蒼き英雄(旧)

雨宮結城

文字の大きさ
23 / 78
第二章

Part9

しおりを挟む
「モルドってヤツについて、教えてくれないかな」

「あ、はい」

カオリは、ゲータの次に、ソウルワールドの支配者へと上り詰めた、モルドについて、ユキとミユキに話し始めた。

「昨日の事でした。普段通り、私や他の皆様、そして姫様が過ごしていた時、突如モンスター達とそれに与する人達が、姫様のお城へと攻めてきたのです。幸いにもその時、姫様の護衛である、神道流の方がいてくださったのですが…」

〈昨日、姫のお城にて〉

何も変わらない姫の城、だがそんな中、怪しげな馬車が一つ、二つ、三つ、四つ。姫の城へと向かってきていた。

「ん?何だあの馬車」

「おい、止まれ」

門番に止められ、入口に止まる馬車。

「おい、そこのお前」

御者に近づく門番。

「…」

「何なんだ?この馬車の数。何の届け物だ?」

「…」

「おい、聞いてるのか」

「届け物は」

「何だ」

「死だ!」

その言葉と同時に、入口に止まっていた、先頭の馬車が爆発した。

「っ!」

一人の門番が、その爆発に巻き込まれてしまう。

「お、おい、何なんだよこれ」

突然の爆発に、門番は困惑してしまう。そうしていると、後ろに距離を置いて控えていた三つの馬車が、爆発で吹き飛んだ入口を突破し、城へと走った。

「っ!おい、止まれ!」

門番は止まるよう言ったが、馬車は止まることなく、門番を轢いていった。

「っ!うわ!」

門番を轢き、城の門へと突っ込む馬車。城の門を突き破り、城の中へと入ってきた三つの馬車。

「キャ!」

「なんだ」

「皆を守れ!」

騎士長が、姫様やメイド達を守るよう騎士達に指示を出す。そしてその騎士長の言葉に、騎士達が集まり、警戒態勢をとる。

そして姫である、ミレイユ姫の護衛をしていた、神道流の使い手の少女、サキ。サキは危険を察知し、ミレイユ姫やメイド達を危険から遠ざける為、城の裏口へとミレイユ姫達を誘導した。

そしてそのサキの勘が当たり、馬車から出てくるモンスター達や、それに与した人間達。

「へっ、ここが新しい拠点か」

「なかなか良いな」

「だが、邪魔なヤツらがいるな」

「あぁ、モルド様の城に、騎士なんぞいらねー!」

馬車から続々と出てくるモンスターや人間達。その者達は、騎士長率いる騎士達へと向かっていった。その頃、裏口から逃げていたサキ達は、順調に逃げられていたが、道が二つに分かれた所に着くと、片方の道から、敵の気配を感じ取ったサキは、気配がないもう一つの道から逃げてほしいと、ミレイユ姫にお願いする。

と言うのも、片方の道だけでなく、後ろからも敵が迫ってきているので、ここでサキがまとめて倒す為に、ミレイユ姫達に、先に片方の道へと逃げてほしいとお願いしたのだ。

「姫様、片方からだけでなく、後ろからも気配を感じます。ですので姫様達は、先に左の道へお逃げ下さい」

「でもサキ、あなた一人では」

「ご心配なく、私なら大丈夫です」

「サキ…」

「時間がありません、早く」

「…分かりました。サキも、どうか無事で。皆さん、行きましょう」

「はい!」

ミレイユ姫達は、メイド達と共に左の敵の気配が感じない道へと逃げていった。

「姫様も、どうか無事で」

ミレイユ姫達は、とくに敵に出会うことなく、無事外へと逃げられた。だがそこには、ミョルドと言う魔術師が待ち構えていた。

「っ!」

「ほっほっほ、まさかこんな裏口があったとは、驚きましたね」

「あなたは、何者です!」

「私の名はミョルド。モルド様の側近でございます」

「あなた達の目的はなんですか!」

「そうですね、一言で言うならば、この世界の支配、でしょうか。モルド様の創る理想郷の為に、あなた方には奴隷となっていただきます」

「なっ!奴隷ですって」

「はい、それがあなた方に定められた運命なのです」

「くっ」

「でもまずは、あなた方を拘束させていただきます」

「!」

「動かないでくださいね」

「(カオリ)」

「!」

「(今から私が、能力であなたを逃がします。そしたらあなたは、剣士様達に助けを求めてきてください)」

「(でも姫様、私一人じゃ)」

「(あなたなら大丈夫です。さあ、時間がありません。いきます!)」

「(姫様!)」

カオリは、ミレイユ姫の能力によって、同じ第二十階層の、テレポート盤が近くにある森の中へワープした。

「ん?一人逃がしましたか。(聞こえますか?待機班)」

「(はい、なんでしょう)」

「(メイド見習いの一人の少女が逃げました。恐らく二十階層の森などでしょう。探し見つけ次第、捕まえて城まで連れてきなさい)」

「(は!)」

「さて、あなた方は逃がしませんよ」

「…(カオリ。どうか、剣士様を)」

〈そして現在〉

「サキ様とは途中で離れてしまい、私を逃がす為に、姫様は能力で私を逃がしてくれました。剣士様を探す為に。そんな中です、ユキさんとミユキさんに出会えたのは。そしてモルドの事ですが、正直私もよく知らないのが事実です。お役に立てずすいません」

「ううん、大丈夫。よく頑張ったんだね。カオリちゃん」

「いえ、私はそんな」

「でもこうしてボク達に会えた。君はしっかりやるべき事ができているよ」

「…ありがとうございます。ユキさん」

「それにしても、姫様のお城でそんな事が、モルド、何者なんでしょう」

「今は考えてもしょうがない、とりあえず、宿へ戻ろう」

「そうだね、お姉ちゃん」

「カオリちゃんもおいでよ」

「え、私も良いんですか?」

「もちろんですよ」

「は、はい!」

ユキ達はひとまずカオリを連れて、宿へと戻り、宿に残っていたサオリとヒナにも、お城で何があったのか、ユキとミユキが説明した。

「…そんな事が」

「アスタがこんな時に、そんな事が起こるとは」

「アスタ…その人、アスタさんって言うんですか?」

「そうだけど、どうして?」

「…!思い出しました。姫様と心で話していた時、あまりよく聞こえませんでしたが、ミョルドが、恐らくモルドと話していた時、ミョルドが言っていたんです。「アスタと言う少年はいませんでした」って」

「!」

「モルドは、アスタを知っている?」
しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

娘を返せ〜誘拐された娘を取り返すため、父は異世界に渡る

ほりとくち
ファンタジー
突然現れた魔法陣が、あの日娘を連れ去った。 異世界に誘拐されてしまったらしい娘を取り戻すため、父は自ら異世界へ渡ることを決意する。 一体誰が、何の目的で娘を連れ去ったのか。 娘とともに再び日本へ戻ることはできるのか。 そもそも父は、異世界へ足を運ぶことができるのか。 異世界召喚の秘密を知る謎多き少年。 娘を失ったショックで、精神が幼児化してしまった妻。 そして父にまったく懐かず、娘と母にだけ甘えるペットの黒猫。 3人と1匹の冒険が、今始まる。 ※小説家になろうでも投稿しています ※フォロー・感想・いいね等頂けると歓喜します!  よろしくお願いします!

【完結】異世界で魔道具チートでのんびり商売生活

シマセイ
ファンタジー
大学生・誠也は工事現場の穴に落ちて異世界へ。 物体に魔力を付与できるチートスキルを見つけ、 能力を隠しつつ魔道具を作って商業ギルドで商売開始。 のんびりスローライフを目指す毎日が幕を開ける!

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

爺さんの異世界建国記 〜荒廃した異世界を農業で立て直していきます。いきなりの土作りはうまくいかない。

秋田ノ介
ファンタジー
  88歳の爺さんが、異世界に転生して農業の知識を駆使して建国をする話。  異世界では、戦乱が絶えず、土地が荒廃し、人心は乱れ、国家が崩壊している。そんな世界を司る女神から、世界を救うように懇願される。爺は、耳が遠いせいで、村長になって村人が飢えないようにしてほしいと頼まれたと勘違いする。  その願いを叶えるために、農業で村人の飢えをなくすことを目標にして、生活していく。それが、次第に輪が広がり世界の人々に希望を与え始める。戦争で成人男性が極端に少ない世界で、13歳のロッシュという若者に転生した爺の周りには、ハーレムが出来上がっていく。徐々にその地に、流浪をしている者たちや様々な種族の者たちが様々な思惑で集まり、国家が出来上がっていく。  飢えを乗り越えた『村』は、王国から狙われることとなる。強大な軍事力を誇る王国に対して、ロッシュは知恵と知識、そして魔法や仲間たちと協力して、その脅威を乗り越えていくオリジナル戦記。  完結済み。全400話、150万字程度程度になります。元は他のサイトで掲載していたものを加筆修正して、掲載します。一日、少なくとも二話は更新します。  

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。 毎日19時に更新予定です。

エレンディア王国記

火燈スズ
ファンタジー
不慮の事故で命を落とした小学校教師・大河は、 「選ばれた魂」として、奇妙な小部屋で目を覚ます。 導かれるように辿り着いたのは、 魔法と貴族が支配する、どこか現実とは異なる世界。 王家の十八男として生まれ、誰からも期待されず辺境送り―― だが、彼は諦めない。かつての教え子たちに向けて語った言葉を胸に。 「なんとかなるさ。生きてればな」 手にしたのは、心を視る目と、なかなか花開かぬ“器”。 教師として、王子として、そして何者かとして。 これは、“教える者”が世界を変えていく物語。

祈りの果てに ― 無限の箱庭で笑う者 ―

酒の飲めない飲んだくれ
ファンタジー
俺は一度、終わりを迎えた。 でも――もう一度だけ、生きてみようと思った。 女神に導かれ、空の海を旅する青年。 特別な船と、「影」の船員たちと共に、無限の空を渡る。 絶望の果てに与えられた“過剰な恩恵”。 それは、ひとりの女神の「願い」から生まれたものだった。 彼の旅路はやがて、女神の望みそのものを問い直す。 ――絶望の果て、その先から始まる、再生のハイファンタジー戦記。 その歩みが世界を、そして自分自身を変えていく。 これは、ただの俺の旅の物語。 『祈りの果てに ― 無限の箱庭で笑う者 ―』

処理中です...