少女冒険者エルとのスローライフ&冒険ファンタジーが今、始まる!

「餌代の無駄」と追放されたテイマー、家族(ペット)が装備に祝福を与えていた。辺境で美少女化する家族とスローライフ

天音ねる(旧:えんとっぷ)
ファンタジー
【祝:男性HOT18位】Sランクパーティ『紅蓮の剣』で、戦闘力のない「生産系テイマー」として雑用をこなす心優しい青年、レイン。 彼の育てる愛らしい魔物たちが、実はパーティの装備に【神の祝福】を与え、その強さの根源となっていることに誰も気づかず、仲間からは「餌代ばかりかかる寄生虫」と蔑まれていた。 「お前はもういらない」 ついに理不尽な追放宣告を受けるレイン。 だが、彼と魔物たちがパーティを去った瞬間、最強だったはずの勇者の聖剣はただの鉄クズに成り果てた。祝福を失った彼らは、格下のモンスターに惨敗を喫する。 ――彼らはまだ、自分たちが捨てたものが、どれほど偉大な宝だったのかを知らない。 一方、レインは愛する魔物たち(スライム、ゴブリン、コカトリス、マンドラゴラ)との穏やかな生活を求め、人里離れた辺境の地で新たな暮らしを始める。 生活のためにギルドへ持ち込んだ素材は、実は大陸の歴史を塗り替えるほどの「神話級」のアイテムばかりだった!? 彼の元にはエルフやドワーフが集い、静かな湖畔の廃屋は、いつしか世界が注目する「聖域」へと姿を変えていく。 そして、レインはまだ知らない。 夜な夜な、彼が寝静まった後、愛らしい魔物たちが【美少女】の姿となり、 「れーんは、きょーも優しかったの! だからぽるん、いーっぱいきらきらジェル、あげたんだよー!」 「わ、私、今日もちゃんと硬い石、置けました…! レイン様、これがあれば、きっともう危ない目に遭いませんよね…?」 と、彼を巡って秘密のお茶会を繰り広げていることを。 そして、彼が築く穏やかな理想郷が、やがて大国の巨大な陰謀に巻き込まれていく運命にあることを――。 理不尽に全てを奪われた心優しいテイマーが、健気な“家族”と共に、やがて世界を動かす主となる。 王道追放ざまぁ × 成り上がりスローライフ × 人外ハーモニー! HOT男性49位(2025年9月3日0時47分) →37位(2025年9月3日5時59分)→18位(2025年9月5日10時16分)

クラス転移して授かった外れスキルの『無能』が理由で召喚国から奈落ダンジョンへ追放されたが、実は無能は最強のチートスキルでした

コレゼン
ファンタジー
小日向 悠(コヒナタ ユウ)は、クラスメイトと一緒に異世界召喚に巻き込まれる。 クラスメイトの幾人かは勇者に剣聖、賢者に聖女というレアスキルを授かるが一方、ユウが授かったのはなんと外れスキルの無能だった。 召喚国の責任者の女性は、役立たずで戦力外のユウを奈落というダンジョンへゴミとして廃棄処分すると告げる。 理不尽に奈落へと追放したクラスメイトと召喚者たちに対して、ユウは復讐を誓う。 ユウは奈落で無能というスキルが実は『すべてを無にする』、最強のチートスキルだということを知り、奈落の規格外の魔物たちを無能によって倒し、規格外の強さを身につけていく。 これは、理不尽に追放された青年が最強のチートスキルを手に入れて、復讐を果たし、世界と己を救う物語である。

処理中です...