バッドエンド

黒蝶

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「穂高、ちょっと待ってね」
すぐに力を使って傷を塞ぐと、穂高は渋い顔をしていた。
「痛かった?」
「……いや、そういうわけじゃない」
「誰にやられたの?」
「ひとりで転んだだけだ」
「そんな怪我じゃなかったよ?」
「いいからもう行け。怪我を治してくれたことには感謝してるけど、俺には近づかない方がいい」
どうして村の人たちは、穂高に対して酷いことをするんだろう。
「どうして?みんな同じ人間でしょ?」
「……みんな同じ、か。じゃあなんであんなに優しいあいつはあんな目に遭わされてるんだろうな」
「あいつ?」
「知らないのか?」
何のことを言っているのか分からなくて首を傾げる。
「誰のことを言ってるの?」
「本当に知らないんだな。…その方がいいこともある」
言っている意味が分からない。
だけど、穂高が悲しそうにしているのは見ていてよく分かった。
もっと話していたかったのに、穂高は勢いよく立ちあがる。
「……とにかく、護衛以外のとき人目がある場所で俺に近づくな」
走る穂高を追いかけようとしたけど、担任の先生に声をかけられた。
(『あいつ』って誰?)
そんな疑問をぶつけられる相手なんて、穂高しかいないけど、今は他にやらないといけないことがある。
「神子様に至急会いたいという人が来ています。一緒に来てもらえますか?」
「分かりました」
怪我か病気か、或いは祈祷か。
何も分からないまま先生の後を追いかけた。


××××××××


《おまえか。噂の呪いの源は……》
「僕のこと、そんな話になっているんですか?」
《当然だ。人間のくせに多大な力を保持していると聞いている。その力、俺のために使う気はないか?》
「ありません」
ふたつ目の祭壇を見つけたのはいいものの、硬くてなかなか壊れない。
《そんな力では俺に勝てんぞ》
「そうですか」
拳に陰をまとわせて、勢いよくたたきつけた。
《なん、だと……》
相手が灰になるのを見届けて、無言で両手をあわせる。
いくら敵と呼べる存在とはいえ、ここで生きていた人だから。
(思っていたよりずっと弱い…。もしかして、大きな呪いが動き出そうとしているからということでしょうか?)
誰も答えを知らない疑問をずっと持ってしまって、どうしたらいいか分からなくなる。
「……進まなきゃ。行きましょう」
ぬいぐるみと話すなんておかしいのかもしれないけど、僕にとってはたったひとりの友だちだ。
それに、話していないと似たような道ばかりでおかしくなる気がする。


……ねえ、おばあさん。あなたが生きていたら、答えてくれましたか?
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