12 / 34
11頁
「神子様、お疲れ様でした」
「皆様もお疲れ様でした」
神事…といっていいのか分からないものを終わらせて、すぐに部屋に戻る。
流石に少しは休みたい。
……そう思ったけど、寝る時間なんてほとんどなくて。
「おい、大丈夫か?」
「穂高…おはよう。今日も護衛?」
「ああ。頼まれた」
どうして傷が増えてるの?とは訊けなかった。
(穂高の傷、治してもいいかな……)
「治さなくていい」
「え?」
「治す必要ない。疲れてるだろうし」
穂高は気を遣ってくれたんだ。
(やっぱり優しいな)
「ありがとう」
「……別に。到着しましたよ、神子様。これで失礼します」
「あ……」
この前言いかけていたことを聞きたかったのに、周りに人が集まってきている間にどこかへ行ってしまった。
穂高のことを誰かに訊くのは何か違う気がするし、どうすればいいのか分からない。
(夜なら何か知ってるかも)
村の人たちが知らないことでも知っていそうな気がして、また夜抜け出して会いに行こうと決める。
「神子様、ご祈祷お疲れ様でした」
「美しい舞だと聞いていますが、祭祀でお疲れではありませんか?」
「私は平気です。……祭祀は巫女の皆様のお力添えあってこそですから」
みんなが望む清らかな神子を演じるけど、どんどん心が死んでいくのを感じる。
誰も本当の私を知らない。
正確に言えば、穂高と夜以外の相手には素を出せないんだと思う。
(……つまらないなあ)
クラスの子たちが新しくできた雑貨屋さんの話をしていたけど、好きなお店に行くこともできない。
放課後になったらきっと巫女が迎えに来て……今日は少し寝たい。
もしかするとまた祭祀を執り行うことになるかもしれないし、そのまま夕食の時間になって新しい舞を覚えないといけないのか。
……みんなみたいに、放課後を自由に過ごしてみたい。
「出た、神子様だ」
「誰の怪我でも治せるなら、私たちのことも治してくれるよね?」
「それは……」
普段なら治せるけど、この疲れた状態で治癒の力を使ってもきちんと作用するか分からない。
「断るつもり?言っておくけど、私ら村長の親戚だよ?」
「申し訳ありませんが、今は──」
「……おい」
どう切り抜けようか考えていると、穂高が先輩生徒との間に立っていた。
「うわ、穢れた黒狐憑きだ!」
「行こう。関わったら呪われる……!」
怯えた様子のその人たちが去っていった後、聞き慣れない言葉に戸惑う。
「穂高、今のって、」
穂高は無表情のまま、冷たい声で言った。
「……言っただろ、俺に近づくなって」
「皆様もお疲れ様でした」
神事…といっていいのか分からないものを終わらせて、すぐに部屋に戻る。
流石に少しは休みたい。
……そう思ったけど、寝る時間なんてほとんどなくて。
「おい、大丈夫か?」
「穂高…おはよう。今日も護衛?」
「ああ。頼まれた」
どうして傷が増えてるの?とは訊けなかった。
(穂高の傷、治してもいいかな……)
「治さなくていい」
「え?」
「治す必要ない。疲れてるだろうし」
穂高は気を遣ってくれたんだ。
(やっぱり優しいな)
「ありがとう」
「……別に。到着しましたよ、神子様。これで失礼します」
「あ……」
この前言いかけていたことを聞きたかったのに、周りに人が集まってきている間にどこかへ行ってしまった。
穂高のことを誰かに訊くのは何か違う気がするし、どうすればいいのか分からない。
(夜なら何か知ってるかも)
村の人たちが知らないことでも知っていそうな気がして、また夜抜け出して会いに行こうと決める。
「神子様、ご祈祷お疲れ様でした」
「美しい舞だと聞いていますが、祭祀でお疲れではありませんか?」
「私は平気です。……祭祀は巫女の皆様のお力添えあってこそですから」
みんなが望む清らかな神子を演じるけど、どんどん心が死んでいくのを感じる。
誰も本当の私を知らない。
正確に言えば、穂高と夜以外の相手には素を出せないんだと思う。
(……つまらないなあ)
クラスの子たちが新しくできた雑貨屋さんの話をしていたけど、好きなお店に行くこともできない。
放課後になったらきっと巫女が迎えに来て……今日は少し寝たい。
もしかするとまた祭祀を執り行うことになるかもしれないし、そのまま夕食の時間になって新しい舞を覚えないといけないのか。
……みんなみたいに、放課後を自由に過ごしてみたい。
「出た、神子様だ」
「誰の怪我でも治せるなら、私たちのことも治してくれるよね?」
「それは……」
普段なら治せるけど、この疲れた状態で治癒の力を使ってもきちんと作用するか分からない。
「断るつもり?言っておくけど、私ら村長の親戚だよ?」
「申し訳ありませんが、今は──」
「……おい」
どう切り抜けようか考えていると、穂高が先輩生徒との間に立っていた。
「うわ、穢れた黒狐憑きだ!」
「行こう。関わったら呪われる……!」
怯えた様子のその人たちが去っていった後、聞き慣れない言葉に戸惑う。
「穂高、今のって、」
穂高は無表情のまま、冷たい声で言った。
「……言っただろ、俺に近づくなって」
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
🥕おしどり夫婦として12年間の結婚生活を過ごしてきたが一波乱あり、妻は夫を誰かに譲りたくなるのだった。
設楽理沙
ライト文芸
2026.1.4 73話見直した際、瑛士の台詞《本音/懺悔》を加筆しました。😇
☘ 累計ポイント/ 200万pt 超えました。ありがとうございます。
―― 備忘録 ――
第8回ライト文芸大賞では大賞2位ではじまり2位で終了。 最高 57,392 pt
〃 24h/pt-1位ではじまり2位で終了。 最高 89,034 pt
◇ ◇ ◇ ◇
紳士的でいつだって私や私の両親にやさしくしてくれる
素敵な旦那さま・・だと思ってきたのに。
隠された夫の一面を知った日から、眞奈の苦悩が
始まる。
苦しくて、悲しくてもののすごく惨めで・・
消えてしまいたいと思う眞奈は小さな子供のように
大きな声で泣いた。
泣きながらも、よろけながらも、気がつけば
大地をしっかりと踏みしめていた。
そう、立ち止まってなんていられない。
☆-★-☆-★+☆-★-☆-★+☆-★-☆-★
2025.4.19☑~
裏切りの代償
中岡 始
キャラ文芸
かつて夫と共に立ち上げたベンチャー企業「ネクサスラボ」。奏は結婚を機に経営の第一線を退き、専業主婦として家庭を支えてきた。しかし、平穏だった生活は夫・尚紀の裏切りによって一変する。彼の部下であり不倫相手の優美が、会社を混乱に陥れつつあったのだ。
尚紀の冷たい態度と優美の挑発に苦しむ中、奏は再び経営者としての力を取り戻す決意をする。裏切りの証拠を集め、かつての仲間や信頼できる協力者たちと連携しながら、会社を立て直すための計画を進める奏。だが、それは尚紀と優美の野望を徹底的に打ち砕く覚悟でもあった。
取締役会での対決、揺れる社内外の信頼、そして壊れた夫婦の絆の果てに待つのは――。
自分の誇りと未来を取り戻すため、すべてを賭けて挑む奏の闘い。復讐の果てに見える新たな希望と、繊細な人間ドラマが交錯する物語がここに。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします
二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位!
※この物語はフィクションです
流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。
当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。
罪悪と愛情
暦海
恋愛
地元の家電メーカー・天の香具山に勤務する20代後半の男性・古城真織は幼い頃に両親を亡くし、それ以降は父方の祖父母に預けられ日々を過ごしてきた。
だけど、祖父母は両親の残した遺産を目当てに真織を引き取ったに過ぎず、真織のことは最低限の衣食を与えるだけでそれ以外は基本的に放置。祖父母が自身を疎ましく思っていることを知っていた真織は、高校卒業と共に就職し祖父母の元を離れる。業務上などの必要なやり取り以外では基本的に人と関わらないので友人のような存在もいない真織だったが、どうしてかそんな彼に積極的に接する後輩が一人。その後輩とは、頗る優秀かつ息を呑むほどの美少女である降宮蒔乃で――