セブンスター

雨宮結城

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MIssion 4

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 - 初任務ファーストミッション -

 ~任務内容~
 銀行を占拠せんきょしようとたくらんでいる強盗犯の確保。 必要であれば射殺しゃさつおよ斬殺ざんさつ
 ・交渉許可 △
 ・確保許可 〇
 ・殺人許可 〇

 - 許可判定 -
 ・〇 許可
 ・△ 許可しているが、あまり効果が見込めない
 ・× 不許可

 秘密部隊セブンズの長官にして、女性司令官の宮根絵里香みやねえりか

 彼女は精鋭部隊セブンスターに、旅行バスをよそおった乗り物の中で、任務の詳細を話していた。

 「今回のターゲットは元特殊部隊の川島武尊かわしまたける率いる犯罪組織の確保だ。特殊部隊出身は、リーダーである川島だけで、他の者は素人同然の犯罪者達で構成されている。 具体的な詳細データは各自のスマホに送ってある。 今回の任務において、向かう先は廃ビル。爆弾が仕掛けられていないとも限らない。慎重に行動するように、現場指揮権はリーダーである紗音邑灯さねむらともとサブリーダーの鷹宮優芽たかみやゆめ、以下の者を任命する。 各自任務をまっとうせよ。 灯、優芽、任せたぞ」

 《了解》

 チーム代表の二人が答え。 車内に少し緊張感が走っていた。

 データを見て気になったことがあったのか、野崎佳奈のざきかなが灯に聞く。

 「あのリーダー……今回の任務って、言わば銀行強盗をする人達の対処ですよね? Sランクではなく、なんで私たちなんでしょうか?」

 「Sランクの彼女達じゃ、いざ戦闘になった時に、対処できないからだと思うよ。それに今回は初任務、私たちがどれくらいできるのかも見られる訳だよ」

 「解散するって事ですか?」

 「それは分からないけど、ただリーダーが特殊部隊出身だからね。しかも川島武尊」

 「結構凄いんですか?」

 「私も噂程度だけど、川島はかなり優秀な特殊部隊員だったみたいだよ? ただある時期からこつ然と姿が消えて、情報も無かった」

 「大丈夫……ですよね?」

 「大丈夫だよ。 基本的には私だけど、優芽も指示を出してくれるから」

 「灯、作戦を話さないと」

 「あ……そうだね優芽。 皆、今回向かう建物は廃ビル、足元に注意して行動を。画面に地図を映すから、それを見ながら聞いて。私と神崎ちゃんの二人でまず潜入し、氷川さんは隣のビルに優芽と入ってこの狙撃ポイントへ移動、敵の確認をしたら、位置の報告を。優芽は氷川さんのガードをお願い」

 《了解》
 (鷹宮優芽たかみやゆめ氷川美結ひかわみゆ神崎真耶かんざきまや

 「私と神崎ちゃんが離れた位置で敵を引きつけるから、その間に氷華さん、佳奈ちゃん、沙耶ちゃんの三人で、サーバールームへ侵入。 サーバーの方は佳奈ちゃんと沙耶ちゃんで担当、氷華さんは、サーバールームにいる二人のガードを」

 《了解》
 (嶋村氷華しまむらひょうか野崎佳奈のざきかな戸川沙耶とがわさや

 「なにか、質問は大丈夫?」

 「あのリーダー……」

 「沙耶ちゃん? どうしたの?」

 「これ」

 戸川沙耶が渡したのは、沙耶特性のUSBメモリセットだった。

 「これ、沙耶が作ったの?」

 「はい。 よく使うし、結構凄いので」

 「ありがとう、じゃあ是非今回使って」

 「今回……ですか?」

 「うん。 サーバールームで監視カメラをハッキングして、その間にデータを司令からもらったこのUSBメモリに保存が当初の予定だったけど、もしできそうなら、彼らのスマホのデータ、一つでも手に入れられたら、データをUSBメモリに転送しておいて」

 「分かりました」

 「他には大丈夫? よし、じゃあ皆、行こうか」

 目的地の廃ビル近くに停めようにも、近すぎるのはマズイ為、少し距離を置いた所で下ろしてもらい、彼女たちの初任務が始まった。

 当初の予定通り、灯と神崎の二人で廃ビルへ、優芽と美結は隣のビルへ侵入。 残りの三人は、少し遅れて侵入、灯と神崎が音で引きつけるまで、隠れて待機していた。

 「皆、どう? 配置につけた?」

 通信機器インカムを使って、皆と連絡を取る灯。

 「こちら優芽、配置に着いたわ」

 「こちら美結、狙撃ポイントにて、ターゲットを確認」

 「こちら氷華、現在サーバールーム前」

 「こちら佳奈です。 今開きました。サーバールーム侵入成功です」

 「こちら戸川沙耶、佳奈さんとハッキング開始しました」

 「おっけ、了解した。 なにかおかしな所はあった?」

 「こちら氷華」

 「氷華さん? どうしたの?」

 「気になるというか、サーバールームに敵がいたけど、対して強くなかった。 普通もっと強い奴に見張らせるんじゃないか?」

 「こちら美結、ターゲットの人達が七階にいますが、目的の川島がいません」

 「こちら優芽。 灯、なにか変よ、川島が見当たらない」

 ~同時刻 長官室にて~

 「長官!」

 「可憐かれん? どうした」

 ・橘可憐たちばなかれん
  副長官(副司令官)

 「あの廃ビルなのですが、地下室があるようで」

 「地下室? セブンスターには伝えたか?」

 「はい。 今伝えています」

 「だが、なぜ今になって……まさか」

 「はい。 意図的に隠されていたとしか」

 「まさか……内通者か」

 「はい。 そしてこの地下室には、特殊強化薬サファイアのサンプルがあると」

 ・特殊強化薬サファイアとは
  人間の機能を、戦闘員の様に強化する為だけに作られた戦争兵器。

 一般人が使用した場合、力だけなら現役の特殊部隊員に匹敵する。

 しかし副作用として、寿命をとてつもない速度ですり減らす特性を持っている。下手をすれば、薬を投与とうよした時点で死亡する可能性すらある。

 「なんだと!? すぐにセブンスターに知らせろ!」

 長官は焦った、そんな薬のサンプルも問題だが、特殊精鋭部隊セカンドスターを壊滅させたとされるサンプルの在り処に、精鋭部隊セブンスターがいることに。
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