ソードマスター

雨宮結城

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第一章 学園編

Episode 2

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 都内三箇所の内、中心部に存在する剣士学園、【ミスト】。

 その【ミスト】に在籍する女生徒、カレン・トーマスランド。

 彼女は一年生である峰村涼太みねむらりょうたに偶然出会い、同じく新入生の、サラ・ツインベールを知らないかと、峰村涼太に尋ねていた。

 「名前は、サラ・ツインベール。 私のライバルです」

 「(またサラ・ツインベール。今日だけでも十回以上聞いたな)えっとぉ……ツインベールさんなら、さっきまですぐそこに居たんですけど、どっか行っちゃって」

 「そう……」

 「でも、クラス同じなので、多分教室にいると思います。 良かったら案内しましょうか?」

 「___君は優しいのね。 では、お言葉に甘えて、案内お願い致します」

 「あ、はい___」

 峰村涼太は、彼女のふとした微笑ほほえみに思わずドキッとし、身体に緊張が走ったが、切り替えて、サラ・ツインベールがいるであろう教室へと、足を進めた。

 教室に到着し探そうとした時、生徒の人だかりができていた方向へ視線を向けると、そこに彼女はいた。

 「ツインベールさん、是非握手していただけませんか!」

 「おいずりぃよ! 俺が先だろ!」

 「いや僕と!」

 サラ・ツインベールは《こうししょく》の長い髪に、赤い瞳をした絶世ぜっせいの美少女。

 その上ツインベール家と言う剣士名家の人間、むしろ目立たない方がおかしい人物なのだから、その周りに人が集まるのは、何ら不思議な事ではない。

 「いましたけど、凄く目立ってますね」

 「サラちゃんはツインベール家でも類を見ない天才と言われていますからね。 自然とこうなるとは思っていましたけど、人気者ですね」

 「どうします?」

 「ホントは少しお話をしたかったのですけど、あれでは難しいですね」

 「__いや、そうでもないかもしれないです」

 「? なにか、方法があるのですか?」

 「先輩、奥にある階段の方で少し待っていて頂けますか?」

 「__分かりました。  よろしくお願いします」

 「はい」

 カレン・トーマスランドは、峰村涼太に言われた通り、各階のはしにある階段の方へと向かった。

 少し待っていると、奥から足音が聞こえてきた。

 その方向を見ると、峰村涼太とサラ・ツインベールの姿があった。

 「先輩、お待たせしました」

 「驚きました。 あの人だかりから、どうやって」

 「まぁ、唯一の長所を」

 「長所?」

 「アンタ、一体何者なの」

 峰村涼太とカレン・トーマスランドが話していると、サラ・ツインベールも、気になることがあり、会話に参加した。

 「俺?」

 「そうよ。急に教室の電気が消えたと思ったら、気づけば廊下にいたのよ!」

 「だからそれは」

 「もしかして、貴方の長所と言うのは」

 「俺の唯一誇れる長所であり能力でもある、〘陰〙。 その能力を使って皆の動きを止めて、ツインベールさんを廊下まで運んだんです」

 「陰の能力一つで、そこまでの事ができるのですね。 驚きました」

 「まぁ一つしかない能力なので、小さい時から、ずっと練習してたんです。 皆に負けたくなくて」

 「そうでしたか」

 「ちょっと待って」

 「ん……ツインベールさん、どうしました?」

 「アンタさっき、なんて言った」

 「え?」

 「だから、皆の動きを止めたのあとよ」

 「いやそれは、動きを止めた後、ツインベールさんを運んだって」

 「聞き間違いじゃ、なかったのね」

 「サラちゃん?」

 「変態……」

 「へ?」

 「運んだって、それ私にさわったことよね!  信じられない、どこ触ったのよ触り魔!」

 「いや誤解だよ!  てか触り魔ってなんだよ!」

 「言葉の意味よ変態!」

 「いやだからその、落ち着いて」

 「これが落ち着ける訳ないじゃない変態! どうせ舐め回す様に私の身体を触ったんでしょ!」

 「な、なんの話だよ!」

 「うるさい変態! 男なんて皆エッチなんでしょ! 知ってるのよ!」

 運んだというワードに反応し、いやらしく身体を触られたと想像したサラは、感情が荒ぶっていた。

 「だから違うって」

 「どう違うのよ!」

 「陰で」

 「陰がなによ!」

 「陰を使って運んだんだよ」

 「……え?」

 「陰の能力って話したろ?  陰を使ってツインベールさんを廊下まで運んだだけだよ」

 「か、陰で物体に触れられる訳ないじゃない」

 「……できるんだって、ほら」

 涼太は陰を出し、涼太の生徒手帳を陰に持たせて、陰がなにか物体に触れられる事を証明した。

 「う、うそ……」

 「だから俺は触れてない、納得してもらえたか?」

 「……」

 サラは驚いていた。それは当然の反応、なぜならば、めずらしくない能力である陰だが、一般的な使い方は相手の陰に自身の身体のどこかが触れ、相手の動きを止めるという、限られた使い方が主流であり限度な為、陰を使っている剣士はほとんど存在しない。

 そして陰は、良くても一人の人間の動きを、触れずに止める者もいるが、それですら非常に珍しく、周りに驚かれる。

 だが峰村涼太は、身体を触れずとも、複数人の動きを止めることはもちろんとし、陰を操り物体に触れる事ができる。

 一つしかない能力とは言え、このレベルの扱いは、学生はおろかプロをも超える力。

 例えるならば、魔法を持たない一般人が、何も使わずに空を飛べるようなものだ。

 サラ・ツインベールが驚くのは、むしろ自然な反応だ。

 「アンタ、ホントに何者」

 「ただの学生だよ」

 「峰村涼太君、やっぱり君は」

 「先輩?」

 「いいえ、なんでもないわ」

 「それより、私に用なんでしょ、カレン……さん」

 「無理にさんを付けなくて良いですよ。 普段通りで」

 「分かったわよカレン」

 「お二人ってお知り合い、なんですか?」

 「まぁ、一応ね」

 「昔からの付き合いなんですよ」

 「へ、へぇ~」

 「要件を話して」

 「えぇ、サラちゃん、峰村涼太君。 私と一緒に、団体戦に参加してもらえませんか?」
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