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Mission 6
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秘密部隊の射撃場で、ひたすら的に撃ち込む紗音邑灯。
予期せぬ事態が重なったものの、形上は失敗せずに終わった初任務。
川島武尊が何者かに銃撃され、情報を聞き出す事はできなかったが、所持品のスマホや特殊強化薬の回収には成功し、現在調査中。
次の任務が下るまでは待機の為、各々がしたい事をしていた。
灯が射撃場にいるのも、その一つ。
任務は失敗しなかった。だが成功したとも言えない結果な上に、川島武尊が言っていた、ある言葉が気になっていた。
幽霊兵士。
任務後調べてみたが、有力な情報は得られなかった。
そんなやり切れない気持ちを晴らしたく、流れる様に灯は射撃場に向かっていた。
「……(幽霊兵士、調べたけど何も分からなかった。唯一引っかかった事と言えば、とあるサイトで殺しを依頼するネットページが存在する事、流石に長官の許可なしにアクセスはできないから、入りはしなかったけど、それらしきサイトはあった)」
灯は引っかかる事があると、そのモヤモヤを消し去りたい人間の為、その行動力は早い。
「命中率は、相変わらず半々。分かりやすいわね、灯」
「優芽……」
「アンタは迷いや不安、心にモヤがかかってると、銃の命中率はもちろん。判断や思考も単調になる」
「痛いとこつくなぁ」
「何年一緒にいると思ってんのよ。これくらいは分かるわ」
「……優芽はさ、どう思う?」
「なにが?」
「川島が言っていた事」
「幽霊兵士?」
「うん」
「さぁ、そんな言葉聞いた事ないし。私は直に聞いてないし」
「私を疑ってるの?」
「それはないわ。私が言いたいのは、川島が嘘を言っていた可能性よ。知り合いでもない人間の言葉なんて、大体が嘘よ」
「まぁ、そうなんだけどさ。嘘には、感じなくて」
「根拠はあるの?」
「あると思う?」
「ないわね。灯だし」
こういった些細な会話のやり取り、普段通りの優芽の言葉に、灯は救われていた。
「飲み物でも買ってきてあげるわ」
「いいの?」
「えぇ。オレンジでいい?」
「さすが優芽、分かってるね」
「まぁね」
優芽は射撃場を離れ、自動販売機で灯と自分の分を買っていた。そんな中、嶋村氷華に声をかけられる。
「ちょっといいか?」
「……なに?」
「アンタが言っていた事、少し分かったよ」
「なんの事?」
「私は最初、紗音邑灯はリーダーに向いていない。勝手だがそう感じた」
「まぁ出会い頭にあのテンションだしね、無理もないわよ」
「だが現場では的確な指示に冷静な対応力。そしてなにより、安心したんだ。リーダーの言葉一つで。流石はアンタが認めるだけはあるな」
「それはどうも。それと、今はもうメンバーなんだし、優芽でいいわよ」
「氷の剣士。鷹宮優芽に付けられていた呼び名。周りが勝手にそう呼んでいただけだが、噂がホントなのか気になってな。仲間を事故に見せかけて殺したって」
「もしホントなら、なに?」
「なんで殺した」
「大層な理由でも話したら、貴女は納得するの?」
「さぁな」
「……話すつもりはないわ。そこまで深い仲でもないし」
「そっか。じゃあいい」
「それで、結局なんの用なの?」
「初任務の時、灯はリーダーとして問題がない。そんな風に言っていたよな?」
「まぁ、そうね」
「リーダーと話した時、軽く言っていた事が気になってな。最初はアンタに反対されたって」
「したけど、それがなに?」
「なんで認めているのに、反対したんだ?」
「認めているからこそよ。あの子は、優しすぎるのよ。じゃ、私は灯の所に戻るから」
話を終わらせ、優芽は灯のいる射撃場へ戻った。
「(なら、紗音邑灯の噂もホントなのか。仲間に殺されかけたって)」
予期せぬ事態が重なったものの、形上は失敗せずに終わった初任務。
川島武尊が何者かに銃撃され、情報を聞き出す事はできなかったが、所持品のスマホや特殊強化薬の回収には成功し、現在調査中。
次の任務が下るまでは待機の為、各々がしたい事をしていた。
灯が射撃場にいるのも、その一つ。
任務は失敗しなかった。だが成功したとも言えない結果な上に、川島武尊が言っていた、ある言葉が気になっていた。
幽霊兵士。
任務後調べてみたが、有力な情報は得られなかった。
そんなやり切れない気持ちを晴らしたく、流れる様に灯は射撃場に向かっていた。
「……(幽霊兵士、調べたけど何も分からなかった。唯一引っかかった事と言えば、とあるサイトで殺しを依頼するネットページが存在する事、流石に長官の許可なしにアクセスはできないから、入りはしなかったけど、それらしきサイトはあった)」
灯は引っかかる事があると、そのモヤモヤを消し去りたい人間の為、その行動力は早い。
「命中率は、相変わらず半々。分かりやすいわね、灯」
「優芽……」
「アンタは迷いや不安、心にモヤがかかってると、銃の命中率はもちろん。判断や思考も単調になる」
「痛いとこつくなぁ」
「何年一緒にいると思ってんのよ。これくらいは分かるわ」
「……優芽はさ、どう思う?」
「なにが?」
「川島が言っていた事」
「幽霊兵士?」
「うん」
「さぁ、そんな言葉聞いた事ないし。私は直に聞いてないし」
「私を疑ってるの?」
「それはないわ。私が言いたいのは、川島が嘘を言っていた可能性よ。知り合いでもない人間の言葉なんて、大体が嘘よ」
「まぁ、そうなんだけどさ。嘘には、感じなくて」
「根拠はあるの?」
「あると思う?」
「ないわね。灯だし」
こういった些細な会話のやり取り、普段通りの優芽の言葉に、灯は救われていた。
「飲み物でも買ってきてあげるわ」
「いいの?」
「えぇ。オレンジでいい?」
「さすが優芽、分かってるね」
「まぁね」
優芽は射撃場を離れ、自動販売機で灯と自分の分を買っていた。そんな中、嶋村氷華に声をかけられる。
「ちょっといいか?」
「……なに?」
「アンタが言っていた事、少し分かったよ」
「なんの事?」
「私は最初、紗音邑灯はリーダーに向いていない。勝手だがそう感じた」
「まぁ出会い頭にあのテンションだしね、無理もないわよ」
「だが現場では的確な指示に冷静な対応力。そしてなにより、安心したんだ。リーダーの言葉一つで。流石はアンタが認めるだけはあるな」
「それはどうも。それと、今はもうメンバーなんだし、優芽でいいわよ」
「氷の剣士。鷹宮優芽に付けられていた呼び名。周りが勝手にそう呼んでいただけだが、噂がホントなのか気になってな。仲間を事故に見せかけて殺したって」
「もしホントなら、なに?」
「なんで殺した」
「大層な理由でも話したら、貴女は納得するの?」
「さぁな」
「……話すつもりはないわ。そこまで深い仲でもないし」
「そっか。じゃあいい」
「それで、結局なんの用なの?」
「初任務の時、灯はリーダーとして問題がない。そんな風に言っていたよな?」
「まぁ、そうね」
「リーダーと話した時、軽く言っていた事が気になってな。最初はアンタに反対されたって」
「したけど、それがなに?」
「なんで認めているのに、反対したんだ?」
「認めているからこそよ。あの子は、優しすぎるのよ。じゃ、私は灯の所に戻るから」
話を終わらせ、優芽は灯のいる射撃場へ戻った。
「(なら、紗音邑灯の噂もホントなのか。仲間に殺されかけたって)」
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