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序章
第4話 犯罪剣士
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~犯罪剣士~
犯罪組織の人間という一つの括りでは同じだが、組織の人間しか分かりえない上下関係が存在している。
金を専門とする組織、次に誘拐、そしてトップが暗殺を専門とする殺し屋軍団。
組織の頂点に君臨する人間は、対等な関係を築いているものの、実力は圧倒的に、暗殺組織のリーダーが群を抜いている。
誘拐組織の部下に下った命令は、ある受付係を誘拐すること。そして弄ばず、特定の時間まで見張ること。
至っていつも通りの指示ではあったが、過去に誘拐した人間は、何かしら社会や剣士界隈で影響のある人間。
受付係は知識こそあれど、実力がある訳でもない上に、剣士との実力差は言うまでもない。
部下の一部の人間は、はっきり発言はしないものの、詳細が伏せられていたのもあり、疑問に思っていた。
時を同じくして、アスタとユキは怪しい箇所を回っていたが、レンの妹カナはもちろん、怪しい人物の影すら見つからず、行き詰まりそうになっていた。
「アスタ」
「……ユキの方もか」
「うん、怪しい箇所全部回ったけど、人の影も痕跡もなかった。 どこにいるんだろう」
「どこか一つにはいると思っていたんだが、敵の目的は一体」
「ねぇアスタ、そもそもなんで誘拐したのかな。 だって誘拐したのに、身代金の要求もないし、誰にも言うなとか、そういうメッセージじゃなくて、書いてあったのは、捜してみろ」
「隠す気がまるでない、だが場所は徹底しているな、この手の輩がいるであろう場所は探したが、手がかりなし」
「こうしている間にも、早く見つけたいのに」
「ユキ、またサラに言われるぞ。 こういう時こそ」
「!……そうだったね。 聞くのが怖くなるほど言われたよ。 こういう状況こそ、冷静に」
「うん。 敵の目的は捜させること、だがもし見つけたにしても、何がしたかったになるな、自分達のアピール? カナさん自身が何か秘密を、いやそれなら、殺すはず。 分からない」
「アスタ、逆に考えてみない? 誘拐犯の気持ちは分からないけど、なにか目的があるとして、捜してほしい時、アスタはどうする?」
「そうだな、例えば目的が会う事なら、俺なら地図に場所を示して会うよう仕向ける。 会いたいのはあくまでその人だけだから、誰にも言うなとか、なにかしらの口止めはするな。 ユキはどうだ?」
「ボクは、そうだね。 目的が会う以外の可能性……それこそ、確認?」
「確認? それってどういう」
「例えばだけど、このやり口を見るに、ボク達の力を見極めるとか? まずは捜索能力、次に護衛がいるなら、実力……とか」
「その線はあるかもな、その先の深堀も気にはなるが、前を考えるか」
「うん、捜索……この手の人間がいる場所にはいない。 今までの場所は、人があまり立ち寄らない上に、木が多く見つかりにくい、木が……多い……確認……ん?」
「どうしたユキ」
「ねぇアスタ、誘拐されたカナさんってレンさんの妹だよね?」
「そうだけど、なんで今それを?」
「レンさん言ってたよね、カナさん人見知りだって、あんまり外に出ない子なんだよねって」
「うん、言ってたけど」
「なのに、敵はカナさんを知っていた。 そしてカナさんを知る前に、必ずレンさんの事も調べる。 それに、レンさんに言われたじゃん。 ボク達ぐらいだって。 受付係とここまで親しくなれたの」
「まさか……狙いって」
「確証はない、あくまで可能性。 でも多分」
「狙いは俺ら? なんで……いやでも」
「それと、アスタ、急いで戻ろう」
「? どうし……!?」
「まさかと思ったし、盲点だったけど、ボク達の屋敷さぁ、買う前候補あったでしょ? 二つ、その内の一つである今の屋敷を購入した。 もう一つはある理由で購入できなかった」
「確か理由は、寮だったからだよな、受付係の」
「うん。 それにあそこ上の方だし、ボク達の屋敷、ずっと確認できる」
「くそ!(マジで盲点だった、最初から全部……仕組まれていた)」
「早く戻ろう!」
犯罪組織の人間という一つの括りでは同じだが、組織の人間しか分かりえない上下関係が存在している。
金を専門とする組織、次に誘拐、そしてトップが暗殺を専門とする殺し屋軍団。
組織の頂点に君臨する人間は、対等な関係を築いているものの、実力は圧倒的に、暗殺組織のリーダーが群を抜いている。
誘拐組織の部下に下った命令は、ある受付係を誘拐すること。そして弄ばず、特定の時間まで見張ること。
至っていつも通りの指示ではあったが、過去に誘拐した人間は、何かしら社会や剣士界隈で影響のある人間。
受付係は知識こそあれど、実力がある訳でもない上に、剣士との実力差は言うまでもない。
部下の一部の人間は、はっきり発言はしないものの、詳細が伏せられていたのもあり、疑問に思っていた。
時を同じくして、アスタとユキは怪しい箇所を回っていたが、レンの妹カナはもちろん、怪しい人物の影すら見つからず、行き詰まりそうになっていた。
「アスタ」
「……ユキの方もか」
「うん、怪しい箇所全部回ったけど、人の影も痕跡もなかった。 どこにいるんだろう」
「どこか一つにはいると思っていたんだが、敵の目的は一体」
「ねぇアスタ、そもそもなんで誘拐したのかな。 だって誘拐したのに、身代金の要求もないし、誰にも言うなとか、そういうメッセージじゃなくて、書いてあったのは、捜してみろ」
「隠す気がまるでない、だが場所は徹底しているな、この手の輩がいるであろう場所は探したが、手がかりなし」
「こうしている間にも、早く見つけたいのに」
「ユキ、またサラに言われるぞ。 こういう時こそ」
「!……そうだったね。 聞くのが怖くなるほど言われたよ。 こういう状況こそ、冷静に」
「うん。 敵の目的は捜させること、だがもし見つけたにしても、何がしたかったになるな、自分達のアピール? カナさん自身が何か秘密を、いやそれなら、殺すはず。 分からない」
「アスタ、逆に考えてみない? 誘拐犯の気持ちは分からないけど、なにか目的があるとして、捜してほしい時、アスタはどうする?」
「そうだな、例えば目的が会う事なら、俺なら地図に場所を示して会うよう仕向ける。 会いたいのはあくまでその人だけだから、誰にも言うなとか、なにかしらの口止めはするな。 ユキはどうだ?」
「ボクは、そうだね。 目的が会う以外の可能性……それこそ、確認?」
「確認? それってどういう」
「例えばだけど、このやり口を見るに、ボク達の力を見極めるとか? まずは捜索能力、次に護衛がいるなら、実力……とか」
「その線はあるかもな、その先の深堀も気にはなるが、前を考えるか」
「うん、捜索……この手の人間がいる場所にはいない。 今までの場所は、人があまり立ち寄らない上に、木が多く見つかりにくい、木が……多い……確認……ん?」
「どうしたユキ」
「ねぇアスタ、誘拐されたカナさんってレンさんの妹だよね?」
「そうだけど、なんで今それを?」
「レンさん言ってたよね、カナさん人見知りだって、あんまり外に出ない子なんだよねって」
「うん、言ってたけど」
「なのに、敵はカナさんを知っていた。 そしてカナさんを知る前に、必ずレンさんの事も調べる。 それに、レンさんに言われたじゃん。 ボク達ぐらいだって。 受付係とここまで親しくなれたの」
「まさか……狙いって」
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「? どうし……!?」
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「確か理由は、寮だったからだよな、受付係の」
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「早く戻ろう!」
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