蒼き英雄(旧)

雨宮結城

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最終章 The Final

Part5

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ソウルワールド、第二十階層の街では、スレイヤーが召喚したモンスター達が、爆破魔法を建物や人に向かって、放っていた。その為、街は火の海になっていた。

「キャー!」

「ウワー!」

「グルル」

一体のモンスターが、一人の逃げ遅れた男の前に迫っていた。

「や、やめてくれ」

「グルル、グルアー!」

「!」

「やめろー!」

そこへ、街へと辿り着いたユキが、そのモンスターを斬った。

「…!貴方は」

「大丈夫ですか」

「はい」

「ここは危険です。ひとまず逃げてください」

「わ、分かりました」

男はユキに言われ、皆と共に逃げた。

「…」

モンスター達の方を、睨むように見るユキ。

「グルル」

「悪いけど」

構えるユキ。

「手加減はしないよ」

「グルアー!」

「っ!」

ユキはモンスター達に向かっていった。

「っ!ハァ!」

ユキの剣の攻撃に、モンスター達は防ぐ暇もなく、斬られ消滅していく。

「グアー!」

「っ!ハァーア!」

ユキと大勢いたモンスター達による戦闘は、圧倒的にユキが上手だった。

「グルアー!」

「っ!」

ユキが一体のモンスターの攻撃を防いでいると、隣の建物に、逃げ遅れた人の声が聞こえた。

「キャー!」

「!っ!ハァッ!」

ユキは、相手をしていたモンスターを蹴り飛ばし、逃げ遅れた女性の方へ飛んでいき、女性を襲おうとしていたモンスターを斬った。

「グルアー!」

「…」

「あ、ありがとうございます」

「いえ、貴方は急いで逃げてください」

「はい」

女性を逃がし、再度モンスターと対峙するユキ。

「グルルアー!」

「!」

「ハァ!」

そこへミユキが現れ、ユキに向かってきていたモンスターに鎖をかけた。

「グルッ!」

「!ハァ!」

その瞬間を逃さず、ユキはモンスターを斬った。

「…ありがとうミユキ」

「ううん、大丈夫お姉ちゃん」

「うん、ボクは大丈夫」

「ユキさん、ミユキさん」

「メイちゃん」

「二人共大丈夫ですか?」

「はい」

「うん、ただ、モンスターの数が多すぎる」

「どうしますか」

「試してみる」

「!?」

「二人共、一回離れて」

「うん」

「はい」

ユキは集中し、剣に魔力を込めた。

「…」

「グルル、アー!」

そして込めた魔力を、モンスターの大軍に向かって、剣を振った。

「ハァ!」

「!」

「グルアー!」

その攻撃に、全体の八割のモンスターが消滅した。

「す、すごい」

「お姉ちゃん」

ユキの攻撃に、思わず驚くメイとミユキ。

「……まだ残ってる」

「(ユキちゃん、そっちは大丈夫?)」

「(サオリちゃん)」

〈第十九階層、牢獄にて〉

牢獄へ助太刀に来ていたサオリとサキは、腕輪の封印が解け、暴れていた罪人達の相手をしていた。

「(サオリちゃん、そっちは大丈夫なの?)」


「(こっちは、私とサキさんで、何とか食い止めてるわ)」

罪人達をまとめて気絶させながら、戦っているサオリ。

「うりゃあー!」

「っ!ふっ!」

罪人を気絶させるサキ。

「…」

「アー!」

サキの方へ、たくさんの罪人達が迫ってきた。

「(めんどうですね)」

サキは、まとめて気絶させる為、迫ってくる罪人の前に、魔力バリアを張った。

「っ!」

「…ハァ!」

魔力バリアの前に、先へ進めない罪人に向かって、サキは魔力バリアを壁の方へ動かし、罪人達を気絶させた。

「…んっ」

地下から、一階へとぞくぞくとやってくる罪人達。

「キリがないですね」

「でも、私とサキさんなら」

「そうですね、急いで終わらせましょう」

サオリとサキは、罪人達へと向かって行った。

ユキ達の方も、急いで終わらせるべく、モンスター達の方へと向かっていった。

「ボク達も早く終わらせよう」

「うん!」

「はい!」

その頃、ミレイユ姫のお城を守っていたユウヤの方は。

「…誰もこねーじゃねーか。俺も街に行くか?でもそうすれば、サキの野郎が黙ってないか。…ん?」

ユウヤが考え事をしていると、城の方へ走ってくる一人の少女がいた。よく見ると、それはサキだった。

「ユウヤ」

「サキ、なんでここへ」

「事態は最悪です。私はここを守るので、ユウヤはユキさんの方へ向かってください」

「…」

「私はミレイユ姫の様子を見てきます」

サキがミレイユ姫の方へ行こうとした所を、ユウヤは止めた。

「待て」

「…なんですか?」

「お前、誰だ」

「?何を言っているんですか?私ですよ、サキです」

「何でだろうな」

「?」

「勘ってやつか、お前はサキじゃねぇ。サキは任務を放棄するような野郎じゃねぇんだよ。あと、ミレイユ姫だと、様はどこいった」

「…貴方、勘がいいですね」

「!」

サキと思われていたその少女は、ユウヤの手を振り払い、距離をとり、正体を明かした。

「…」

「てめえ、今度は何の用だ」

その正体は、マキだった。

「…できれば、無駄な殺しはしたくなかったのですが」

「なんだ…」

ユウヤが喋ろうとしたその瞬間、マキはユウヤの間合いに入り、剣を振り、ユウヤを吹っ飛ばした。

「グッ!ウッ、かは」

「…まあ、戦意喪失にはなりましたか」

マキの一撃に、ユウヤは為す術なく敗れた。ユウヤを殺していないが、戦う力はないと判断し、ユウヤを無視し、城へ向かおうとしたマキ。

「待てよ」

「…」

「まだ、俺はやられてねーぞ」

「止めといた方がいい。貴方では、私には勝てない」

「勝てるかどうこうじゃねぇんだよ。己の前に立つ敵に、背は向けねぇんだよ」

「…そうですか」

「…ハァ!」

ユウヤは必死の一撃を、マキに与えようとした。だが、その一撃は、マキの剣によって防がれ、マキの蹴り技に、ユウヤは気絶した。

「かはっ!」

「眠っていてください」

ユウヤは倒れた。そしてマキは、お城の中へ入り、ミレイユ姫とカオリを発見した。

「ミレイユ姫ですね」

「…貴方は」

「私の名はマキ、貴方には我々の元へと来ていただきます」

「断ったら」

「申し訳ありませんが、少々荒っぽくなります」

「!」

「カオリ」

ミレイユ姫の前に立つカオリ。

「姫様、お逃げ下さい」

「止める気ですか」

「はい」

「姿勢は立派です。でも」

「ウッ」

カオリはマキの剣、持ち手である茎を腹に当てられ、気絶してしまう。

「カオリ!アッ…」

ミレイユ姫も、マキの手刀によって気絶させられ、マキの手に抱えられる。

「…ミレイユ姫、貴方には人質となってもらいます」

マキはミレイユ姫を肩に担ぎ。スレイヤーがいる次元へ戻る為、戻るのに手っ取り早いテレポート盤へと向かっていた。

「……ん?」

マキがテレポート盤へ向かっていると、後ろから魔力の反応を感知した。

「!」

「ハァ!」

「…貴方は」

「悪いけど、ミレイユ姫様は返してもらうよ」

マキを追っていたのは、ユキだった。

「…街には、モンスターの大軍がいたはずですが」

「あぁ、片付いたよ。君の事は、ユウヤ君から聞いたからね」

「!」

マキは、ユウヤがあの瞬間に、仲間に増援を送っていた事に驚いた。気絶する前に何故と言う疑問もあるが、仲間に頼るような人格には見えなかったからだ。

〈回想〉

「かはっ!」

「眠っていてください」

「(マキが、ミレイユ姫様の城に来ている)」

「!」

ユウヤは、ユキを含め、全員にこの情報を送っていた。

そして、最も早くマキへ辿り着けると判断したユキが、モンスター達を片付け。マキを追っていたのだ。

「(分かった!)」

〈現在〉

「なるほど、あの瞬間に」

「逃がさないよ、マキ」

「…おい」

「?」

「はっ!」

「!」

マキが一声かけると、マキの横に魁平隊の暗殺部隊の一人が現れた。

「ミレイユ姫を」

「了解しました」

マキはミレイユ姫を部下の一人に預けた。

「っ!させない!」

それを防ごうと、ユキはマキへと向かう。

「!」

「…」

だが、ユキの攻撃をあっさり止められ、ミレイユ姫は、マキの部下によって、連れ去られてしまった。

「…」

「貴方、中々に強いですね。サオリと言う女は、剣の技に才能を感じましたが、貴方は、剣士として、才能があるようですね。この世界で一度生まれ、余程努力をしたのでしょう。生まれながらの剣士、貴方みたいなタイプは中々いません」

「そりゃあどうも。でも、ボクなんかより、サオリちゃんやアスタの方が強いよ」

「…そうですか」

「(この人、ヤバいぐらいに強い、レベル九十九なんて上限、この人はとっくに超えてる)」

「貴方とは、いずれまた戦うでしょう。なので今は」

マキは、ユキに向け、ある魔法を放った。

「っ!何を…!」

「ユキ…」

「アスタ?」

「またな」

「!待って!アスタ!」

マキがユキに放った魔法は、その本人が最も絶望する光景を見せるという、タチの悪い魔法だった。

「アスタ!」

「…」

絶望の世界で、暗闇の方へ、消えていくアスタ。

「アスタ…」

ユキは絶望し、目も虚ろになり、涙を流した。

「…」

マキは、そんなユキに向け、剣を上に上げ、振り下ろした。
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