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もっと頑張らないと、今のペースでは間に合わない。
『知らない誰かを呪ってはいけないよ。……勿論、自らの運命もね』
昔おばあさんに言われたことだけど、あんまりよく理解していない。
ここまで奥に入れば、もう会うこともないだろう。
それに、もう……
(考えるだけ無駄ですね)
「行きましょうか、ルナ」
僕にはいつもこの子がいてくれる。
それ以外のことなんてもう望まない。
……そのままゆっくり寝る、はずだった。
××××××××××
──結局今夜も抜け出してきてしまった。
本当は悪いことなんだろうけど、やっぱり窮屈で息が詰まる。
だけど、夜の姿が見当たらない。
焚き火の跡ならいくつか見つけたけど、どんどん村から遠ざかっているみたいだ。
(どうしよう。このままだと村への道も分からなくなりそう……)
立入禁止と言われている場所に人が来るはずない。
もしこんなところで迷子になってしまったら…そう思ったら足が震える。
《ガルルル……》
「な、なに?」
《ウウ!》
「きゃあ!」
あんな怪獣みたいなものの相手なんてしたことない。
このまま逃げ切れなかったら、ここで……。
(誰か、誰か!)
助けて──
《ウオオオン!》
「……え?」
「逃げてください」
「でも、あなたは、」
「早く行ってください。邪魔です」
どっちへ走ったらいいかも分からないなか、足に力が入らなくなって目を閉じる。
《ゲヘッ》
その声を最後に、怪獣みたいなものの声がしなくなった。
ゆっくり目を開けると、夜の手には刀が握られている。
「何故こんな奥までいらしたんですか?」
「帰ろうとしたんだけど、迷子になっちゃって…」
「ここでおこなわれるのは命のやりとりです。あなた様が気軽に来ていい場所ではありません」
冷たい声が突き刺さって泣きそうになるけど、この人にもきっと何か事情があるんだろう。
「あの、これ…書いてみたんだ。読んでくれる?」
全てのかたがついたらしく、夜はそのままこっちに近づいてきてくれた。
「……なんですか?」
「手紙。普段書かないからあんまりいいものじゃないと思うけど…。あ、あとこれも。お守り代わりにしてね」
神子の力があってよかったと心から感じたのは、今回が初めてに近いかもしれない。
(気に入ってもらえるかな…)
「組紐ですか?」
「……え?もしかして、ミサンガを知らないの?」
「みさんが……」
夜はしばらく首を傾げていたけど、合点がいったように顔をあげた。
「おまじないに使われるものですか?」
「そう。紐が切れたら願いが叶うんだって。切れない間は護ってくれるようにおまじないをかけたんだ」
「……ありがとうございます」
相変わらずフードをかぶったままだけど、夜は大切そうに優しく握ってくれた。
(少しだけ心の距離も近づいたかな?)
『知らない誰かを呪ってはいけないよ。……勿論、自らの運命もね』
昔おばあさんに言われたことだけど、あんまりよく理解していない。
ここまで奥に入れば、もう会うこともないだろう。
それに、もう……
(考えるだけ無駄ですね)
「行きましょうか、ルナ」
僕にはいつもこの子がいてくれる。
それ以外のことなんてもう望まない。
……そのままゆっくり寝る、はずだった。
××××××××××
──結局今夜も抜け出してきてしまった。
本当は悪いことなんだろうけど、やっぱり窮屈で息が詰まる。
だけど、夜の姿が見当たらない。
焚き火の跡ならいくつか見つけたけど、どんどん村から遠ざかっているみたいだ。
(どうしよう。このままだと村への道も分からなくなりそう……)
立入禁止と言われている場所に人が来るはずない。
もしこんなところで迷子になってしまったら…そう思ったら足が震える。
《ガルルル……》
「な、なに?」
《ウウ!》
「きゃあ!」
あんな怪獣みたいなものの相手なんてしたことない。
このまま逃げ切れなかったら、ここで……。
(誰か、誰か!)
助けて──
《ウオオオン!》
「……え?」
「逃げてください」
「でも、あなたは、」
「早く行ってください。邪魔です」
どっちへ走ったらいいかも分からないなか、足に力が入らなくなって目を閉じる。
《ゲヘッ》
その声を最後に、怪獣みたいなものの声がしなくなった。
ゆっくり目を開けると、夜の手には刀が握られている。
「何故こんな奥までいらしたんですか?」
「帰ろうとしたんだけど、迷子になっちゃって…」
「ここでおこなわれるのは命のやりとりです。あなた様が気軽に来ていい場所ではありません」
冷たい声が突き刺さって泣きそうになるけど、この人にもきっと何か事情があるんだろう。
「あの、これ…書いてみたんだ。読んでくれる?」
全てのかたがついたらしく、夜はそのままこっちに近づいてきてくれた。
「……なんですか?」
「手紙。普段書かないからあんまりいいものじゃないと思うけど…。あ、あとこれも。お守り代わりにしてね」
神子の力があってよかったと心から感じたのは、今回が初めてに近いかもしれない。
(気に入ってもらえるかな…)
「組紐ですか?」
「……え?もしかして、ミサンガを知らないの?」
「みさんが……」
夜はしばらく首を傾げていたけど、合点がいったように顔をあげた。
「おまじないに使われるものですか?」
「そう。紐が切れたら願いが叶うんだって。切れない間は護ってくれるようにおまじないをかけたんだ」
「……ありがとうございます」
相変わらずフードをかぶったままだけど、夜は大切そうに優しく握ってくれた。
(少しだけ心の距離も近づいたかな?)
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