バッドエンド

黒蝶

文字の大きさ
4 / 34

3頁

しおりを挟む
──嗚呼、またいつもの夢だ。
「この子が災厄をもたらすなんて、そんなはずないでしょう。こんなにいい子なんですよ?せめて学校生活を…」
「村長のお告げと村の掟は絶対だ!」
言い争うおばあさんと怖い男の人。
「万が一呪いが広がったらどうするのだ!」
「もう制御できています」
「とにかく無理なものは無理だ。早く見張りに戻れ」
おばあさんは泣きながら僕を抱きしめて、いつも謝られた。
「ごめんよ。あたしたちが終わらせられていたら…」
おばあさんのせいじゃない。僕が災いの子で呪われていなかったら──


「……折角眠ってもこれじゃあ気分転換になりません」
ずっと一緒にいるうさぎのぬいぐるみ。
おばあさんが連れてきてくれたルナだけが僕の友だちだ。
「そろそろ行きましょう。僕が動けているうちに、少しでも進んでおかないと」
それにしても、神子に会うのは想定外だった。
黙っていてくれるだろうか。
…まあ、向こうもばれたらどうなるか分からないだろうから大丈夫だと信じよう。
「今日はもっとペースをあげますよ」
ぬいぐるみを鞄に入れて、細い道をゆっくりのぼっていく。
全然先が見えないけど、これで合っているのかな…。
「……大丈夫。僕が終わらせますから」


××


「見て、神子様だわ」
「相変わらずお美しい……」
うんざりする反応を見ながら、なんとか学校まで向かう。
「花房さん、おはよう」
「おはようございます」
外では神子らしく振る舞うことをきつく言い渡されているため、誰に対しても敬語しか使えない。
通りかかる生徒たちはみんな私に頭を下げる。
先輩後輩同級生、みんな。
「暁美さん、おはよう」
「おはようございます」
巫女と呼ばれる私の世話係をしてくれている人たちの家族以外は、みんなそうやって崇めてくる。
(あーあ、私も他の人たちみたいに誰かと登校してみたいな……)
一度お願いしてみたことがあったけどあっさり却下された。
「神子様はいらっしゃいますか?」
「どうされました?」
「実はこの子が熱を出してしまって…。もう何日も下がっていないのです」
「なんて酷い…」
私が神子としてごちゃごちゃ言われる理由はここにある。
目を閉じていつもどおり手をかざすと、子どもはあっという間に元気になった。
「ありがとうございます、神子様!」
「ありがとう」
「いえ、当然のことをしたまでですから」
小さい頃からずっとやってきた。
寝ているところを起こされて治すよう言われたり、大人たちに襲われそうになったり…。
こんな力、望んで手に入れたわけじゃない。


──こんな村、いつか絶対出てやる。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

17歳男子高生と32歳主婦の境界線

MisakiNonagase
恋愛
32歳主婦のカレンはインスタグラムで20歳大学生の晴人と知り合う。親密な関係となった3度目のデートのときに、晴人が実は17歳の高校2年生だと知る。 カレンと晴人はその後、どうなる?

熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)

MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様を書いたストーリーです。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

『雪嶺後宮と、狼王の花嫁』

由香
キャラ文芸
後宮に降る雪は、呪いではなく嘆きだった。 巫女として献上された少女セツナは、 封じられた狼王の“花嫁”としての前世を思い出す。 人と妖、政と信仰の狭間で、 彼女が選ぶのは従属ではなく均衡。 雪嶺を舞台に描く、異種婚姻×後宮伝承譚。

呪われた少女の秘された寵愛婚―盈月―

くろのあずさ
キャラ文芸
異常存在(マレビト)と呼ばれる人にあらざる者たちが境界が曖昧な世界。甚大な被害を被る人々の平和と安寧を守るため、軍は組織されたのだと噂されていた。 「無駄とはなんだ。お前があまりにも妻としての自覚が足らないから、思い出させてやっているのだろう」 「それは……しょうがありません」 だって私は―― 「どんな姿でも関係ない。私の妻はお前だけだ」 相応しくない。私は彼のそばにいるべきではないのに――。 「私も……あなた様の、旦那様のそばにいたいです」 この身で願ってもかまわないの? 呪われた少女の孤独は秘された寵愛婚の中で溶かされる 2025.12.6 盈月(えいげつ)……新月から満月に向かって次第に円くなっていく間の月

処理中です...